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生地に付いて

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 ROYAL CASHMERE:OVER COATING 】

    2021.07.13 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 ROYAL CASHMERE:OVER COATING 】

          曇りで時々薄日の差す蒸し暑いとある日、 都会のオアシス 明治神宮へ行く機会が御座いました。 用事の帰りにいざ庭園へ。もうこの地の森自体が癒しの空間です。 池には美しい蓮の花が咲き 思わず見とれて動けなくなるような光景です。     そして有名な清正井へ もう空気が違う様な気すら致します。 パワースポットとしても有名な都内有数の名湧き水であり、 毎分60Lの水量は四季を通じて15℃前後で安定しており、 その水は一年中絶える事無く渋谷川へと流れているそうです。 本当に美しく透き通り、心が和み 氣を分け与えてもらえます。     そんな蒸し暑い最中、小鳥も水を飲みに! 飲みつつ、もう顔も身体も突っ込んで気持ち良さそうでしたが、 何て贅沢で大胆な、、、(笑)。   厳しいニュースばかりの昨今、少しでも心に癒しのお裾分けを。               さて、現在お店では HOUSE STYLE ORDER限定による 【早期受注フェア】が開催中で御座います。 今年は結構早めの日程でスタートしており、 店頭の生地はまだ春夏物が並んでおります。   そろそろ秋冬物へと入れ替えますが、皆様におかれましては いつでも秋冬地をご覧頂けますのでお気兼ねなくお申し付け下さいませ。       まだ梅雨さえ明けておりませんが、今週も最高のOVER COATINGを御紹介させて頂きます。 (勿論 早期受注フェアも対象で御座います。)             1935年 大変エレガントなA.イーデン氏のチェスターフィールドコート。 美しいシルエットのそのコートは、シングルの比翼フロントに 衿はピークドラペル。 フロントの打ち合いはとても深めである事が窺えます。   大変御贔屓にして頂いております顧客様より、氏のコートをイメージにと 素敵なコートの御注文を頂戴致しております。         あくまでもイメージとして最大限に尊重致しますが、 身長含めサイズバランスも違いますので クライアント様のお好みも踏まえ、 正にONLY ONEとなるコートとなります。 とは言いつつ、様々な部分でご要望が意識、反映されております。         顔でもある衿周りのバランス、剣の角度やゴージ、 ボリューム感含め とてもエレガントな顔立ちで尊重・具現化されております。 Vゾーンがかなり狭いですね。 サイズの問題もありますが、 フロントの打ち合い幅は深く取られているという事になります。 仮縫いなので上衿型はまだ分かり辛いですが、上衿・下衿のバランス構成も重要です。         エレガントにシェイプされたシルエット、 腰のポケットはA.イーデン氏に同じく『片玉縁』にて。 昔のコートは片玉縁ポケットがかなり多いのですが、それにも理由が御座いました。           お台場仕立ての内ポケット。 オーバーコートは脱いで手に持つ事も多く、 内部の物が落ちぬ様 フラップをお付け致します。           比翼フロントは確りと『控え』を取ります。 手間はかかりますが、見栄えと安定性が高いのですね。 この控えを取らぬ毛抜き合わせ(前端合わせ)の比翼では、 前端正面から比翼布が見えてしまいますので テーラードとしては採用したくない仕様でもあります。   腰ポケットの袋地のみ、ネル地を使用し 手を入れてもふんわりと暖かく!       上衿はベルベットにてリクエストを頂いております。 仮縫い確認が終わり、様々に確定しましたら肩入れして地衿を本付けし、 出来上がり型で地衿芯をカット後にベルベットを据えて参ります。         こんな素敵なコート、、、羨ましい限りです。 