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生地に付いて

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 2020AW – OVERCOATING 】

    2020.07.28 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 2020AW - OVERCOATING 】

          7月もあと僅か、 今年の梅雨は粘りまして関東も含め8月の梅雨明けとなりそうです。 8月の梅雨明けは なんと13年ぶりとなるそうです。   それよりも7月はまだ台風が来ておらず、もしこのまま来なければ 観測史上初となる 台風ゼロ の7月になるとの事。   既に水害の出ている所も御座いますし、諸々含め8月が怖くなりますが どうか皆様 くれぐれもご注意下さいませ。               なんてエレガントなのでしょう。1928年当時の写真となります。   当時は帽子もマストアイテムであり、 手にはステッキ、胸にはチーフ、そして足元にはスパッツを、、、。 深い打ち合いのシングルブレスト、コンパクトなVゾーンが語ります。 上衿のベルベットとシルクのトップハットのマッチング、 重厚感のある生地で仕立てられた膝ホールドの丈、 身体に寄り添い 美しささえ感じられるコートは その方の格をも裏付けているかのようですね。 CHESTERFIELD COATの かくあるべきスタイルと言えるでしょう。   コートと言うアイテムは総面積も大きく、当然ながら目立ちます。 紳士の装いを語る上でオーバーコートは一番の外套であり、 根本は防寒着ではあるもののやはり拘りたい、拘るべきアイテムであると思います。               さて、突然ですが この上着は 当店HOUSE STYLE ORDERのサンプルとなります。   三つ揃いの内訳に対する呼称と致しまして、英国では 中衣 = WAISTCOAT(ウエストコート) 外衣 = COAT(コート、日本では一般的にはジャケットですね。)   そして、その上着の上から着用されるからこそ OVER COAT となる訳です。 名称も分かり易く繋がっています。         クラシックなブラックの チェスターフィールドコート です。 これも HOUSE STYLE ORDER のサンプルであり、先の上着に同じサイズです。 全く見えませんが中には 先の上着の上より着用させております。 (写真ではネイビーっぽくも見えますが、ブラックとなります。)   当店BLOGでもオーバーコートの話になれば 毎度インナーとアウターのマッチングについて語って参りました。 オーバーコートは インナーであるコート(ジャケット)の 精度如何でレベルが決まるというものです。   詳しくは下記リンクより 是非ご覧頂けましたら幸いです。 極上のGOLDEN BALEのオーバーコーティング(HOUSE STYLE ORDER)、 そして繊維の宝石CASHMEREの オーバーコーティング(BESPOKE)も共にご覧下さいませ。   http://dittos.seesaa.net/article/474431702.html 【 HOUSE STYLE ORDER:T様のご注文】   http://dittos.seesaa.net/article/473408826.html 【 CHESTERFIELD COAT:V様のご注文 】           上記リンクでは 最高級な素材を存分に生かした気品溢れるオーバーコートを 御紹介致しましたが、このサンプルを仕立てられている生地は求められる価値観が違います。   イギリス = 質実剛健   良く耳にするのではないでしょうか。 正にそれを感じさせてくれる生地で仕立てられております。         CAVALRY TWILL   大変丈夫な生地であり、乗馬服などにも使われております。 名の如く騎兵隊からくる名称を持つこの生地は 綾織り特有の斜めに入る畝、 これが二重畝になっているのが特徴となります。     上記リンクページにて御紹介させて頂いた 御二方による極上シリーズは良いに決まっています!! 