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Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 FOR THE DISCERNING MAN 】

    2023.06.13 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 FOR THE DISCERNING MAN 】

            お店に飾ってある写真の一枚。 歳を重ね、敬愛込めてこんな渋くてエレガントなジジイになりたいと思っている。 何てことのないクラシックでエレガントなダークスーツ、 至って普通ながらも バランスやサイジングは完璧、服はその人なりに溶け込み、 かつ一味も二味も違いと深みを感じさせてくれます。 生地もウエイトがあり、付き合いも随分重ねた事でしょう。 人も洋服もエイジングするわけですが、 質の良いエイジングを目指したいものですよね。           ・・・・・男のスーツは主にグレーかネイビーが主体ですが、 皆様はどちらがお好きでしょうか。 当店でのご注文内容では圧倒的にネイビー派が多いのですが、 私個人は若い頃よりグレー派です!   グレー、そしてネイビーも ライトからダークまで トーンによるバリエーションが豊富です。 一般的にフォーマルはブラックとなりますが、 ダークスーツも色が濃ければ濃いほどに、 黒に近いほどにフォーマル度が増します。   そのダークトーンの究極がネイビーではミッドナイトブルーであり、 グレーではチャコールグレーとなりまして、 この2色はフォーマルとしても使われます。               50代になり 今一度スーツというアイテムを顧みた時、 やはり私にとっては想い続けて已まぬチャコールグレーの三つ揃いとなるでしょう。   そのスーツを この紳士の様にブラックラウンジスーツ (ディレクターススーツ/ストローラー)の様に さりげなく着こなす事、これも含めて。   しかし現実は緩みきった体型を何とかしないと、、、。           そんな私が究極に好きなスーツ色、それがチャコールグレーです。 チャコールは炭(木炭)の意味であり、ほぼほぼ黒ですね。 ダークグレーとは違います。   無彩色たる安定感からの落ち着きや、強い存在感が感じられます。 それでいて有彩色とは なんでも仲良く出来る事、 そんな懐の深さも魅力なのが無彩色となります。 清楚、清潔、従容、高尚、高貴、、、 個人的にはそんなイメージを抱く色でもあります。                 HENRY LESSER & SONS   1920年創業であり、多くの老舗が名を連ねる 英国の生地メーカーとしては比較的に若いと言えるでしょう。 だからこそ、それら老舗に引けを取る事なく名門H.Lesserと言われるまでに 短期間で上り詰めた努力と労力、そして愛情、その妥協なき姿勢は計り知れません。   蘊蓄を語ればキリがありません。 その格調高き生地達こそ、英国地の象徴であり、 誇りであり、最高峰の一角と成り得るのです。   私が一番好きであり、信頼する英国地メーカーです。   ここの生地は説得力と気品を持ち合わせ、 そして英国服地とは何たるかをも語っていると思いますし、 その質は仕立てれば、纏えば自ずと分かる事でしょう。 知名度は低めかも知れません、なんてったってバンチは 増刷すらされませんので限られた TAILOR にしか無いのです。 多大なる宣伝もしません、必要とすらしていません。 HARRISONS社のジェームス.D氏もリスペクトして已まぬからこそ 率先して傘下に収められました。             格調高きH.Lesserのコレクションの中で LIGHTWEIGHTのシリーズがあります。 11/12ozs これは 320g~340g の範疇で企画・織り上げられたシリーズであり 英国では軽量級ですが、日本では 3シーズン の範疇に入るウエイトとなります。   厚すぎず、薄すぎない、正に丁度良いポジションで日本では特に重宝出来ます。 そして 同社の拘りは『 仕立て映えのする生地 』、これはTAILORの価値観に同じです。   当店顧客様ほどではないにせよ、それなにスーツを所有する私が TAILORという立場で改めてスーツを新調しようと思えば 迷わずにチェックするスーチングです。 特にこのシリーズは着用期間も広く最高です。   仕事上 捌いては食し、、、 調理人だからこそ、誰よりも最高においしい食材を知っているのです。             チャコールグレーマニアな私が、 誰よりも生地を見ている・見てきた私が言いますが、 H.Lesserのチャコールグレーは最高です。 とにかくトーンが濃くて限りなくチャコールです。 比べればわかりますが、ここ、、、とても大事です。   そしてH.Lマニアな私が50代になり、改めてダークスーツを顧みた時に選んだ生地。 それは細めでエレガントなヘリンボーン柄のチャコールグレー、これを購入しました。 (洋服になるのは当分先ですが、、、。)   兎に角 深くて渋くて、美しいチャコールグレー、 細めなヘリンボーンもダークスーツとして丁度よい! もう全てが良い!   このネームは比較的に近年ですが、既に使われていません。 (この似寄り 2種でさえ新旧となります。) 古着に同じく、ネームで年代も分かりますね。 黒と赤の2トーンを見れば、スーツ好きはH.Lesserが頭に浮かぶ事でしょう。 そのネームを良く見て下さい。   【 FOR THE DISCERNING MAN 】   目の肥えた紳士に / 違うの分かる男に、、、 と訳しましょうか。 クロート好みの生地なのです。                 さて、そんな私のお勧めに賛同して下さった 顧客様の生地が入荷したのでご覧頂きましょう。 双方ともに チャコールグレー です。               真っ黒なグランドに、真っ赤なロゴ。 とてもシンプルに一新された現在のネームです。 H.Lesserの生地は昔からミミに ★ も入れますよね!               K様よりお選び頂きました。 クラシックなスーチングには欠かせぬド定番、PICK & PICK です。 紳士のワードローブには必ず入っているべき PICK & PICKをチャコールで、且つH.Lesserで、、、 うらやまアンサーです。                 K様の当店 1st SUITSはダークネイビーでした。 2着目となる今回も同じく 3シーズンウエイトであり、 これでソリッドのダークスーツが両雄揃う事になります。   この模範解答であり、この盤石たる基盤の上に時間を掛けて誂え足され、 素晴らしいワードローブを構築されてください。           オタクですから、、、こんな写真を見ているだけで嬉しく、 羨ましく、仕立てさせて頂くのがとても楽しみです。 品質面は語る必要がありません、最高 ただそれだけです。   気品漂うエレガントな三つ揃いをご用意させて頂きます。                         次のご紹介です。 こちらの生地は M様よりのご注文となります。 三つ揃いを御愛用し、常にエレガントな出で立ちでご来店くださります。 『 3シーズン物で面白い(個性的な)生地を!』 とのリクエスト。   私のお勧めは迷わず冒頭のバンチもご覧いただきます。                 スーツの需要が減れば、生地メーカーも元気がなくなります。 展開される種類は厳選・集約され、どこも定番的で似通ったラインナップに 成りがちな昨今、だからこそ VINTAGEにも目が向くという側面があります。   そんな時こそ、H.Lesserのラインナップもご覧いただきます。 この生地だって 一味も二味も個性を持ち合わせる 魅力的なチャコール地のストライプです。             ご覧頂けますでしょうか。 ベースはクラシックなヘリンボーン柄です。 ニヒルな鈍い艶感、シャドーストライプの様に見える 織柄表情は『らしさ』でもあります。 そこにストライプ、白っぽいピンストライプをヘリンボーンに重ねますが、 もう一味加えたいとブルーの縞も重ね ツートーンストライプでの縞柄を奏でています。                 この陰影と共に艶やかな表情について、 織柄は勿論の事 厳選された最高級な原毛から滲み出ます。                       他メーカーのチャコールグレーと比べてみましょう。 TARGET スーツ好き、生地好きな方は直ぐにピンときますね! これまた高級で知られた HOLLAND & SHERRY より、 TARGETという3シーズン用のシリーズです。     チャコールの色味、トーンの違いが分かるでしょうか。 色出しの攻め方も違います。   良い・悪いではなく、好みでお選び頂ければそれで良いのです。 比べなければ分からぬほど些細な事に対し、 真剣に悩むのも誂えの楽しさではないでしょうか。               最後に同じヘリンボーン柄でのチャコールグレーで比較です。 手前が H.Lesser であり、冒頭に紹介した生地であり 奥が H&S です。                     ・・・・・以上で御座います。 今週はオタクであり、マニアな御託にお付き合い頂きました。 色味寂しく、ずっと炭を見ていたようなものですね。 多くの方々は付いてこられなかったかも知れません!     クラシックなダークスーツたる装いは デザインやスタイルなどに大きな違いは御座いません。 だからこそ 生地に拘り、仕立てに拘り長きを共に過ごせる相棒を誂えるのです。   最高の食材を使い、最高の調理をもって 最高においしい料理をお作りさせて頂きます。 ご注文され、食されるのはクライアントであり、皆様なので御座います。     どうか素敵な生地と巡り会えますように、、、。   今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。                