是非ワードローブに入れておきたいですし、入れておくべきでもあります。   オーバーコートは真冬しか着用しませんし、 目的地へ着けばスーツと違い脱がれる事でしょう。 だからこそ、本当に寿命が長く 正に一生物とも言えます。   お仕立てになる際には それも見越して妥協せず、 最高に気に入った生地をお選び頂き お仕立て下さいませ。   (このコートはBESPOKEですが、大抵のデザインや型紙的な細かなバランス、 ディテールなどのお好みリクエストから袋地に至るまで、 HOUSE STYLE ORDERでもかなり多くご対応が可能です。)           では、ここからが今週の本題となります! 今季仕入れた最高の【 繊維の宝石 】をご覧頂きましょう。   http://dittos.seesaa.net/article/445269848.html 【 繊維の宝石 】             Joshua Ellis 100% CASHMERE   ABOUT 500g     もう同社については御説明入らずですね。 最高のカシミアを手に入れるには、限られた信用のおけるメーカーでなければ成りません。   高級なカシミア、、、以前にも触れておりますが 市場に出回る流通量は 生産量の何と4倍にもなり、 それだけ混ぜ物・まがい物が多いという事になります。         重過ぎぬウエイト、日本において日常使いされるのであれば 500g以下で十分であり、それ以上はオーバースペックでしょう。 インナーもそれなりに秋冬用を着用されておりますから この位までが良い塩梅なのです。   私の大好きなRIPPLE FINISH の輝くようなカシミア地。 今回は厳選の上 ダークネイビー と チャコールグレー の2色を仕入れました。 (ブラックはいまいち惹かれなかったので却下です。)   深みのある素敵な色であり、正にクラシックな鉄板色です。 バンチ展開では、このRIPPLE FINISHされたカシミアが少ないのですね。 さざ波の様にウネリがあり、濡れているかのような輝きと瑞々しさに溢れています。         DARK NAVY 素晴らしい生地であり、ウットリしてしまいます。       美しい表情、深きダークネイビーはとても品があります。 カシミアは薄くても十分に暖かいのです。                           CHARCOAL GRAY こちらの色の方が更にRIPPLEが顕著ですね。 誰だって顔をスリスリしたくなってしまいます。       綺麗に染められた先の純単色 DARK NAVY と比べ、こちらのCHARCOALは ほんの若干 白毛も混じっており、乙な顔立ちと表情をしております。             ・・・・・如何でしたでしょうか。 最高品質のカシミアは当然高額です。   高額だからこそ、この様な出会いによる出物仕入に旨味がある訳です。 また、高級なカシミア地を選ぶ上で 小さなバンチ見本では迫力も雰囲気もいまいち伝わりません。   現物着分の持つ圧倒的な存在感と共に、宜しければ羽織る事も出来ますので より完成イメージを持ちやすい事と思います。   良い出物カシミアがあれば必ず仕入れる様にはしておりますが、 無ければ仕入れられません。 昨年はブラックに良いのがありましたが今は既に完売であり、 今年はブラックのカシミアが御座いません。 ブラックが御所望であれば別の獣毛かバンチよりお選び頂く事になります。 (実はブラック、、、今年はやはり極上のエスコリアル:コーティングが御座います!)           ダークネイビーのエレガントなダブル型チェスターフィールドコートをお召しです。 エレガントであり、本当に素敵ですね。   シングル、ダブルと どちらにも違った魅力があり 皆様の価値観にてお選び頂ければと思います。   最高の食材を選び、最高のお仕立てにて御誂え下さい。 一生付き合う相棒となってくれる事でしょう。         皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。 今週も誠に有難う御座いました。              

