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【 特別な周年記念生地、そして… 】
2025.05.06
生地に付いて
皆様 こんにちは。 GWは如何お過ごしになられましたでしょうか。 昨日の5日には『立夏』を迎えましたが、 同時に『こどもの日』でもあった訳ですね。 愚息も既に社会人ですし、昔と違って鯉のぼりを飾る家も見かけなったので、 こどもの日を実感する事なく随分と過ぎ去っておりました。 今週は半ば強引に 『こども』 というキーワードに絡めてお送りしようかと思います! 極上、且つスペシャルな生地を2種 ご紹介させて頂きますよ。 William Halsted イングランドのウエストヨークシャー州 ブラッドフォードにて 1875年に創業された英国を代表するミルの一社です。 スタンレーミルズ ウィーヴァーズを買収し、 1890年にはその社屋内に自社工場が建設されました。 同社のコレクションは幅広く、特にモヘアに関してはあまりにも有名であり ここ無くして今の様なモヘア系生地の発展や展開は無かったかも知れません。 多くのマーチャントが同社に御世話になっている事は明白であり、 様々な名作も生み出してきた陰の立役者でもある訳です。 今の社屋にはレーベルが増えていますね。 スタンレーミルズの傘下に加わり、集結致しております。 中はどんな感じなのでしょうか。 圧巻ですね、所狭しと沢山の織機が稼働しています。 この老舗ミルである William Halsted が今年で150周年を迎えました。 本当におめでたい限りであり、200周年目指して邁進して頂きたいです。 そんな同社より、この150周年に因み 極上の記念生地を織りあげたという話が飛び込んで参りました。 それは3月も月末近くの事です。 では、同社の公式インスタグラムより写真をお借り致します! 大きく 150 とアピールされていますね! 一体どんな生地を織りあげたのでしょうか、、、、。 因みに、W.HALSTEDの名称がゴールドの枠に収まっていますが、 この枠はシャトルです。 織機には経糸をセッティングし、このシャトル(緯糸)が右に 左にと経糸をくぐり、 交互に飛び回りながら生地を織り成してゆきます。 それよりゴルフボールも作ったの⁉ 配れますし良い宣伝になりそうですが、英国外の生地購入者には⁉ 4月1日 発売開始。 混無地の1色・1種のみ、一反限定で約20着分、 日本国内分ではなく なんと世界で20着分です。 蓋を開けてみれば、発売開始 = 完売済み、、、 流石に世界で限定20着分では少なすぎると思いますよね。 お陰様により その限定を幸運にも入手する事が出来ました。 後日談、流石にリクエストに対し供給量が少なすぎたのでしょう。 この限定生地の糸が少し余っていたので 本当に僅かですが追加生産が即決まりました。 今回は糸在庫の関係上 一桁着分です。 ですが これも初回リクエスト者で回らなかった方へ行くばかりではないかと思われます。 ではじっくりとご覧いただきましょう。 = 150周年記念生地 = HOPSACK 53% Cashmere 47% Summer Kid Mohair ABOUT 280g 厳密な混率は 53:47 ですが、ほぼ半分ずつですね。 ミミ表記がザックリと50%なのはご愛敬です。 英国を代表する梳毛織物工場であると共に、同社ならではのモヘア織物への 揺るぎない伝統を象徴するかのように最高品質のサマーキッドモヘアが使用されています。 同社のアイデンティティの中核を担う最高のモヘアには、 同じく最高に贅沢なカシミアをチョイス。 この二つの高貴な繊維がブレンドされる事は稀であり、 ハリコシ強く弾力性のあるモヘアに対し、柔軟性に富んだ最高の肌触りとやさしさ、 これらが半分ずつで融合した時どんなハーモニーが生まれるのでしょうか、、、 という企画の流れです。 また、何故ホップサックなのか。 これは互いに最高級な獣毛は細い、細い糸で織れば生地も薄い。 故に耐久性を加味し、平織地で通気性も良く 綾織りには無いマットな仕上がりでありつつも、 その綾織りの様な耐久性を加えたという事だそうです。 色も1色展開のみ、あえて中庸的でベーシックなネイビー地は一番使いやすく スーツで仕立てるも良し、ブレザーに仕立てるも良しと そんなバランスを見越したカラーが選択されました。 モヘアはアンゴラ山羊の毛であり、KIDですから まだまだ子供、 毛は綺麗で細く、、、、されど採取量は当然少なく高級となります。 特に Summer Kid Mohair は最高級の位置付けとなります。 とても不思議な生地です、、、、。 何も知らすに触った場合、モヘアの存在感がほぼありません。 せめて残るハリコシ感は強撚糸⁉ くらいのレベルであり、 カシミアの存在感が強いと言えます。 が、柔軟過ぎない、、、え~~っ??? 