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Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 H様のご注文:D.B OVER COAT 】

    2023.10.24 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 H様のご注文:D.B OVER COAT 】

          本日 10月24日、二十四節季では『霜降』となります。 露が凍って霜が降りる頃、、、 夏と比べれば湿度も下がり楽にはなりましたが、 早く霜の降りる気温になってほしいものです。   ツィードやオーバーコートを気持ちよく着られるのが待ち遠しいです。                   エドワーディアンの時代です。   この頃はフロックコートをはじめ、現代で言う上着(ジャケット)の 役割を担うコートが着用されていました。 モーニングコートやテールコート、これらはコートと呼ばれつつ ウエストコートの上に着る上着であり、英国ではスーツの上着はコートと呼ばれます。 (ラウンジスーツ『ジャケット』の台頭までは 基本前提がコートであり、着丈は長かったわけです。)   これら上着(コート)の上には更に外套としてケープやマント、 そしてチェスターフィールドコートコートなどのオーバーコートが挙げられます。 コート(ジャケット)の上着として着用されるのでオーバーコートですね。   一概には言えませんが、この当時 ボディーコートの多くは 膝丈である事が分かります。 モーニングコートやテールコートなども同じ類で設定されています。 だからこそ、更に上へ纏うチェスターフィールドコート等は それらインナーコートを隠す為に膝ホールド丈になる訳です。   センターの紳士は角度の鈍いピークドラペル、6釦3掛けのスタイルに、 当時の胸ポケットは往々にして傾斜が大変強くとられ、胸ダーツは摘ままれていませんね。 一つのデザイン形態です。               時代は進み、エドワード8世がまだ皇太子であった頃の写真です。 時代は1920年代であり、まだまだエドワーディアンの匂いが 残っているのが見受けられますね。             このコートはオーバーコートでのポジションながら、 若かりし細身なお身体にフィットした素敵なバランスですね。 生地は相当 肉厚なコート地である事でしょう。 膝もホールドし、かなり重かったでしょうか 当時でのマストな防寒具でもあるわけです。   ウインザー公は当時 このデザインを気に入っていたのか 生地違いで同じようなコートが他にも見受けられます。                   VINTAGE:Johnstons OF ELGIN 90% CASHMERE 10% MINK 430g       ここにレアで極上なヴィンテージのカシミアが御座います。 ネームも古いものですが、ミンクブレンドのネームは流石にありませんでした。 クラシックな千鳥格子の生地、 ジャケットか軽めなトップコートなどにお勧めです。     この生地は 大変なご贔屓を頂戴しております H様のご予約で御座います。 先に生地のみに惚れ込んだものの、 この素敵な生地をどのように料理しましょうか、、、、。 ご相談の上、ウインザー公の若かりし頃に愛用されていた オーバーコートをイメージに料理する事が決まりました。               アイボリー地に、ダークネイビー、グレー、そしてダークオリーブを 掛け合わせ、かなり凝った色出しによる織地です。 昔は本当に手間暇を惜しみませんね、、、 クラシックでありながらも どことなくモダン。 タウンユースで使うにはとても重宝出来るでしょう。   オーバーコート地としては軽量級となりますが、だからこそサラリと 軽く羽織れ、脱いで持っていても重たくはありません。 しかし主体はカシミアですし 温かさは折り紙付きであり、 ブレンドされたミンクなんて毛皮のイメージが強すぎて、、、 超高級獣毛である事に間違いはありません。 シットリとした独特な肌触りは思わず笑みがこぼれます。               格子柄で色味も比較的ライトトーンです。 着用ポジションは広く、スーツからジャケットスタイル、 そしてニットの上から羽織るだけでも様になり、 きっと重宝して頂けるでしょう。                 当時らしく、生地の裏側には同社の印が押されています。 H様にはどこか見える所に、、、とのご希望を頂戴しましたが、事情により不可能でした。 申し訳御座いません、恐縮ながら この写真を記録として頂けましたら幸いで御座います。               裏の印にアイロンが付かぬよう策を講じつつ確りと地のし、 そして一晩寝かせ、いよいよ裁断です。 失敗は許されません、特に格子柄ですから正確な裁断は必須で御座います。 目を酷使しながら地の目を整え いざマーキング。 チョークも見え辛い(笑)!                       H様、気付けば 当店でオーバーコートのご注文は初ですね。 仮縫い時はまだまだ暑い日で御座いましたが、 春夏用のODD JKをご着用の上 ご足労頂きました。                     オーバーコートの精度はインナーであるコート(ジャケット)の型紙精度次第ですから インナーが良ければ それだけマトリョーシカ人形の如くフィット致します。   背中心の柄合わせも完璧に、、、背中心縫い目がどこだか分かりませんね!   格子ですから正確・不正確がモロに分かりやすく出る訳です。 地の目の落ち着きや安定性を見れば高次元でのフィッテイングが 分かりやすく目視確認できます。                 釦はどれにしましょうか、、、お見立てした釦はどれも合いますが 色で随分と印象も変わりますよね。   英国より取り寄せたホーン釦、現在グレーはナットに 置き換わっていますがデザインは同型となります。                   いよいよお仕立て上がりです。 H様にご着用頂く前に少しご覧頂きましょう。                   仮縫い時はお付けしませんが、袖丈も確定し グルリとターンバックカフをお付けしております。 確りと柄合わせも施し、ボリュームと存在感のある袖口で御座います。               裏地の裾は手間をかけフラシ始末、 色は表地に使われているオリーブを拾われました。 着丈は膝ホールド、腹部の釦より下には小さな釦タブも付けました。 オーバーコートは防寒具ですから、 寒ければフロントからの寒気を少しでも遮断します。             内ポケットはお台場仕立て、オーバーコートは脱いで手持ちもある為 ポケットの中が落ちぬよう蓋を付けています。                     この度もご足労頂きまして、誠に有難う御座います。 とてもお似合いであり、本当に素敵で御座います。   この日はライトツィードのスーツ、選ばれた釦もベストマッチですね。   胸のウエルトポケットは レギュラーより傾斜を強くしています。 腰ポケットの傾斜は H様のお好み的リクエストである いつもの傾斜でお作りしています。 袋地は温もりあるソメロス社のコットンフランネルを贅沢に!     この生地の風合い、そして色柄や着用ポジションを踏まえ 今回は敢えてバス芯を使わず、ベースのキャンバス芯を重ねて胸増芯としております。 より柔軟でリラックスした着心地とフォルムが出る事と思います。                 身体に合った美しき背中、そのエレガントな後ろ姿で漢を語って下さいませ。                   如何でしたでしょうか。   生地にも思い入れやストーリーがあり、 その調理法いかんで様々な魅力を引き出す事が出来ます。 H様のセンスが輝くとても素敵な一着となりました。   ご着用にはもう一段 気温が下がってほしいですね、 馴染んできた頃の着心地は格別なはずです。 この度も素敵なご注文を誠に有難う御座いました。         では秋冬の装いを楽しみつつ、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。   今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。                

