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お客様のご注文

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 W.SHIELL:O様の御注文 】

    2022.04.19 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 W.SHIELL:O様の御注文 】

          先週は東京で26度超えの夏日を記録したと思いきや、 台風1号も来ましたし急に10度以上も下がりました。 余計に寒さを感じてしまいましたが、もう着る服が滅茶苦茶ですよね。     いよいよゴールデンウィークも間近に迫って参りましたが、 皆様におかれましてはどんなご予定を立てておられるでしょうか。 今年は旅行される方も随分と増えているそうであり、やっと思い出作りも出来ますね。 GW期間中 当店は本年も通常営業しておりますので、 宜しければ是非お気軽に遊びにいらして頂けましたら幸いで御座います。         さて、そろそろ春夏用のスーツも登場となる日もありそうな気配です。 今週は大変御贔屓を頂戴しておりますO様がご注文なされた 春夏用のスーツを紹介させて頂きます。           春夏用のスーチングにおきまして、 キッドモヘアをブレンドした生地は定番でもあり欠かせぬ存在です。 ハリ・コシが強く、光沢感があって独特のシャリっとした触り心地。 ややひんやりとした感じもありますし、ハリ・コシは反発力が強く 肌離れが良いので汗ばむ時期でも快適に過ごす事が出来ます。   まだモヘアの毛(アンゴラ山羊)をウールにブレンドする 技術が無かった頃は当然ながら基本ウール100%ですね。 ザックリとしたポーラなどは代表的な生地です。   そして かのドーメル社が満を持してモヘア混の生地を売り出して 世界的な大フィーバーを起こした生地、それが有名な TONIK です。 これを更に細い糸で薄く仕上げた盛夏も加味した生地が SUPER BRIO であり、こちらも名立たる名作です。 http://dittos.seesaa.net/article/467770520.html 【 SUPER BRIO 】 http://dittos.seesaa.net/article/480508004.html 【 SUPER BRIO ② 】   ( 上記 S.BRIO ネイビーソリッドのみ完売となっております。 )             当時、英国の JOHN FOSTER というミルがあり、 ここは糸から紡績できる貴重なミルでしたので工夫や発展などいくらでも出来ます。 そのJ.FOSTERがドーメルのTONIKやSUPER BRIO 等も まとめて一手に引き受け織り続けていたそうです。   ドーメルは凄かったのですが、他のメーカーも黙ってみている訳では無く 次々と同様の生地を展開し始めました。   当時 力も勢いもあった WAIN SHIELL も例外ではありません! 同社はゴールデンベールを使った至高の生地を MOXONで織っていましたし、様々な名品を残しています。 http://dittos.seesaa.net/article/484374410.html 【 至高たるヴィンテージ:CASHANOVA 】     今回の生地は、そんな WAIN SHIELL が当時展開していた キッドモヘア混のヴィンテージスーチングであり、 SUPER BRIO に同じ頃 展開されておりました。 かなり S.BRIO  に酷似しており、 もしかしたらJOHN FOSTER で織っていたのかも知れませんね。   TONIKやS.BRIOは有名過ぎるがゆえの価格という事も否めませんが、 当時 同じ品質・レベルで織られていた WAIN SHIELL製はお得感がある事も事実です。   