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Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 CORDUROY : 3P-SUITS 】

    2023.01.24 Bespoke Tailor Dittos. STYLE

    【 CORDUROY : 3P-SUITS 】

              多くの紳士たちが着用される、されてきたスーツについて 皆様それぞれの価値観をお持ちである事と思います。   スーツの起源は軍服であり、男性をここまで美しく 端正に表現してくれる装いは他に挙げられません。 私自身はスーツを仕事にもしておりますし 人生の半分をかけていると言っても過言ではありません。   そんな私にとってスーツとは やはりエレガントなアイテムでもあり、実用品でもあります。 パスポートでもあり、自己表現でもあります。   先人達のエレガントなスーツを見て育ち、学び、 憧れと共に表現・体現したいと思っております。 そんな理想に対し 答えは一つではないものの、 確実に模範解答の一つでもある F.アステア氏が着用するスーツは格別です。         正に美しきスーツ姿であり、氏らしさも伴い体の一部となっているようです。 キュっと絞られたアームホールは高き機能性と共に シャープで美しい袖のフォルムを生み出します。   スタイル含め、格好良さを身に着けるには 真似から入るのが一番です! 氏の様に身体的なスタイルは良くありませんが、 自身なりに表現し楽しみたいと思っています。                 世界的なカジュアル化が進む昨今、スーツの着用頻度は下がり TAILORED CLOTHINGを愛する方々におかれましては 寂しき思いをされている方もおりましょう。 では、こんなお題目をご提示させて下さい‼   『 普段着として楽しめるTAILORED SUITS 』   皆様でしたら どんなスーツをお考えになるでしょうか。 ツィードやフランネルなどは確かに それに当たりますが、 室内寛ぎ着レベルへ更に近ければ スーツでも畏まらずに普段着として 楽しめるのではないでしょうか。   そんなスーツを考え、自分なりに仕立ててみました。             前提として今回は秋冬用として考えておりますが、 思い立ったのは大好きなコーデュロイ、食材にはコレを!   ベルベットと兄弟でもあるコーデュロイ、起毛された暖かな生地ですね。 パイル生地のパイルをカットして表面を整えます。 ウールやシルクでもありますが、今回は基本前提としてコットンです。   ウールと違い、リネンやコットンなどの植物繊維は『皴』になりやすく、 ウールの様に復元力も無いので その皴は増えるばかり。 それが味であり魅力でもあります。 砕けてリラックスした印象を与えますが、 反面シワシワに成り過ぎると だらしなさも感じさせてしまいます。       【 SMOKING JACKET 】   名の如く、タバコを吸う時の為に用意・デザインされた寛ぎ着であり、 ディナースーツ(タキシード)の原型とされています。 (今ではタキシードと同義語となります。) そのスモーキングジャケットはベルベットやシルクで仕立てられました。   そんな歴史的な寛ぎ着に使われていたベルベットと兄弟でもあるコーデュロイは 正に説得力があると思いませんか⁉   暖かさは毛には負けますが、起毛してヌクっとした肌さわりと共に 密度を上げて暖かくしてあります。 植物繊維らしく素朴で優しく、丈夫で安心感も高きコーデュロイ。 秋冬には欠かせぬ存在でもあり、丈夫さからカントリーウェアから ワークウェアに至るまで幅広く採用されております。           抜群に良いですね~! キルト付きの靴も凄く素敵に合います。   イラストの様にタイを締めても良いですし、スカーフなども素敵です。 インナーはシャツに限らず、ハイゲージの タートルニット等はむしろ抜群の相性です。   スーツでお持ちであれば、アイテムそれぞれを バラシての着用も出来ますので必ず重宝される事になるでしょう。   もともとお持ちであったコーデュロイの ODD TROUSERSに合わせても良いですね。 私も数本・数色御座います!             BRISBANE MOSS   CORDUROY T1 – 12 Wale NEEDLECORD 100% COTTON ABOUT 315g   Col. DRAB     コーデュロイにもシャツを誂えるような薄地から厚地まで揃い、 畝の太さも細いものから太畝まであります。   テーラード仕立てで上着を仕立てるなら 比較的に中肉、 やや薄めなコチラのシリーズがお勧めです。 細畝で同社では ニードルコード(縫い針 畝)とも呼称されています。   色は大好きな ドラブ。 くすんだオリーブ色といった感じであり、 いわゆる軍用車両の色というとイメージが沸くでしょうか。 まさに自然たるアースカラーであり、 軍用車両や軍服などには保護色として採用されているのですね。   自然光下だと この写真よりもう少しだけ茶味が加わって見えます。 カントリーテイストなアイテムであれば合わぬ色はありません。   また、お題目は普段着でもあり 皴を気にする事なく、 汚れも目立たぬ色でもありますね!               