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生地に付いて

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 Navy,Navy,Navy,,, 】

    2019.08.27 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 Navy,Navy,Navy,,, 】

        皆様 こんにちは。 8月もそろそろ終わります。雨と共に少しは気温上昇も落ち着きました。 まだ残暑はあるのでしょうが、9月になれば気分はもう秋へシフトですね。             NAVY : 海軍との意味や、英国海軍の制服色だった事からも この色を指す様になった経緯があります。 この色は最早無くてはならぬ色であり、 日本でも様々な制服色としても昔から採用されていますね。   こういった背景からも、NAVYから受ける印象というのは深く刻み込まれており 規律に伴った信頼感や安心感さえ受ける事もありましょう。 各国の代表者方もNAVYの着用比率はかなり高い事からも窺えます。 この色は 紳士服の色としても欠かせぬ存在です。               親子揃ってのネイビーによるクラシックで典型的な装いです。   ネイビーでも色のトーンや織りなどでも随分と印象が変わります。 限りなくバリエーションが広いネイビー地におき、 皆様はどんな選択基準でお選びに成られるでしょうか。   今週は NAVY(紺)に特化して 当店 NEW FACE のネイビー地を御紹介させて頂きます。           先ずはスーチングより。           1938年 ベルギーのブリュッセルにて創業された高級マートャント SCABALからの御紹介です。 昨今では、どの国の どこのTAILORへ行っても当たり前に使用されている『生地バンチ』 (=生地の見本帳)ですが、世界に先駆けてSCABALが初めたそうです。   同社の世界規模で展開されるその高級で素晴らしい生地は、最高級の原料と共に 徹底した品質管理のもと信頼度の高きブランドとして現在のステージに君臨し続けております。           赤味の含まれたネイビーらしいネイビー、大変肌触りの良い 魅力的なウーステッドフランネル です。 これは良い!!   SUPER 100’Sのウーステッドに、スパイス程度ながら風味づけとして カシミアがブレンドされております。   ウエイトは 340g 厚過ぎず、薄過ぎない生地感も程好く 秋冬用のスーツとして、またはブレザーにしても大変似合う事でしょう。   とにかく色が良いです! そしてこの風合いも素晴らしく 滑らかな印象で品もありますね。   その間違い無き逸品は、勿論 英国製となります。             フランネルですから表面は起毛されております。 ただし、ウーレンフランネルと違って ウーステッドフランネルは この写真の様に薄らと綾織の織地が見えますね。   340gと言えば 決してヘビーなウエイトではありません。 だからこそ春秋にも快適に着用出来、真冬に寒ければオーバーコートをお楽しみ下さいませ。                 ・・・・・お次の選手は、 1842年 フランスで創業された やはり高級なマートャントでもある DORMEUIL からの御紹介です。     1842年当時、創業者でもあるドーメルさんは22歳。 かの英国服地を仏国に輸入すべく その若さで始められたそうです。   スキャバルもドーメルも 名立たる高級マーチャントであり、 良い意味でライバル関係でもありますね。 言うまでもありませんが、その品質は その名が保証しているとも言える訳です。   その両社ともどもマーチャントですから企画された意図によっては 伊国製の生地も御座いますが、両社にとって根本的には やはり 『英国製:英国服地』が欠かせないという事でもあります。             深く濃い エレガントなダークネイビー のこの生地は、 とても確りとしたサキソニーとなります。   ウエイトは 480g と秋冬地であり、 肉味のあるこの感じこそ 英国服地らしさ溢れる存在感です。 表面はほんの若干起毛されており(ミルド仕上げ)、 打ち込みの確りしたこの生地はコシもあり 仕立て映えしない訳がありません!             皺への復元力も高い事でしょう。 これだけの肉があれば皺にも強くて扱いやすく、 本当に頼りになるスーツになってくれる事でしょう。   英国贔屓のお客様方におかれましては、やはりこの位のウエイト感が一番 しっくりと来るのではないでしょうか。   三つ揃いで確りと着込めば、都会では冬も越せそうですね! 