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  • 【 T様のご注文:VINTAGE W.SHIELL 】

    2023.06.06 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 T様のご注文:VINTAGE  W.SHIELL 】

        お店の近くに毎年綺麗な花を咲かせる紫陽花ですが、 今年も満開が間近にいよいよ関東も梅雨入りが目前ですね。         お陰様により昨日をもって無事に至高のシャツフェアが終了致しました。 本年も多くの方々に沢山の素晴らしい至高シャツのご注文を頂戴致しまして、 心よりのお礼を申し上げます。 世界最高峰となるシャツ達のお仕立て上がりまで暫しお時間を頂戴致します。 どうかご期待の上 お待ち下さいませ。 本年もお祭りにご参加頂き 誠に有難う御座いました。                     エレガントでダンディー、サーの称号を持つ ノエル・カワード氏のお若い頃の写真です。 1910年代後期から20年代初頭の頃だと思われます。 時代を感じさせてくれるカッティングは大変魅力的でもあり、 今には無き良い意味での重厚感や存在感を持ち合わせます。   フロントはかなり高めな設定の2釦2掛け、その分 衿の止まりも高く、 更に打合いは広い(深い)のでVゾーンも大変こじんまりとします。 角度の鈍いコンパクトなピークドラペル、 上衿との差もあまりなく 小さなアルスターカラーのようでもありますね。               1918年のスタイル画となります。 コンパクトな肩回りとフィッティング、ハイ2釦やシャープな衿、 上記 氏のスーツにも同じ特徴が見受けられるのが分かります。                     今週はT様より頂戴致しました春夏用のスーツをご紹介させて頂きます。 T様は ノエル・カワード氏やルドルフ・ヴァレンティノ氏がとてもお好きです。 この20年代に見受けられる独特なバランスや特徴がT様の心をくすぐるのでしょう。   スーツは三つ揃いが前提であり、古い時代であれば尚更です。 氏の着る復刻スーツをトレースの様に仕立てたい訳ではなく、 且つ この度は春夏用なので 2P で着たいとの事。 ノエル・カワード氏のスタイルや匂いを感じさせつつ、古臭くなり過ぎず、 ご自身なりのスタイルに落とし込まれたいとの事。 この度は こんなリクエストから始まりました。     クラシックであればそれで良いという方もおられれば、 毎回テーマがあってそれを念頭にイメージ・ご注文される方もおられます。 皆様それぞれに価値観や託される想いは様々であり、 それを無から生み出し具現化するのは本当に楽しく遣り甲斐があるというものです。           VINTAGE WAIN SHIEEL 60% KID MOHAIR 40% WOOL ABOUT 280g   http://dittos.seesaa.net/article/498557349.html 【 VINTAGE : KID MOHAIR 】     有名な SUPER BRIO と同じ時代に織られた逸品であり、 共に現行物とは一味違う魅力をもっています。                 スリムなT様は、肩にとても個性が現れています。 パドックカットの2釦・2掛けは ウエストラインを跨いで配列されますが、 時代のテイストとして更に高めな ハイ2釦、そして釦スタンスも重要です! 打合いは ほんのちょっとだけ深めに、小ぶりで鋭利ではないピークドラペル。 Vゾーンのコンパクトさも感じ取れる事と思います。   T様の笑顔と共にご期待は膨らみます。                   今回は 2P-SUITS ですし、ベルトレススタイルのトラウザースです。 吊り用の深き股上とは違い、リアルな腰の位置に合わせた股上と共に ウエストサイズもJUSTで合わせて参ります。             T様らしさを感じさせてくれます。 微調整を加え、早速FINISHへと進めましょう。                         いよいよお仕立て上がりです。 T様、今期デビューの新作タイを! 有難う御座います。 しかしウエストが細くて羨ましい限りです。 穿き心地は如何でしょうか、ベルトレスの軽快な印象も良いですね。               吊らない、ベルトもしない、 故に必要であれば脇に付けられるアジャスターで微調整です。 食前・食後、そして動いたりとウエストサイズ自体も動きますし、 人間ですから共に歩んでいく中で多少の増減ありましょう。 そういう意味ではユトリを入れる吊り用と違って サイジングはシビアですから直ぐに体系変化にも気づく事でしょう。 良きバロメーターにも!                           凛々しきお姿、、、とてもお似合いであり素敵です。 求められたイメージは具現化され、その調理具合にもお喜び頂けました。 モヘアのもつハリ・コシのあるシャリシャリとした 生地感・着心地と共に是非ご堪能下さいませ。                           T様は当店H.S.ORDERからステージアップされ、BESPOKEでのお仕立てでは ベルトレスは初であり、こんな所も違いを感じてみたいとも。 色々と動きも様々に、着座の感じも確認中ですよ!               とても素敵な笑顔を拝見させて頂きました。 お喜び下さり 何よりで御座います。   この日は 『着て帰りたい!』 と、そのままデビューを迎える事となりました。                       凄く満足して頂けましたが、確かにこんなスーツは誂えでなければあり得ませんね。 それは何もデザイン・ディテールなどだけではなく、 ここまでご自身に寄り添うサイジングやフィッティングは 既製服では期待すること自体がお門違いとなります。 それだけ皆様はお顔や性格などだけではなく、お身体自体も個性の塊であるという事です。   T様、この度も素敵なご注文を誠に有難う御座いました。 次のご注文は迫力満点でクラシックなツィードですね、ご期待くださいませ!                   ・・・・・如何でしたでしょうか。 前回、今回と 春夏のスーチングには欠かせぬキッドモヘアを主体にした生地でした。 生地は似ていても、スタイルや価値観により 随分と違うスーツになりました。   魅力的な食材に対し、その調理法や料理は一つではなく様々に展開・解釈・発展があります。 ご期待される美味しそうな料理を、食べ方を自分なりにご注文下さいませ。 丹精込めて調理させて頂きます。       では、暫くは雨の多い時期となりますが どうかめげずにぜひ足をお運び頂けましたら幸いです。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。   今週も誠に有難う御座いました。                  

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Bespoke Tailor Dittos.