BLOG

Bespoke Tailor Dittos.

【 N様の御注文:THISTLE 】

2018.11.20お客様のご注文

 

 

 

急に寒気が入り、俄然冬らしくなって参りました。

流石に11月も後半です。

 

ns0

 

外苑前駅からお越し下さるお客様は通るであろう国道246沿いのAVEX本社ビル前では、今年もクリスマスツリーの準備が進められていました。

もうそんな時期ですよね、、、。

(AVEX本社ビル横を曲がれば、あとは真っ直ぐ進めば当店に到着で御座います!)

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今週は N様から頂きました 拘りと個性溢れる

BESPOKE:3P-SUITS を御紹介させて頂きます。

 

 

HARRISONS OF EDINBURGH

 

1863年創業の高級な老舗マートャントである同社の膨大かつ貴重なアーカイブより

その当時織られていた生地を復刻する形で 2015年に計8種のシリーズが展開されました。

 

 

 

ns1

 

THISTLE VINTAGE SUITING

 

http://dittos.seesaa.net/article/422704649.html

( このコレクションは、今でもご注文をお受けする事が出来ます。 )

 

 

 

ウエイトは約400g、確りと打ち込みのあるその生地は、ご丁寧に LONDON SHURUNK でフィニッシングした それこそ拘りのシリーズです。

 

N様には そんな拘り溢れる生地に 御自身の拘りを重ねられ、お選び頂きました。

いざ 裁断で御座います。

 

 

 

 

 

 

ns2

 

ミディアムグレーのクラシックなヘリンボーン柄ですが、良くご覧ください!

右下がり、左下がりと交互にツイル織りが確りと見えますが、

その片側だけに あえて色糸を混ぜた配色糸を使用しております。

 

そんな些細な特徴ではありますが、これがまた効くのですね。

光の当たり方によってはシャドーストライプの様に織縞は浮き出たり、沈み込んだり、、、。

そしてその色糸は、無彩色のグレーに対し 程好い色気を与えています。

 

 

 

 

どのメーカーでもヘリンボーン柄は見受けられますが、こんな捻りの効いたヘリンボーンはありませんよ!

昔の生地は本当にバリエーションが豊かでした。

肉味もよく、仕立て映えのする素晴らしい生地です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ns3

 

裏地にも様々な思い入れのあるN様、今回のスーツはシルク地のライニングです。

右下に見える ボルドー をお選び頂きました。

生地に同じく、英国よりお取り寄せいたします。

 

シルクはやはり高級感があり、発色も良く、そして保温性にも優れております。

反面 デメリットとしては、水に弱く、摩擦にも弱いのが特徴であります。

故に、オーバーコートなどで使用されるのであれば まだ良いのですが、

スーツでの御使用に至っては贅沢な御選択とも言えましょう。

 

(余談ですが、VINTAGEのスーチングがある様に かなり古い袖裏地も所有しておりました。

その裏地も PURE SILK で、確りとした肉味あるものでした。

袖裏地に限らず、昔は特に礼服などでも使用率の高かったシルク裏地です。)

 

 

 

今回はダブル・ブレストのクラシックな三つ揃いのスーツがベースで御座います。

どんな個性や拘りが隠されているでしょうか!

 

 

 

 

 

 

 

ns4

 

生地の質感、色味がとても魅力的です。

 

トラウザースは IN 2-PLEATS、後はハイバック仕様にされております。

フロントの開閉は利便性重視でファスナーフロント。

ファスナーフロントの方がハンドメイドならではのレベルがより感じて頂ける事でしょう。

 

気付かれた方、居られますでしょうか。

フロントにあしらわれたフォブポケット、通常は右側に付けられます。

 

単純に右利きの方が多い事に繋がるでしょう。

 

N様は左利き、、、、御自身のスーツですから御自身が快適に使いやすくする事を尊重されております!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ns5

 

一番個性的なのはウエストコートかも知れません!

 

『 POSTBOYスタイルのダブル型が欲しい! 』

えっ、、、私個人では見た事が無いのですが、それなら生み出しましょうか!

 

ポストボーイスタイルのウエストコートは、シングル型で衿付き。

最大の特徴はウエストシームが入り、上下を分断致します。

フロント釦は5個釦・全掛け、一番下の釦は そのウエストシームにホール含め 腰ポケットが作られます。

 

スカートがある分、やや長めに設定された丈も特徴であり、昔はアウターでもあった為に背中は裏地では無く、前身頃と同じ共地でも仕立てられていたそうです。

 

 

http://dittos.seesaa.net/article/449698302.html

( POSTBOY WAISTCOAT )

 

http://dittos.seesaa.net/article/450128554.html

( POSTBOY WAISTCOAT② )

 

 

マニアックな御注文ですが、私なりの解釈で『らしさ』溢れるダブル型でデザインしてみました!