堪りません、、、、。             ・・・・・2種を並べてみます。   上に、SCABAL:ウーステッドフランネル 下に、DORMEUIL:サキソニー   青味の深さやトーンの違いが見えますね。 デジカメは光や色を一生懸命拾いますので、写真より一段 濃く深めの色だと思って下さい。   両雄 名立たる高級マーチャントですから、 素晴らしい生地は沢山ありますが その分お値段も、、、、。 今回の様な出物は嬉しい限りであり、是非この御機会に如何でしょうか。           こんなパリッとした英国調のダブルブレストなどは 是非今回の様な生地でお仕立て下さいませ。   あ~、寒さが恋しいですね!             さて、次はジャケッティングのネイビーを御紹介致します。             当店での生地紹介では何度も登場しております カントリー系の生地と言えば W.Bill で御座います。   現在ではHARRISONSの傘下となり、廃盤も随分と出ましたが その『らしさ』溢れる生地は今でも健在です。                   W.Bill:PHOENIX というシリーズになります。   スコットランドで織られたその生地は、 ウエイトが約300g と見た目よりも軽快感のある服地です。 このシリーズは、色や柄は正にカントリーテイストながら タウンユースに適した着用を意図して企画されています。   PURE NEW WOOLを使用したこの生地は、見た目よりもソフトで柔軟でもあり サラリと気軽に羽織るジャケットとして皆様のお役に立つ事でしょう。               綾織地の PEPPER & SALT です。 (モノトーンでは無く、ネイビー系の色味でもP&Sで良いですかね!?)   コントラストの効いた経糸と緯糸を織り合わせ、独特な霜降り調の表情を生み出します。 ネイビー範疇ではありますが、こちらはスポーティーなジャケット地です。 色味も明るめで柔らかくが狙いとなります。   紺系の上着はとにかく使いやすく、合わせ易くもあり 様々なコーディネイトをお楽しみ頂ける事でしょう。                 ・・・・・最後の御紹介となります。 英国(スコットランド製)に対し、伊国のジャケット地を珍しくご紹介致します。     DRAGO   イタリア最大の毛織物生産地ビエラを代表するドラゴ社は、 糸の紡績から一貫して作る事の出来る数少なきメーカーです。 世界で扱われる高級細番手の約7割は ここで生産されているとの事、 正にイタリアを代表するミルとも言えましょう。   スーチングについては好んで伊製を選ぶ価値観を持ち合わせませんが、 ジャケッティングであれば話は別です!                 先のW.Bill:PHOENIX より、少しくすんだ渋いネイビーであり そのソフトな風合いは写真でも見てとれるのではないでしょうか。   ウエイトはW.Billよりも更に軽く 約280g ウールに カシミアを5% ブレンドしています。   イタリアらしい風合いは軽くて柔らかく、 正に楽に羽織るジャケットとして優れた生地で御座います。                 先のPHOENIXと織りもかなり酷似しています!   ですが、触るとやはり 良い意味で 英/伊 双方の特徴を感じる事が出来ると思います。 軽くて薄くもあるのに暖かい、、、 そんな優しさに包まれた印象を受けるジャケットが出来る事でしょう。   あえてアンコン仕立てで仕立てられても良いですね! 生地と仕立てはかなりの高次元で調和してくれる事でしょう。             2種を並べてみました。 上に、W.Bill:PHOENIX 下に、DRAGO   こう並べると、DRAGOの方がくすんだ青味であり ブルーグレー調の落ち着いた色調をしています。   似た織地ながら、風合いや色目の微妙な差で随分と見た目や着心地が変わります。   ODD JACKETだからこそ、紺系の中でも 英/伊 の違い含めて吟味されてみて下さい。 どちらが良いかでは無く、『どちらが好きか』という事ですね!   皆様の求められる着用シーンや価値観にて御選択頂ければと思います。             ブレザーに拘らずとも、ネイビージャケットは大変重宝出来るアイテムであり ネイビー系と言っても バリエーションは随分と多岐にわたります。   御自身とのベストマッチングを求めて 是非お気軽にお越し頂けましたら幸いです。                 では、皆様とお会い出来る日を楽しみにしております。 今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。                      

