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Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 王家の羊:T様のご注文② 】

    2024.09.10 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 王家の羊:T様のご注文② 】

            先週の7日には『白露』を迎えました。 ~ 明け方、草花には白露が宿り 秋が深まる頃 ~   との事ながら、実際には まだまだ連日30度越え、、、 流石に朝晩は随分と楽になって参りました。 皆様、残暑に堪える最中ではありますが 2024年はもう4か月を切っているのです! お気付きでしたでしょうか⁉   9月に入り、改めて気を引き締め直し 楽しみにしている秋冬へと臨んで参る所存で御座います。                 オーバーコートにグローブ、正に冬服へ身を包んだ装いです。 淡いライトグレー地のスーツは薄っすらと格子柄が見えますね。 フランネルでしょうか、パドックカットの上着は胸も含めた3-パッチポケット。 特に腰にはフラップも携え、色柄やディテールと共に よりスポーティーで魅力的なスーツをお召しです。                     片やこちらは夏の装い。 同じくは フロント2釦・2掛け、ノッチドラペルのパドックカット。 やはり3-パッチポケットに腰のみフラップを付けられています。 スポーティーなオッドジャケットはとても重宝出来ますよね。         こういった上着はちょっとしたお出かけやご旅行など、 やはり手にする機会は増えるはずです。 そんなポジションの上着をお上品にタウンユースでも馴染むよう もう少しだけシックに料理しようと思えば、皆様はどんな生地や色柄を選択し、 どんなデザインやディテールをご選択になるでしょうか。       今週は、前々回にご紹介させて頂きました T様のご注文より 2点目の ODD JACKET を是非ともご覧頂ければと思います。 この度のご注文におき、キーワードは『 王家の羊 』でした!                       エスコリアルの極上スーチングシリーズより、 くすんだグレイッシュなネイビー地の格子柄をお選び頂きました。 シットリと滑らかでカシミアの様な肌触り、軽くてナチュラルなストレッチ性は 頗る機能的であり、こちらはスポーツジャケットにも大変合いますね。   柄合わせも慎重に、落ち着いて裁断です。 出物とは言え高価な生地に変わりはありませんのでミスなんてしたら大変です! ですが良い生地は切り心地も良く、やはり羨ましい気持ちを抑えつつ鋏を進めます。   http://dittos.seesaa.net/article/500794032.html 【 ESCORIAL:SUITING 】                 ≪ STANDEVEN ≫ PURE ESCORIAL 250/270g     T様におかれまして、この度のご注文は ODD JK×2点 ODD TR×1本 でのご注文でした。 前回のご紹介でバーリーコーン:エスコリアルのジャケッティングで 仕立てたパドックカットはクレセントポケットでしたね。 こちらはネイビー地であり、生地もス―チングなので上品さが漂います!   ノッチドラペルのパドックカットは共通ですが、こちらのモデルは 敢えて 3-パッチポケット、腰のみフラップ付きにされました。               薄っすらと浮き出る控えめな格子柄がそそります。 スポーティーなハンド・ウエルトステッチもほど良いポイントに!                         腰の パッチ&フラップポケットです。 一見スラントに見えますが、実はパッチでの 『 クレセントポケット 』にされました。 バーリーコーンJKとの共通ポイントですね。   柄合わせも慎重に、正確に、、、。   今回フラップは敢えて堂々としたバランスにしており、この方が迫力が増します サープラスガーメントなイメージも加味して実用・機能美を味付け!   腰ポケットは、着用時に腰骨をホールドするポジションに来ますので ある意味 とても立体に作られていなければなりません。 パッチもフラップも、外回り量が含まれていなければ腰骨を綺麗に ホールド出来ませんので厳密にはフロント側で正確に合わせた柄は、 脇の方で外回り量の分だけズレる事になります。   これが理に適う構造上的な正解なので、見栄え重視に何も考えずに作り 全てにおいて柄が100%合っていた場合は逆に立体に成り得ない、 着用時 強制的に立体にされた時には必ず支障が発生します。                                     