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  • 【 ODD WAISTCOAT:HAINSWORTH 】

    2021.06.22 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 ODD WAISTCOAT:HAINSWORTH 】

          昨日の21日は『 夏至 』でした。 一年で一番陽が長い日ですが、確かに陽が出れば19時まで明るいですね。         さて、先週は極上のジャケッティング(ESCORIAL)を紹介させて頂きました。 今週はそんなジャケットを主体とした着こなしや、 ツィード等のカントリースーツにも合わせたくなる最高の生地を御紹介させて頂きます。   アイテムは ODD WAISTCOAT です。         左の紳士はカラシ色のODD WAISTCOAT:POSTBOY を着用しております。 私が技術者としてまだ未熟だった若い頃から ずっと憧れていたスタイルのWCです。   そして『 色 』 イエロー系の類だけでも様々に御座いますが イエロー系は一見派手に感じられる方が居られるかも知れません。 しかし、こんなにも合わせ易く大抵のコーデにはマッチしてしまう 優れたODD COLLAR でもあるのです。           S様の御注文、POSTBOY:ODD WAISTCOAT です。 この独特なイエロー、後程 登場してもらいます。   衿は本作りで上着の様にハ刺しされ仕立てられています。 一番の特徴である 上下を分断するウエストシーム、 そこからのスカートが緩やかなフレアで腰回りまで寄り添います。   ベーシックなウエストコートと比べ着丈が長く、吊り用では無いトラウザースにも 程好く合わせられるので重宝出来るスタイルでもあるのです。   http://dittos.seesaa.net/article/449698302.html 【 POSTBOY WAISTCOAT 】 http://dittos.seesaa.net/article/450128554.html 【 POSTBOY WAISTCOAT② 】   上記記事を書いてから もう4年も経っていました!             ・・・・・ODD WAISTCOATの生地を考えてみると、 スポーティーな装いでは クラシックなタッターソールチェックが思い浮かびます。 もしくは フォーマル含め、 今回御紹介させて頂く 無地で色の表現が主体となる形になるでしょう。   無地での場合、私のお勧めBESTはコチラです。       HAINSWORTH     1783年創業であり、もう238年、、、日本は江戸時代でした。 ロイヤルワラントも持ち、古くよりロイヤルファミリーが着用されてきた式典の服や、 近衛兵含む様々なユニフォーム、映画の衣装やオペラなどのコスチュームなど 多岐に渡り支えてこられた老舗中の老舗です。   服地としてだけでは無く、インテリア用のファブリックとして 女王陛下にも王室住居の内装に使用されているそうです。 もう歴史とご活躍ぶりが凄過ぎるのでご興味のある御方は調べてみて下さい!       展開される生地も英国の歴史を見るかの如く、コレクションも凄いのですが 今回はその中より、私のお気に入りでもあり ODD WCにも適した【 MELTON 】と【 DOESKIN 】をご覧頂きます。   【 DOESKIN 】 100% Merino Wool 390g   【 MELTON 】 100% Merino Wool 340g   双方ともに起毛・縮絨された生地であり、 目が確りと詰まっていて地の目など全く見えません。 英国地らしくコシがあり、質実剛健な本当に昔ながらの英国生地です。 素朴ではあるのですが、色の展開も素晴らしく、本当に歴史を感じさせます。   メルトンなどは分厚いコート地をイメージされるでしょうが、 これは中肉であり とても扱いやすく、 ODD WAISTCOATにも嵩張り過ぎずに好都合なウエイトです。 もうお勧めポイントばかりなのです!         こちらはドスキンです。         こちらはメルトン、イエロー系だけでも数色見えますね、BUFFも欠かせぬ色です。           CAVALRY YELLOW これは騎兵隊の色(イエロー)という事でしょうか。 その隣は、PRINCESS OF WALES GOLD、、、、!!   有名なグレンチェックは通称 PRINCE OF WALES CHECK とも言われていますね。 PRINCESSですから頭には直ぐダイアナ妃を思い浮かべてしまいますが、 歴史は相当深く 調べてもキリがありません。 そそられる名称であり、独特の色ですね。   色味の濃いイエロー(ゴールド)であり、こんな英国由来の色味があるのです。 それが冒頭の仮縫い:POSTBOY WAISTCOATの生地でもあります。         STRAW / PRINCESS OF WALES GOLD / BRIGHT SCALET 特に下の2色は英国的な色ですね。 滅茶苦茶に素敵です、、、、。         