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  • 【 SUPER BRIO 】

    2019.07.09 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 SUPER BRIO 】

          梅雨の最中では御座いますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 七夕も終わり、街ではSALEと共に 秋冬物が早くも並ぶ季節となって参りました。   まだ梅雨明けさえしておりませんが、 この業界では早くも秋冬へシフトすべく準備が進んでおります。   当店におきましても例外ではありません。 新作タイも現在仕立てて頂いております。 ブレイシーズも仕込み済みであり、そろそろ届く予定です。 以前より 是非皆様に御紹介させて頂きたかった至高のストールも! そして頼んでいた秋冬用の生地もボチボチ入荷しております。   お客様方からは早くも秋冬物の問い合わせも頂いており、 いよいよ気分は盛り上がって参ります。         さて、そんな折では御座いますが 春夏生地の期中追加におき、 最後に何ともレアなVINTAGEの春夏スーチングが手に入りました!   HOUSE STYLE ORDERでは それなりに残暑もあるでしょうから、まだ十分に間に合います。 BESPOKEでは来年の春夏用とはなりますが 是非お勧めで御座います             この度のお宝ネタですが、 現存する最古の服地商でお馴染 フランスは DORMEUIL からの名品となります。   同社を語る上では欠かせぬ名品は数多く御座いますが、 その中でもTONIK / SUPER BRIO / SPORTEX は 世界中を圧巻したベストセラーでもあります。   特にトニック、この生地の主体はモヘアです。 MOHAIR:アンゴラ山羊の毛ですが、 これを洋服地として最初に上手くまとめ上げる事が出来た、、、 これが一番大きな要因でもありましょう。             お分りでしょうか。 1958年にデビューした あの【 SUPER BRIO 】です。 生地好き、スーツ好きな方々におかれましては 最早説明もいらないでしょう。   地厚なトニックと比べ、更にライトウエイトに仕上げるべく 敢えて産毛量の少なき南アフリカ産の SUMMER KID MOHAIR を当時より贅沢に使用しております。   ( 2月に生まれた仔山羊ちゃん達、その年の夏に初めて刈り取られた毛を指します。 仔山羊ちゃん達は勿論スクスクと成長して参りますが、 S.KMはその一生に一度しか刈り取る機会が無いという事になりますね。 )       実は このSUPER BRIOですが、以前にも御縁がありました。 6年ぶりの再会となりますが、また巡り合えた事に驚きを隠せません。 VINTAGEといえど、これは売れ余ったなどの残り物では無く、 大事にストックされていたという事でもありましょう。   http://dittos.seesaa.net/article/321867264.html 【 新旧 KID MOHAIR 】 ⇒ SUPER BRIOの詳しき詳細な情報は上記ページよりご確認下さいませ。   この最高品質となるキッドモヘアに対し、 やはり当時としては最高品質のメリノウール(Super 80’s)をブレンド致しました。       DORMEUIL : SUPER BRIO   60%  Summer Kid Mohair 40% Super80 Wool 250~280g   ベーシックな ダークネイビー、 そして春夏には欠かせぬ淡い色 サンドベージュ の2色となります。 ネイビー無地なんて特に激レアとも言えましょう。             当時の織りネームは雰囲気があり、気分も高まりますね! これらのVINTAGEは、70年代後半から80年代にかけて織られていた生地だそうです。 当時も爆発的に売れていたそうですが、高級な生地でも御座います。           SUPER BRIOは 『 国家元首の服地 』とも形容されていたそうですが 日本国内でも 昭和の時代には多くの政治家の方々にも愛用されていた事は確かなる事実です。   軽くて涼しい、そして皺になり辛く、品のある独特な光沢感は やはり独特の魅力を感じずにはいられません。             