当時のモヘアは今と原産地が違いますし、織機だけでは無く 糸の紡績法や太さ、 仕上げ工程も違いますので厳密に言えば現行品とヴィンテージでは違いがあって当然です。 ましてや、S.BRIOのネイビー無地など もう手に入らないのではないでしょうか、、、。   ややくすんだ濃過ぎないネイビー、日本でいう 鉄紺的な色味であり 大変魅力と味わいが御座います。           歴史のあるメーカーは、沢山の織りネームを作って参りました。 アパレルメーカーでもネーム(タグ)のデザインで作られていた時代などが判別できますよね。 このネームを見るだけでも織りネーム自体の技術発展を垣間見ることが出来ます。 ただ、往々にして昔の物の方がデザインに味があって私は大好きです。 ( WAIN SHIELLはアイコンでもあるタワーブリッジは欠かせぬ存在です!)     お仕立てになる生地の背景や歴史などを知れると、 より愛着なども増してくるというものです。 現行品との違いや魅力の分かる方々におかれましては現物があるうちにお仕立て下さいませ。 ヴィンテージは限られた量だけが現存し、常に減る一方です。         では、前置きが長くなりましたが そんな生地を見染められたO様のスーツをご覧頂きましょう。           至ってベーシックなデザイン、構成での三つ揃いです。 長きに渡り御体型も維持され本当に素晴らしいですし、羨ましいです、、、。   上着の腰ポケットはフラップを敢えて付けられていません。 サイドベンツをお切りした総裏仕立てとなります。 パリっとした立体感が出ていますね。               色も巧みに装いを楽しまれるO様。 御着用されてこられたスーツに個性的なVゾーンが素敵です!   盛夏になればウエストコートは着なくても良い日やシーンもあるでしょう。 しかし、スーツは三つ揃えが前提ですよね。   春夏用のウエストコートであれば、バックレスの仕様もお勧めです! http://dittos.seesaa.net/article/475035587.html 【 BACKLESS WAISTCOAT 】             ・・・・・いよいよお仕立て上がり・御納品で御座います。 本日のコーデも最高に素敵です。     このストライプ、以前にBLOGでも御紹介させて頂きました。 タイはシルク×リネンの清涼感溢れる小紋タイ、清々しきクラシックなコーデで御座います。                 足元はスリッポン、タッセルローファー良いですね! 凄くお似合いで御座います。           微調整を経て完成です。 なんてエレガントなのでしょう、、、、。     春夏の軽快な雰囲気もコーデに、 多少暑くたって痩せ我慢な静しい顔して着こなされて下さいませ!             ウールと比べれば、モヘアの個性は柔軟性と追従性に劣る部分もあります。 しかし、ウールには無い個性こそ モヘアの存在感と価値、魅力でもある訳です。   暖かくなってくれば シャリ・ヒヤッとしたキッドモヘア混のスーツはマストアイテムです。 是非ご堪能して頂けましたら幸いです。   O様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。                   ・・・・・如何でしたでしょうか。 4月も後半に入りましたが、そろそろ発注していた ALBERT THURSTON(ブレイス) が届く予定ではあります。 が、遅れるかも知れません!?   5月は色々と目白押しですので 当BLOGでも進捗含め情報を載せて参りますので、 是非 引き続きご覧頂けましたら幸いです。   皆様とお会い出来る日を心より楽しみにしております。 今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。              

