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お客様のご注文

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 LOVAT TWEED:5P-SUITS 】

    2022.01.18 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 LOVAT TWEED:5P-SUITS 】

        寒中見舞い申し上げます。 店頭では 梅ちゃんの花が開いて参りました!     明後日の1月20日には『大寒』を迎えます。 2月4日の立春まで 一番寒い時期とされていますが、2月はまだまだ寒く もう少し寒き冬を堪能致しましょう。   こんなにも寒い時期では御座いますが、店頭の生地も今月末までには 秋冬から春夏生地へと入れ替えさせて頂く予定で御座います。   2月14日まで、H.S.ORDER限定による【早期受注キャンペーン】も開催中で御座います。 宜しければ是非この機会を御利用頂けましたら幸いです。                 ウインザー公ご夫妻です。 公の着用されているスーツは今の時代 ほぼ見られませんね。 シングルブレストの2釦ですが、2個掛けです。 釦ポジションはWラインを跨ぐ高い位置に設定されています。   通称 パドックカットと呼ばれますが、認知度含め一般的ではないでしょう。 当BLOGでも4話くらいにあたって掲載致しております。   http://dittos.seesaa.net/article/418036041.html 【 PADDOCK CUT 】   1920年~30年代には極一般的なデザイン・仕様の一つとして 普通に着用されていた2釦スタイルですが、これが今では釦ポジションは下がり 上一つ掛け・下は飾りで留めない というスタイルで落ち着いています。   パドックカットは こういったカントリースーツは勿論の事、 ビジネスシーンなどでのダークスーツでも採用されていました。 A.イーデン氏も有名な御愛用者ですね。   公の着るこの上着にはもう一つ特徴がありまして、腰ポケットをご覧下さい。   傾斜の付いた スラントポケット は今でも普通に見受けられますね。 しかし このポケットはカーブを付けて仕立てられています。   クレセントポケット(ハーフムーンポケット)などと呼称され、 このカーブを『三日月・半月』で表しています。           公のワードローブは膨大ですが、パドックカットの服も少なくはありません。 こちらのカントリースーツはベージュとブラウンの格子がそそるツィード、 プラスフォワーズ(4より6気味!?)でのスーツで誂えられています。   時代的な部分(カット)も踏まえ、ラペル幅は比較的にシャープであり、 ゴージラインの鋭角な傾斜角度なども特徴となり、 やはり打ち合いも今より深めにとられています。             さて、大変博識で御自身のスタイルを若い頃より確立されておられる大変お洒落なH様より この度も素敵な TWEED SUITS をご注文頂きましたので御紹介させて頂きます。             ヴィンテージと呼ぶほどでは無いレベルでの 古い LOVAT TWEED は、 ベージュとブラウンが美しきコントラストの クラシックなハウンドトゥース(千鳥格子)柄です。 LOVATと言えばスコッチツィードの雄ですね。   イメージは正に公のスタイルよりリクエスト頂き、 私なりにH様だけの服へと落とし込みさせて頂いた PADDOCK CUT です。   手前味噌ながら本当に渋くて素敵です。 釦は2個掛けであり カチっと打ち合いは定まり、 Vゾーンも小さくなる分 引き締まった印象になりますね。         先ずは裁断です。 全ての生地は『地のし』と言い、縮絨を掛けつつ 地の目を整えるという工程が必須となります。 その後に生地を冷ますと共に寝かせてから裁断です。 格子柄は縦横 直角、、、であってほしいのですが、生地は巻かれて保管されていますし、 何かと歪みつつ、ミミ側とワナ側では格子感覚さえズレていたりもします。   格子柄ですから 本当に様々な個所で柄合わせが必要です! その為にも 正確な裁断が無ければ成し得ないのですね。   縦地、そして横地、 直線具合と直角具合を合わせつつ型紙をおいて線を引きます。 更に本来は左右で2枚取り裁断しますが、柄物は片方1枚で裁断し、 左右パーツの柄をキッチリと柄合わせして 残りの片側裁断を致します。   この1枚裁ちは縞柄や格子柄には不可欠な手間であり、無地では行われない事です。 表裏では案外本当にズレているので、それだけ注意して裁断しなければ成りません。   という事は、、、、無地も実はそれだけズレているが、 見えない・分からない という事になります。 