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【 BLACK LOUNGE SUITS ③ 】
2025.04.08
STYLE
今年の桜も満開を迎えましたが 天候に恵まれず花冷え続きでしたね。 4日の金曜日にはやっと晴れ、水分をタップリと吸ったであろう桜も 活き活きと喜んでいるかのようです。 さて、4月に入り 新年度が始まりました。 昨日の月曜日には入学式を行う学校も多かったようですが、 校長先生はいまでもモーニングドレス(コート)を着用されておりますでしょうか。 街には初々しいフレッシャーズな方々が着慣れぬダークスーツに身を包み、 とても新鮮な気持ちになり応援したくなります。 そんな新年度の始まりはやはり身を引き締め フォーマルなお話からスタートしたいと思います。 フォーマル含めクラシックな装いだとしても時代と共に移り変わるものであり、 頂に君臨していたフロックコート(左側)の退任後は DAY と EVENING に分かれた装いになりました。 DAY FORMALではモーニングドレス(コート)が、EVENING FORMALでは イブニングドレス(テールコート)が現代の正礼装としてその役割を担います。 ≪ 因みに、モーニングコートは別名 カッタウェイ・フロックコート (CUT AWAY FROCK COAT)とも言われ、コートの前裾を乗馬の為に 丸く切り落とした(CUTAWAY)のが発端となります。 フロックコートたる大きな特徴として上下を分断する ウエストシームが同じくありますね。≫ それら正礼装に対し、DAYは『BLACK LOUNGE SUITS』、 EVENINGは『DINNER SUITS』が準礼装となります。 少し前にDINNER JACKETの歴史にも触れましたが、尻尾を切って より寛ぎやすきラウンジ型の上着へと テールコートの上着のみ着替えた事が発端でした。 これはDAY FORMALでも同じであり、BLACK LOUNGE はモーニングコートを脱ぎ、 ラウンジジャケットに着替えた感じですから 合わせるアイテム含めルール的な事はほぼ同じとなります。 http://dittos.seesaa.net/article/500881048.html 【 BLACK LOUNGE SUITS 】 現代におけるスーツのバリエーションは多岐に渡り、 ビジネスからタウン、リゾート、カントリーなど素材や スタイル含め様々に発展・展開が広がりました。 これと同じように 昔はモーニングコート自体が普段着であった時代には 現代のスーツ同様 ビジネスモーニングやハンティングモーニングなど 多くの展開がありました。 皆様がイメージされるモーニングドレスは基本ブラックであり、 シングル型でピークドラペルの一つ釦が頭に浮かぶ事でしょうか。 ですが当時は生地もそのシチュエーションに見合ったものがセレクトされますし、 ノチッチドラペルやフロント釦も2つや3つなどもあり、フラップを付けた腰ポケットを携え、 そしてチケットポケットを加えられたスタイルもありました。 畏まったフォーマル的な要素であれば基本はブラック、 そしてそれに準じたダークカラーが用いられます。 上記イラストの紳士は明らかにチャコールグレーのモーニングドレス (カッタウェイフロックコート)であり、 タイやトップハットのブラックと比べれば歴然ですね。 このモーニングコートも明らかに一つ釦ではありません。 ウインザー朝の初代君主でもある ジョージ5世は、 エドワード8世(後のウインザー公)と後のジョージ6世の父君で御座います。 フレンチカフスのウイングカラーにクラヴァットはピンで押さえ、 上着に共地であるウエストコートは襟付きで意図的に 確りとのぞかせたスリップも見受けられます。 シングル型の上着はノッチドラペルでVゾーンは狭く、 確定は出来ませんが三つ釦の様です。 トラウザースはストライプであり、これが主流でありつつ 無地や小格子柄なども合わされていました。 