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お客様のご注文

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 X様:バンカーストライプ 】

    2019.12.17 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 X様:バンカーストライプ 】

        来週はいよいよクリスマスですね。 各百貨店さんのディスプレーも素敵で気合が入っており、気分も高まります!     こちらは シカさん!? トナカイさん!? どちらも同じシカ科となり、同じ仲間ではありますが 大きな違いはその立派な角にあります。   シカさんの場合、オスにしか角は生えません。 しかし、トナカイさんはオスもメスも共に角が生えるのです!   オスの角は春に生え、秋から冬にかけ抜け落ちます。 メスの角は冬に生え、春から夏にかけて抜け落ちるそうです。 その為、サンタクロースを乗せたソリを引くのは メスのトナカイさんだと言われているそうですよ。   家族のトナカイさん達でしょうか。 みな生きている様に首が動いていてビックリました!! (日本橋:高島屋さん)                     氏の濃く太い人生と同じ様に貫禄に満ち溢れたそのお顔と、 クラシックなストライプスーツの三つ揃い。 この最高に渋くてしびれる様なスーツは どの位着用されてきたのでしょうか。   ウエストコートは釦を止めればピタッと身体に吸い付くフィッティングであるべきながら、 お腹周りがややタイト目なのは、仕立てられた頃よりも 中身であるお身体が少し大きくなられたかと推測出来ます。 仮縫いを経て仕立てられる新品の服でここまでのタイトフィッテングは、 余程のリクエストが無い限り基本ありません。   古き写真集などで出てくる凄まじい程にエレガントで格好の良い紳士達の中で 氏の様に横皺が出る程にタイト目なウエストコートをしばしば見受ける事が出来ます。   数十年は余裕で付き合うBESPOKE SUITSだからこそ、 その耐久性と共に 御自身の体系的な変化も自ずと出てくる事でしょう。   当然サイズ調整も出来る筈ですが、慣れ親しんだサイズへの愛着と共に、 出来れば御体型を元通りにとのお考えもあるのかも知れませんね。 私自身もボチボチ歳を重ね、本当に良くわかります、、、、。             ・・・ストライプの種類はかなり御座います。 線の太さや織り、見た目などにより 各それぞれに名称が付き、区別されています。   しかし、ある程度の枠内におけるクラシックなそれらシンプルなストライプは、 往々にしてバンカーストライプと昔から呼ばれております。   皆様がストライプのスーツから受ける印象はどんな感じでしょうか。 縦の縞柄によるシャープな印象は受けるでしょう。 ダーク系であれば引き締まって痩せて見えるとも言えますね。   また、規律正しく並ぶ縞柄に見立て、 真面目で几帳面な印象を受ける方も少なくは無いでしょうし、 ノートや台帳などの罫線をも感じさせるという事も御座いましょう。     特に信用を重んじる職の一つでもある金融系の方々に挙って愛用された為、 別名『バンカーストライプ』としての呼称が付きました。 世界金融の総本山City of Londonの歴史からみた その深さと重みが御理解頂ける事と思います。   今一度 改めてストライプスーチングの歴史や見解、 魅力に想いを馳せてみては如何でしょうか。             さて、今年の春に初来店頂きましたX様。 クラシックな誂えスーツを望まれ、 多くのTAILORの中より当店をお選び頂き 足をお運びに成られました。 ご遠方ゆえ 仮縫いなどでそんなに小まめには通えないとの事ですが、それは問題ありません。 BESPOKEにて三つ揃いのご注文を頂戴致しました。   今週は X様の2ND仮縫いを御紹介させて頂きます。         素晴らしい生地はいくらでも御座います! 先ずは着用期間広き 3シーズンである事、ダーク系のクラシックスーチングである事。 お選び頂きましたのは ダークネイビー地のまさしくバンカーストライプ。 それも極上な GOLDEN BALE の生地となります。   http://dittos.seesaa.net/article/434128466.html         太過ぎず、細過ぎない線、鉛筆の線くらいの太さであり、 そのままに『ペンシルストライプ』で御座います。 これを起毛させ フランネル加工するとチョークストライプとなります。   線同士の間隔も狭過ぎず、広過ぎない 丁度良い塩梅で正に典型的なバランスです。 ダークネイビーに映えるその縞柄ですが、白糸による縞では無く グレーでの縞なので、そこまでコントラストは強くなく、遠目に見れば落ち着いて沈み込んでくれる感じです。 (その様は、X様の御着用写真で御確認頂きましょう)   当たり前で模範解答の様なストライプスーチングを最高の原毛を使い、 密に打ち込んで織り上げてもらった逸品です。                     優雅な2プリーツのフロントは比翼フロント仕立てです。 