平織はマットにも関わらず じんわりと品のある光沢感があり、モヘア⁉ かな。 原毛(獣毛)は双方細い同士ですし、ホップサック感があまりありませんが 仮にホップサックではなく トロピカル調に織ったとすれば、 やはり耐久性に不安が残りますので流石に良く考えてあります。 ウエイトは300g弱、日本で言えば 3シーズンウエイトで一番使いやすいですね。 これは凄いですよ、贅沢です、、、、。 勿論高級でもありますが、いち職人として仕立てる機会をくださった 顧客様へ心よりの感謝を申し上げます。 順番が回りますまで 暫しお時間を頂戴致します。 ご期待くださいませ、私自身も大変楽しみで御座います。 下記は同社の公式HPより 150周年記念生地のページです。 ご興味があれば是非ご覧板頂ければと思います! 本当に素晴らしいミルであり、これからも頼りにしております。 末永く英国らしい生地を織り続けて頂きたく、切に願うばかりです。 https://www.williamhalstead.co.uk/a-fabric-to-mark-150-years-of-william-halstead A CLOTH TO MARK 150 YEARS OF WILLIAM HALSTED さて、次の生地のご紹介へ参ります。 可憐な女性を囲む二人の紳士は共に素敵なジャケットを クリームのトラウザースで決めています。 ブレザーは紳士にとって欠かせぬアイテムでもあり、 皆様のワードローブにもラインナップされておられるかも知れませんね。 しかし、これからご紹介する生地の様に こんなにも優しくて尊い生地で ブレザーを誂え、優雅な贅沢を感じてみるのも一興でしょう。 = Joshua Ellis = BABY CAMEL William Halstedより更に古い 1767年創業の超老舗。 カシミアやキャメル含め 高級な獣毛を扱う同社の製品は 世界トップレベルである事に間違いはありません。 当店でも大変お世話になっておりますが、 ここ最近では随分と体制が変わりました。 お値段の高騰もそうなのですが、同社の生地は STAND EVEN を介して供給される事になり 寂しくもありますが、そんな折にとても幸運な機会を頂けた次第で御座います。 ラクダさんですよ、しかも子供(BABY)‼ カシミアもキャメルも、そしてアンゴラ山羊も羊も 全ての BABY にはそのクオリティと希少価値性が高く、 別格の品質にウットリするばかり。 その変わり高級ですが、それを知れば、 触れば納得せざるを得ぬ程の説得力を持ち合わせています。 モヘアで触れましたが、子供ですから個体も小さく、採取できる時期、 そして量と それは希少価値が高くなってしまいます。 毛が細い分、触り心地は滑らかでシットリ、気持ちが良くて頬擦りしたくなるでしょう。 Joshua Ellis 100% BABY CAMEL 340g ジャケッティングです。 キャメル色ではないキャメル、珍しいですよね。 ナチュラルなキャメル色でのベビーは定番であり STAND EVENのコレクションでも扱われていますが この色はラインナップされておりません。 カシミアは生地を始め ストールやセーターなど 多彩で様々に綺麗な色バリエーションが展開されております。 それはカシミアの特性の中で『染色性』に優れている という要素があり、美しく綺麗に染まるのですね。 反面 ラクダさんの毛はとても染色が難しく、、、頑固なのです。 故に一般的にはナチュラルなキャメル色が圧倒的に多いのですが、 染める場合は強制的で強い色(黒や紺)であれば何とか という感じなのです。 だからと言って繊維を痛めてまで染色している訳ではないのでご安心ください。 そんな品質では売り物になりませんからね。 因みに、ラクダさんは ヒトコブ と フタコブ がいますが ヒトコブラクダさんの毛は短く太いので、高級獣毛になり辛いのです。 また フタコブラクダは 夏には気温が45度まで上がり、 冬では-30度まで下がるような激しい環境下に生息しており、 ここまでの環境下ではヒトコブさんの方は生きてゆけないそうです。 激しく厳しい環境であるからこそ、身体を守る「毛」の性能が高いのです。 細くて長く、そして軽い。 吸湿性が高くて現存繊維の中でも一番高いとの事、放湿力については羊毛をも上回ります。 BABYの繊維ですから毛も細いですしジャケット地なのですね。 ですが性能は頗る高いですから このウエイトでも暖かさは折り紙付きなのです! レアなネイビーのベビーキャメル、こんな素敵な生地で 優しい ODD JACKET を是非ご堪能下さいませ。 とても贅沢な気持ちで秋冬をお過ごし出来る事でしょう。 ・・・・・如何でしたでしょうか。 KIDにBABY、この子達でなければ成し得ぬ品質というレベルがあります。 それだけの価値があり、そんな魅力に満ちた獣毛で織られた素晴らしい生地たち。 是非 目の前で見て、触って、そして感じてください。 その魅力を纏ったときの高揚感と性能、そして満足度を想像して下さい。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。 では 今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。 ・・・・・誠に恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。 次回は 6月20日(火)を予定しておりますので、 どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。