これがモーニングコートを脱ぎ捨て、ある意味では日常的で 少しだけ砕けた装いとなるポジションになったと言えます。 ですがその当時の普段着たる BLACK LOUNGE が格上げされ、 現代では準礼装までポジションが上がったという事になります。 基本的なコーデはモーニングドレスに同じですが、 トップハットは合わせません。 分かりやすく解釈され、このベーシックなシングル型ノッチドラペルの三つ釦、 ウエストコートは勿論上着に共地、ストライプド トラウザースを合わせます。 インナーはターンバックカラーのシャツに結び下げタイですね。 上のジョージ5世に同じく、ノッチドラペルで2釦や3釦などのデザインは おそらくイラストでご覧頂いたチャコールグレーのカッタウェイフロックの様な 日常的に着用されていたデザインの裾を切り落としてラウンジ型にした という流れなのではないかと思われます。 この紳士の裾口を見て下さい、ターンナップボトム (TURN UP)で仕上げられていますが ブラックラウンジがより日常的な装いであるという見方も出来ますね。 因みに、裾の折り返しをTURN UP、上着袖口の折り返しは TURN BACK とされますが、同じく折り返えされた仕様を指します。 第61・63代首相 W.チャーチル氏はアイコン的にも語れるドット柄のボウタイは有名ですが、 ブラックラウンジもこよなく愛用されていた御方でした。 第66代首相を務められたA.ダグラス-ヒューム氏。 ブラックラウンジは政治家から弁護士など信用を重んじる お堅い職業の方々には特に親しみ深いスタイルでありました。 ブラックラウンジはモーニングドレス(コート)の尻尾を切落ちした型となる訳ですが、 そのモーニングのバリエーションにもエッジをパイピング仕様で誂えられたデザインもあり、 エドワード8世や現英国王もこのモーニングを愛用されています。 ブラックラウンジはモーニングドレスの子孫ですから J.パトゥ氏が着用する 継承されたパイピングエッジのブラックラウンジも存在しておりました。 正に親子の関係ですね。 やがて時代は進み、モーニングドレスのフロントは1釦に落ち着き始め、 着こなす合わせにも変化が訪れてまいります。 シャツの襟は一枚衿から折り返す2枚衿(ターンダウンカラー)も合わされるようになり、 ウエストコートは共地だけではなく色物も(シーンにより) 合わせられるようになって参ります。 DOVE GREY(鳩灰色)やBUFF(黄褐色)はメジャーながら、 ブルーやピンクなどもあしらわれる様になります。 因みに、左側紳士のトラウザースは縞柄ではなく小格子柄ですね! 右の紳士は正にBUFFのウエストコート、ラペルはノッチのモーニングドレスです。 他にもアイボリーやクリームなどのウエストコートも欠かせませんが、 クレリックシャツも合わされるようになって参ります。 では この辺りで大体の流れをつかんで頂きましたので その流れを汲みつつ 実際に着用してみましょう! 私の大好きなチャコールグレーで仕立てられた何の変哲もない ベーシックでクラシックな三つ揃いダークスーツです。 シングル型の三つ釦、ノッチドラペルの上着には、ダブル型の衿付きウエストコート、 フォーマルも意識し取り外し式のスリップが付いています。 限りなく黒に近いグレー、私にとっては『 BLACKではない 』という事がミソです! このスーツが応用次第でポジションをよりフォーマルへ上げるという事になります。 http://dittos.seesaa.net/article/501579971.html 【 BLACK LOUNGE SUITS ② 】 ストライプド ドレストラウザース シンプルな縞柄と比べデザインされた紐(コード)の様な 縞柄が特徴であり、コードストライプと呼ばれます。 モーニングドレスやブラックラウンジに合わせるトラウザースは コレが一番生き延びたとも言えますが、無地からシンプルな縞柄、 そして小格子まで合わされます。 