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【 2025 春夏 / お勧めスーチング 】
2025.02.04
生地に付いて
= SUMMER DONEGAL = http://dittos.seesaa.net/article/503308349.html 【 2024春夏 / お勧めファブリック 】 カントリーなツィードをタウンやリゾート含め 春夏でも幅広く楽しめるようにと生み出されたサマードネガルツィード。 スポーツスーツからオッドジャケットまで幅広くご堪能頂けます。 気になっておられた方がいらっしゃいましたら是非お気軽にお声かけ下さいませ。 残り僅かとなって参りました。 早くも2月に入りました。 昨日には『立春』を迎えましたが、その前日が『節分』ですね。 節分は「季節を分ける」という意味であり、 本来では立春、立夏、立秋、立冬と年に4回の節分があります。 今では主に2月の立春後が節分という認識が強いですね。 季節の変わり目に起こりがちな病気や災害を鬼に見立て、 それを追い払う儀式だそうです。 立春とは言えまだまだ寒いのですが、 洋服屋は春夏へとシフトして参ります。 特に誂え服は仕立てる時間を見越さなければなりませんからね。 店頭の生地たちも春夏物へ入れ替え致しました。 今期 春夏用含め、買い付けていた生地が随分と入荷してきております。 今週は SUITING を主体に新しく入荷した生地をご紹介させて頂きます。 CHARCOALGRAY 木炭を意味するチャコール、黒に近く濃くて深いグレーですね。 ブラックほどには強くなく、角の無い優しさを持ち合わせた 上品でシックなこの色は紳士のスーツには欠かす事は出来ません。 個人的にはネイビーよりもグレー派な私が心底お勧めできる チャコールグレーのスーチングは常に店頭在庫にもご用意があります。 ただ 個人的お勧めの筆頭たる生地も現物で御用意をしておきたく、 バンチではないリアルな生地を目の前に、その存在感と説得力を直に感じ、 そして纏って頂けるよう御用意致しました。 H.Lesserの生地は廃版が増えている折、 無くしてはならぬ生地さえ対象になっている経緯もあったので 手に入るうちにという側面も御座います。 FOR THE DISCERNING MAN ・・・まさに同社のプライドとポリシーを感じさせます。 控えめで厳かでもありつつ、寛大で在れ。 濃く、深い色出しとセンス、同社の当然たるクオリティー、 フォーマルも意識に入れているであろうこのポジション(チャコールグレー) に託された想いを感じさせてくれます。 そんなチャコールグレースーツのポジションを、 ポテンシャルを今一度見つめ直すには最高の生地です。 http://dittos.seesaa.net/article/499684657.html 【 FOR THE DISCERNING MAN 】 現行ネームはガラリとモダンでシンプルになって少し寂しい、、、。 H.Lesser & Sons LIGHTWEIGHT 11/12ozs (ABOUT 350g) CHARCOALGRAY / HERRINGBONE ・・・・・序幕はエレガントな3シーズン用のダークスーチングでしたが、 以降は正に春夏地をご紹介致します。 昨今のリアルな状況にも心底お勧め出来る生地を厳選仕入れしております。 暑きシーズンは長くなり、それと共にカジュアル化の進行も御座いますね。 ノータイ含めビジネススーツさえ着用しなくても良いのであれば、 逆に自由な装いを楽しめるというものです。 ONとOFF 双方での垣根低くテーラードクロージングを楽しめると考えれば、 お好きな方々にとってはむしろ好都合でもあるのではないでしょうか。 打ってつけの生地をご紹介させて頂きますよ! Hield Brothers 1922年 ウエストヨークシャーにて創業されたミルで御座います。 高品質な服地に拘り続け、英国の繊維業界に寄与してきた同社は 英国王室より二度も表彰を受けている実績があります。 経緯双糸使いで確りした打ち込みは正に英国服地らしさを伴い、 その拘りぬいた高品質な生地はエリザベス女王が乗られていた ベントレーのシートにも採用されていたとの事です。 ブラッドフォードに工場を構える同社の旧ネーム、 強面なヒツジさんの顔がインパクトありますね。 