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2022/11

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 N様の御注文:CASHANOVA 3兄弟 】

    2022.11.29 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 N様の御注文:CASHANOVA 3兄弟 】

            テムズ川に架かるロンドンブリッジ。 ロンドンブリッジと言えば、あの老舗マーチャント WAIN SHIELL が思い浮かびます。   数々の素晴らしい名品を織り上げて参りましたが、その中でも至高のスーチングでもある 【 CASHANOVA 】というシリーズは名門 MOXON が織り上げた 素晴らしいVINTAGE SUITING の一つに間違いありません。   http://dittos.seesaa.net/article/484374410.html 【 至高たるヴィンテージ:CASHANOVA 】         言わずもがな VINTAGE は現存する限られた古在庫でもあり、 消化が進み やがては無くなります。 この今、巡り合う事が出来た幸運、、、 食材として選べるという事は どれだけ貴重で恵まれた縁なのでしょうか。   まだ手に入る今、この巡り合わせた縁を尊重し、 とても大切に想って下さった顧客様方のご注文をお仕立てして参りました。 今週は そんな目の肥えられた顧客様のお一人でもあり、 大変エレガントな紳士でもあるN様の御注文を御紹介させて頂きます。   外見はモデルさん並で素敵なだけでは無く、内面や品格含め、 ジェントルマンとは正にN様のような御方なのだと勝手ながらに学ばせて頂いております。         VINTAGE WAIN SHIELL 【 CASHANOVA 】 By.MOXON   75% LUMB’S GOLDEN BALE 100s 25% CASHMERE 340g           ネイビー地に凝ったオルタネートストライプ、縞色はほのかなラベンダー色をしております。 N様へ始めに見初めて頂いた CASHANOVA です。 シリーズでバリエーション豊かに展開されておりましたが、 お陰様で随分と品切れ品番も増えて参りました。   この生地は仕立てて頂き、御着用された顧客様より 『 お変わり注文 』も多く頂戴する逸品でもあるのです。 目の肥えられた顧客様方が多き中、着れば尚 その良さ、 魅力を感じずにはいられぬ味わいがあるという事です。   シットリとした肌触り、されど打ち込みも良く それなりに確りとコシも残る。 地厚過ぎず薄過ぎぬウエイト感、そして暖かい、、、、。 虜になってしまう魅力を秘めた至高のVINTAGE SUITING です。   N様に御所望頂きました素晴らしき 3着のCASHANOVA SUITS を是非ともご覧下さいませ。             背が高く、手足も長く、モデルさんのようなN様。 本当に長きに渡りお付き合いを頂いておりますが、 凄いのは御体型維持、、、、尊敬します。 御自身を律する、簡単な事ではありません。   さて、N様のここ数年に伴うスタイルはかなり確立されております。 誂え歴が長いからこそ、御自身なりのスタイルも確実に育ち、発展されるわけです。 シングルの7釦であるウエストコートには裾剣先がありません。 ダブル型の様にスパッとウエストラインを上下で分断するので よりスタイルが良く見えます。   現代におけるシングル型のウエストコートは 裾剣先が付いているのが前提ながらも、昔は裾剣先など有りませんでした。 このスクエアな裾形状が歴史の中で変化し、 結果論として裾剣先が生まれ 一番下の釦を外す様になりました。 故に ある意味ではシングル型ウエストコートの先祖とも言えますね。   胸部からウエストの括れ、腰にかけてのハラミ、 中下(WCとTR)の美しき連動性こそ 三つ揃いの真骨頂でもありましょう。           N様に『お洒落』という言葉はある意味 合いません。 ごく普段通りで当たり前、御自身らしく自由に、有るがままに、、、 そう正に御自身のスタイルをお持ちなので お洒落という言葉がチープに思えます。   そのN様の靴も素敵なものばかりですので 一緒にご覧頂けましたら幸いです。         上着はダブルブレスト、胸板も厚いので とてもスーツがお似合いで御座います。 写真では鮮やかなネイビーに見えますが、 現物はもっと渋きダークネイビー地となります。   デザインのバランスはオールド過ぎず、 モダン過ぎず、目立つところ無き正にクラシックスタイルです。         お仕立て上がりました。 いつもながらにお似合いですが、いつもながらに見事で御座います。           自然光も入り、この写真は よりCASHANOVAの色柄、 表情が見受けられると思います。 遠目には沈み込むオルタネートストライプも、 この位の近距離では凄く豊かな顔立ちを見せてくれます。                 2着目の CASHANOVA はダークグレーベース。 これまたVINTAGEらしく 工夫に富んだ織り柄です。   ダイヤ柄の様なベースに、シラスの目!? みたいな可愛いドット柄が重なります。 