このコードストストライプだけでも相当なバリエーションがあるのですが、 今では冠婚葬祭事でみると それら縞柄のなかでも色のトーン含め 向き・不向きがあるとされます。 敢えて古な雰囲気を匂わせドレッシーに! ウイングカラーにはシャンパン色のクラヴァットを鹿さんのピンで! このクラヴァットは大変お世話になっておりますN様より ロンドンのお土産として頂戴致しまて私の大切ななお宝の一つで御座います‼ Vゾーンのスリップが分かるでしょうか。 足元はスパッツもね! 名探偵もスパッツを! こちらも色々と歴史がありますが、今回は割愛します。 フォーマル的に捉えられていますが、名探偵の様に 普段よりスーツへも合わせて使用されていました。 G.クーパー氏のブラックラウンジ、なにを着ても素敵でお似合いであり モーニングドレスからの系譜を感じさせてくれますね。 ノッチドラペルで共地のウエストコート、このスタイルは初期であり 次第にピークドラペルの人気が広まりつつ、インナーも モーニングドレスの着こなしに準じ変わってきたわけです。 モーニングドレスに合わせるインナーがより色味豊かに変わってきましたので、 ストイックなG.クーパー氏の初期スタイルから、ギャング映画には欠かせぬ E.G.ロビンソン氏によるカラーウエストコートでの着こなし。 (上着はノッチドラペルですね。) これはこれでコントラストが付きますので華やかに見えて別の魅力が御座います。 インナーはBUFFのウエストコート、ターンダウンカラーのクレリックシャツにして ダービータイ(結び下げタイ)はドット柄、スパッツは外してコッテリな匂いもやや薄め(笑)。 http://dittos.seesaa.net/article/504172813.html 【 LINEN SUITS 】 このBUFF:リネンスーツは、こんな使い方も考慮に入れ この色を選んでいます。 勿論 単品で誂えられても良いでしょう。 如何でしょうか、なかなか普段では使い辛いスタイルかも知れませんが 親しみやすいダークスーツやリネンのスーツ、誂え足すアイテムにより それら愛着のあるスーツ達が幅を広げてスタイルを(装いを)楽しませてくれるのです。 これらも誂えならではでもあり、全てにおいてMY SIZE、そして それぞれアイテムの設計思想が伴いつつ アイテム同士の 筋が通っているからこそ調和がとれ まとまるのです。 もう一つ、一般的には生涯で数回の着用の為になかなかモーニングドレスコートを 誂えるのには躊躇してしまう方々もおられるでしょう。 それこそカジュアル化が進んでいるのであればブラックラウンジなら 飛躍的に着用頻度は増えますので誂え甲斐もあるのではないでしょうか。 今回と同じ様に ベースはチャコールグレーのベーシックな三つ揃いであり、 勿論ダブルブレストでも良いのです。 スペアトラウザースを誂え足す気分でストライプド ドレストラーザースを加え、 計4P-SUITSとなりますね。 では最後にエレガントなお二人の素敵な ブラックラウンジスーツをご覧いただきましょう。 オーストラリア生まれの映画俳優 R.コルテス氏。 クラシックな水玉のタイ、改めて汎用性の高さを感じられるタイですよね。 上着はピークドラペルの1釦へと見慣れた今風なドレス感が出てきているのが分かります。 第64代首相 A.イーデン氏。 お二人共に シングルブレストのピークドラペル、フロント釦は一つでVゾーンも深めですね。 ≪ A.イーデン氏はもう少しお若い頃にはシングル型ノッチドラペル 3釦の ブラックラウンジを着用している写真があります。 故にこのピークドラペルはその後の誂えではないかと推測されます。≫ ピークドラペル型のデザインは30~40年代辺りに人気が上がりました。 服飾の教科書が仮にあれば、現代の認識における準礼装の典型的なデザインでしょう。 ではノッチドラペルは準礼装ではないのか、、、そんなことは全く無いですね! 古い時代に遡ればノッチドラペルの方が多く、 釦数も多く、歴史が写真で立証していますね。 