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【 キツネさんより 春夏のお勧めファブリック 】
2025.03.18
生地に付いて
皆様 こんにちは。 三寒四温な時期を経て 明後日には『春分の日』を迎えます。 3月も後半となり 気温は20度レベルに差し掛かるとかなり温かく感じられますので この時期は服選びが難しい時期ですよね。 早めに春夏ものを仕込んで下さった顧客様方の仮縫いや御納品も始まっております。 今週は FOX BROTHERS より、今期春夏用にデビューの新しいコレクションと共に、 定番地からもお勧めな生地をご紹介させて頂きたいと思います。 ≪ MIDSUMMER FOX ≫ こちらは 2025 SS にデビューとなる新しいコレクションで御座います。 夏真っ盛り、、、そのままのネーミングにあまり考えたくないような気も致しますが、 せめて装いの上では気分を盛り上げて参りましょう。 春夏地には欠かせぬリネンをウールとブレンドして 互いの良さを引き出しあった混紡のスーチングとなります。 特筆すべきは ツイル である事! 涼しさを求めれば綾織りより やはり通気性の良い平織地になりますが、 そこはダグラス社長率いるFOX社ですから狙い目も違うのでしょう。 リネンが醸し出す素朴感がとても良い感じ、ウールの混紡されたツイル地ですから 日本では春秋メインでお考え頂けると良いでしょう。 こんな素敵な生地でブレザーも欲しくなってしまいますね。 確りとしていますからODD TROUSERS にもお勧めです! 51% WOOL 49% LINEN 230/260g このMIDSUMMER FOXは大きく2種に分かれ展開されています。 先ずは欠かせぬ平織地ですが、全10色の展開です。 定番のダーク系だけではなく、鮮やかな軽いトーンも揃います! 結構ライトなウエイトですし 平織地ですから 涼しさを優先すればコチラに軍配が上がります。 生地が薄くなれば皴も目立つところ、ウールをブレンドする事により 柔軟性が加わりつつ、復元力も持ち合わせていますので 入った皴は一晩吊るしておけば3割程度は復活しますよ! 56% WOOL 44% LINEN 320/350g 先にご覧頂いたネイビー地のツイル、それがこちらのシリーズとなります。 ウール比率がやや高く、ウエイトだけで見れば十分に確りとした存在感です。 綾織りとしての特徴である艶感はかなり抑えられ、 こちらもリネンのもつ素朴さが良い感じで表現されています。 ツイルの320g超えは都会の日中ミッドサマーには厳しさもあるでしょう。 故に ご旅行先など避暑地や夕暮れ以降に如何でしょうか。 この織り、そしてこのウエイトでなければならぬ魅力があるからこそ 自信もって企画されているのです。 先に申したように、春秋メインで考えるのであれば かなりお勧めなシリーズです。 ・・・・・これらはスーチングですからODD JKから ODD TRに至るまで幅広くご検討頂けますね。 リネンの放熱効果を頼りに スポーツ(カジュアル)、 リゾート系にもマッチしますので是非ご覧頂けましたら幸いです。 では次に、今期 春夏を見越して私の仕込んでおいた 別の FOX BROTHERS をご覧いただきましょう。 欠かせぬグレーのオッド・トラウザース、春夏用ですしサープラスな オフィサートラウザース宜しく 太くてゆったりとしたシルエットにて! 単純ソリッドは手持ちもありますので次の一手は、、、⁉ ≪ FOX AIR ≫ 100% WOOL 285/315g FOX社の展開する フレスコ地 のシリーズです。 少し前にご紹介させて頂きました GOLDEN FOX もフレスコ地ですが、 あちらはFOX社の展開する最薄なフレスコのシリーズでした。 フレスコは強撚糸を使った平織地であり、 皴に強めでハリコシも持ち合わせます。 ザラッとした触り心地は肌離れも良く、 通気性に特化した織り地となります。 この FOX AIR は FOX JOURNEY や FOX CITY などの企画でも 展開されておりましたのでGOLDEN FOXを引き継いだ 2-PLY の定番的なフレスコと言えますね。 