この生地は VINTAGE であり、ネームも古い時代のもので とても素敵で味わいがあります。 (現行のネームは随分とサッパリしたデザインへと一新されています。) 昔の生地は大抵裏にスタンプがおしてあります! なになに、、、ヒールドのスーパー仕上げが施されているそうですが どんな仕上げでしょう⁉ 650とは⁉ このスタンプはアイロンに付くので、、、地のしの段階より注意が必要です‼ そんな事もあってか 現在は押されていません。 新鮮でとてもレアではないでしょうか⁉ SUPER 200を超える技術を持つ昨今、当然ながら当時では スーパー100や120がMAXですから70でも十分に素晴らしい糸です。 見方を変えれば耐久性にも優れ、VINTAGEならではの素朴な質感、 ゴワっとした強気なテイストが逆に心地よい。 昔はスーパー表記なんて100以下が普通でしたから懐かしいです! VINTAGE : Hield Brothers 100% WOOL ABOUT 300g 素朴で落ち着きのある 『Grass Green』 の PICK&PICK。 グラスグリーンは くすんだ黄緑色を表します。 グラス=直訳すれば草ですが、 西洋で言う草とは牧草のイメージが強いのだそうです。 当時は今の様に細い糸へ紡績できませんので、このウエイトで当時の春夏用です。 今の日本で考えると 春夏寄りな3シーズン用 というポジションですね。 このくすんだ色味、実は経糸に2色を交互に使い この独特な色調と霜降り感を醸し出しています。 オリーブとカーキで織り交ぜた絶妙で魅力的なグリーンが表現されていますね! 綾織地でコシもあってヒールドらしい! ややドライなタッチで糸が細過ぎない分 耐久性は優れているのですね。 こんな絶妙な色、現行ではそうそう見ないですよ、、、 素晴らしき魅力を放つVINTAGEです。 素晴らしい色、風合い、間違いなく格好良くて魅力的な生地です。 が、色味が絶妙過ぎ これでも結構修正をかけ色調節していますが、 そんな苦労も皆様のモニターを介せば またそれぞれ。 是非ともご自身の目で確かめにいらして下さい、 きっとその魅力が瞬時に伝わるはずです! では 次に参りましょう。 どうしたの、、、気になるのかい? ちゃんとFOX BROS からも良いの入れたで~、(うちの)フォックス君! FOX BROTHERS より、『 GOLDEN FOX 』というシリーズです。 1772年創業の老舗ミルであるFOX社は説明いらずですね。 同社の展開するコレクションにて最軽量を具現化したのが このシリーズ、 実は廃版となり 今では FOX AIR がその役割を引き継いでいると言えます。 強撚糸を使った平織地、通気性に特化し、皴にも強くて シャワシャワした肌触りは汗ばんだ肌にもサラリと心地よい。 2種のネームを所有していまして 奥の勇ましいFOX君に比べ、 手前の旧ネームに鎮座するFOX君がエモくて好き! 春夏では強い日差しを避け、ダークトーンからライトトーンへ脱却です。 その中でもベージュのスーツは既に確固たるポジションを 確立していると思いますが如何でしょうか。 ベージュ色も広い、広い中よりこんなにも 爽やかで美しい 『 SAND BEIGE 』 を入手致しました。 FOX BROTHERS GOLDEN FOX 100% WOOL 230g 春夏カテゴリーにおいてもかなりの軽量級です。 200gレベルのペラペラに薄いスーチングもありますが、 ここまで行くと強度が担保できませんので ポリ混などであればある程度は安心です。 天然繊維に拘り、少しでも暑き夏をも快適に過ごせるよう GOLDEN FOX は生み出されました。 ベージュでも淡くて正に美しき砂浜のよう、、、 ボーターやパナマハットが似合いそうですね! FOXとHIELDを並べてみました、ヴィンテージと少し前まで現行品。 織り糸の太さが違えばウエイトも違います。 織り目も良く見ると ヒールドの方がザックリしているのが分かりますね。 また、単色糸のサンドベージュの色の出方とヒールドの2色交ぜ織り、 それぞれの個性を感じられるのではないでしょうか。 どちらも淡くて優しいアースカラーで心が落ち着きと共に和む色味、 暑きシーズンでもせめて爽やかで清涼感のある色味を纏い、 清々しく過ごされて下さいませ。 