ブラックラウンジスーツというのはポジションを指しており、 生地色も黒に限定ではありませんし、例外は有れど 相応するアイテムとの コーデにより確立されるスタイルであるという事です。 この呼称は英国的であり、ディレクターズスーツなる和製英語から、 タキシードに同じく米英語ではストローラーと呼ばれ、 それぞれがDAY FORMALにおける準制服を指します。 クラシックとはある意味生き物であり、 時代の経過によって少しずつ変化するものです。 また 例えばチェスターフィールドコートは、、、ポロコートは、、、 理解しやすく定義付けが好きな日本人ですが、 こうやってみると一概に定義するのはなかなか厳しいのですね。 されど日本のチェスターコート⁉たる使い方は雑過ぎるとは思いますが、、、(汗)。 むしろ学べば学ぶほど程に定義するのは難しいのですから 情報溢れるこの時代なので 私含め注意が必要です。 ではこの辺でお開きとさせて頂きます。 そろそろ気温も上がって参りますので本格的に春の装いへとスイッチですね。 思う存分 テーラードを、装いを楽しみましょう。 今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。
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【 LINEN SUITS 】
2024.07.30
STYLE
IRISH LINEN : 3P-SUITS 起伏に富んだ立体感、カットと仕立て術の賜物ながら 写真で見ると質感と色味も相まって 何だか粘土細工か、 木彫りにも見えますね(笑)。 亜麻 (FLAX:フラックス) 酷暑の候、皆様もこの厳しい暑さにお疲れの事と思われます。 ここまで暑ければ もう何を着ても暑い、 むしろ長袖などで強き日差しを防御した方が良いくらいです。 せめて涼を感じられる 『リネン』 へと手が伸びるのはむしろ本能でしょう! 麻には色々な種類がありますが、麻と言えばリネンと思う方も多い事でしょう。 リネンは麻に属する一種に過ぎず、他にはヘンプ、ラミー、ジュートなどが挙げられます。 リネンの原材料となるのがフラックスという植物であり、 そこから紡績されて糸や織物となってから リネン と呼ばれるようになります。 (1942年:Belfast Tlegraphより) 主に欧州で生産され、アイリッシュリネンやフレンチリネンは質も高く有名処ですね。 (1945年:Belfast Tlegraphより) 実を付けたフラックスは根っこから引き抜かれ、そのまま放置します。 水溜りに浸して茎の樹皮を腐らせ、太陽光、そして雨や風を受け、 熟成発酵した辺りでロールにして収穫されます。 そして種や樹皮をはじめ不要な部分を取り除き、 リネンになる為の内部繊維を取り出して参ります。 このフラックス、日本語では亜麻、実は食用にもなり アマ二油を採取する事も出来ます、 フラックスの生産は非常に時間のかかる膨大な農産業でありながら、 一度収穫すると6~7年は同じ畑でフラックス栽培は出来ないそうです。 それはフラックスが土の栄養分を全て吸収して立派に育つからこそなのですが、 次は小麦やトウモロコシ、ジャガイモなどを育てて土に 改めて栄養を蓄える必要があるとの事です(輪作)。 膨大な時間と手間をかけ、初めてリネンとなった糸からやっと私たちの服、 そしてクロスや寝具、ファニチャーなどへ加工されるのですね。 あっ、左の紳士も冒頭写真の様に粘土っぽい(笑)! もうこの季節はリネン、昔ながらに愛される理由があるわけです。 日本でも明治時代から大正、昭和の初期までは 夏のスーツといえばリネンが多く愛用されていました。 Spence Bryson IRISH LINEN TROPICAL 370g = Buff = 淡い黄褐色を指します。 この色には深い想い入れと共に意図もあって選びました。 エッジなどのステッチは手縫いによるハンドステッチではなく、 敢えてミシンステッチにしています。 