吟味を重ね 今回選んだのは ド定番な古典柄でもある 『 ハウンドトゥース 』です! ベーシックで言えばモノトーンな配色となりますが、 それだとコントラストが強過ぎて目がチカチカしますから 個人的にはあまり好みではありません。 逆にダークグレーの様にコントラストが弱まれば格子柄感が薄れてしまいますので、 このミッドグレーが私にとって丁度良い塩梅だったのです。 細かな小格子柄ですから、ソリッドに比べて 存在感を感じられます。 とは言え、離れれば無地範疇に溶け込んでしまいますので 柄物という事に躊躇する事無く幅広く合わせられます。 よりスポーティーでオッドアイテムにも大変お勧めですよ! ハウンドツゥース柄だけでも これだけ 色バリエーションがありますので選びたい放題ですね。 裾は折り返し付きですが、前後で3㎝の傾斜が付けられています。 この有無は絶大であり、後ほど着用写真で具合もご覧下さいませ。 この日は好天に恵まれ 日中は18度まで上がりました。 そろそろデビューをとばかりに履いてみました。 平織特有のマットで素朴な感じが良いのです。 強撚糸によるハリコシもあるので フワッとした軽い着心地がご堪能頂けます。 IRISH LINENのスーツをバラシて、 はたまた BUSH JACKET にも相性抜群です。 当然見越しておりますゆえ! SPENCE BRYSON TROPICAL 370g http://dittos.seesaa.net/category/23579777-1.html 【 LINEN SUITS 】 トラーザースを変えるだけで随分とリラックスしたスタイルとして落ち着きます。 共に平織で素朴な顔立ち、パワーバランスもボチボチに相性はGOODです! このトロピカルシリーズは不朽の定番ながら、 370gですからミッドサマーには厳しいですね。 ですから もうそろそろ着始めましょう! 暑く成り過ぎる時期まで、、、そしてまた秋口に再登場です。 因みに この上着は 100% リネンですね。 シワシワに成りますし、それが魅力でもあるのです! また、その皴の入り方がウエイトにより まるで違いますので、、、 拘るお好きな方々はやはりトロピカルを選ばれます。 一旦入った皴はプレスをしない限り皴のまま、これがリネンです。 履き込んだジーンズの様にその皴から退色や擦れなどエイジングが進むのです! 逆に今回ご紹介した MIDSUMMER FOX は約半分がウールですから 着心地自体ももう少しソフトでリネンらしい清涼感と皴は十分に楽しめます。 楽しめつつ、ウールによりある程度皴を抑えつつも 入った皴は多少復元されるのです。 折り返しの裾上げに付き、一般的には脇の縫い目に対して直角に上げられます。 筒に対し、単純に考えれば斜めに折る事は不可能ですよね。 それを可能にするのが技術でもある訳です! これは前後3㎝の傾斜が付いていますが、縫い目に対し直角で上げた場合、、、 前裾の具合(クッション具合など)が良くて股下を確定した場合、 後裾側は写真の位置から3㎝も上がってしまう事になります。 逆に踵部のホールド感を良しとして股下寸法を確定した場合、 前裾に+3㎝も付いてしまいますのでグニッと それなりのクッションが入ってしまう事になります。 その様に見れば価値が歴然と見えてくるでしょう。 当店では前後差3㎝をベースに、お好みであれば傾斜も緩く、 もしくは強くする事も可能ながら、程好いバランスとは裾口幅にも連動しています。 では最後に この『 FOX AIR 』を一部ご覧いただきましょう。 グレナカートチェックがお好きなダグラス社長らしい素敵な配色の ファンシーグレナカートですよね、こんなタウンスーツも是非来てみたい。 グランドがモノトーンベースでない事もGOOD! 欠かせぬソリッドシリースは色バリエーションも豊富であり、 一部MIXも含まれています。 スーツは勿論、オッドアイテムで差し色としても選び甲斐がありますね。 ストライプも御座いますのでビジネススーツにも是非如何でしょうか。 春夏地ではフレスコは欠かせぬ存在です。 激渋なガンクラブチェック、、、おっさん臭さもそれまた魅力! こういった伝統的な古典柄を どう味付けして素敵に着こなすかが楽しいのですよね。 ガンクラブチェックと言えば、英国王も皇太子の頃に着用されていた この強烈にブリティッシュなインパクトが脳裏に残っています。 凄く素敵です、、、、。 下の写真 インナーはP.O.Wチェックのシャツに レジメンタルタイ、そして靴はBLACK! ・・・・・以上で御座います。 着てみたいと思われる様な生地は御座いましたでしょうか。 素敵な相棒を見つけに 是非とも皆様のお越しをお待ち申し上げております。 今週も付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。
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