写真の奥が生地の裏側になりますが、 このドット柄を構成すべく 裏は縞柄になっていますね!   現代でも様々な生地メーカーがあり、様々なバンチが展開されている昨今 それでもこんな個性的な生地は無いですよね。           ここまでアップになるとベースの織り柄も見えてきますね。 こちらのダークグレーベースも、先に御紹介した ネイビー地と全く同じデザイン、ディテールで御注文下さりました。             おそらく言わねば気付かれないだろうと思いますが、、、 N様の御着用されるシャツの衿腰は高く、カフスの幅も広めですね。 衿腰は2連に釦も並ぶ 正に『ハイカラさんが通る』の ハイ・カラー仕様であり、オールドスタイルを彷彿させてくれます。   この絶妙で淡く美しきペールグリーンのシャツは やはり至高たるSUPER RIVA で仕立てられています。       絶妙なカラーです。 この日のコーデで御着用されているシャツのカラーに紐付いているのではないでしょうか。                 いよいよ2着目も仕立て上がりです。 小さなスワッチから スーツになった時のイメージを どれだけ膨らませられるでしょうか。   とても個性的で魅力のあるスーチングで御座います。           2着目のダブルでは ターンバックカフもリクエスト頂きました。 N様が着こなされると 全てに品が感じられます。 本当にお似合いで御座います。                         さて、最後となる 3着目で御座います。 グレーに独特の途切れた縞柄、スターダスト もお選び下さりました。 (ブロークンストライプとも)   実は この3着目は現在進行形で御座います。 仮縫いも終了しましたので、あとはFINISHへとスケジュールを組みます。             仮縫いの為 ご来店頂きました。 冒頭のネイビー:オルタネートストライプの CASHANOVAを着てご来店下さりました。 N様は いまお着替え中!   お預かりした上着にはブートニエール。 N様は贔屓にされる作家さんの手作りブートニエールを 何種類も持たれ、いつも飾られています。   このネイビースーツの裏地は縞色を拾った淡いパープル、 ブートニエールも絶妙なブルー系ですね。 思えておいて下さい。           ご試着頂きました。 トラウザースはいつものシャープな 1-PLEAT をボンドガール柄のブレイシーズで! ブレイスのベースカラーはワイン? 赤紫っぽい色。 きっとタイのベースカラーになぞられ、タイの柄色がブートニエールに!   私の勝手な憶測であり、説明なんて愚の骨頂ではありますが、、、すみません(汗)。 少しでも皆様にも装う上での色遊び含め 楽しさや拘り等が伝わりましたら幸いに思います。           クラシックなブラックの靴にはパープルのレース、 見えませんがホーズも綺麗なパープルで御座いました!   N様にとってのお遊びや引っ掛け、 装うという行為を日常的に楽しまれているのがお分り頂けるのではないでしょうか。               スターダスト柄の3着目、ウエストコートはダブル型です。 もう 天邪鬼的!?(笑)   シングル型には有るべき裾剣先を付けぬ旧式デザイン、 ダブル型はズバっとウエストを分断する裾線で剣先は無いのが一般的ながら、 リクエストは敢えて裾剣先付きのダブル。 お上品なショールカラーをお付けしております。   優しい裾剣先の角から トラウザースのクリーズラインへ繋がります。 とても優雅でN様らしく思っております。   ウエストコートも長き歴史の中で様々なデザインや仕様が試されて参りました。 バリエーションも豊富です!           上着はシングルのピークドラペル、一つ釦です。 腰ポケットにはフラップを付けず、中衣と変わって上衣は削ぎ落とした美学。   御体型も維持されておりますし、ほぼ修正無く仮縫いの終了です。 お仕立て上がりまで 暫しお時間を頂戴致します。   N様、この度の CASHANOVA 3兄弟に限らず いつも素敵な御注文を誠に有難う御座います。 この3兄弟についても 私が皆様にも是非お見せしたく、 BLOGへの協力もご快諾頂き 重ね重ねお礼申し上げます。   是非とも素晴らしき CASHANOVA をご堪能頂けましたら幸いです。                   ・・・・・如何でしたでしょうか。 織られていた当時に思いを馳せ、その魅力的なVINTAGE SUITING を 魅力的なセンスで仕立て、そして装う。 こんなにも贅沢で楽しい事はありませんね。   まだ会えるうちに、CASHANOVA を筆頭に 素晴らしきVINTAGEの生地達を是非ご覧下さいませ。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。           ・・・・・誠に恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。 次回は 12月13日(火)を予定しております。   その時はクリスマス間近ですね、 どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。                          