昔は富と権力の象徴でもあったオーダーコート、やはり生地には拘るべきです。   しかし、別のベクトルでは 質実剛健で雨の日でも気兼ねなく着用でき、 皺なども気にする事無く防寒着を、、、されど仕立やサイズ、 着心地やバランスには拘りたいところでもあります。   そんな価値観でオーバーコーティングをお探しであれば、 今週御紹介させて頂く出物は正にど真ん中のお勧めとなる事でしょう。             Taylor & Lodge  SINCE 1883   大変お世話になっておりますし、頼りにしております、、、。               CAVALRY TWILL 100% ALL WOOL 480g   この度は、ブラックとネイビーの2色を かなりお得なレンジで入手出来ました。           写真ですと色味が本当に分かり辛いのですが、 こちらはダークネイビーとなります。   光の陰影が凄いですね、 もともと綾織は平織と比べ光沢感が出ます。 この生地は更に表面をクリアカットに仕上げておりますので ツルツルのお肌 に同じであり、それがこの陰影に繋がります。   480g、十分です。 重過ぎず軽過ぎない、そしてかなり密にガッチリと打ち込まれており、 コシと弾力が半端ではありません。   皺にも相当強く、そして復元力も強い事でしょう。           綺麗な二重綾が見てとれますね。 このキャバルリーツイルは相当重いウエイトまであります。 リアルな乗馬用となれば 1000gレベルまで御座います。   もともと強くて弾力のある生地です、乗馬用と比べてしまえば こちらは中級のウエイトです。 だからこそ、ゴリゴリでは無く 細マッチョ で スマートなコートになり、日本の冬には十分で御座います。   ここまで密に織り上げておりますので北風も通しません!             こちらはブラックとなり、単なる色違いです。 品番の同じ色違いではありますが、先のネイビーと比べるとややマットな印象ですね。 クリアカット仕上げに差があるという事になります。   差がある、、、、ドンマイ! 海外基準ですから(笑)。 生産ロットが違うとこんな事も御座います。         色次第では ODD TROUSERS にも良く使われる定番生地とも言えます。 パワーのあるツィードの上物には打って付けの下物となるでしょう。   キャバルリーツイル、、、かなり仕立て映え致します!   冒頭に当店サンプルコートの写真がありましたが、 あのシルエットはカットとクセ取りによる賜物です。       2色並べてみました。 こう見ると差が分かりますし、微妙な光沢感の違いも分かりますね。   ネイビーの方ですが、結構光沢があります。 しかし、これは仕上げで出しているので 数シーズン着用すれば落ち着いて参ります。           この御方のオーバーコートのスタイルも本当にエレガントで魅力的です。(1935年) ホンブルグハットは氏のアイコンでもあり、『イーデンハット』とも呼ばれています。 英国の首相も務められた方ですので知名度と影響力、 信用・信頼度も御座いますし 参考にせずにはいられぬ存在です。   勿論時代性もあるでしょうが、氏はピークドラペルが本当にお好きだった事でしょう。 冒頭の写真含め、バランスなど ご参考になる事は多い事と思います。               ・・・・・如何でしたでしょうか。 早くもオーバーコートを着用出来る季節が待ち遠しいです。   この度のキャバルリーツイル、出物ゆえかなりのお得なプライスレンジですが 更にHOUSE STYLE ORDER限定とはなりますが 早期受注キャンペーン での仕込みにもお勧めで御座います。   勿論 BESPOKEでも喜んで承らせて頂きます。 時間はかかってしまいますが何十年とお付き合い頂けますので BESPOKEに限らず、誂えは思ったが吉日で御座います。   皆様のお越しを心よりお待ちしております。               ・・・・・大変恐縮では御座いますが、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。   次回は 8月11日(火)の予定となります。   どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。          

