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2023/06

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 ESTATE TWEED:Glenurqhart check 】

    2023.06.20 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 ESTATE TWEED:Glenurqhart check 】

            6月、梅雨の最中ながらも好天になれば気温は30度を超えたりと、 既に厳しい暑さも感じさせますね。 そんな時期だからこそ、誂え慣れされた顧客様方は 秋冬用のネタを仕込まれる時期でもあります。               秋冬となればツィードが恋しくなります。 ウインザー公は格子のスポーツスーツに フラットキャップも合わせて誂えられていますね。 ゴルフやシューティング、フィッシングなどのスポーツウエアでさえ 当時は丈夫なツィードがその役割を担っていました。   http://dittos.seesaa.net/article/485242277.html 【 LOVAT TWEED:5P-SUITS 】                   LOVAT MILL   ツィードの発祥地であるスコットランドのホーイックにて 1868年に設立された老舗のミルです。   ≪ エステートツィード ≫ ツィードの理解を深めるのであればエステートツィードを知る必要があります。 簡単に説明すれば、貴族や領主が広大な領地内で着用する 専用の格子柄を生み出したのですね。 丈夫で自然に溶け込むアースカラーを巧みに、 そのバリエーションは各家多岐に渡りました。 このエステートチェックに有名なタータンも含まれるという事になります。   http://dittos.seesaa.net/article/486092629.html 【 LOVAT TWEED ① 】               厳密に言えば タータンチェック とは和製英語であり、 本来はタータンのみで格子柄共々あらわされます。 スコットランドの正装としても有名であるスカートは 男性でも着用されます。                 ウインザー公の多くの愛用品はサザビーズのオークションにでました。 これは当時のカタログであり、 公の愛用品は言わずもがな目を見張るものばかりです。               中身を覗いてみましょう。 公のワードローブのうち、 カントリー系に特化した極一部の写真だと思われます。 左側の方に小豆色のグレナカートチェックの上着が見えるでしょうか。                   1923年製 公が贔屓にしていた Scholte により仕立てられたものです。 ショルテ、ショルト、スコルト、、、日本語に置き換えられると 私が見てきた記述だけで様々な読み方がされております。 確か生まれはオランダの方だったような、、、 袖のカットを見れば等袖裁断(等分配袖)が成されており 時代を感じさせてくれる一つの手法です。   日本語ではグレンチェックと呼ばれる格子柄がありますね。 正確には Glenurqhart check (グレナカートチエック)となり、 スコットランドにあるアカート渓谷(グレン=渓谷)を指し、 この地域の領主のエステートチェックとして作られました。   Glenurqhart check は Prince of Wales check とも言われています。 多くの方々の認識ではモノトーンベースで多様な織地柄で構成された格子柄であり、 スーツ地含め良く見る格子柄である事でしょう。   ですが、ウインザー公(エドワード8世)の着用していた Prince of Wales  は この色柄であり、HARRISONSがこのデザインを復刻した際には TRUE PRINCE OF WALES とし、モノトーンベースで一般的な格子は CLASSIC PRINCE OF WALES と区別されていました。   どちらもグレナカートチェックですが、 ウインザー公の格子(Prince of Wales)は別途認識する必要があるという事になります。     この格子は、MAROON『マルーン:栗(マロン)に由来する赤味帯びた茶色』 がベースであり、ブルーのラインを帯縞に加えられていると記載されています。 まぁ見れば分かりますね!   とても印象深く、魅力的な色、格子、、、、 洋服好きな方にとって公のスタイルは避けて通れませんし、 どこかしらで目にしているのではないでしょうか。               ・・・・・エステートツィード(エステートチェック)を 現代へ復刻・再生を目指し、担うのがLOVAT社の役割であると謳われています。   もうピンときましたね!                       絶対に意識されたであろうデザインですね。 因みに この帯縞はグレンストライプと呼称されますが 横方向の帯縞にはリアルに同じくブルーが採用されています。 気付かれた方はいらっしゃるでしょうか、、、 リアルのPrince of Wales checkではブルーは飛び飛びで入れてあるので、 青の入る横縞、入らない横縞と交互に織られています。 反面 LOVATは全ての横縞にブルーを入れていますね。   これ、、、、もし同じように飛び飛びで織った場合 ただでさえ格子は柄合わせの為に用尺を+α必要とするにも拘らず、 飛び飛びにした場合は 1クールのデザイン区画が大き過ぎ とんでもない尺を有してしまうのです。 故に現実的な側面により HARRISONSでもそうでしたが この様にデザインされているのでしょう。 と考えると、公の格子は相当に贅沢でもあると言えるのですね!       縦の縞を見ると、分かり辛いのですが オリーブグリーン も 帯縞色に加えられていますね。 この深みとエグ味、流石のセンスとしか言いようがありませんね!                   ・・・・・英国通で博識な顧客様より、 フラットキャップ含めたスポーツスーツの御依頼を頂戴しております。 光栄な事に 拘り深きスタイルを持たれる別の顧客様からもご注文依頼を承りました。   この生地を選ばれる方は偶然ではなく、必然で選ばれているのですね。 私は洋服バカですが、皆様も相当お好きです!!   どんなスタイルで仕立てられるのか、、、、 どうか皆様も妄想を膨らませて楽しまれてくださいませ!                 ・・・・・如何でしたでしょうか。 当店BLOGは宣伝的側面もありますし 今回の様にマニアックな話も多いかと思いますが、 普通に無難でベーシック、クラシック、シンプルなご注文も 勿論お受けしておりますし、むしろそちら側の方が圧倒的多数ですので ご検討下さる皆様もお気兼ねなくお声掛け頂けましたら幸いで御座います。     真夏を前に既に気温は高めですが、 お店を涼しくして皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。 今週も誠に有難う御座いました。               ・・・・・来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。 次回は 7月4日(火)の更新を予定しております。   どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。                    