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  • 【 HOUSE STYLE ORDER:N様の御注文 】

    2022.11.22 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 HOUSE STYLE ORDER:N様の御注文 】

          11月22日 『 小雪 』を迎えました。 冷え込みが一段厳しくなり、小雪がちらつき始めるころとなります。 富士山頂では既に積雪もあり、うっすらと雪化粧しており 気温は常に氷点下です。   スーツが気持ち良く御着用出来るこの時期はとても心地良く、 そろそろオーバーコートの登場も近付いて参りました。             昨今のカジュアル化に伴い、ダークスーツ以外でのタウンスーツや カントリースーツ(スポーツスーツ)等が着目される側面が御座います。   お仕事の環境下では半ば強制的なカジュアル化によりスーツが好きでも 着用し辛き状況になられた方や、リモートワークが主体になられた方などは 敢えて休日にスーツを楽しまれたいという方々もおられます。   そんなポジションのスーツに対し、皆様はどんな生地で、 どんな色柄で、どんなスタイルが頭に思い浮かぶでしょうか。   『カントリーウエアはカントリーサイドで着用するものであり、タウンではそぐわない。』 確かに正論ではそうですが、優れたウェアはそれだけに留まりませんね。 サープラスウエアでみれば、数々の優れたフライトジャケットの類や トレンチコートなども立場を失ってしまいます。 ジーンズだって労働着なのですから 良い意味でその性能や魅力を 幅広くお楽しみ頂ければと思います。         今週は HOUSE STYLE ORDER より、長きに渡り御贔屓を頂戴しております N様の御注文を紹介させて頂きたいと思います。         絶妙な色を醸し出すKHAKIのキャバルリーツイルによるスーツ。 色味は英国的な FAWN をも彷彿させるファジーな中間色は、 キャバルリーツイルでは珍しく交織織りで表現されているからなのです。   とても丈夫で色によってはカントリーテイストも強い生地ですが、 ウエイトなども重過ぎずタウンユースに使いやすいよう企画された 魅力的な生地をお選び下さりました。   今季秋冬仕入れの大変お気に入りでお勧めな逸品の一つです!         ARTHUR HARRISON CAVALRY TWILL 100% WOOL ABOUT 350g   http://dittos.seesaa.net/article/490247786.html 【 H&S:JACKETING,and MORE! 】     ライトブラウンに近いカーキ色の経糸、 緯糸にはくすんだグリーン実帯びたグレーの糸を使い、 絶妙な奥行きと深みを生み出しております。 中肉なウエイトは使いやすく、真冬はオーバーコートさえ重ね着で楽しめるでしょう。   また、このポジションたるスーチングの多くは 三つ揃いで誂えておけば、単品で使い回し出来るところも魅力の一つとなるでしょう。           とても魅力的です! この晴れないくすんだ感じ、イギリスらしいですね。 大変コテが効く(クセ取り)キャバルリーツイルですから 仕立て映えは間違いありません。   こんな中間色似合う釦が H.S ORDER の釦バリエーションでは揃いません、、、。 そんな時こそ英国製の釦より、今では貴重なポリ釦より FAWN の色がマッチング!   N様は鍛えられており、プロでは無いので鍛えすぎない様に と勤しまれておりますが それにしても筋肉で覆われた肉体はメリハリの効いた凹凸が増えますので、 よりクセ取りによる立体成形が必要でありつつ活きる御体型の持ち主なので御座います!           トラウザースは吊り用の 2-PLEATSでハイバック仕様。 ウエストコートはスポーティーに腰のみ蓋付のポケットでリクエスト頂きました。 N様の肉体的立体度合は進行しており、 今回も型紙的な再補正を加えて誂えさせて頂きました。           背中も腰(尻)も立体的で、平尻な私は本当に羨ましい限りです。 ポケットは両側に! ブロンズのライニングがとても合いますね。         この日 履かれていたスエードのフルブローグも 是非この度のスーツにもお合わせ下さいませ。           