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Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 HOUSE STYLE ORDER:N様の御注文 】

    2022.11.22 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 HOUSE STYLE ORDER:N様の御注文 】

          11月22日 『 小雪 』を迎えました。 冷え込みが一段厳しくなり、小雪がちらつき始めるころとなります。 富士山頂では既に積雪もあり、うっすらと雪化粧しており 気温は常に氷点下です。   スーツが気持ち良く御着用出来るこの時期はとても心地良く、 そろそろオーバーコートの登場も近付いて参りました。             昨今のカジュアル化に伴い、ダークスーツ以外でのタウンスーツや カントリースーツ(スポーツスーツ)等が着目される側面が御座います。   お仕事の環境下では半ば強制的なカジュアル化によりスーツが好きでも 着用し辛き状況になられた方や、リモートワークが主体になられた方などは 敢えて休日にスーツを楽しまれたいという方々もおられます。   そんなポジションのスーツに対し、皆様はどんな生地で、 どんな色柄で、どんなスタイルが頭に思い浮かぶでしょうか。   『カントリーウエアはカントリーサイドで着用するものであり、タウンではそぐわない。』 確かに正論ではそうですが、優れたウェアはそれだけに留まりませんね。 サープラスウエアでみれば、数々の優れたフライトジャケットの類や トレンチコートなども立場を失ってしまいます。 ジーンズだって労働着なのですから 良い意味でその性能や魅力を 幅広くお楽しみ頂ければと思います。         今週は HOUSE STYLE ORDER より、長きに渡り御贔屓を頂戴しております N様の御注文を紹介させて頂きたいと思います。         絶妙な色を醸し出すKHAKIのキャバルリーツイルによるスーツ。 色味は英国的な FAWN をも彷彿させるファジーな中間色は、 キャバルリーツイルでは珍しく交織織りで表現されているからなのです。   とても丈夫で色によってはカントリーテイストも強い生地ですが、 ウエイトなども重過ぎずタウンユースに使いやすいよう企画された 魅力的な生地をお選び下さりました。   今季秋冬仕入れの大変お気に入りでお勧めな逸品の一つです!         ARTHUR HARRISON CAVALRY TWILL 100% WOOL ABOUT 350g   http://dittos.seesaa.net/article/490247786.html 【 H&S:JACKETING,and MORE! 】     ライトブラウンに近いカーキ色の経糸、 緯糸にはくすんだグリーン実帯びたグレーの糸を使い、 絶妙な奥行きと深みを生み出しております。 中肉なウエイトは使いやすく、真冬はオーバーコートさえ重ね着で楽しめるでしょう。   また、このポジションたるスーチングの多くは 三つ揃いで誂えておけば、単品で使い回し出来るところも魅力の一つとなるでしょう。           とても魅力的です! この晴れないくすんだ感じ、イギリスらしいですね。 大変コテが効く(クセ取り)キャバルリーツイルですから 仕立て映えは間違いありません。   こんな中間色似合う釦が H.S ORDER の釦バリエーションでは揃いません、、、。 そんな時こそ英国製の釦より、今では貴重なポリ釦より FAWN の色がマッチング!   N様は鍛えられており、プロでは無いので鍛えすぎない様に と勤しまれておりますが それにしても筋肉で覆われた肉体はメリハリの効いた凹凸が増えますので、 よりクセ取りによる立体成形が必要でありつつ活きる御体型の持ち主なので御座います!           トラウザースは吊り用の 2-PLEATSでハイバック仕様。 ウエストコートはスポーティーに腰のみ蓋付のポケットでリクエスト頂きました。 N様の肉体的立体度合は進行しており、 今回も型紙的な再補正を加えて誂えさせて頂きました。           背中も腰(尻)も立体的で、平尻な私は本当に羨ましい限りです。 ポケットは両側に! ブロンズのライニングがとても合いますね。         