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生地に付いて

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 HARRISONS : OYSTER 】

    2020.09.01 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 HARRISONS : OYSTER 】

          英国を代表する俳優のお一人としてあまりにも有名な御方です。 氏の着用されているスーツも正に端正でエレガントである英国生地による英国仕立て、 このスーツの迫力を出すには やはり400gレベル以上のウエイトも必要な要素なのではないでしょうか。 そもそも昨今の様な薄くて軽い生地など昔はありません! 古着を見れば400~600gレベルの生地で仕立てられたスーツ等はごく普通です。   寒くなって コシのある生地で仕立てられた三つ揃い、早く着たいですね、、、。           皆様 こんにちは。 9月に入りましたが、まだまだ残暑もしぶといですよね。   今は秋冬に向け、仕込みや仕入れで妄想に深けつつ 気温が下がってくるのを楽しみに待ちましょう。     洋服好きな方であればある程 クールビズやノータイの期間はもどかしい限りではないでしょうか。 世界的な平均気温の上昇と共に、年々盛夏は酷い暑さですから否定ばかりではないものの、 期間は拡張されるばかりで疑問に思います。 楽に走り過ぎる辺りが日本での装いにおける 偏差値(意識)の低さを表していると思えてなりません。   そんな洋装根底無き日本の中では様々な国のスーツが楽しめる様になりましたが、 日本のテーラードはそもそも主として英国から学ばれて参りました。       ブリティッシュスタイルのスーツと言えば、皆様はどんなイメージを抱かれるでしょうか。 カチッと構築である事、、、そうですね、そもそもスーツのルーツは軍服です。 普遍的であり、控えめである事、、、正にクラシックたる所以です。 生地が確りとしていて長く付き合える事、、、 英国では誂えスーツは子の代、孫の代までとも言われておりました。   当然生地も丈夫でなければ成りません。 同時に、修理や仕立て直しが出来得る工夫が随所に施された技術の結晶でもあるのです。   反面、既製服というのはある意味使い捨てであり、 大量生産し消費されていく物ですから上記の様な結晶は手間も掛かりますし 意味の無い事ですから省かれて作られています。 流行も敢えて加味されるのは『もう古い型だよね』と成らなければ次が売れません。 どちらが良いかは様々な価値観がありますので 皆様が選択されるべき事柄です。   ですが、長持ちするスーツにおける絶対条件として クラシックであると共に、使われる生地も丈夫で確りとしていなければ成りません。     では、そんな典型的英国らしい生地というのはどんな物でしょうか。 それなりに重量的ボリュームも挙げられますが、 とにかく打ち込みが確りしてハリとコシがある、 だからこそ仕立て映えするのです。 解答となるべき生地は幾つもありますが、確実に答えの一つとして 自信持ってお勧めしたいシリーズを今週は御紹介させて頂きます。         LEAR BROWN & DUNSFORD OYSTER 100% WOOL 400g     正に英国的クラシック、素朴で肉味感じる程好いウエイトは 重過ぎないという意味で良い塩梅の生地です。 打ち込みが確りとして そのドライな感じはVINTAGEを彷彿させます。 老舗の名店並ぶサヴィル・ロウのTAILOR達からも 高い評価を受け続けているのは言うまでもありません。   奥に写るダブルブレストのスーツ、私の私物ですが この OYSTER で仕立てられております。 もう今年で17年選手です。 皺に成らぬ生地など基本的なスーチングでは存在しません。 