胸の厚みが伝わりますでしょうか、、、、 洋服は身体の厚みがあった方がやはり映えます。   骨格は変わらずとも、その骨に武装する筋肉が膨らめば 追いつくよう肩幅だって広げなくてはなりません。 型紙的に補正すれば 幾らでも理想的なフィッティングに仕立てる事が出来ますが、 タイトになってしまった古いスーツは制限のあるお直し範疇ですと どうしても限界がある事は否めぬ事実です。 逞しく、男らしい御体型に進化させ、魅力的で格好良くなる分 もどかしくもそんなお悩みは付随してしまうのです、、、。   気合を入れたクセ取り2次プレスを施し、綺麗に纏って頂いておりますが そもそも論として、工場さんが正確かつ丁寧に高次元なレベルで 仕立てて下さっている前提無くしては有り得ません。 いつも大変素晴らしい仕立てを本当に感謝しております。           背中も広く立体的、大殿筋も立体的な分、当然腰の括れが顕著になります。 横から見た時のS字具合が強いのですね。 その腰の括れに寄り添う様に生地自体をクセ取りで成形し、 後身頃自体 その型紙に伴うよう立体にさせているのです。   多くの縫製工場製品は、起伏に富んだ部分プレス台が幾つもあります。 衿や肩周り、脇など 部位によりそのプレスマシーンで形付けられます。   縫製工場とは、そもそも既製服を効率よく均一に大量生産する為に構築されております。 良くも悪くも『 均一に 』であり、仕上げでは付随して部分プレスを職人さんが施します。   しかし、ONLY ONEの服では 様々な体形があり得ますので、 均一という括りから飛び出す事もしばしば、、、、 いや、むしろ既製服の範疇外ばかりであり、 それだけ皆様の御体型が個性的という事です。 これらは、パターンオーダーの範疇であれば半ば強引に 『枠』が設けられているので著しき御体型は対応不可となってしまうのです。     工場さんはテーラーの集団では無いので、 トラウザース含めクセ取りなどまでの対応は難しいと言えます。 であれば、工場さんでは手の届かぬ所は私が行えばよい、、、 これが2次プレスの主要な目的でもあります。           色も雰囲気も抜群です! N様の狙い通りとなり大変御満足頂けました。   スーツの曲線溢れる立体感が見受けられる事でしょうか!           実はもう一点、この度のスーツと共に ODD WAISTCOAT を誂えて下さりました。 ワードローブには是非入れておきたい タッターソールチェック のウエストコートで御座います。 この度のスーツにも勿論の事、お手持ちのツィード含め 様々なジャケットやスーツとお合わせ下さいませ。   LAMOGE Tattersale 100% WOOL ABOUT 360g     オフ白ベースにほぼ正方形な赤と黒の格子を重ね合わせたクラシックなチェック、 今では様々なカラーバリエーションと共に展開されています。 しかし、先ずはこの赤×黒から攻めたくなりますよね。   タッターソールという呼称は、イングランド東部のリンカンシャーにある Tatt’s Hall(タッツホール)に住んでいた人物に由来するそうです。 乗馬レースの社交クラブでこのウエストコートが好んで着用されていました。   衿付きで腰ポケットは蓋付き、フロントの釦はM.O.P釦(マザーオブパール)が付きます。 このスーツにも合わぬ訳がありませんね。         裏地は赤い格子を意識しマルーンにて。           このスーツは早々にデビューして下さったとの事でした! このポジションは ノータイでも様になりますので 幅広きシーンに対応可能でもあります。   是非ご堪能して頂けましたら幸いです。 N様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。                   ・・・・・如何でしたでしょうか。 スーツというアイテムは幅広く多岐に渡ります。 昔を考えれば どんな時でもスーツを着用ですから 様々なシーンに特化したスタイルに多様化されました。   ダークスーツでは味わえぬ こちら側の魅力も 是非皆様へお楽しみ頂けましたら何よりの幸いで御座います。       いよいよ12月も目前に、、、、今年も最後まで宜しくお願い申し上げます。 どうも有難う御座いました。                          

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