では、次のご紹介も FOX BROS:GOLDEN FOX となります。 これも、これにもハートを射抜かれてしまいました(笑)。 グレナカートチェックが大好物なダグラス社長、 格子の料理が本当にお上手で熱のこもった気持ちが伝わります。 右は正にグレージュ、左に、、、、ブルーシュグレー⁉。 後者(左)はグレージュの様な造語が無く、グレーシュブルー、ブルーグレーは ブルーが主体ですから違う色であり、こちらはグレー主体の青味入りな色! 『 スカイグレー 』 = 曇り空の様な、わずかに青みを帯びた明るい灰色 (by.世界の伝統色) 聞き馴染みないかも知れませんが、 イギリスらしい天候の色味とも言えそうですね。 グレナカートチェックに強めなウインドーペーン枠を重ねた ファンシーグレナカート、マスもやや大きめに 遠目にはウインドーペーン柄に使い印象で見える事でしょう。 控えめ過ぎず、目立ち過ぎもしない、正にスーチングに相応しい。 本当に洋服が好きでお洒落な方が企画しているというのが分かる FOX BROS は流石であり とても素晴らしいコレクションを魅せてくれています。 スカイグレーは青味もあるので涼し気かつ清涼感があります。 グレージュは落ち着きと優しさに溢れ、 とても柔らかい印象を与えてくれます。 買い付けはどちらかにしようとも思いましたが、選べませんでした! そのくらい魅力的であり、双方の良さが違います。 先のサンドベージュに同じく 強撚糸使いのトロピカルで 極薄な230g。 この快適スーチングをボイルやリネンのシャツを着て 強き夏さえ乗り切りましょう。 ・・・・・如何でしたでしょうか、 今期買い付けた お勧めファブリックの第一弾となります。 冒頭のチャコールグレーはさておき、春夏用のスーチングたちは正に ON/OFF 兼用できる生地たちでもあり、スーツで誂えておけば それぞれバラしてコーデも楽しめる事が大いなるメリットです。 他にもお勧めな生地が入荷しておりますので、 追ってご紹介させて頂きますのでご期待くださいませ。 というよりも、BLOGの更新を待たずに 是非ともお店へ直接見にいらして下さいませ! 春夏地に囲まれて寒々しくもありますが、、、 店内は温かくして 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
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【 WW2-British Army Officers Shirt 】
2025.01.28
日記
皆様 こんにちは。 今週は息抜きに 少しマニアックでオタクなお話に お付き合い頂ければと思っております。 日頃より 『クラシックな紳士服は歴史である』 と申しております。 多くの軍服、そして貴族の生活様式など含め 少しずつ発展と進化を繰り返して現代に至ります。 紳士服を理解する上で歴史的な勉強と共に、 リアルな古着から学ぶ事は本当に多く、 その服達は正にその時代そのものを表しているのです。 生地や裏地、芯や糸、釦などのみならず、そのカット(型紙)や テーラード(縫製)から様々な情報を得る事が出来る宝物のようでもあります。 特に軍服は生死にも関わるものです。 機能性や耐久性、快適性など踏まえ 創意工夫と共に 当時一番の最適解が導き出されて参りました。 今週は VITAGE SHIRT をご覧頂きます。 正にハンドメイド製であり、依頼により仕立てられた BESPOKE SHIRT とも言えるでしょう。 1950 PATTERN:BUSH JACKET http://dittos.seesaa.net/article/488475454.html 【 BUSH JACKET⑤ 】 TAILORである当店唯一の既製服であり、 拘りを貫き 生地より復刻した自慢のサープラスガーメントです。 (上記リンクより 歴史から着こなしまで全5話御座います。) これから来てしまうであろう 暑い日々には最適解たる一つです。 ご家庭洗濯機で気軽に洗えますので、汗や汚れに気兼ねなくお楽しみ頂けます。 現状まだ全サイズ揃いますので、どうかお気軽にご試着へお越し下さいませ! そういえば今年は新作タイと共に、新作のスカーフも仕込みましたので 是非小物も合わせてご期待下さいませ。 