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  • 【 FOX BROTHERS:2023AW / DIRECTOR’S CUT 】

    2023.10.17 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 FOX BROTHERS:2023AW / DIRECTOR’S CUT 】

          皆様 こんにちは。 10月も後半に入り、やっと装いを存分に楽しめそうですね。     今週は特別な限定生地をご紹介させて頂きたいと思います。     昨年には創業250周年を迎えた FOX BROTHERS もう超老舗のミルですから名立たる歴史的な方々も同社のフランネルを愛用して参りました。 今年も様々な企画による幅広き限定生地が展開されています。             と、、、そんな折 このタイミングでたまたま偶然なのですが 社長のダグラス・コルドー氏が来日されており、 ご丁寧にも当店へ顔を出しに来てくださりました。             ダグラス社長がとてもエレガントで素敵な紳士である事は皆様もご承知の事でしょう。 丹精込めて織られた同社の服地を自らBESPOKEで仕立て、 率先して宣伝もなされております。 服地の単純な写真ではなく、その生地が服となり着用されると 何倍も魅力を発しますし、皆様も完成イメージが具体的に見る事が出来ますね。 実益と営業も兼ね、説得力が頗る高い訳で御座います。   品質にも高い拘りを持ち、長きに渡り愛用されるに耐え得る生地、 そして仕立てである事。BESPOKE TAILORが本当にお好きなのだそうです。                   同社の展開する DIRECTOR‘S CUT という1シーズン限りの特別限定となる生地が御座います。 それらは季節やテーマ毎に展開され、よりストーリー性高き生地に説得力と付加価値をのせ、 大変評価も高く 見応えのあるコレクションが展開されています。 これらは小ロット展開ですからバンチ展開はされません。     以前のDIRECTOR‘S CUTでは 特に RACING GREEN がお気に入りで、 英国らしさも滲み出て本当に素晴らしかったです。     http://dittos.seesaa.net/article/479701009.html 【 PRINCE OF WALES CHECK with RACING GREEN 】         今期も本当に幅広く展開されていますが、その中でも私個人が 惹かれた生地を仕入れましたのでご覧頂きたいと思います!           ≪ FOX SILVER SCREEN ≫     ハリウッドの黄金時代、銀幕の向こう側で輝くエレガントな紳士達をテーマに 当時のフランネルらしく起毛と共にガッツリと縮絨された 大変密で肉のあるウーレンフランネル。 これぞフラノ、といった品質であり ソリッドから チョークストライプをメインに展開されています。 その内の1種がコチラです!             正に一目惚れでした、、、。 渋いダークグレーがベースながら、青味が若干混ざった絶妙な色出し。 ダークブルーグレー調な色味はフラノらしき霜降りの効いた顔立ち、 織り目なんて勿論全く見えません。                 そしてご覧の様に ダブルのチョークストライプ、、、見事です。 現行展開品では探すことは困難でしょう。 復刻されたVINTAGEかの如く、されど現行らしく活き活きとしたタッチは 100% Lambswool で織り上げられています。                       ウエイトは 530/560g、かなりのヘビーウエイトです。 既に中肉のオーバーコート地レベルですが、 このウエイトでなければ出ぬ迫力というものがあります。   そして、往年のスターをはじめ多くの著名人が愛用していた 当時のフラノもこのレベルであろうと想像されます。 正に誂えスーツが 子の代、孫の代まで と言わしめる程に持つのは 当然生地もゴツイ必要がとなります。     当時の着こなしに想いを馳せ、こんなヴィンテージ級のマニアックなフラノで スーツを楽しまれてみては如何でしょうか。               