かなり久しぶりに自分の服を仮縫いしました。 先ずは いい歳にもなって加齢と共に体系変化がある事は否めません。 もう努力をしなければ崩れるばかりです、、、。   そして私の服は提案でもあり、受験台でもあります。 型紙でも縫製でも 新しき試みなどは顧客様へ実践する前に自前で試し、 良ければ即採用もあり得ますし、良くなければ 更に発展・修正・次案へ繋げる事が出来ます。 新しい芯地や付属類なども同じです!   デザインは至ってベーシックでクラシック、素材(生地)が既にカジュアルなので 敢えてポケットなどは貼り付け(パッチポケット)にせず、 切りポケで端正な顔立ちを保ちます。           両玉縁ポケットの口布地の目、 これもお店や国が違えば価値観が違うように使われ方が分かれる部分です。 英国での多くのお店では横地でとるので身頃に地の目が合います。 ストライプなどは柄合わせですね。   当店は口布に力芯の類を使う事なく 伸び止め効果を持たせる為に縦地でとります。 多くの国内におけるお店では、バイアス取りも少なくありません。 それぞれに思い描く価値観や狙い、何を最優先にするかで選択している筈です。   今回の様にコーデュロイの場合、毛並みがあり、 その毛並みは生地方向で色味が随分と変わります。 故にいつもと優先順位を入れ替え、英国的に横地取りして身頃に合わせ、 沈み込むように落ち着かせています。 こういった素材(生地)対応は その生地の個性によって臨機応変に対応すべき事柄です。           何てことないクラシックな 3釦、ノッチドラペルは本返り。 しかし、全てのバランス、全ての線に想いや拘りが詰まった 私なりの表現であり、作品であり、実用品でもあります。 正に自己満でしかありませんが、自分自身が自信を持てずに こうやって皆様へご紹介する事など出来ません。   当店で生み出される服は 1着1着が愛おしく思っています! 傍から見れば気持ち悪いですよね(笑)。           コーデュロイのディトーズです! 当然ながら仮縫いをすれば様々な情報を得る事が出来ます。   しかし、、、新品のコーデュロイはハリ・コシもありつつ、 余分な縫い代も邪魔し、更に滑りも悪く、 ゴロゴロ・モコモコしてかなり分かり辛く判断し辛いですが、、、。   袖丈はカフを付けるので見越しましたが、流石に少し出したいですね。 コットンは着用皴で多少上がりがちにも!   でも素敵、とても良い感じです。                             こう見るとコンパクトなアームホールのバランスや、 袖のシャープなシルエットが分かりやすいでしょうか。 アステア氏もこの位 フィットさせているのでしょう。                     ウエストコートはダブルブレスト。 今回はデザインバランスも変えてみました。                     スポーティーなスーツでダブルのウエストコートは重いですか? 別にそんな事はありませんので ご自身の服で、お好きであれば是非! 三つ揃いのツィードだってダブルのWCでもどうぞ。                     股下は予め上げてしまっていますよ! これから 微調整を加えて FINISH へ。   その内 完成しますから、その時が来たらコーデ含め 改めてご紹介させて頂きたいと思います。         クタクタになったコットンの味わいは格別です。 早く着込んで 早く柔らかくなってくれないかな、、、 まだ完成すらしていませんが。   着込めば着込むほどにエイジングされた男前な顔に変貌してくるでしょう。 こんなところは毛よりも綿の方が強みですよね。   トラウザースのセンタークリースを付け直す場合、正確な裁断が成されていれば 畝を拾って地の目を追えますので皆様も楽で正確にプレスが出来るでしょう。 もちろん 皴は増えるばかりなので、クリースが消えたら消えたで よりリラックスした印象でご着用されるのも良いですね。     肘や尻などから畝が寝て、更には剥げていくでしょう。 これもコーデュロイの宿命であり、肘はレザーパッチを張り付けても良いですし、 尻はどうしましょう、、、軍パンみたいに共生地で二重となる尻宛てでもかましましょうか。                 ・・・・・普段着たるスーツ、 アンコン仕立てのツィードとかも魅力的ですし 皆様でしたら どんなスーツを思い浮かべるでしょうか。   誂えは無から生み出します。 ご自身の為だけに仕立てられる服ですから、お好みや価値観、欲するポジションに応じ いくらでも工夫があり、可能性はほぼ無限に広がります。 楽しいですね~~。       皆様よりの素敵なご注文を心よりお待ち申し上げております。   今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。                

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  • 【 2023. S/S お勧めスーチング 】

    2023.01.17 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 2023. S/S お勧めスーチング 】