ナチュラルで素朴な色味、質感、 植物繊維独特の落ち着く感じが本当に心地よい。 因みに、H.S.ORDERもBESPOKEも 地衿の芯は贅沢に ずっとIRISH LINENの芯地を使用しています。 このトロピカルというド定番シリーズは地厚で確りと打ち込まれ、 正に一生ものです。 確かに重くて大して涼しくない、されど この昔ながらの品質だからこそ味わえる 迫力とリネンらしいエイジングは不朽の定番に相応しい。 昨今では有名なIRISH LINENでもアイルランド産のリネン(FLAX)ではありません。 もうほぼ生産されておらず、原材料としては 品質高きフレンチリネンより織られています。 現在アイルランドには IRISH LINEN GUILD という組合があり、 原材料を輸入していてもアイルランドで昔ながらに拘った製法で 織り上げられているリネン地であればIRISH LINENと定義されています。 リネンは人類が生み出した最古の繊維とも言われ、 発祥は紀元前8000年頃とされています。 では改めてリネンのもつ驚きの特徴を挙げてみましょう。 ■ リネンは他の自然由来な天然素材に比べても圧倒的に丈夫で長持ちします。 水に濡れると強度が更に増すので洗濯にも強いですね。 ■ リネンにはペクチンという多糖類が含まれており、 汚れが染みにくく落ちやすい上、抗菌性も持っています。 ■ リネンはコットンの4倍ともいわれる程に高い吸水率があり、 通気性や発散性にも優れているので乾きも早い。 ■ 繊維の中は空洞になっており、その空洞部分には空気が含まれています。 余分な熱を逃がす放熱効果が高い上に、冬は中の空気が熱を保持してくれるので 温かく感じられます。高い通気性と保温性にも優れているので 実は夏以外にも一年を通して使用できる素材でもあるのです。 この様な高い性能もあり、古代エジプトではミイラを巻く為の布としても 使われていた歴史がありますが、例えば寝具、そしてカーテン含め ファニチャーにも適した素材である事も垣間見る事が出来ますね。 リネンを夏に特化した素材に限定してしまうのは 本来勿体無いという事が明白ですね。 そんなスペック高きリネンで仕立てられたテーラードをもっと、 もっと見直し、身近に愛用されてみては如何でしょうか。 先人たちが愛し続けてきた理由が着れば分かります。 折角 誂えるのであれば是非とも三つ揃いがお勧めではあります。 クリームやバフを筆頭に、スカイブルー、時にはピンクなどの ウエストコートはモーニングやブラックラウンジなどのデイ・フォーマル、 そしてダークスーツなどにも合わせる事が出来ます。 夏場での着用や、その日のシーンに合わせ、三つ揃いであれば ウエストコートを着るか否か選択する事が出来ます。 着用を前提とした場合、トロピカルのウエイトを考慮し ウエストコートはバックレススタイルを採用しました。 上記フォーマルに合わす事も想定の上、取り外し式のスリップ! 古なセンターシームを設け、アルバートチェーンホールも空けてあります。 春夏でのイメージが強い事から、一般的には清涼感もある 涼し気なシェル釦が多く使われている事でしょう。 しかし、私は美しき希少な淡黄色のホーン釦にしています。 それは私にとって リネンに同じく丈夫さを優先、 光沢強きシェルより合うと思う事、 極め付けはリネンを夏色(夏服)にしたくないからとなります! 仕立てあがったばかりのトロピカルはパリパリです(笑)。 ここから私色に染め上げていくのです! 高すぎず、引きすぎないゴージラインは首を縁取る襟ぐり線である事 直線的でシャープなフロントカットは イタリアンなカットに見慣れた方には新鮮でしょう。 キュと絞り込まれたウエストシェイプはアワーグラスを彷彿させ、 釦位置、ポケット位置などに至るまで 英国的クラシックの拘りぬかれたカットです。 興味のない方から見れば単に本返りな三つ釦の上着ですが、、、 『神は細部に宿る』は手作りの品だからこそ。 リネンはハリ・コシが強く、かつ皴になるのが特徴ですね。 