こういった柄物裁断の経験値を無地裁断では出来る限り予測対応する事になります。             仮縫いが組み上がりました。 H様の御注文の多くは スラントポケットを採用されていますが、お好きな指定角度が御座います。 今回は その指定角度から乖離し過ぎないレベルで カーブの付いたクレセントポケットにてご注文を頂戴致しました。           今回のご注文は 3Pに加え、ご覧のプラスフォワーズ(+4)、 そしてFLAT CAPにて 計5P-SUITSでのご注文となります。   +4は海外含めカントリーサイドへ御旅行なさる時などに御愛用下さっておられ、 素敵な写真も送って下さり光栄な限りで御座います。 (もう随分と欧州には行けておられませんから寂しいですね。)           いよいよ仕立て上がりました。 胸のウエルトポケット、柄が合い過ぎて 無いみたいです(笑)!   この堂々としてハッキリとした格子、サイズも大柄に感じるかも知れませんが、 逆にカントリースタイルですし この位ないとパンチ不足です。 この柄サイズだからこそ、美しきコントラストも生み出せるのですね。 もっと拡大しないと分かりませんが、TWEEDゆえ 絶妙にミックスされた糸で(特にこのブラウンは)表現されています。   シャープなノッチドラペル、鋭角なゴージライン、お好きな方々は こんな所にまで目を向けておられますし、本当に良く研究されお詳しいのです! それだけお好きであり、拘りがお強い訳ですね。 逆を言えば、こういったご注文になると カッターが理解出来ていなければ 上手く具現化出来ず 説得力も乗りませんから お店選びは自ずと大切な事になるでしょう。           胸部のボリュームがとても綺麗に出ています。 横地はどこまでいっても限りなく 真横に見える事、、、とても当たり前な事です。   しかし、洋服な複雑な立体によって人体を包んでいます。 様々なカーブで構成されており、『 限りなく真横に見える様に 』 という技術・テクニックが使われております。 アイロンによるクセ取りは勿論前提ながら、 芯据え含め 様々な個所で気が配られているのです。               最終FITTINGでのご来店の日、 この度のTWEEDに合せたコーデでご来店下さりました。       ウエストコートは 5釦・全掛け のスタイルです。 よりコンパクトな雰囲気が出ます。 ウエストコートのバリエーションも多岐に渡りますが、 これも時代性がマッチしたセレクトと言えますし 流石はH様のセンスで御座います。           格子柄のシャツはダブルカフス、素敵なカフリンクスが見えますね。 H様のカフリンクスコレクションは半端では無く、 博物館級の貴重な物まで本当に沢山お持ちです。   こちらはアンティークで犬のモチーフが描かれており、左右でDOG君も違います!   この形態は半球体の水晶にモチーフを彫り込みます。 多くの場合、犬やキツネ、鳥など様々であり、 ODD WAISTCOAT等に付ける釦も御座います。 掘った後、そこに少しずつ慎重に 一番表面に出す(出る)色より 色を落とし込む様に付けて参ります。 着色が終わり 捲ってみれば、、、、立体的なモチーフの登場です。   この類のアンティークでは、古ければ古い程に モチーフの表現も精工・精密であり、 犬やキツネなどの表情も多彩で精悍な表情の顔立ちを見せてくれます。 お好きな方はご存知でしょうが、本当にレベルが全然違います。 このDOG君の端正な顔を見れば、 このカフリンクスの価値が分かる人には分かる代物と言えるのですね。         靴もBESPOKEされた素晴らしい品質のスェードフルブローグ、 タッセルがお茶目なポイントですね。           素敵です、、、、、、。 タイはキツネ君のプリント・モチーフタイ、 カントリーテイストでバッチリまとめて頂いております。                     +4にFLAT CAPも加えてポーズも! 流石の着こなしであり、H様らしさが滲み出ています。               ・・・・・大変お喜び頂け、私自身も嬉しい限りです。 この日は寄る所があるとの事で そのまま着て帰られるとの事。 トラウザーズに着替え、チーフも加えて完璧な装いです。     御予約・お取り置きの貴重な生地達より さて「次は…」   H様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。 次のスーツも是非ご期待下さいませ。               ・・・・・如何でしたでしょうか。 皆様も是非 冬の装いを存分にお楽しみに下さいませ。     では、皆様のお越しを心よりお待ちしております。 どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。            