          1月も後半に入り、年始のお休みから普段の生活へと戻られた事と思います。 そして 早くも今週の金曜日には 『 大寒 』 を迎えます。 一年で最も寒さの厳しい頃 とされますが 大いに冬の装いを楽しまれている事と思います。     そんな最中では御座いますが、HOUSE STYLE ORDER限定による 『 早期受注フェア 』も来月早々に始まりますし、 今週は 今期春夏用に仕入れた生地を手始めに少しだけ御覧頂こうと思います。         ㊟ 実はPCを新しく買い換えました。 同じ様に撮っている写真の色質が全然違って感じられます。 色調整は行っているものの 違和感を感じられるかも知れませんが、 慣れるまで暫くお付き合い頂けましたら幸いです。   尚、最後に重要なご連絡も御座いますので お見逃しなきよう 宜しくお願い申し上げます。               イースターパレードでのF.アステア氏はスーツ姿が本当にエレガントで魅力的です。 例えば このスーツ、とても表情のある顔立ちのライトグレー スーチング。 上着は一つ釦の角度鈍めなピークドラペル、 深き股上に合わせた衿付きダブルのウエストコートは8釦‐4掛けですね。   このスーツ(生地)の様な表情は、単色の糸ではなく 濃淡の糸で構成されているからこそでもあります。 代表的なのはヘリンボーンやピック&ピック、ピンヘッドなどが挙げられます。   グレーはクラシックで当たり前の色でもありながら、 やはり明るめのトーンであればこそ春夏としても大いに活用したいところで御座います。             C.グラント氏も 同じ類のスーツ地をダブルで渋く着こなされております。 胸のウエルトポケット、今では箱幅がもっと幅広でカーブを描くタイプに 見慣れた方々におかれましては、大層 細い箱に見えるかも知れませんね。 昔は控えめで細く、シャープな感じでした。   ゴージラインや刻みの位置、ピークのバランスやフラワーホールの位置、 これがクラシックスーツのベースです。               では早速 生地のご紹介と参りましょう。 先ずは英国のマーチャントとして数多くのレーベルを束ねる HARRISONS よりご紹介致します。           HARRIOSNS REQUIEM   100% WOOL ABOUT 230g   ウエイトの軽い春夏地であっても 英国地らしく縦糸緯糸ともに双糸 (2‐PLY)で織られていますので、型崩れなども起こす事無く 仕立て映えする生地を展開しているシリーズです。 高温多湿な日本では本当に強い味方であり、お勧めなシリーズとなります。         ミディアムグレー範疇、やや明るめといったところ。 あまり濃いトーンですと濃淡の魅力が出ませんね! この生地は クラシックな『 HAIRLINE 』 で御座います。 大好きなクラシックスーチングの一つであり、 ヘアラインは別名イートンストライプとも呼ばれるそうです。               濃淡の糸で髪の毛のように細く、高い密度で縞柄構成されており、 表側は縦縞、裏側は横縞のボーダーになるのが特徴です。   縞柄は遠目には溶け込み、無地範疇として捉えられる生地です。 雰囲気は PICK & PICK にとても似ており、 冒頭のエレガントなお二人が着るスーツの様な表情をご堪能頂けます。             この位近づくと ヘアラインの顔が分かりますね! ヘアラインやピック&ピックは本当に普遍的で代表的なスーチングであり、 そういう意味では面白みなど全くありませんが、それで、それが良いのです。 もう本当に大好きなヘアラインはシャツ地でも御座いまして、 もちろん誂え済みでお気に入りなシャツの一つとなっております。     爽やかさもありつつ、グレーですし大変落ち着きもあります。 紳士が安心して選ぶ事の出来る春夏地として買い付けた生地で御座います。   このレクイエムというシリーズですが、日本では気候に適したシリーズながらも 本国ではなかなか実績が上がらずに廃版が決まってしまいました。 残念ではありますが、だからこそのお値段にもご注目くださいませ。                           赤味感じる綺麗なネイビーのスーツを着こなされるのは チャールズ三世国王陛下。 上着の袖には確りとプレスで折り目が付けられていますね。 日差しの強くなる春夏では、トーンもやや明るめに 濃すぎない発色のネイビー地は清々しくて清涼感をも感じさせてくれます。   そんなキレイ目なネイビースーツはお持ちでしょうか。                 FINMERESCO というシリーズで展開されているスーチングです。 どちらの生地でしょうか!?         歴史はそこまで古くないものの、短期で高い実績を重ね 今では高級マーチャントとしては欠かせぬ存在でもある 『 SMITH WOOLENS 』となります。 同社は かのソラーロのオリジナルを譲り受けた事でも有名です。     SMITH WOOLENS FINMERESCO   100% WOOL ABOUT 300g           こちらも濃淡の色糸で織り上げられた TWO AND TWO であり、とても表情がありますね。 