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  • 【 2020AW-JACKETING 】

    2020.07.14 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 2020AW-JACKETING 】

        皆様 こんにちは。 7月も中盤に入り、流石にそろそろ梅雨明けも見えてくる頃となって参りました。 今度は本格的な暑さと闘わなければ成りませんね。     さて、その本格的な夏を迎えるにあたり 恒例の行事となりました HOUSE STYLE ORDER限定 における 【 早期受注キャンペーン 】のお知らせで御座います。   7月15日(水)~8月20日(木)   上記期間内のご注文につき、秋冬物としては少し早めのご注文となりますので 通常より工期を多少余分に頂く事で ささやかながらお値引きをさせて頂くという工場さんの企画となります。 (お仕立て上がりは 9月中旬以降となりますので、秋の入り口ですから丁度良い頃合いです。)     対象は秋冬物に限りませんので、春夏物のご注文でも構いませんし、 早々にオーバーコートも良いでしょう。コート地も素敵な生地が揃っております。   どうかこの機会を有効活用して頂けましたら幸いで御座います。 何卒宜しくお願い申し上げます。             既に今季秋冬用に買い付けた生地も順次届いております。 BESPOKEの方は秋冬用が勿論の事、 HOUSE STYLE ORDERでも少しずつ入り始めております。   店内に並ぶ生地やディスプレーも 今月末までには全て秋冬用に入れ替える予定では御座いますが、 既に店頭へ並ぶ前に完売してしまった今季仕入れ分の秋冬生地も御座います。   切り替え前でも秋冬用の生地はいつでもご覧になれますので どうか是非お気軽にお声掛け頂ければと思います。       今季秋冬地の仕入れ分より既にSUITINGは先に一部だけご紹介させて頂いております。 http://dittos.seesaa.net/article/475392665.html 【 2020AW  NAVY SUITING 】       今週は JACKETING を紹介させて頂きましょう。       ・・・・・スーチングとジャケッティング、 一応区別されている訳ですが その大いなる違いとは何でしょうか。 ご存知の通りスーツは上下揃いの生地で仕立てられますので、 トラウザースというアイテムが必須となる訳です。 トラウザースは運動量と共に可動域も広く、 更に上着と比べ高い頻度で摩擦も受けるアイテムとなりますので、 それなりに強度や耐久性も加味されていなければ成りません。   経糸と緯糸から織りなす それら生地ですが、 スーチングの場合は打ち込み(織り密度)を確りと密に織り込み、ハリとコシを持たせます。 反面、上着のみであれば下物ほどの強度を加味する必要は無くなりますので 先に触れた打ち込みを甘くして柔らかい風合いを優先したりと出来る事になります。     同程度のウエイトによるスーチングとジャケッティングを触り比べた場合、 ハリやコシの違いと共に 生地厚の違いにも気付かれる事でしょう。 スーチングの方が薄く感じるのは 織り密度が高い分 それだけジャケッティングより比重が大きいと言えます。   ですので、ジャケッティングは織り糸自体もふっくらとさせていたり、 織り密度も甘い分生地厚が出るという事になります。 そんなに大きな差ではありませんが、理屈としてですね!   仮にジャケッティングでスーツを仕立てた場合、 直ぐにトラウザースが駄目になってしまいます。 特に細いシルエットを好まれた場合、より顕著に膝が抜けたり、 尻縫い目がスリップしたりという事も有り得てしまいます。   好きな生地で選べば良いのではなく、 目的のアイテムにより向き・不向きが生地にも御座います。   そして、単品となるジャケッティングだからこそ スーツと比べればカジュアルに位置する事になりますので、 色も柄もクラシックからファンシーまで多彩な世界観を魅せてくれるのです。           それぞれにクラシックなジャケットスタイルを着こなしたご両人。 白黒のイラストではありますが、左の紳士はダブルのネイビージャケットでしょうか。 右の紳士はスポーティーな格子柄、腰ポケットはフラップドパッチポケットにされています。   この様にジャケットスタイルを着こなされる場合は、 上下アイテム同士のカラーコントラストをそれなに加味してあげると 各々のアイテムがとても引き立たせ合います。       では早速ご覧頂きましょう。           欠かせぬネイビージャケットは紳士の装いにおけるマストアイテムです。 先ずは外せないポジションですから 極上な GOLDEN BALE でのジャケッティングを御紹介致します。         織元は勿論 Taylor & Lodge 製となります。 現在では唯一同社しか極上の GOLDEN BALE を扱う事は出来ません。   