前回にも触れましたが、仮縫いはイレギュラーに行われ いよいよお仕立て上がりで御座います。     背が高くてシャープなT様の雰囲気が感じられます! 腰ポケットの迫力がとても良い感じですね。 都会的でお上品なスポーツジャケット、 T様の狙い通りとなりましたでしょうか。                       この写真だと クレセント・パッチ&フラップが分かりやすいですね!               ご紹介済みバーリーコーンJKのバックは 背ベルト付きで後姿にポイントがありました。 こちらは前面にインパクトがあるので、背は控えめに ベーシックなサイドベンツ仕立てにされました。   ベンツの重なり、下側となる前身頃の持ち出しはタップリと 贅沢な量(重なり幅)を設けており、ベンツの重なりからシャツや トラウザースが見えてしまうような事は御座いません!               こちらの上着も ターンバックカフ をお付けになりました。 釦はサッパリとシンプルなナット釦、 生地へのテイストと共に 色がグレー地でのトーン合わせです。 この配色がまた良い意味でディテールたちとのスポーティー感を繋いでくれます。                       こちらの上着も大変お似合いであり、素敵で御座います! バーリーコーンより生地が薄いので もう涼しい日を狙ってデビューされて下さいませ。                   ・・・・・如何でしたでしょうか。 BESPOKE は「無」から生み出すので、私の知識と技術が伴えば 基本的には何でも具現化できることになります。   T様のようにお選び下さった生地に対してのインスピレーションで デザインやディテールを工夫され、正にご自身のスタイル(イメージ)を 作る出す事は楽しみ方の一つです。   逆に、ベーシックでシンプル、クラシックなど真ん中を敢えて BESPOKE で仕立てられるという『だからこそ』も大変大きな意義があります。   ただ、前者の楽しみ方をされる顧客様方には共通する大きな事柄があります。 それは、既に頼りになるベーシックでクラシックな物は 既に相棒としてそれなりに抱えられているという事です。 今までのご経験値が豊富だからこそ 遊び心や余裕があるとも言えるでしょう。           ご自身様は唯一無二の存在であり、魅力も人ぞれぞれです。 自分だけの価値ある『STYLE』を 時間掛けてでも形成されて頂けましたら幸いで御座います。 そのお手伝いを少しでも賄えますよう 私自身は精進を怠りません。   T様、この度も素敵なご注文を誠に有難う御座いました。       9月に入り、H.S ORDERは秋冬ネタ仕込みにベストな時期となって参りました。 今期も魅力的な生地たちと共に 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。              

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  • 【 2024 AW:お勧めスーチング 】

    2024.09.03 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 2024 AW:お勧めスーチング 】

              典型的な2枚目のスターである ケーリー・グランド氏。 この名は 1931年に芸名を変える事になった折、クラーク・ゲーブル氏と ゲーリー・クーパー氏にあやかって C と G をもらい Cary Grant と名付けられたそうですよ!   エレガントなダークスーツは 3釦のピークドラペルによる三つ揃い。 端正で品もあり、スーツが本当に似合う英国出身の俳優ですね。 氏が格好良いのはプロでもあり ある意味では納得処かもしれません。 スターたるオーラを纏い、隙の無い着こなしと共に魅力が滲み出ております。     ですが、スターでは無くともスーツとは男性を一番魅力的で 格好良く見せてくれる装いでもあるのです。             1933年 ロンドン。 列車に乗り込もうとする紳士は 2釦ピークドラペルの三つ揃い、 ボーラーハットがとてもお似合いです。 ビジネスにおける日常着として着込まれたスーツには皴が刻まれ、 身体に馴染んだその様は なんとも味わい深き魅力を放ちます。   昨今の目で見れば ゆったりとしたシルエットのトラウザースですが、 優雅で大人の落ち着きをも感じさせてくれます。 30年代だからと言って目立つほどに誇張された太いシルエットのトラウザースは 徒花的な存在でもあり、TAILORで誂えられるクラシックなスーツは それほど誇張されたものは実際には多くありません。   『く』の字を感じさせる袖のカットは肘幅もしっかりと動きやすく機能的で男性的、 当時のカットを感じずにはいられません。   これが 正に当時での CLASSIC であり、現代にも通じる本質的なスーツでもあります。   