 

 

 

 

 

 

 

ns6

 

本返りの衿です。

上着と同じ様に ハ刺し を施し、返りグセをメモリーさせます。

ポチポチと生地をすくった糸目が分かりますね。 すくっている糸は見えてはいけません!

 

 

 

 

 

 

 

 

ns7

 

ポストボーイたる特徴的なウエストシームが見えますね。

フラップ付きの腰ポケットが見えます。

フロントは 6釦-3掛けにしてあります。

 

黄色い矢印のところ、第三列目となる釦位置でもあり ウエストシームです。

まだ閉じてありますが ここがシームホールとなり、第二列、第一列のところは釦ホールをかがります。

 

おやっ、前中心線のところ、、、、赤い矢印部分にもシームホール!

N様よりリクエスト頂き、アルバートチェーンホールをここにも作りました。

 

ダブル・ブレストでも通常の場合、ポケットウオッチは腰ポケットに入れ、釦ホールを利用してチェーンを渡します。

時代の古いダブルのウエストコートには、前中心に切り替え線(センターシーム)を入れた裁断もあり、その縦のシームを利用し シームホールにてチェーンホールを開けた古着も御座いました。 それに近い仕様となります。

 

 

 

 

 

 

 

ns8

 

実はN様、このデザインは2回目です!

初回は IRISH LINEN で同型を仕立てさせて頂きました。

 

前中心部のシームホールが見えますね!

ウエストシームから下のスカートは腰へと繋がります。丈が長い証拠ですね。

腰のボリュームに合わせ フレアなシルエットがとても綺麗に出ます。

いやっ、出すのです!

 

クラシックな系譜に因んでいる分、違和感無きまとまりが出せたと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

ns9

 

コテも良く効く良い生地です!

ハンガーにかけていても、仮縫い段階だとしても、

前肩なショルダーラインから胸部の立体的なボリューム、そしてウエストの括れへ。

 

ラペルの剣先はほんのりと内側へ反る様に仕立てられています

逆反りして おじぎをする様な剣先など有り得てはなりません。

こんな些細な所含め、物作りのステージの違いは本当に沢山御座います。

 

 

 

 

 

 

 

ns10

 

立体感溢れるフォルム、堂々としたラペルはアウトラインにややボリュームを付けたカーブ線でリクエストされ、フロントの打ち合いはやや深めに設定されています。

 

 

 

 

 

 

ns11

 

!!! 気付かれましたでしょうか。

腰に付く チケットポケット、これも左側です! 初めての経験でした!

かなり気を付けて間違えない様にしなければ、いつも通り右側へ作ってしまいそうです。

 

見た事ありますでしょうか!? これがN様のスーツで御座います!

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・では御着用された御姿も少し!

 

 

ns12

 

とても綺麗です! 裾は股下寸法が確定したら傾斜を付けた折り返し仕上げに致します。

 

N様、御自身から率先して『 俺はドレスカットも逆やから!』

承っております! これも稀ですから、気を付けないと間違えてしまいそうです(笑)。

 

ドレスカットとは技術的専門用語であり、BLOGでは詳しく書き辛いので省きますが、下着の種類などでも左右されます。 男性ならではの考慮ですね。

 

 

 

 

 

 

ns13

 

良いですね、ダブル型のPOSTBOY WAISTCOAT。

長めの丈バランスが とても綺麗にトラウザースや御体型と調和しております。

 

N様、かなり格好良いです!

 

 

 

 

 

 

 

ns14

 

上着も良い感じです!

立体的な胸回りのボリュームが綺麗に胸部を包み込みます。

ダブル・ブレストはシングル型以上に服が円柱になりますので、

より顕著にこういったボリューム感を大事に仕立てなければ成りません。

 

ラペルのバランスから打ち合い量、それに伴うVゾーンの面積、

リクエスト通りに上手くバランスを表現出来た事と思います。

 

ここまでくるとクライアント様も仕立て上がった完成形態を具体的にイメージできると思いますので、気分も余計に盛り上がる事と思います!

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・今月に中仮縫いを終えたばかりであり、まだ未完成です。

少し太られた様ですが、、、ご希望踏まえ若干の微調整を加えて仕上げに向かいたいと思います。

 

N様はご遠方の方であり、次回のご来店予定は春先との事。

それまでに確りと このTHISTL:DB-SUITSを仕上げると共に、次のご注文である仮縫いも一緒に御用意させて頂きます。

 

機会が合えば またお仕立て上がりも御紹介させて頂くかもしれません!

その時は改めて宜しくお願い致します。

 

 

N様、この度も素敵な御注文を頂戴致しまして誠に有難う御座いました。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。

もう12月は目の前です。

 

何かと忙しい師走に突入致しますが、どうかお時間を捻出して頂き お店の方へも

是非お越し頂けましたら幸いで御座います。

 

皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

 

 

 

 

 

 
Bespoke Tailor Dittos.