しかし、こういったハリコシのある良い生地は粘りもあり 復元力がとても高く、 吊るしておけば殆どの皺は無くなってしまいます。   頼りになるスーツであり、スーチングです。       そんな OYSTER ですが、この度 2020年AWよりリニューアルされました。 今までは長きに渡り上記写真の様に L.B & D からでしたが、 何と HARRISONS からのリスタートです。 確かに同グループ内ではありますが、、、、     長年信頼し、贔屓にしてきたシリーズです。 まだ慣れず違和感がありますがバンチの中身(品質)は全く同じであり、 展開されるネームが変わっただけですので御安心下さいませ。                 変わらぬ品質、デザイン、正にクラシックであり あるべき物が内蔵されております。         不動の定番 PICK&PICK も勿論カラーバリエーション携え健在です。         ヘリンボーンだってなくてはならぬ存在ですね。 その他 多少モダンな新作柄もバンチ内には収録されております。               ・・・・・そんなシリーズの中より、 私が個人的にお勧めなスーチングを店頭在庫より2種ご覧頂きましょう。                 激渋です! モノトーンの ピンヘッド です。 絶妙なグレー地、独特の織り柄による表情が何とも堪らぬ逸品です。         この400gレベルのウエイトであれば ピンヘッド柄自体の存在感もありますのでご堪能頂ける事でしょう。 お仕立て上がりが目に浮かびます、、、、絶対に格好良いですよね!                         次の生地は正に直球勝負です。 チャコールグレーのソリッドです。 フォーマル度合いも高く、正にドレッシーなスーツに成ります。 ビジネスシーンは勿論、様々な畏まったオケージョンにも最適となります。         何の変哲もないダークスーツ、かつソリッドである事。 このポジションたる面子がワードローブにいるからこそ、 様々なバリエーションを楽しむ事が出来るのです。 英国的アンダーステイトメントを是非味わって下さい。                 中央に黒無地のスワッチが置いてあります。 この対比でどの位濃いグレーかお分り頂ける事と思います。   ダークスーツ、これは黒では無いという事がポイントであり、 ネイビーもそうですが黒に近付くにつれ濃ければ濃い程に ドレッシーなポジションとして高まります。       如何でしたでしょうか。 この2種以外にも勿論沢山のクラシックなスーチングが御座います。   このレベルだからこそ味わえる迫力と共に、英国らしいスーツを是非一着如何でしょうか。 どうかお気軽にご覧になりにご足労頂けましたら幸いです。   何卒宜しくお願い申し上げます。                 ・・・・・今年の晩秋位には 久しぶりに 当店オリジナルネクタイを御用意させて頂こうと準備を始めております。 実はずっとお世話になっていた小さなネクタイ工房さんが何とお店を畳まれてしまいました。 とても、とても悲しく残念で仕方がありません。   京都にあったとても小規模な工房で 素敵な方々が丹精込めて 1点1点手縫い仕上げで仕立ててくれていた逸品です。 最後のコレクションは定番品を相当量お願い致しましたが、 残念ながら最後の作品となってしまいました、、、。   http://dittos.seesaa.net/article/473296982.html 【 ネクタイ三銃士 】   親方のボヤキがもう聞けなくなってしまった事も寂しく思います。 次回より、新しい工房さんによる新作タイを是非お楽しみにして頂ければと思います。 良い意味で今まで以上にレベルアップを目指します。   仕立て上がりましたら当BLOGでも御紹介させて頂きますので、 こちらも改めて宜しくお願い申し上げます。       では、まだまだ残暑も御座いますので熱中症には十分にお気をつけ下さいませ。 今週も誠に有難う御座いました。                  