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  • 【 M様の御注文:OVER COAT 】

    2022.03.01 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 M様の御注文:OVER COAT 】

          あっという間に3月へ入りました。 東京は先月末から少しずつ寒さが和らいできております。 この業界では春夏物の御紹介が増える中、 まだまだ実際に寒い冬を体感していたからこそ そのイメージを元に冬物のご注文も頂いております。   皆様におかれまして、この冬はどんなスタイルのコートが活躍されたでしょうか。 コートもポジションにより様々にバリエーションは広がります。       2月の寒いうちに、、、、先週のTWEED SUITSもそうですが、 OVER COAT含め冬物の御納品に毎年バタバタな時期となります。   今週は 何とか2月中に御納品させて頂けました 素敵なコートを御紹介させて頂きたいと思います。             大変な御贔屓を頂戴しておりますM様より、 この度はオーバーコートのご相談を頂きました。   M様はお仕事以外での御着用に BESPOKE SUITS を楽しまれており、 カチッとし過ぎないポジションを御所望されております。 故にオーバーコート自体もダークカラーでドレッシーな チェスターフィールドコートの様なスタイル以外で考えたいとの事でした。 そんなに重々しい色やウエイトの生地ではなく、でも暖かい。 着丈はそれなりに長めが良い。   ■ 打ち合いはある程度深めでありつつ、Vゾーンはコンパクトな感じが好き。 ■ チェスターFコートほどではないにせよ、ある程度はシェイプされたシルエットが欲しい。 ■ デザイン自体はシンプル・ベーシックな感じにしたい。 エレガントに成り過ぎず、スポーティに成り過ぎない。 ■ 普段サラリと着こなせ、直ぐに手が出てしまう様な幅広く着用出来るコートだと嬉しい。       Be Sopken は続きます。       では、ご要望を踏まえ まとめて参りましょう。 シングルブレストでセットインスリーブ、打ち合いの深めなノッチドラペルをベースに、 丈は膝をホールドし、そしてナチュラルなシェイプが見受けられるシルエット。         大まかなバランスは このイラストに近いと言えます。 シンプルながらも 腰はスラントポケット、 袖口にはターンバックカフが程好いアクセントに!   ですが、これは完全な チェスターフィールドコートです。 上衿にはベルベットも掛け、かつ大きな特徴としてフロントは比翼スタイルです。 これをベースにドレスダウンすれば かなりご要望に近いですね!         それなりに丈があり、 かつVゾーンもコンパクトがお好みなのでフロントは4つ釦にしましょう。 比翼仕立てはドレッシーになりますので、フロントは貫通でホールを開けましょう。   背中にプリーツなどの機能や装飾はいらないとの事。 では せめて良いアクセントになりますので、背ベルトをお付けしましょう! 良き意味でこのベルトを利用し、ご要望のシルエットを作り出します。 真ん中・後ろ向きの紳士が着るコートはバックベルト付きですが、 ヨークもプリーツも無く リクエスト通り極シンプルに参りましょう。   デザインや仕様は定まって参りました。 これらイラストはBLOGを書く際に 後付けで探したイラストです。 説明に丁度良いのがあったのでご覧頂きました。     次は生地です。 この度のご要望に対し、M様には是非 『これぞ!』 というお勧めが御座いますのでご覧下さいませ。             Joshua Ellis 100% CASHMERE 470g   = TAUPE =   http://dittos.seesaa.net/article/445269848.html 【 繊維の宝石 】         J.エリス製の最高に素晴らしいカシミア地であり、 コートとしてみれば軽量級ですので軽快に着て頂けるでしょう。         いつもミミズを探している愛くるしいモグラさん、、、眩しそうですね。 TAUPE(灰褐色)とは色の事で フランス語では『モグラ』を指しており、そこからの色呼称となります。 分かり易く言えば、グレーにブラウンを混ぜた色であり、 汎用性も高く非常に上品な印象を与えます。 もともとは かなり濃いトーンでの認識ながら、 ことファッション界でのトープはもう少し明るいトーンでの解釈・利用であり、 トープ ≒ グレージュ というニュアンスに近いでしょう。   とにかく この上品で落ち着いた色味はONにもOFFにも使えますね。   毛足を長めにとり、リップルフィニッシュされた極上な触り心地。 ヌメリと光沢感がカシミア自体の最高品質を感じさせてくれます。 見ているだけで柔らかく、暖かそうですね。           ・・・・・早速 イメージ・デザインを型紙に起こし、裁断して仮縫いを組み上げます。   仮縫いの御当日、K様は昨年御納品させて頂きました フランネルのスーツでお越し頂きました。 そろそろ丸一年が経ちますね、確りと縮絨された昔ながらのフラノは コシも強いですが 随分とこなれた感じが出てきております! この冬は随分と重宝されたとの事で光栄な限りです。     http://dittos.seesaa.net/article/480846609.html 【 M様の御注文:Gray Flannel 】   K様はご覧の様に大きく逞しく、男らしい御体型の持ち主です。 迫力が御座います!           