このBUSH JACKETが 実際に活躍していた頃のシャツ が今回のテーマなのです! 1942 キング・ジョージ6世(インド皇帝)は 初期型BUSH JACKETをお召しです。 B.モンゴメリー中尉が着用しているシャツ、これは大きく括ると 『British Army Jungke Green Shirts』となりますかね。 エポレットが付き、カモメの様なカーブを描くフラップが 特徴的なポケットを携えたサープラスシャツです。 確りしたツイルから、今は無きAIRTEX、そしてフランネル製なども見受けられます。 各地環境に適した素材で作られていた背景を垣間見る事が出来ます。 1942 British Army:A.パ―シバル中将 クタッとして肌馴染み良きそのシャツは 柔らかそうで AIRTEX の様に見受けられます。 腕捲りをしている事からも暑そうである事が分かりますよね。 同じくA.パ―シバル中将とご兄弟。 今度は半袖バージョンですね、この素材感と共に フラップの存在感が堪りません! = WW2-INDIAN MADE BRITISH ARMY OFFICERS SHIRTS = この古着が販売されていたお店での呼称は BRITISH INDIAN ARMY:AIRTEX製プルオーバーシャツとありました。 BRITISH INDIAN ARMY = イギリス領インド軍 1947年の国家独立までインドにおけるイギリス帝国の主力軍隊でした。 INDIAN MADE これは呼称の如く現地インドで 仕立てられた注文シャツ⁉という事ですね。 国からの官給品の場合、ブロードアローのマークが付けられており サイズ展開も多岐に渡ります。 このシャツは何も付いてなく、裏に掠れたスタンプがありましたが、 位置が不自然・不適切な事を考えると 生地自体に押されたものであり、 それを避けずに裁断したのではないかと推測されます。 クラシックなOLDシャツの典型でもある長い着丈、 シャツテイルの類は現代の様にトラウザースから出して着用する物ではありません。 背中は軽めなギャザーのようにも見えますが、 ヨーク接ぎ目の縮みによるものであり、比較的にセンターよりで 両側にプリーツが畳まれています。 AIRTEXのコットンたる素朴さ、良くも悪くも新しければゴワっとしており、 着用や洗濯を繰り返してクタクタに育っていき、 上記の方々が着用していたように第二の皮膚かのようになって参ります。 この服は1940年代製(約80年前)という時代を考えれば 非常に綺麗で優秀な個体であり そこまで着古されていません。 とにかく格好良い! 状態の良さ、レア度、私自身が着用する前提でサイズが合う事、 喜んで手に入れた事を思い出します。 興味のない方から見れば古汚いオンボロシャツに過ぎませんね(汗)。 これは1940年代のインドで仕立てられたフルハンドメイド (総手縫いという意味ではありません。)なオフィサーシャツです。 これからディテールをご覧頂きますが、もう驚きの連続です‼ ツッコミどころ満載であり、これからツッコミまくりますが 勿論愛を介してですよ! とても気に入っており、真面目に愛おしくさえ思っています。 当時の情景や価値観も見えてくるようであり、 TAILORならではの目で覗いてみましょう! (今回は分かりやすいので主に縫製面を見てみますね。) 読み終えた頃には皆様もこのシャツが愛おしくなっているかも知れません(笑)。 釦ホールは手かがりです。 生地は織物ですからメス(切り込み)を入れれば解れます。 その解れ自体を堰き止めるのが手かがりの役割です。 ナポリ製のシャツでも一時期流行りましたね。 でも、、、、こんなにスカスカ密度、 これで良いの⁉ 初めて見るレベルな密度です(笑)。 ですが解れてこないので条件を満たしていますし、むしろ強引に良く考えれば 密度がスカスカなのでホール自体も柔らかい、 されどホールサイズがギリギリ過ぎて釦通りがキツイ(汗)。 典型的な英国的レギュラーカラーであり、 確りとしたタイスペースが設けられています。 襟には芯地を入れておらず、とても柔らかくて キーパーの類さえ装着しない作りです。 言ってみれば一番単純で簡単ですが、、、 襟は顔ですからね、とてもハンサムさんです! でも、、、ステッチ、、、自由過ぎるでしょ、解いて掛け直さないの~⁉(笑)。 ステッチは補強であると共に飾り的要素も含まれます。 