PRINCESS OF WALES GOLD 色味が上手く出ませんが、良く煮込み、出汁の効いた様な深い味わいを感じさせる黄色です。           HUNTING PINKを彷彿させるSCARLETであり、近衛兵の赤も感じますよね。 これも写真では色味が上手く表現出来ません。             2週前、N様:ODD 3PでのODD WAISTCOAT です。 DOESKIN:PARA MAROON   マルーンは濃い茶色から。紫がかった赤にかけての色とあります。 深みのある所謂ワインレッドの様な感じです。 激渋です!     スタイルは極ベーシックな シングル 6釦-5掛け です。 腰ポケットのみ スポーティーにとフラップ付きにされました。         選ばれた裏地は更に深みがあります。 黒とワインを交織にした裏地であり、見る角度により 赤味と黒味が見え隠れする様がご覧頂けるでしょう。               U様にはこれまた英国的なグリーンでお仕立て頂きました。 MELTON:FOREST フォレストグリーン、、、森の木々による深き緑のODD WCは、 同じくご注文頂きましたHARRIS TWEED JKのインナーとしてお選び頂きました。   冒頭のPOSTBOY WAISTCOATに同じ型でありながら、 こちらは本返りの衿(ラペル)では無く、後付けされる仕立て方であり、 ダブルブレストの衿付きでは むしろこちら側の方が一般的です。 衿(ラペル)のボリュームが控えられるので、 Vゾーンのすっきり感はコチラに軍配が上がります。   釦はM.O.P.のボトルグリーンにて。           POSTBOY WAISTCOATの丈が長めな設定である事がお分かり頂けるのではないでしょうか。 お履き頂いておられるトラウザースは、WHIPCORDのベルトレススタイルであり、 吊り用の深い股上ではなく 腰履き設定となります。 ベルトも使いませんのでアジャスターが付きます。         こちらはH様の御注文であり、本返り衿のPOSTBOY WAISTCOATです。 MELTON:PRINCESS OF WALES GOLD   何とも魅力の高き独特な色味と歴史、自身分の生地も勿論購入済です! が、いつWCになるでしょうか、、、。 釦はM.O.P.のフォーンにて。         縮絨され、密な生地です。 ウエルトハンドステッチがとても映え、立体的で美しく見えます。 敢えてミシンステッチというのも乙な選択でしょう。           POSTBOYは着丈が長い分、長めの脇スリットが入ります。 尾錠は脇にて。 当然位置も高めになりますね。 勿論 付けないとう御選択も!           ・・・・・では、COLLAR WAISTCOATに合せるべく 英国製の釦をご覧下さい。     M.O.P. Cats Eye   WHITE / FAWN / WINE / BOTTLE / SMOKE / ROYAL と6色が写っていますが、展開自体はなんと計8色もあります。 キャッツアイ、確かに雰囲気あります(笑)。   WC用なので 上着のフロント釦サイズはもともと作られておらず、1サイズ展開です。   適度な厚み、ボリューム感があり、貝独特の美しき艶がエレガントでもあります。 インポートなのでお安くは無いのですが最適である事に間違いありませんね。   勿論 御要望により、ナットやホーンなどもお選び頂けますし、 同生地で包み釦を別途作る事も可能です。   脇役な釦ですが、とても重要な脇役であり イメージ含め 完成形を大きく左右致します。             N様のWCは、M.O.P.:WINEです。 素敵ですね!             ・・・・・如何でしたでしょうか。 三つ揃いのスーツに限らず、ウエストコート(WC)というアイテムを楽しまなければ損です! WCの役割は何役も担い、WCが有るか 無いかで様々な差がつきます。     今回のHAINSWORTHは秋冬地の一押しですが、もっと軽めなもの、 ソフトなものが御希望であればお勧めは変わりますし、 春夏であれば それこそリネンなども御座います。 季節に応じた様々な ODD WAISTCOAT をお楽しみ頂けますので 是非如何でしょうか。 今回のHAINSWORTHは お手持ちのツィードスーツ等に誂え足しされると、 それまたグッと魅力の変った着こなしをお楽しみ頂ける事でしょう。               ・・・・・誠に恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。 次回は 7月6日(火)を予定しておりますので、どうか引き続き宜しくお願い致します。   来月には仕込んでおりました 当店別注のスカーフも届く予定です。 雨か 暑いか の時期では御座いますが、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。   今週も誠に有難う御座いました。              

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