当時としては最高の原毛を使用している訳ですが、 そもそも その頃は今の何倍もの時間をかけて(かかってしまうとも言えます)、 ゆっくり、じっくりと織り上げられて参りました。   糸の紡績方法さえ違えば、勿論織機も違う訳です。 今でも現行品は展開されていますが、 古き良き時代の生地をリアルに復元する事は最早不可能に近いと言えましょう。   低速織機といえば、シャツ地の最高峰でもある CARLO RIVA が今でも現役で使用しているという事は、その織機でなければ あの風合い・品質に成らないという事ですね。   VINTAGEはREALであり、歴史でもあります。 現在の方が様々な方面で優れた点が多いことは事実であり、必要に応じて発展してきた訳です。 しかしながら逆に昔の方が高品質であったという事実は、物作りの世界では往々にして言われる事でもありますね。効率化を図れば自ずと失ってしまう側面があるという事も否めません。   もう 流石に手に入らない!? なんて断定は出来ませんが、今 目の前にある事自体がかなり貴重である事は確かな事実です。 特にネイビーソリッドなんて、本当にこれが最後のチャンスかもしれませんね。             お次はサンドベージュ、 明るく爽やかなその色味は、強気日差しを避ける為にも欠かせぬシーズン定番色でもあります。 これも同じく貴重でレアな色目であり、個人的にもそそられる大好きな色でもあります。             独特のハリコシは美しきシルエットを形成し、皺にも強く そのシャリっとした質感は 暑い夏場でも爽快な肌触りと着心地をお約束致します。   ネイビーと比べ、こちらの色の方が絶妙でして、、、写真での色味表現が難しいです。             今では SUPER 100や120など当たり前、150、180、200越えまで細い糸が作られている時代ですが、当時の高級なレベルがSUPER 80であった訳ですね。 これらの上記情報はドーメル社の古い資料によるものですが、同社の歴史を考えれば まだまだつい最近とも言えるのかも知れませんね。             ・・・・・如何でしたでしょうか。 これら昔の逸品は 正に自己満足の極みとも言えるでしょう。 現行品でも素晴らしい SUMMER KID MOHAIR を主体とした生地は御座いますし、 様々なメーカーが織り上げております。 ですが、お好きな方々にとって この味わい深く ふっくらとした風合いや雰囲気は、 やはり現行品の生地には無い、出せない魅力と感じて頂ける事でしょう。   これら逸品達との御縁を、ぜひこの御機会を 御検討頂けましたら幸いです。 生地はどんなにレアでもただの生地です。 洋服に仕立て上げ、皆様に御着用頂く事こそ 生地達にとっては一番の本望でもあると思っております。   是非店頭へ会いに来て下さいませ。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。             ・・・・・ご連絡申しあげます。   当店 HOUSE STYLE ORDER 限定におきまして ご協力下さる工場さんより 【 早期受注キャンペーン 】 のご連絡を頂戴しております。   【 期間 】 7月17日(水)~8月21日(木) 【 工期 】 約40日~45日   ● お早めに秋冬物のオーダーを頂戴する分、いつもより多めに工期を頂戴致します。 その代わり、ささやかながら お値引きをさせて頂くというキャンペーンになります。   ● 工期優先でしたら キャンペーン不参加で レギュラーオーダーのご注文も当然お受けしております。   ● ご注文の内容については秋冬物に限りません。 春夏用をお選び頂いても全く構いません。   ● 明日の10日以降、17日開催日以前のご注文の場合 キャンペーン参加を御希望でしたら 17日までお店でお預かりしておきますので、 キャンペーン対象注文とさせて頂く事も可能です。 お気軽にリクエスト頂ければと思います。     以上となります。   まだ店頭は春夏生地が並んでおります。 しかし、このキャンペーンも御座いますし そろそろ時間を見つけて秋冬地へと入れ替えも行いたいと思っております。     では、皆様とお会い出来る日を楽しみにしております。 今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。                  

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