まだ仮縫いなので 第2プリーツは閉じてあります。   新しいブレイシーズもお選び頂き、仮縫いと同時にブレイシーズも FITTINGして長さをベストバランスへご調整です。   直しておきますので、次の仕立て上がり最終FITTINGの時にまた使わせて頂きます。             初めてのハイバック・スタイルは如何でしょうか。 腰回りの支えられている様な安定感は独特ですよね。 2回目の仮縫いであり、もうかなりの精度です。         裾上げはシングルでのリクエストです。 股下寸法はもう少しだけお詰め致しましょう。 落ち方も綺麗であり、申し分御座いません!           ウエストコートは極シンプルに 衿無しでのシングル6釦-5掛けスタイルです。 X様、とてもお似合いであり 素敵です、、、、、。             3P-SUITSとは、3アイテムで一つの服という事です。 特にウエストコートとトラウザースの連動性や調和は欠かせません。 一番に気を使わなければ成らぬ所です。   吊り用での高めなウエストライン、それに合ったウエストコートのシェイプ位置が正に連動し、 トラウザースと共に腰回りへの広がりへと綺麗に繋がっているのが見てとれると思います。   この流れる様なライン、シルエットとフィット感、そして調和こそが真骨頂でもあります。   だからこそ、三つ揃いのスーツは既製品という括りでは 本来手を出せぬアイテムでもあるという事がお分かり頂けるでしょう。               ネック周りのFITTINGや、肩傾斜も良いですね。 左右対称にフィットしているように見えますが、X様は左肩が少々下がっております。 洋服自体も非対称にしてあげる事で初めて両肩へ左右バランス良く均一に乗る事になります。 これは勿論上着でも、コートでも同じ事ですね。           X様のお顔から笑顔がこぼれます! 『 痩せて見える! スタイルが良く見える! 足が長く見える!』 喜んで頂けて光栄です。 ですが 誂え服ですからX様のお身体に寄り添うよう合わせて仕立てただけであります。   だからこそ、このスーツがピタッと身体に合い、お似合いになる方は世界中でX様だけであり、 御自身の為だけに無から生み出された誂えスーツなのです。         3釦のノッチドラペル、ラペルの返りは軽めの段返りをご希望されました。 袖丈はもう少し詰めましょう。 やはり袖口からはシャツのカフスが見えていなければ成りません。   袖丈含め、極調整を加えつつ お仕立て上がりへと順次進行して参ります。 出来上がりが楽しみですね。               ・・・如何でしたでしょうか。 御着用されてしまえば、ストライプは生地単体で見るよりも 結構沈み込んでそれ程目立たない事が見てとれた事と思います。   仮縫いは相当慣れないと なかなか分かり辛いものです。 先ず裏地も付けておりませんので滑りも悪いですし、 お選び頂いた生地にはそこら中に躾が打たれております。   これは生地自体が鎖で繋がれ、張り付にされているのと同じ状態です。 完成時には全て取り払われ、ついに開放されるのです。 そこで初めて生地の持つ融通性含め そのポテンシャルが解放されるのです。 動きやすさも全く変わります。   また、パリッとプレスされた新品のスーツ。 御納品日にX様のもとへいよいよ嫁ぐわけですが、 X様御自身も、スーツ自体も緊張状態です。 お互いに『慣れ』が必要です。   何度か付き合ってくるうちに その緊張はどんどん解れ、 スーツは柔らかく成って参ります。 各芯地も柔らかくなりますし、良い意味でのハンドメイドによるファジーな手加減、縫い加減。 これはX様の動きなどに対応出来る『遊び』となり、 これが着る事により対応していく事になります。 (車のハンドル操作につく遊びに近いと言えるかも知れません。)   X様におかれまして、御納品となれば このスーツとは長い付き合いとなる事でしょう。 その前にFINISHしなければ成りませんが、、、、どうか楽しみにお待ち頂ければと思います。   X様、ご協力を頂まして誠に有難う御座いました。 これで一段とこのスーツへの御期待が高まった事と思いますが(笑)、、、 そんなプレッシャーは全くありません。 その御期待をほんの少しでも上回れるよう全力を注ぎます。   素敵な御注文を誠に有難う御座いました。           ・・・誠に恐縮ながら 2019年 年内のBLOG更新は本日が最後となり、次週、再来週とお休みを頂戴致します。 次回は 2020年1月7日(火)を予定しております。   何卒宜しくお願い申し上げます。         ・・・今一度 年末・年始のご連絡で御座います。   年末は、12月28日(土)が最終営業日となります。 年始は、1月4日(土)より通常営業に戻ります。   【 12月29日~1月3日 までお休みを頂戴致します。 】 どうか宜しくお願い申し上げます。         では、少し早いのですが 本年も大変お世話になりました。 お陰様により当店は無事に10歳も迎える事が出来まして 私にとっては大切な記念となる年となりました。   どうか来年も 何卒、何卒 宜しくお願い申し上げます。 素敵なクリスマスを、そして良いお年をお迎え下さいませ。                