この日 履かれていたスエードのフルブローグも 是非この度のスーツにもお合わせ下さいませ。           胸の厚みが伝わりますでしょうか、、、、 洋服は身体の厚みがあった方がやはり映えます。   骨格は変わらずとも、その骨に武装する筋肉が膨らめば 追いつくよう肩幅だって広げなくてはなりません。 型紙的に補正すれば 幾らでも理想的なフィッティングに仕立てる事が出来ますが、 タイトになってしまった古いスーツは制限のあるお直し範疇ですと どうしても限界がある事は否めぬ事実です。 逞しく、男らしい御体型に進化させ、魅力的で格好良くなる分 もどかしくもそんなお悩みは付随してしまうのです、、、。   気合を入れたクセ取り2次プレスを施し、綺麗に纏って頂いておりますが そもそも論として、工場さんが正確かつ丁寧に高次元なレベルで 仕立てて下さっている前提無くしては有り得ません。 いつも大変素晴らしい仕立てを本当に感謝しております。           背中も広く立体的、大殿筋も立体的な分、当然腰の括れが顕著になります。 横から見た時のS字具合が強いのですね。 その腰の括れに寄り添う様に生地自体をクセ取りで成形し、 後身頃自体 その型紙に伴うよう立体にさせているのです。   多くの縫製工場製品は、起伏に富んだ部分プレス台が幾つもあります。 衿や肩周り、脇など 部位によりそのプレスマシーンで形付けられます。   縫製工場とは、そもそも既製服を効率よく均一に大量生産する為に構築されております。 良くも悪くも『 均一に 』であり、仕上げでは付随して部分プレスを職人さんが施します。   しかし、ONLY ONEの服では 様々な体形があり得ますので、 均一という括りから飛び出す事もしばしば、、、、 いや、むしろ既製服の範疇外ばかりであり、 それだけ皆様の御体型が個性的という事です。 これらは、パターンオーダーの範疇であれば半ば強引に 『枠』が設けられているので著しき御体型は対応不可となってしまうのです。     工場さんはテーラーの集団では無いので、 トラウザース含めクセ取りなどまでの対応は難しいと言えます。 であれば、工場さんでは手の届かぬ所は私が行えばよい、、、 これが2次プレスの主要な目的でもあります。           色も雰囲気も抜群です! N様の狙い通りとなり大変御満足頂けました。   スーツの曲線溢れる立体感が見受けられる事でしょうか!           実はもう一点、この度のスーツと共に ODD WAISTCOAT を誂えて下さりました。 ワードローブには是非入れておきたい タッターソールチェック のウエストコートで御座います。 この度のスーツにも勿論の事、お手持ちのツィード含め 様々なジャケットやスーツとお合わせ下さいませ。   LAMOGE Tattersale 100% WOOL ABOUT 360g     オフ白ベースにほぼ正方形な赤と黒の格子を重ね合わせたクラシックなチェック、 今では様々なカラーバリエーションと共に展開されています。 しかし、先ずはこの赤×黒から攻めたくなりますよね。   タッターソールという呼称は、イングランド東部のリンカンシャーにある Tatt’s Hall(タッツホール)に住んでいた人物に由来するそうです。 乗馬レースの社交クラブでこのウエストコートが好んで着用されていました。   衿付きで腰ポケットは蓋付き、フロントの釦はM.O.P釦(マザーオブパール)が付きます。 このスーツにも合わぬ訳がありませんね。         裏地は赤い格子を意識しマルーンにて。           このスーツは早々にデビューして下さったとの事でした! このポジションは ノータイでも様になりますので 幅広きシーンに対応可能でもあります。   是非ご堪能して頂けましたら幸いです。 N様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。                   ・・・・・如何でしたでしょうか。 スーツというアイテムは幅広く多岐に渡ります。 昔を考えれば どんな時でもスーツを着用ですから 様々なシーンに特化したスタイルに多様化されました。   ダークスーツでは味わえぬ こちら側の魅力も 是非皆様へお楽しみ頂けましたら何よりの幸いで御座います。       いよいよ12月も目前に、、、、今年も最後まで宜しくお願い申し上げます。 どうも有難う御座いました。                          