見ようによっては ピンヘッド っぽくも見えます。   この生地、色がうまく出せていないのですが、 もっと鮮やかで綺麗なロイヤルネイビーを少し深く濃くしたような色となります。               生地の両端にある ミミ にも表記がありますが、 このシリーズは 『 TRAVEL SUITING 』 とあり、 皴に強くて春夏でも快適に過ごせる生地種の構成でまとめられています。 強撚糸を使っているので ハリ・コシ に富み、通気性も高い生地で御座います。 ご旅行含め、ご出張などには特に本領を発揮してくれることでしょう。   生地厚(ウエイト)自体は 3シーズン用位ですが、 何より通気性が大変よく、かつ地薄すぎないので強度と 耐久性をも持ち合わせているとお考え下さい。 撚り強き糸で織り上げられ、シャリシャリとしていて肌離れも良く、 皴になり辛く、復元力も高い生地です。   色目と顔立ちが凄く魅力的で素敵です!                       C.グラント氏、またまたご登場頂きました。 カラー写真ではないので厳密なオリジナル色は定かではありませんが、 渋くてとても雰囲気のある生地にて シングル・3釦のピークドラペル。   シンプルでベーシック、シャツもおそらくホワイトでチーフと共に 控えめで高貴なエレガントさが滲み出ています。               今週 最後のご紹介となります。 こちらもグレー地、SMITH WOOLENS からの生地となります。       SMITH WOOLENS GILT EDGE   100% WOOL ABOUT 250g     ギルトエッジ、こちらは同社の展開する 春夏用クラシックスーチングのシリーズとなります。 強撚糸の平織もの、いわゆるウールトロピカルですね。           ミディアムグレー地のウールトロ、 もうド定番であり春夏地の代表格です。 もちろん春夏用のスーツを誂えるのがメインながら、 私は特に ODD TROUSERS にもお勧めしたく選びました。             秋冬用でのODD TRでは、フラノが欠かせぬように 春夏用ではウールトロは欠かせぬ存在です。   当たり前なアイテムを上質なもので、、、 見た目の違いなどは差が無くとも、仕立てれば、 そして穿きこめば 自ずと質の良さを享受出来る事でしょう。   誂えは自己満的側面も大きいですから 食材選びは重要です! 既製服と違い、長きに渡るご愛用にも耐えるものをお選びください。             色味も、顔立ちも、風合いも 全てにおいて 高次元でまとめられたお勧めなウールトロで御座います。 当店在庫でウールトロはいくつかのメーカーで取り揃えておりますので、 それぞれの色味や個性を感じ、吟味されてみてください。   夏になればクールビズ、、、またやって来るわけですよね。 確かに日本の夏は暑い、それだけにトラウザースの役割はとても重要です。               ・・・・・如何でしたでしょうか。 先ずは主にベーシックなスーチングよりご紹介させて頂きました。 3種すべてお得な価格設定となっております。   また折を見て続きをご紹介させて頂きますので、 引き続き宜しくお願い申し上げます。 では、最後に下記ご連絡もご確認頂けましたら幸いで御座います。               ・・・・・2月6日~20日まで HOUSE STYLE ORDER限定による 早期受注フェア が開催となります。 ( 日程前でも構いませんので、ご利用の際にはお気軽にお声かけ下さいませ。)     そして、フェアも終わり 今から約1か月後となる 2月22日(水)より HOUSE STYLE ORDER のお値段を一部改定とさせて頂きます。 (早期受注フェア終了後となります。)   主に オプションとなる事柄が対象である事と 原材料高騰により、2015年よりオプション扱いであったシェル釦(貝)に加え、 なんとホーン釦(角)もオプション扱いとなってしまいます。   それぞれのアイテムによるベースのお値段につきましては、 ほんの若干ですが見直しを検討しております。 もう最近ではこんな話ばかりですね、、、、。       誠に、誠に恐縮ながら本当に申し訳御座いません。 上記価格改定は、2023年1月の仕事始めより工場さんの方では既に施行されております。 当店は私の対応も遅く、告知から施行まで時間を取らせて頂きたかったので 中途パンパな日程になってしまいました。   この度のお話は HOUSE STYLE ORDER のみであり、 早期受注フェアの終了後をもって施行となります。 ( BESPOKEは保留にて現状では考えております。)   大変恐縮極まりないのですが、何卒ご理解頂きたく 切にお願い申し上げる次第で御座います。         世知辛い状況では御座いますが、皆様とお会い出来る事を楽しみにしております。 今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。                

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