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  • 【 10th-ANNIV P.STRIPE:S様の御注文 】

    2019.11.26 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 10th-ANNIV P.STRIPE:S様の御注文 】

        Fread Astaire (1936)     スタイルも良く運動神経も抜群、 お洒落で格好良く 正に非の打ちどころ無きエレガントな御方です。 氏の充実したワードローブの中で、 シングルブレスト:ノッチドラペル 2釦 のデザインはとてもお好きだったようであり、 スーツからジャケットスタイルまで残された沢山の写真からも垣間見る事が出来ます。   この日は やはりシングル・ノッチ 2釦のスーツを2Pで! 帽子のリボン、タイ、チーフは意識されている事でしょう。           先月末の当店誕生日の折には本当に多くの方々より お祝いのお言葉を頂戴しまして、恐縮ながら誠に有難う御座いました。 10周年による記念生地も 沢山のご注文を頂いておりまして心より光栄に思っております。   今週は、御贔屓頂いております S様より BESPOKE 2P-SUITS:10th-ANNIV PINHEAD STRIPE のスーツを御紹介させて頂きます。   http://dittos.seesaa.net/article/468986091.html 【10th-ANNIV PINHEAD STRIPE】               裏地には渋いブロンズ色のペイズリー柄。 SB-2B-1(シングル・ノッチ:2釦 1つ掛け) 2Pスーツでの御注文で御座います。         当店で頂いておりますご注文は三つ揃いのスーツがとても多いのですが、 最近は上下2Pでのご注文も随分と増えております。   三つ揃いのトラウザースは基本吊りますので、 ベルト用トラウザースの御紹介は自ずと少くなく 今回は是非ご覧頂ければと思います。     W-BANDの腹部には小さなループが見えますでしょうか。 これはピンループですね。 ベルトのピンをこのループに通してベルトをして頂くと、 ベルトのバックル自体が上下する事無く安定致します。 使うか否かは勿論ご自由で構いません!         当BLOGでは、今回に同じくシングル:2釦でも古のデザインである 『パドックカット』は随分と特集致しましたが、 こちらはそれ以降となる2釦のスタイルとなります。 F.アステア氏の2Bに同じであり上釦一つ掛けで着用致します。   http://dittos.seesaa.net/article/418036041.html 【 PADDOCK CUT① 】   とてもクラシックでエレガントなバランスであり、シルエットも綺麗に出ていますね。 2Bといえば、やはりF.アステア氏の姿を意識せずにはいられません!             ・・・・・さて、いよいよお仕立て上がりです。 一般的に長ズボンはストローの様に直線の筒として仕立てられますが、 着用する人間は そんなに真っ直ぐな脚の方などほぼ皆無です。     クセ取りによりS字に曲げていますが、この度合いはシルエット(太さ)にもよりますし、 筋肉含めた脚の立体感、そしてその御方の姿勢さえ加味されます。 故に、S字の度合いはクライアント様によって変わると言えます。           フロント開閉はファスナーをお選び頂きました。 ファスナーを閉じれば、あたかも縫われている様にフロントを包み込ませます。 これもBESPOKEならではのテクニックが宿ります。   フロント帯の持ち出しは手付けの前カンか 今回の様に釦止めが一般的なニ択となりますが、 ご要望があれば何でもお申し付け下さい。             脇はスラントポケット、尻ポケットは右のみでフラップを付けない仕様を御選択です。             裾上げは折り返しのあるダブル仕上げ(TURN UP CUFF)。 当店ではダブルの場合でも 前後差3㎝の傾斜をレギュラーとして付けております。   この3㎝という数値を定寸とした場合、裾口幅が狭ければ傾斜が強くなりますし、 太ければ傾斜も緩く感じる事となります。 これも理に適っていると言えます。   ただし、勿論オーダーですのでクライアント様のご要望があれば当然尊重致します。 ( HOUSE STYLE ORDERの場合でも、頑張って2㎝の傾斜を付けて頂いております。)           内部に見える外脇・内脇の縫代裁ち端、 これは裁断後 一般的には解れ止めとしてロックミシンが利用されますが、 こんな所も手縫いによるカラゲ縫いで解れ止め致します。   『 靴擦れ 』 靴擦れというパーツですが、一般的には踵の部分にだけ共生地で付けられていますね。 当店ではグリルと一周に渡り 専用の別途同色テープ(コットン)を付けています。 = KICK(BACK)TAPE   では何故この手法をチョイスしているのでしょう。   