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  • 【 O様の御注文 : SPORTS COAT & ODD TR 】

    2022.11.15 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 O様の御注文 : SPORTS COAT & ODD TR 】

        11月も中旬に差し掛かりました。 早くも来店のカレンダーが出回っており、気持ちは焦るばかりです!   何かと忙しくなる年の瀬に向かい、寒さも少しずつ強まって参りますので どうかご体調にはくれぐれもお気をつけ下さいませ。           さて、11月も後半にくれば いよいよTWEEDも出番が回ってくるのではないでしょうか。 今週は個性的なTWEEDでのスポーツコート(ジャケット)と共に、 オッドトラウザースでのご注文を下さりましたO様の上下を紹介させて頂きます。           O様におかれましては 当店でのBESPOKEが 2着目となります。 遠方より御足労下さるO様は東京にて靴と洋服の BESPOKE を楽しまれておられます。 双方の仮縫いやお仕立て上がりに合わせ 御上京です。 とにかく生地やレザーがお好きで詳しく、 大抵のクラシックどころは既に所有されているので レアな生地などに惹かれてしまうそうです!           W.Bill CAVALRY TWILL 100% WOOL 600g   1着目に続き、この度も オッド上下でのスタイルで御注文です。 冒頭の上着に合わせ、トラウザース地としてもド定番な キャバルリーツイルのヘビーウエイト(600g)を前提に、 上下のコントラストを意識しつつ お手持ちアイテムにも 合わせやすいブラウンにてお選び頂きました。   ベルトレススタイル : 2-PLEATS仕様 とてもクラシックで御座いますね。           尻ポケットは両側にリクエスト。 この生地はヘビーウエイトながらも 柔軟性と共に粘りのある生地質で皺にも強く、復元力も高いです。 トラウザースには大変お勧めなチョイスで御座います。         LOVAT TWEED 100% WOOL 480g   上着のTWEEDは、OLD LOVAT です。 ウエイトは 480g あり、TWEEDらしい迫力のあるボリュームをお楽しみ頂けます。 この独特な変化織りによる柄が特徴でもあり魅力です。 一見はヘリンボーン調に見えますが、 工夫の効いた変化織りですから現行の生地では見た事のない織柄です。   シングルの 3釦、ポケットは 3-PATCH & FLAP であり、 それぞれに インバーテッドプリーツが畳まれています。         バックは背ベルト付きのピンチバックスタイル。 背中心にインバーテッドプリーツが内蔵されており、 両サイドにアクセント兼 ユトリとなり得つつ、 ウエストへのシェイプも作り出すプリーツが上下に走ります。 仮縫いでは全て閉じてありますので、お仕立て上がりまで機能体感はお待ち頂きます!   インナーにはウエストコートやニット等も考慮に入れ、 ユトリ感なども確認して参ります。 上下共に微調整を加えて FINISH へ向かいます。               ・・・・・さぁ、お仕立て上がりです。 この度は少しディテールにもクローズアップしながらご覧頂きましょう。       迫力満点のキャバルリーツイル、600gなだけに存在感が違います。 ですが、着用してしまえば重たさは さほど感じる事はないでしょう。 脇錠の金具は英国より取り寄せていますが、 ギザギザが付いていてホールド力に闌けたタイプを使用しています。   釦はベーシックに色合わせのナット釦で!           深いカーテンの様な裏仕様ですが、腰幕と言います。 畳んである襞でWとHの差寸を調整しつつ、腰回りの裏地の役割であると共に、 業界用語では『ボロ隠し』としての役目も担います。   ただ、この腰幕ですが 春夏物のご注文では基本省いています。 やはり少しでも薄く・軽く・涼しく を優先し尊重しております。         上前側のウエストバンド持ち出し部の裏側部分ですね。 比翼フロントでありホールが並びます。   一つだけ前中心にポロっと釦、、、、とても重要であり活躍してくれる釦です。 これは縫製仕様的に面倒なので既製品の類では具現化が難しい仕様です。         下前側フロント部 身頃と帯を繋ぐウエストシーム、そこにシームホールを作り、 さっきの釦がフロントの中心部を確りとホールドしてくれます。   特にベルトレスではウエストサイズがシビアでもあります。 釦フロントでもファスナーフロントでも、帯自体の固定、 そして前立ての第一釦間までの空白の距離(隙間)が開く事になりますが、 この部分を確りと安定的 かつ綺麗にホールドしてくれるのです。     因みに釦ですが、尻ポケット等に付いていた種類と違うナット釦となります。 着用すれば基本的には見えない比翼釦であり、敢えて機能と役割優先で選びます。   デザインは至ってシンプルな『どら焼き』型ですね、 淵や溝の装飾などが一切無く、引っ掛かりなどの影響懸念的な要素がゼロです。 滑りが良くてホールへのスマートな着脱に特化したデザインであると共に、 実は極微妙にサイズも小さいのですね。 これにより一層控えめで ホールへの着脱が更に楽になります。   故に 比翼釦としては立体度合を抑え、 留め外しが安易な釦が理想的と言えます。 見えない釦ですから表側の釦に合せる必要がありませんね。   こんな論理から、上着の内ポケット開閉釦にも採用しています。         縫い上がり、仕上げのプレスが終わったのち 最後に釦付け、そして各プリーツの綴じを解いて解放です!           ポケット口の両サイド、そしてプリーツ止まりには閂が施されています。 このTWEEDならではとなる 独特の波の様な織り柄にも着目して下さいね。           腰ポケットも胸に同様のデザイン、袖口にはターンバックカフをリクエスト頂きました。           解放された各プリーツ、動かないと開きませんが、、、、。         肩甲骨を支点に、腕の動きに対する追従性に特化した アクションプリーツの一つであり、これはセンターですが 両サイドへ施す仕様含め様々なバリエーションがあります。   ベントは切らずに開閉によって動きに対応しつつ、優雅な見栄えも与えてくれています。             さて、最終フィッティングです。 とても良い色ですね。               凄く素敵で 本当にお似合いで御座います。 動きやすさに驚かれつつ、 『とても気に入った!』とお喜びの声も頂戴致しました。   仕立てるのは大変ですが、とても人気の高い仕様です! インナー考慮にユトリも加味してありますので、 良き意味で様々なコーデをお楽しみ下さいませ。             O様におかれまして、実は上着に合わせてフラットキャップも! 出来れば合わせて作っておきたいですよね。   バンチから選んだ生地であれば 継続している以上は数年後でも誂え足しが可能です。 しかし、ヴィンテージや出物の類である生地は ある時にその場で御判断頂かなければ成りませんので、、、 このTWEEDもY様の御注文で終わりとなりました。     O様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。 頃合いを見て是非デビューされて下さいませ。               ・・・・・如何でしたでしょうか、何故かツィードは高揚感が違います! 皆様も素敵なスポーツスーツやコートを是非お楽しんで頂けましたら幸いです。   今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。              

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Bespoke Tailor Dittos.