個性と魅力に満ち溢れた生地ですが、先ずは色味、 ビジネススーツに採用されるネイビーとは差別化されておりますね。 トーンも明るめで赤味帯びたネイビーであり ロイヤルブルー寄りと言えるでしょう。   そして織りはクラシックな DIAGONAL です。 当たり前な綾織りながら、斜めに入る畝を敢えて強調した織り柄となります。   この美しい光沢感、光の陰影が素晴らしく これも偏に原毛のクオリティーが直接的に反映されおり、 素晴らしい仕上がり具合へと調理されております。   肌触りはシットリとして柔らかく、見れば、触ってしまえば 仕立てたくなってしまう極上な逸品を出物として巡り合う事が出来ました。           斜めに入る畝が確りと確認出来ますね。 本当にシンプルな織地だからこそ、 原毛の、そして生地としてのクオリティーがより引き立つと言えるでしょう。         Taylor & Lodge   DIAGONAL 100% Lumb’s Golden Bale Wool About 320g     ウエイトだけでみれば、当店のオリジナル記念生地(スーチング)あたりのウエイトです。 ですが、織り密度も甘い分 こちらの方が厚みを感じられる事でしょう。   だからと言って秋冬物のジャケット地としてみれば まだまだ中量級ですから 秋口から寒さ残る春先まで 幅広くご愛用頂けます。           ジャケットスタイルでの着こなしですからシャツやタイに固執せず、 タートル等のニット類でも楽しめますね。 この生地で仕立てられたそのネイビージャケットは、 エリートな万能選手である事に間違い御座いません。   この生地が当店に来たのも縁であり、 ここからは皆様との御縁をお待ち申し上げております。                 小格子柄の ODD JACKET をメインとした装いは、 全体的にモノトーン調でまとめるなか コルク色のグローブが良いアクセントになっています。   ニットでラフに着こなされた様は正にOFFでの装いにピッタリです。             次の生地は、出ました、巡り合いました、、、、格別なジャケット地に! エスコリアルのジャケット地です。         もう生地ミミにレアでラグジュアリーと書いてありますね! モノトーンでまとめられた やはりクラシックな BARLEYCORN で御座います。   肌触りは まるでカシミアの様でもあります。           このバーリーコーン柄は私も大好きな織り柄の一つであり、 良いのがあればつい仕入れてしまいます。   エスコリアル種の羊毛は細く縮れ毛が特徴です。 コントラストを効かせた織り柄も美しく、 縮れ毛によるナチュラルなストレッチ性は動きやすさに直結致します。         素晴らしい の一言に尽きます。 無彩色であるグレーですので、着こなしに合せるアイテムは 色を気にする事無く何でも許容してくれます。   ドレープ美しき上着になる事でしょう。 この品のある艶感と良い、エスコリアルを未体験の御方は 是非こちらの上着で試されてみては如何でしょうか。   きっと虜になる事でしょう、、、。       Joshua Ellis   BARLEYCORN PURE ESCORIAL About 340g     極上なカシミアやキャメル等を得意とする J.Ellis製です、間違いないクオリティーです! 遠目には溶け込む織り柄であり、ミディアムグレー位に感じる事でしょう。           トラウザースは敢えてホワイト(クリーム)フランネルの様に明るめも良いですし、 濃い目のダークグレーやダークブラウンなどで下半身を引き締めても良いでしょう。         昔はスペインの王族が独占していたというのも頷ける程の特別な種であり生地です。 一度は絶滅されたとされるエスコリアル種(マーグレップ羊)、 今では大切に育てられ 少しずつ増やされております。 洋服地だけでは無く、ストールやソックス、ニット類にも使われる様になって参りました。 高級な服地だからこそ、今回の様な出物との御縁を是非とも尊重して頂けましたら幸いです。 スペインの王族が独占したくなる気持ちをきっと御理解頂ける事でしょう。             ・・・・・如何でしたでしょうか。 最高の食材を使って、御自身の為だけに最高のジャケットをお仕立て下さいませ。 BESPOKEでも、HOUSE STYLE ORDERでも 最大限に食材を活かして調理させて頂きます。   写真では魅力を半分も伝えられていないと思います。 是非とも御自身の目で見て、触って、そして纏ってみて下さい。 必ずや口角が上がると共に、 御自身様が最高に気分良く着用される御姿を想像出来る事と思います。     今回ご紹介の生地も勿論 早期受注キャンペーン対象で御座います。 皆様のお越しを心よりお待ちしております。     では 今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。            

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