足す事も 引く事も不必要なほどに ある意味では完成されたカッティングのスーツではあります。 しかし時代の変化や多様性は有れど、今では形だけスーツを真似た簡易な服が かなり増えすぎではありますが、紳士が着るべき、選ぶべきスーツは昔から変わりません。 それを感じ取られた方々が吊るしから昔の様に誂えへと断ち返っているのかも知れませんね。           いよいよ9月です。 暑すぎた夏、、、テーラードを嗜まれる方におかれましては早く着たいですよね。   今週は今期仕入れ分の生地より クラシックでエレガントでありつつ、 方向性は違う魅力を備えたエリートスーチングをご紹介させて頂きます。                       HENRY LESSER & SONS     当BLOGでは幾度となく登場しておりますね。 マーチャントの中で私が最も信頼し、頼りにしている老舗のメーカーであり BLOG読者の方々でしたら説明は不要でしょう。               もうこの大きなサイズのバンチもかなり貴重です。 バンチサイズ(生地見本)が小さければコスト削減にはなりますが、 顧客の方々におかれましてはマイナスであり、 やはり迫力不足ではありますよね。   http://dittos.seesaa.net/article/499684657.html   ≪ FOR THE DISCERNING MAN ≫ 同社を語るうえで欠かせぬ名言ですね。 変な飾り気も無く、至ってシンプルでありベーシック、クラシックの極みです。 当たり前な物(生地)を最高品質にて、常にブレず突き進んできたその様は 多くのメーカーが模範とした所からも高い説得力を感じる事が出来ます。   ある意味では面白みは無い、、、 いや、そもそもスーツ地に『 面白みがいるのか?』と聞こえてきそうですね。     そんな同社のコレクションは先細る一方ではありますが、 その中の一つにコチラが御座います。 3シーズンウエイトで 展開された当初を思えば頗る高級な品質です。                     H.Lesser & Sons = WORSTED SUITING WITH CASHMERE =   ABOUT 300g     残念ながら廃版となる品番、 シリーズも含め時間とともに廃版も増えて参ります。 残念ながらそんな折だからこそ縁あって当店へ来ました。 普遍的で極上、クラシックなバンカースーチングを お手頃価格で入手する事が出来た次第です。               縞柄の線の太さ、間隔、どれをとっても典型的で正に見本の様です。 この様なバンカーストライプは他メーカーでも十分に揃いますので、 わざわざ H.Lesserである必要なないとも言えます。 されど H.Lesserを選択する! 分かる人が選べば良い、正に通好みな自己満の極みです。                 こういった生地で誂え、 冒頭で列車に乗り込む紳士の様な相棒へとご自身で仕立てて下さい。 H.Lesserの生地は絶対に裏切りません!                               ラグジュアリーファブリックス社という大きな組織があり、 同社が抱える多くのミルは正に名門ばかりです。 先週にも登場しました 『王家の羊』 と称されるラグジュアリーなエスコリアルは、 主にリード&テーラーやジョシュア・エリスなどで織られ、 梳毛も紡毛もお任せあれ といったところです。   同社の運営は再編成され、老舗の STANDEVEN を看板に新しく広がって参ります。 故に固有なミルの呼称は出さず STANDEVENで賄われる流れの様ですね。   エスコリアルは独特で別格なポジションを確立するラグジュアリーな羊毛ですが、 今期AWから もともと高級であったエスコリアルは 更に驚くようなお値段になってしまいました。             STANDEVEN =TOLEDO= PURE ESCORIAL   ABOUT 300g     この度は正に幸運な仕入れをする事が出来ました。 美しきオーラを放つその表情は、極上なウーステッド・フランネルであり、 ダークネイビーとなります。   至高な肌触りと着心地、独特な機能性の高さは シュリンク性高き原毛の性能であり、耐久性的な側面はウールに同じなのです。 高級で知れたカシミアの1%しか収穫量は無く、 希少性も高いので高級である事は仕方がありません。   だからこそ、此度の様なご縁を尊重せれてみては如何でしょうか。               わざわざ耳へ表記する辺り 時代を感じさせますね。 エスコリアルの羊は、ニュージーランドとオーストラリアの極一部でのみ 放牧され毛が採取されています。 羊毛は毛を刈るだけなので持続性はあると言えるのでしょう。                 