これは笑えたし本当にビックリしましたが、 可愛ささえ持ち合わせている、、、 クライアントは何も言わないの? 気付かないの? カモメの様なバットマンの様な、インカーブの効いたフラップ。 これは スカラップフラップ とも言われ、その逆山型で波の形状を ホタテ貝に見合わせ そう呼ばれています。 強きインカーブ、ピークも角度が狭いですね。 ここまでインカーブを強く描くという事は、相当縫代も細くさらうか、 切り込みを細かく入れないと ここまでのRは出ません! やりますね‼ ほら、言わんこっちゃない、、、 縫代をさらい過ぎてパンクしちゃってる! AIRTEXは見ての通り生地もスカスカだし、 地縫いミシンのピッチも粗すぎるんですよ~。 分かりやすいな~♡。 胸部ポケットの中心にはインバーテッドプリーツが畳まれています。 が、地縫いされているのでプリーツは開きません‼ え~~っ。 飾りですね、了解です! フラップをめくり、パッチポケット口裏の処理。 一つ折の切りっぱなし、、、スゲ~! 裁ち目を隠すよう折襞を三つ折なんてしたら 確かに相当な厚みです、であれば口布接ぎも一つの手。 見えないし手間を掛けずに出来る限り単純に薄く処理されています、、、、 潔い(笑)。 肩にはエポレット、小さなハトメ穴が見えますが これも手かがりです。 スカスカ密度は通常運転! 冒頭のエポレットには写真にある様に階級章を付けるので ハトメ穴はその為のものですね。 裏をめくれば、、、、ちょっと、、、 一つ一つかがりきらず、次にツイッチ。 糸がモロに渡っていますが こんなの有り得て良いですか(笑)、 でも裏ですし見えないですもんね! (糸も縮んだか、少し吊ってしまってますね。) ステッチも相変わらずフリールートですが、 本来の狙いは何ミリでしょうか⁉ エポレットを留める釦付け、ちょっと待って、、、 玉止めがこんなにデカくて更に表側ですが宜しいのでしょうか、、、 根巻すら乏しく、かつユルユル、、、 私の顔もユルユルにとろけました(笑)。 玉止めはせめて裏側とか、、、これじゃあお母さんが付けたよう、 いやお母さん上手いぜ! 因みに私が付ければ玉止めさえ絶対に見せません。 ふぅ~~、もう随分と楽しませてくれましたが、 まだまだ後半戦が控えていますよ。 おっ、長いテール 脇のスリット止まりには丁寧に補強布が付けられ、 当店シャツもそれに準じています。 スリットではない 後ろから前へ波型に繋がったシャツテイルは 生産効率・簡略化によるものですので、これがあるべき姿です。 補強布はバイアス使いですね、程好いクッション性を狙ったのでしょうか。 ‼‼ 木っ端な端切れより 四角で裁ち合わせ、 半分に畳んでそのまま素でステッチ付け!? え~~、当然裁ち端から解れますがな、、、 当店シャツは準じていません(泣)。 身頃内側より、脇やアームホールの縫い目ですね。 裁ち目を隠しつつ、補強も兼ね 折伏せステッチが掛けられています。 今にも通じる一般的な縫代処理ですね。 でも、、、ステッチが落ちまくっていますが、、、。 アームホール裏側、肩ヨーク辺り。 肩の部分にはエポレットが付いていましたね。 そのエポレットが来るところの縫代は相当重なって 厚みが出てしまう箇所でもあります。 だからって折伏せ放棄しちゃったの⁉ 確りと包めてくれないと また解れてきちゃうけど、、、 そろそろ慣れてきたので まぁいいっか! 袖筒をひっくり返した裏側、袖下縫い目。 ここも本来では脇に合わせて折伏せ縫いですが、 「筒でやり辛いからまぁいいっか!」って事ですよね。 裁ち切りのままステッチ掛け、片側のみミミ使用とはいえ、、、。 ミシン不調⁉ 糸が、、、、これもいいや、 『袖筒なんてひっくり返さないだろう!』 「いや、でも腕捲りはしますよね⁉」 『・・・・・。』 さぁて、終盤戦です。 袖口のカフスです、ここは勉強になりましたし 面白い! 一般的なカフスは長方形ですね、ですがこちらはセンター付近が 三角で意図的に盛り上がっているデザインです! 軍服であるこの意匠を意識したのであろうと推測できるデザインですね。 コート(ジャケット)の体を成した袖は筒型であり 袖口は結構なユトリがありますね。 反面 シャツの袖口はそれなりに手首へフィットするようもっと絞り込みますので、 プリーツやギャザーなどで絞り込み、独立したカフスを袖口に結合する仕様が 今の一般的なシャツの袖口です。 