多くの名優がフランネルを愛用しておりますが、 私にとってはやはりマシンガンを持ったこの方が Mr.チョークストライプです! 多くの方々がダブルブレストで仕立てている中、 シングルというところもまた良いのです。                                 ≪ WINDSOR FOX ≫     エドワード8世、のちのウインザー公へのオマージュとして企画されたシリーズです。 紳士服の着こなしからスタイルに至るまで、本当に多くの影響を与え、 今でもその功績は脈々と引き継がれております。   ウインザー公のスタイルを紐解けば本当にキリがないのですが、 その多くをFOX社なりに表現されているのです。   その内の一つ、公の着用したスーチングをイメージに展開された スポーツスーチングがありまして これがまた素晴らしい! 公もダグラス社長もグレナカートチェックがお好きですからね。                 ベースは公も多分に愛用したグレナカートチェック、 やや大ぶりのサイズ感がスポーティーさをそそり、迫力満点です。 ジャケットをはじめ、軽めなトップコートに、 そしてスポーツスーツにと幅広く調理法が浮かびます。                 特筆すべきはご覧の様に配色です。 オリーブとネイビーで構成された格子柄、 遠目にはグレー調に見えるので落ち着きもあります。   しかし このカントリーテイストな色味はウインザー公の様に パドックスタイルであったり、ハッキングスタイルなんかでも仕立てたくなりますね。     100% Lambs Wool100% 400/430g             パドックカットに三日月形のカーブが付けられたクレセントポケット、 シャープなラペル、ディテール違いも含めグレナカートチェックは複数着お手持ちです。   ふと見れば、身頃と袖は柄合わせ裁断されていないのですね。 身返しの裁ち方も今の価値観とは違うので、 それだけ見栄え含め価値観が変わってきたとも言えます。。 VINTAGEなどでの着分CUT生地は、今では『足りない』となるほど尺が小さく、 それだけカツカツに節約取りしなければならなかった事もうかがえます。 地の目や柄合わせなどは2の次という現実もあった事でしょう。                   冒頭のフラノもそうですが、これは是非 絶妙な色味、そして風合い、迫力と存在感、、、 是非店頭にて現物の生地と対峙して頂きたいです。                               ・・・・・以上で御座います。 FOXの特別限定生地は如何でしたでしょうか。 今期AWではかなり幅広く展開されていますので、この2種は極一部となります。       ダグラス社長には当店BESPOKEの服を沢山ご覧頂いたり、 ご説明も熱心に耳を傾けておられました。 当店オリジナルの小物など色々ご覧頂きまして沢山お褒め頂きましたが、、、 リップサービスでも嬉しいものです!   そして光栄な事に 今期新作の 『グレナディンタイ』 をお気に召して頂き、 2色ご購入頂きました!   当店へ来店された前日、実は京都に行かれていたそうです。 また、社長の家系ではその昔 シルクの機織りを生業とされていたそうです。 であれば西陣織は勿論の事、シルクについては造詣深き事でしょう。   社長に締めて頂けるのは大変光栄であり、誠に有難う御座います。 さて、何色を選ばれたでしょうか!?   ご購入いただいた顧客様もお揃いかも知れませんね(笑)。     http://dittos.seesaa.net/article/500362461.html 【 Dittos.TIE 22th-COLLECTIONS 】       ダグラス社長にお聞きしたのですが、 あのVANNERSも再建に向けて動き出しているそうです。 これは嬉しきビッグニュースであり、一日でも早い復活を待っております!         では、陽気も良い時期で御座います。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。   何卒宜しくお願い申し上げます。              

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Bespoke Tailor Dittos.