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  • 【 CHALKSTRIPE FLANNEL ② 】

    2020.08.18 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 CHALKSTRIPE FLANNEL ② 】

          今年の夏もかなり厳しい暑さが襲います。 加齢と共に 年々夏が苦しく感じられます。   子供達にとって楽しい筈の夏休みが こんなにもつまらない夏になるとは 誰も想像できなかった事でしょうし、不憫で仕方がありません。 私達がマスクをしながら静かに過ごす中、セミの元気な鳴き声が響き渡ります。       さて、お店の方ではこの酷暑を過ごす中 BESPOKE でも少しずつ秋冬物の裁断を始めております。         チョークでチョークストライプにマーキングです。 正に名の如く、TAILOR(CUTTER)の引く CHALKの裁断線の様だからと名付けられた訳ですね。   http://dittos.seesaa.net/article/452503990.html 【 CHALKSTRIPE FLANNEL 】             このチョークは殆どの場合 白を主体として使います。 ですが カラーチョークも大抵用意致します。これは左右で非対称となる線の時に使います。   例えば左右非対称の肩傾斜(腕が付く位置の高低差)であったり、 ベルト用などのトラウザースでは股上の非対称(腰骨の左右高低差)、 そしてドレスカットなどです。   対となる左右の必要なパーツに対し(例えば右前身頃・左前身頃など)、 前提として裁断線は片側だけにしか線を引きません。 効率化の為に生地を二重に畳み、対パーツを左右一気に裁断するからです。   この様に片側のみの裁断線に際し、右側パーツの線と左側パーツの線を カラーチョークで間違い無き様 区別しやすくしています。   また、白に近い色の生地であった場合は カラーチャコを使用した方が当然見やすいですね。 しかし、例えばホワイトタキシードやホワイトリネンなど こういったケースでも大抵は白チョークを使います。   それは カラーチャコの場合、 裏側に線を引いても表側に色が結構透けてしまうケースが多いのです。 この場合 白系の生地に白チョークですから かなり認識し辛く、分かり辛い裁断線となり苦労する訳ですね。   チョークに求められる性能とは明確な線で引きやすく、 そして適度に消えやすくなければ成りません。 基本は裏側にチョークを引くのですが、 例えばポケット位置や釦ホール位置など 表側に直接引く箇所もあります。 故に消え辛いチョークは敬遠されます。   適度に消えやすい、、、だからこそ チョークストライプの様なボケた線が『らしさ』となる訳です!   ちょっと触れただけで長くなってしまいました、、、早速本編へ戻りましょう。         この御方もチョークストライプのスーツを御愛用されておりました。 シガーにポルカドットのボウタイ、正に氏のアイコンとも言えるスタイルです。           チョークストライプのフランネルスーツは秋冬用のスーツとして 是非ワードローブに組み入れておきたいスーツです。   ここでもグレー派、ネイビー派と別れるでしょうが、 ネイビーの方がストライプのコントラストがより強くなりますので このクラシックなスーチング(縞)をよりご堪能頂けるのではないでしょうか。   イラストの紳士もポルカドットのボウタイですね。           ウインザー公はグレー系もネイビー系も御愛用されておりました。 氏の小指にはTRINITYのピンキーリング、私も真似っこしましたね(笑)。         渋いですね、凄くエレガントです。 白黒写真なので目立ちませんが、 ラペルのブートニエールがとても効果的なアクセントとなっている事でしょう。           今週は少量入荷ですが、素晴らしいネイビーの チョークストライプ フランネルを御紹介させて頂きます。           ・・・・・フランネルと言えば FOX BROTHERS がやはり有名ですが、 同社では絶対に作る事の出来ないフランネル、、、 それは LUMB’S GOLDEN BALEを使用したフランネルとなります。   これは逆に TAYLOR & LODGE でしか織れぬ生地で御座います。     TAYLOR & LODGE   Lumb’s Golden Bale 330g         本来ではある意味 野暮ったさが魅力でもあるフランネルが洗礼されたかのようです。 程好く縮絨され、密であるにも関わらず 流石はG.BALEです。 独特のシットリ感も残っております!         縞の幅は約16mm 狭すぎず、広すぎず、程好いバランスであり正にクラシックです。 ネイビー地らしくコントラストも美しく、縞のボケ感も良い感じです。         この生地、本当に絶妙で素晴らしい色出しなのです。 先ず室内では分からないと思います。 自然光下でじっくり見ると分かるのですが、、、 かなり絶妙な美しいネイビーを奏でているのです。   この拡大写真であれば少なからず垣間見る事が出来るでしょうか。         フランネルがGOLDEN BALEである必要など全くありません。 されど、GOLDEN BALEだからこその極上な品質と満足感は他では味わえません。   量は少ないですが、かなりお得な価格で入手できた代物です。 この機会に是非如何でしょうか。   心底お勧めなスーチングであり、 皆様の秋冬用ワードローブへとお勧め申し上げます。           チョークストライプのスーツを愛用された方々は本当に魅力的な方が多いのですが、 それだけ愛されるクラシックなスーチングであるという事でもあります。   男が男に惚れる そんな男気溢れた氏もご愛用者でした。 憧れであり、大好きな御方の一人で御座います。     『お洒落』 あまり好きな言葉ではありませんが 魅力溢れる方々からスタイルを学ぶ場合、手っ取り早くは真似してみる事が一番です。 最初はそれだけで嬉しくなるものであり、手に入れた後で 徐々に自分色へ染めて行けば良いのです。       どうか素敵なスーチングと出会いに皆様のお越しを心よりお待ちしております。         では、本当に厳しい暑さゆえ どうかご体調には十分にお気をつけ下さいませ。   今週も誠に有難う御座いました。              

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Bespoke Tailor Dittos.