妖艶な光沢感、美しきドレープを生む その極上なエスコリアルを是非味わってみて下さい。 それは正に独特であり、唯一無二な存在なのです。                             では、今週最後のご紹介となります。 とりは 高級老舗なマーチャント、DUGDALE よりのご紹介です。   1869年 ハダースフィールドにて創業されたマーチャントです。 同社の高品質なコレクションは幅広く、生地だけではなくて トリミング(付属類)を扱う事でも有名であり TAILORにとっては有難い限りですね。   この生地は日本の老舗メーカーさんが別注された 渾身のオリジナルスーチングとなります。                   高貴なパープルを耳帯に、、、あの Taylor & Lodge が手掛けていた GOLDEN BALE のオリジナルスーチングが やはりパープルの耳でした。 FINE そして RARE 実は GOLDEN BALE  の原毛を使用して織られているとの事。   今現在では GOLDEN BALE の呼称はH.Lesser(HARRISONS)が保有する形となり、 他社は呼称できません。(判決以前の古い生地は仕方がないですね!) 全体感のクォリティーは スーパー130レベルに換算されるそうで正に丁度良い塩梅!               DUGDALE BROTHERS & CO ≪ SUMMA CUM LAUDE ≫ 100% WOOL( GOLDEN BALE ) 330g   これは ラテン語で「最優等」という意味を持ち、同社の社長が名付けたそうです。 確かに意味合い的にも GOLDEN BALE  に同じですね。   当店オリジナル別注生地であるGOLDEN BALE を含め、沢山のG.BALEを扱い、 お仕立てさせて頂いて参りましたが、 やはり見れば、触れば分かる程の品質であります。 ウールの原毛(BALE)の中で 正にエリートだけで糸に紡績されていると事です。               ダークネイビー地の綾織り地は綺麗にクリアカットされた丁寧な仕上げ、 原毛の良さと共に隠せぬ品の良さが滲み出てしまうのです。             当店の5周年記念生地でも T&L社へダークネイビー地を織って頂きました。 ウール100%でこの品質は GOLDEN BALE 以外では難しいでしょう。 綾目のエッジが効いたその顔立ち、正に普通のダークスーチング の体ながら、 実は最高原毛たる格を感じさせてくれます。   これまた間違いない逸品で御座います!                           このSUMMA CUM LAUDEシリーズは 11種のバリエーションで構成されています。 ベーシックなPICK & PICKやSTRIPEも御座いますので、 お好みの色柄が見つかるのではないでしょうか。   しかし、、、ハダースフィールドのスピナー(紡績メーカー)である JOSEPH LUMBS & SONS が最高原毛の品質を 『 LUMB’S GOLDEN BALE 』とした歴史を考えると、 呼称制限は少し不思議ですよね。                     ふぅ~、ウットリしてしまいます。 ソリッドなダークスーツ、いかようにも使えますし、 重厚なダブルブレストも魅力的ですね。   当たり前のダークスーツを拘りのある逸品で是非誂えてみては如何でしょうか。                           ・・・・・以上で御座います。 それぞれのスーチングには それぞれの個性と魅力があります。 単に高品質でクラシックなスーチングといえど、 その食材たる生地により 服となったスーツの魅力は大きく変わります。   されど傍から見て「希少な原毛、メーカーだ!」 なんて 一般的には分かる訳ありませんし、分からせる必要がそもそもありません。 誂えスーツは自己満の塊でもあるからこそ、食材から拘り、 それを最高の技術で自分好みな料理に調理してもらい、食す事。 掛け替えなきその味は、長きに渡って自分だけが享受できる至福でもあるのです。     特に今回ご紹介の後発2種は 双方ともに 100% WOOL です。 先にも触れましたが 「何も足さない、何も引かない」 日本の誇る名ウイスキーの如くであり、自信と潔さが際立ちます。 ですが、その山崎のように実はお値段も、、、。           モチベーションが上がるような相棒を育てるべく、 是非とも様々な個性をご覧になりにいらして下さいませ。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。     今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。            

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