先にも触れましたが、リネンは繊維の中が空洞であり、 まるでストローに同じです。 ストローはパキっと折れ曲がりますが、それがリネンの皴に同じなのです。 しかし、ハリ・コシ強きリネン地は、エイジングにより かなり柔らかくなってグッと雰囲気を変えて参ります。 その頃には相棒としての絆は相当深くなっている事でしょう。 リネンの本当の魅力は新品では上面を見ているだけに過ぎず、 リアリティーに掛けますね。 今度は着込んでシワシワで小慣れたリネンたる 本質的な魅力のでている顔もお見せ出来ればと思っております。 いや、見なくてもご自身で育てた方が何倍も良いですね! 愛すべきリネン、世界最高峰とまで言われたアイルランド産の フラックスはもうほぼ栽培されておりません。 しかし、コットンも同じく エジプト綿、スーピマ綿、新疆綿や海島綿など、 優れた高品質な原材料があれば、それを高次元で紡績し、 織り上げる蓄積されてきた技術があればIRISH LINEN自体は手に入ります。 されど いつまで手に入るのでしょうか、、、。 近年 リネン地の価格は高騰しており、その手間や収穫を増やしにくい生産背景には 農作物としての生産量に限界がある事も起因しているのですが、 実は欧州の気候変動も大きく影響しております。 その気候変動の影響により、2022年・2023年はフラックスの大不作が起こり、 ストックも底を尽きてしまいます。 追い打ちをかけるように、フラックス栽培をされる農家さんは減る一方、 世界的に見れば生産量は以前の約半数まで落ち込んでいるそうです。 多くの素晴らしきものが手に入らなくなってきています。 ゼロにはならなくても、気付けばリネンは超高級素材になっているかも知れませんね、、、。 先ずはもっと、もっと皆様にリネンの魅力を理解し、愛してもらいたいのです。 そして、これからの日本では特に優れた素材であるという事。 安価な化繊に頼らず、昔ながらに先人方にも愛され続けてきたリネンに 今一度 目を向けるべきできなのではないかと考えるこの頃で御座います。 皆様も是非 素敵なリネンのテーラードを嗜まれてみては如何でしょうか。 私にとってのIRISH LINEN SUITSは(リネン混を抜かし)約30年振りになります。 改めてよい歳になり、やはり付き合いたい素材でもあったのですね、、、 構想自体は随分と前から。 ジジイになる頃にはどんなエイジングを、顔を見せてくれているでしょうか。 今から楽しみでなりません! ・・・・・7月もそろそろ終わります。 重衣料の早期受注キャンペーンはお陰様で無事に終了となり、 沢山の方々に光栄なるご注文を頂戴致しまして 誠に有難う御座いました。 また、当店シャツの一時終了に伴い 本当に沢山の方々より膨大なご注文を頂いております。 もう私は既にパンクしており、嬉しい悲鳴ながらも全く追いつきません(笑)。 こんな有り得ないほどの受注量、、、シャツ専門店でもあるまいし、 それだけ多くの方々にご支持を頂いているという事に対し 心よりの感謝と敬意を示すと共に、改めてお詫び申し上げます。 そして常に極上レベルで仕立てて下さる工場さんの方々にも改めて心からの感謝をしつつ、 皆様の想いが詰まったシャツ達をどうか宜しくお願い申し上げます。 8月9日の受注停止まで もう僅かで御座います。 因みにですが、最後に英国シャツ地フェスの在庫状況をご連絡させて頂きます。 ACORN:ストライプ・・・LAST 1着分 RINGHART:タッターソールチェック(NAVY/PLUM)・・・LAST 1着分 膨大に仕入れたので心配しておりましたが、 本当に皆様のお陰によりあ僅か2着分を残すのみとなります。 これら以外にも定番シャツ含め 是非今一度 ご検討頂けましたら幸いです。 では、この暑すぎる夏 どうかご自愛くださいませ。 今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。
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