先ず、単純に考えてみましょう! 靴に擦れ、摩擦を受けるのは踵だけではありませんね、、、 側面も、甲の部分だって擦れます。   摩擦を受ける靴擦れ自体は いつかダメになります。 靴擦れを取り換えたくても共地が無いですね、、、 このテープであればいくらでも在庫がありますので、 いつでも、何度でも付け替え交換が出来ます。   内側のヘム(生地の折代)はやはり靴により擦れて汚れます。 (摩擦を受け続ければ擦り切れる事もあります。) 例えば もし股下の長さ調整をした場合に この汚れが露呈してしまうのです、、、。 このテープは一周付いているのでテープ自体が汚れてくれるので、生地を汚しません。 ヘムは更にダブルの折り返し内に隠していますので常に安泰なテクニックとなり、 そのヘム量はダブル幅分丸々と確保していますので量も多く丈出しにも対応しつつ、 折代段差がゼロとなる為 プレス当たりも防ぐ事が出来ます。   まだありますよ! 裾口に対し、伸び止め効果兼、力芯の役割も担います。 コットンですから前後クリーズ線の折り目定着度も高いですね。 このテープ、下側(裾側)のみフラシにしていますが これにも意図があります。   文字で書くと凄い量になってしまいますね(汗)。 まだ工夫はあります。   たまたま靴擦れの話ですが、この部分だけでは無く各所にて本当に様々な手法があり、 それぞれに手間と共にかかる時間、技術難易度も違います。 何を尊重し、何を最優先するかにより その沢山考えられる手法からチョイスされて一着の服へと構築されているのですね。         S様のご来店を楽しみにお待ちしております!   袖の緩やかな『くの字』が見てとれます。 これも裁断とクセ取りによる賜物ですが、袖の設計には必ず『肘位置』の設定があります。 例えば、既製品で袖丈が長かった場合 丈を袖口のみで短くしてしまったら、、、 お分り頂ける事でしょう。 やはり始めから その方だけに誂えられる服があるべき姿であるという事です。         大変長らくお待たせ致しました。 股上も腰骨に沿ったあるべき位置に適合し、スッキリと綺麗な尻周りで御座います。 W-BANDの後中心には Vスリット、ループは左右に振り分けております。     因みに、大抵の方々は左右でどちらかの肩が下がっており 非対称となります。 度合いも様々ですが、御自身の身体は その歪みを支え直そうと腰骨位置も左右高低差が出るものです。   股上深く、ある程度ゆったりとしたウエストサイズで設定する吊り用トラウザースの場合、 その腰位置左右差はキャンセルする事が出来ます。 しかし、ベルト用やベルトレスなどの様にWサイズがジャストであり、 股上を腰位置に合せる場合は その左右高低差も本来であれば補正しなければ成りません。   当店ではBESPOKEでは勿論、 HOUSE STYLE ORDER でも腰位置非対称補正を行っております。             御当日はリラックスされた上品なジャケットスタイルでお越し頂きました。 スェードのタッセルローファー、そしてパープルのソックスが良きアクセントとして! S様はいつも本当に素敵な装いでお越し頂きます。 股下の長さ、これは御着用者のお好みも勿論御座いますが 裾口幅とも大いなる関係があります。   このフロント部分のスッキリさ、もし裾上げに傾斜が付いていなければ 踵のホールド感で丈を定めた場合(後側基準)、 傾斜分の3㎝がフロント側に圧し掛かり 結構なクッションとなります。   逆に、フロント側から定めて股下設定した場合(前側基準) さっきとは逆に現状踵位置から3㎝も上がってしまう事になります。   どうでしょうか。 これが傾斜付きで裾上げされる効果となります。   お好みにより、傾斜を弱くも出来ますし、もっと強くも出来ます。 お客様次第で御座います。           コテと共に立体縫製による丸味感が良く出ています。 この生地は本当にTAILORのいう事を良く聞く優等生です。 オリジナルゆえ その様に織って頂いたわけですが、これがTAILORの想う『良い生地』であり、仕立て映えのする生地という事になります。   シンプルで控えめ、されど精度高く身体に寄り添い 美しいシルエットと機能性を秘めております。     今日のS様はアステアも良く愛用していた釦ダウンシャツですね。 本日もS様らしさが漂い 本当にお似合いで御座います。             『軽い、本当に軽い!』と 笑みがこぼれ、大変お喜び頂きました。 洋服好きなS様に喜び頂けて私自身も光栄であり、本当に嬉しいです。     S様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。             では皆様、今年もあと約一カ月 体調を崩さぬ様 頑張って参りましょう。 今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。            

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