上着の袖丈は肩先から袖口まで、これで、これが袖丈ですね。 シャツの袖丈は、袖自体 + カフスの幅 = 袖丈 となる訳です。 袖口の裏側です、よ~く見て下さい。 これは袖口に別パーツ(カフ)を表側に乗せ付けただけなのですね! カフスが独立していないのであり、 ここだけ見れば限りなく上着の袖口に同じです。 シャツのカフスは独立したパーツであり、 それを袖に結合するものであるという固定概念があり過ぎました、、、。 袖自体は袖口先まで確りとある(ワンピース)のが分かります。 袖口に差し掛かるにあたり、多少絞り込みたいですから センターでプリーツを畳み、袖口付近で地縫い・縫い潰しています。 そのプリーツ折代は表側に露呈しますので その折代を隠しつつ、 意匠なカフを重ね付け、袖口に補強された力芯の役割も担わせている訳です。 現代的なシャツから見れば、ご先祖様の生き様を垣間みれた感じですね! 上着の袖は 山袖と谷袖 での2枚袖。 シャツは基本的に1枚袖であり、袖下にシームがあります。 この時代の多くは、今でいう『ケンポロ』の類を設けず、 袖下シームを利用して袖開きを作ります。 なので袖開き部が変な所に来ます、、、のでケンポロを作る事で 無理やり袖開き位置を移動させた経緯があります。 そのシームを利用した袖開き部の処理につき、畳まれた織り代は なんと表側に畳んじゃってますよ! あれ、こちらが表側ですよね⁉ もう耐性が付いてきたので驚かないよ(笑)。 裾始末は三つ折でステッチ留め、一般的な始末です。 今ではミシンの座金を専用の物に替えれば 綺麗に自動で 巻きながらステッチが掛けられます。 丁寧なシャツであればあるほどに その三巻やステッチさえ 細く、 かつ細かくステッチされ、綺麗なRを描きます。 キミは昔から自由だよね~ 幅もルートも、パンクさえお茶目に知らんぷりっ‼ はい、もうこの辺にしておきます! ・・・・・如何でしたでしょうか。 ポケットも釦位置に対してホール位置が伴っていないから フラップが捻れてしまっていますが 勿論こんなところもご愛敬です。 正確な裁断、正確な縫製を軽んじるとこうなる事を教えてくれています! 将校さんに「一日で作れ」とでも言われたのでしょうか⁉ 確かに頑張れば一日で出来そうではありますね(汗)。 将校さん方も本国(ロンドン)に帰ればお抱えのTAILORがあるでしょうし、 同等レベルを求めてもいないのでしょう。 全てでは無いですが、こういった背景は 昔のナポリのサルトリアに近い部分もありますね。 バカンスを楽しみに来た富裕層の方々が、 現地で、現地の空気に合った現地で着る服を仕立てる。 されど帰郷すればお抱えのTAILORは勿論ある訳です。 こういった当時のインド製サープラスガーメントは マジの手作りで本当に味わい深い。 インドの職人さんと私、生きている時代も違いますし 言葉さえ通じ合いませんが、こういったリアルな古着を介し 対話さえ出来るのですね。 多分 今の私が当時そのお店へ行っても雇ってくれないでしょう(笑)。 何故だか分かりますか? オタクなマインドは理解されがたいかも知れませんが、 素晴らしきリアルな歴史を堪能しつつ とても楽しめました! 良い・悪い、綺麗・雑 など超越しており、 そのモノ作りから価値観を感じる事も出来ます。 検品してリアルを堪能したら今度は着る楽しみもあります。 このシャツに私が仕立てたサンプルBUSH JACKETを 敢えて重ね着しようかしら! リアルなAIRTEXに復刻AIRTEX、インド職人さんの価値観とクオリティー、 そして私の価値観とクオリティー、時代を超えた掛け合わせの妙! 服作りは深く、難しく、時には難解なパズルの様でもあります。 難しいからこそ楽しく遣り甲斐もあり、探求する喜びさえ御座います。 感性を磨き、頭を柔軟に、かつ思いやりをもって 皆様より頂戴致しました服と向き合って参ります。 今週はTAILORである私のささやかな楽しみ(独り言)に お付き合い頂きまして 誠に有難う御座いました。 そろそろ店頭も春夏生地と入れ替えの時期で御座います。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
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