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  • 【 CHESTERFIELD COAT:G様の御注文 】

    2021.12.21 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 CHESTERFIELD COAT:G様の御注文 】

              1938 LONDON:セントポール大聖堂       週末はいよいよクリスマスを迎えます。 日本海側は雪ですし、流石にこっちも凄く寒いですね、、、、 コートも欠かせぬ季節ですが、やはり冬はこうでなければ成りません!             膝丈から膝ホールド丈、身体に寄り添うエレガントなシルエットの チェスターフィールドコートの上衿には揃ってベルベットで仕立てられていますね。 そして帽子に傘と 正にイメージ通りの英国紳士像ではないでしょうか。 昨今では こんなにもエレガントでクラシックなコートを市場で探す事は困難かも知れません。 であれば誂えれば良いだけです!         今週は、極上なコートを誂えて頂きましたG様のオーバーコートを御紹介させて頂きます。           極プレーンでクラシックなシングルのチェスターフィールドコート。 特に胸ポケットを排除されている辺りがミソです!   上衿にはベルベットを掛け、腰のポケット類は片玉縁仕様にてリクエスト頂きました。   品があり、とても暖かそうでもあります。 このエレガントなチャコールグレーの生地は、、、         (この写真に写る生地色は ダークネイビーとなります。)     Joshua Ellis 100% CASHMERE ABOUT 500g     http://dittos.seesaa.net/article/482432560.html 【 ROYAL CASHMERE:OVER COATING 】         軽過ぎず、重過ぎない使い勝手の一番良いウエイトです。 最高のカシミアはリップルフィニッシュされ、 近くでみれば波の様なうねりがあり、濡れているかの様な瑞々しさがあります。   カシミアもピンキリですが、J.Ellisなら間違い御座いません。 見れば、触れば、誰しもがウットリとしてしまう最高の肌触りです。 確りと密に織り上げられ、暖かいに決まっていますね!             早速 中仮縫いに来て頂きました。 確認の写真を頂戴しておりますが、 会話と仮縫いに集中し過ぎ 気付けば既に袖を取ってしまっていました!   アームホールの連動性も申し分御座いませんね。   インナーであるBESPOKE SUITSは、今年の7月に御納品させて頂いたばかりです。 光栄にも当店での1st-SUITSとなります。 オーバーコートの型紙は その土台となるインナーの 上着型紙より展開されておりますので安心感が御座います。 当然ながらベストマッチングするのが分かりきっている事であり、 テーラードなオーバーコートはインナー次第という事になります。             インナーとして御着用されているスーツは、 VINTAGE:Taylor & Lodge  GOLDEN BALE ネイビーのヘリンボーンをお選び頂き、お仕立てさせて頂きました。   http://dittos.seesaa.net/article/462576555.html 【 VINTAGE Taylor & Lodge 】     G様は 背が高く、がっしりとしたお身体をされた魅力的な紳士で御座います。                   さて、12月も中旬です。 何とか一番寒い時期へ御着用頂けるよう お仕立てさせて頂きました。   G様 とても、とてもエレガントです、、、、。 丈は膝ホールド、上衿は黒のベルベットですが ベースのコート地がチャコールグレーですからそこまで目立ちません。   袖口も4釦のワーキングカフで兎に角シンプルで この最高な生地を際立たせます。   裏地の裾は手間のかかるフラシ仕立てですが、丈も長く この仕様が一番表地に影響を与えずFREEになりますから動きやすく、 ドレープも出やすい事になります。 女性のスカートに同じですね。     クラシックな正統派、廃れる事無きエレガントなコートは 派手さなんてむしろ必要ありません。 シンプルでベーシックなアイテムを最高の生地と最高の仕立てで、、、、 一番贅沢であり、あるべき姿でしょう。   G様の口角が上がります! お喜び頂けたようで何よりです。           なかなかご自身様では見る事の出来ぬ後姿は如何でしょうか。 男らしき後姿が語りかけてきますね。 とても綺麗であり、背中のフォルムに寄り添うさまが窺えます。   目を凝らしてみると 左肩下がり が分かるでしょうか。 勿論 対応しているからこそ左右均一に肩へ乗ります。 ご自身を支えている背骨のネック部、そして両肩、 このコートの重さが全て綺麗に整って分散されますから着心地も軽く感じるのです。   例えば既製服で考えてみると、G様は撫で肩傾向にあるのでFITTING精度は 低くなってしまうでしょうが、更に左肩下がりになっていなければ 左右の肩に乗る比重が変わりますし、身体に合わぬ歪み=皺が生まれます。   G様は腰(お尻)も確りとされているので ウエストの括れから立体的で格好良い臀部を包み込みます。   皆様それぞれの御体型は個性です!           本当に素敵であり、二度見してしまいます。 極上のカシミアですし、ウエイトより更に暖かく感じられる事でしょう。 腰ポケットの袋地はコットンネルを使用していますので、手を入れても暖かいです!     G様、この冬から存分にご活用頂けましたら幸いです。 お爺ちゃんになるまで このコートはずっと相棒であり、 シーズンオフ時には多少保管に気をお使い頂き 長きに渡って可愛がってあげてくださいませ。       この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。   春夏用に御予約頂いております SUPER BRIO の デザインや仕様は定まって参りましたでしょうか。 今から楽しみにしておりますので、年明け ご連絡をお待ちしております。           ・・・・・今一度 年末・年始のご連絡となります。 年内は 12月27日(月) が最終営業日となります。 年始は 1月5日(水) より通常営業に戻ります。   大変ご迷惑をお掛け致しますが、何卒宜しくお願い申し上げます。         ・・・・・2021年のBLOG更新は本日がLASTとなります。 本年も大変お世話になりまして、心よりのお礼を申し上げます。 誠に有難う御座いました。   来年のBLOG更新は、1月11日(火) を予定しております。 こちらも暫しお休みを頂戴致します。       では 大切な方々と素敵なクリスマスを、 そして良いお年をお迎え下さいませ。   どうか来年も宜しくお願い申し上げます。              

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