いよいよご試着頂き、フィッティングのチェックです。 ご自身のリクエストが具現化され、洋服となって纏う瞬間です! 最高の肌触りと共に着用された時の軽さに驚かれます。             背はベルトを付けます。 仮縫いなので取りあえず別生地で代用しましたが、絞り具合を確定して参ります。 背中は特にダーツなども摘ままずに 敢えて制御せず、 自然なプリーツ・ドレープの流れを、襞を優雅に表現させます。           この胸板の厚さ、、、羨ましいです。 レングスも打ち合わせ通りの丈となっております!   お陰様で御提案サイジング含め、全てOKにて修正無しで仮縫いを終えます。 M様のご期待感も相当膨らまれた様です。             ・・・・・全貌は出し惜しみしましたが、いよいよ仕立て上がりました! 御納品前にこのコートの雰囲気をご覧下頂きましょう。           裏地は深い色目のボルドーです。 経糸に黒、緯糸に赤を使った交織織りですので、裏側は赤く緯糸が出ます。   丈の長いものは表地と裏地の伸縮性含めた性格の違いから、 互いに影響を及ぼさぬようフラシ仕立てで手間をかけ仕立てられます。 女性のスカートも同様なフラシで始末されていますが、同じ理由ですね。             ・・・・・・M様にご足労頂きました。 では、仕立て上がりホヤホヤのコートを御着用頂きます!     前から見た様、これで比翼仕立てのダーク色生地であれば 冒頭のチェスターFコートを彷彿できますよね。 食材含め、調理次第で顧客様のお好みに応じた 最高の料理として御提供させて頂きます。 全ての調和は私が取ります。 それがCUTTERとしてみた場合の職域でもあります。 クライアント様の価値観による最高の料理です、 さぞ御満足度の高い美味しい御馳走として堪能頂ける事でしょう。   このコートのポジションや着こなし、 御利用のされ方ふまえた調理にも考慮が入ります。 今回の生地、コートにしてはライト級ですし とにかく軽くてソフトな着心地を前面に出します。 内部のキャンバス芯に宛がうバス芯(馬の尻尾を利用したハリのある芯)を 使わずに増芯を代用し、アームホールの袖付け部に内蔵される裄綿という芯も フエルトのみにしてアームホール全体も柔らかく表現しております。 このオーバーコートを立体に支える真の芯たるは、インナーの上着であり、K様のBODYです           御自身では見えませんが、、、ベルトで背中に寄る無造作に絞られた 美しきドレープが程好いアクセントとなり、スポーティーな風味を味付けいたします。   丈がある分、裾のケマワシ分量はたっぷりととりつつ、 センターベントがありますので足さばきを邪魔させません。           フロントの4釦は、レングスと共に コンパクトなVゾーンを尊重すべく配列されています。 ですが、着こなしにより律儀に全部留める必要もありません。 ラペルは段返りにも返れる様にしてありますので、 センターの釦2つだけでも安定致します。   一番上を外せば力の抜けたラフな雰囲気を演出しますし、 一番下を外せば より足さばきが良いので歩きや階段などでは楽でしょう。 寒い時には勿論全留めです。         北風吹く寒い日、コートの衿を立てて首元を守る事もあるでしょう。 上衿の裏側は 通常『カラークロス』と呼ばれる専用のバイアス生地を使用しますが、 贅沢に共地であるカシミアで仕立てておりますので一体感が演出されます。           腰のスラントポケットは 片玉縁でリクエスト、 袋地は最高に上質なコットンフランネルを使っていますからフワッとして暖かいです!               ・・・・・如何でしたでしょうか。 M様には凄く喜んで頂け、本当に嬉しい限りです。   おぼろげなイメージを膨らませ、御提案させて頂きながら構築し具現化された 正に ONLY ONE のオーバーコートですね。 インナー(スーツ)とのサイズ的適合性の高さなど言うまでもありませんが、 上着抜きでニット等での御着用も気軽にお楽しみ頂けます。       チェスターFコート、カバートコート、ポロコートなどは分かりやすく伝わりやすいですが 独自での価値観によるコートも無から生み出せるのが BESPOKE でもあります。 結論的な結果として、このデザインであれば HOUSE STYLE ORDER でも可能です!     まだまだ寒の戻りも御座いますし、油断出来ない季節の変わり目です。 春になりきる前まで 少しでもお楽しみ頂けましたら幸いで御座います。   M様、この度も素敵な御注文を頂戴致しまして 誠に有難う御座いました。                 ・・・・・本日の3月1日より、誠に恐縮ながら BESPOKE、及びHOUSE STYLE ORDERの価格改定を施行させて頂きます。 (当店HP上の表記も近々に修正させて頂きます。)   値上がり率自体は小さいものの、低価格レンジ層の生地自体が存在しなくなってしまった為 所謂スタート値自体が それなりに上がってしまうという感じが強くなります。   どうかお汲み取り頂けましたら幸いであり、 一層御満足度高き洋服作りに精進してまいりますので ご協力の程 何卒宜しくお願い申し上げます。         では、春夏物でも秋冬物でも 季節など問わず、いつでも・なんでもご相談くださいませ。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。   今週もお付き合い頂きまして、どうも有難う御座いました。            

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