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  • 【 FOR THE DISCERNING MAN 】

    2023.06.13 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 FOR THE DISCERNING MAN 】

            お店に飾ってある写真の一枚。 歳を重ね、敬愛込めてこんな渋くてエレガントなジジイになりたいと思っている。 何てことのないクラシックでエレガントなダークスーツ、 至って普通ながらも バランスやサイジングは完璧、服はその人なりに溶け込み、 かつ一味も二味も違いと深みを感じさせてくれます。 生地もウエイトがあり、付き合いも随分重ねた事でしょう。 人も洋服もエイジングするわけですが、 質の良いエイジングを目指したいものですよね。           ・・・・・男のスーツは主にグレーかネイビーが主体ですが、 皆様はどちらがお好きでしょうか。 当店でのご注文内容では圧倒的にネイビー派が多いのですが、 私個人は若い頃よりグレー派です!   グレー、そしてネイビーも ライトからダークまで トーンによるバリエーションが豊富です。 一般的にフォーマルはブラックとなりますが、 ダークスーツも色が濃ければ濃いほどに、 黒に近いほどにフォーマル度が増します。   そのダークトーンの究極がネイビーではミッドナイトブルーであり、 グレーではチャコールグレーとなりまして、 この2色はフォーマルとしても使われます。               50代になり 今一度スーツというアイテムを顧みた時、 やはり私にとっては想い続けて已まぬチャコールグレーの三つ揃いとなるでしょう。   そのスーツを この紳士の様にブラックラウンジスーツ (ディレクターススーツ/ストローラー)の様に さりげなく着こなす事、これも含めて。   しかし現実は緩みきった体型を何とかしないと、、、。           そんな私が究極に好きなスーツ色、それがチャコールグレーです。 チャコールは炭(木炭)の意味であり、ほぼほぼ黒ですね。 ダークグレーとは違います。   無彩色たる安定感からの落ち着きや、強い存在感が感じられます。 それでいて有彩色とは なんでも仲良く出来る事、 そんな懐の深さも魅力なのが無彩色となります。 清楚、清潔、従容、高尚、高貴、、、 個人的にはそんなイメージを抱く色でもあります。                 HENRY LESSER & SONS   1920年創業であり、多くの老舗が名を連ねる 英国の生地メーカーとしては比較的に若いと言えるでしょう。 だからこそ、それら老舗に引けを取る事なく名門H.Lesserと言われるまでに 短期間で上り詰めた努力と労力、そして愛情、その妥協なき姿勢は計り知れません。   蘊蓄を語ればキリがありません。 その格調高き生地達こそ、英国地の象徴であり、 誇りであり、最高峰の一角と成り得るのです。   私が一番好きであり、信頼する英国地メーカーです。   ここの生地は説得力と気品を持ち合わせ、 そして英国服地とは何たるかをも語っていると思いますし、 その質は仕立てれば、纏えば自ずと分かる事でしょう。 知名度は低めかも知れません、なんてったってバンチは 増刷すらされませんので限られた TAILOR にしか無いのです。 多大なる宣伝もしません、必要とすらしていません。 HARRISONS社のジェームス.D氏もリスペクトして已まぬからこそ 率先して傘下に収められました。             格調高きH.Lesserのコレクションの中で LIGHTWEIGHTのシリーズがあります。 11/12ozs これは 320g~340g の範疇で企画・織り上げられたシリーズであり 英国では軽量級ですが、日本では 3シーズン の範疇に入るウエイトとなります。   厚すぎず、薄すぎない、正に丁度良いポジションで日本では特に重宝出来ます。 そして 同社の拘りは『 仕立て映えのする生地 』、これはTAILORの価値観に同じです。   当店顧客様ほどではないにせよ、それなにスーツを所有する私が TAILORという立場で改めてスーツを新調しようと思えば 迷わずにチェックするスーチングです。 特にこのシリーズは着用期間も広く最高です。   仕事上 捌いては食し、、、 調理人だからこそ、誰よりも最高においしい食材を知っているのです。             チャコールグレーマニアな私が、 誰よりも生地を見ている・見てきた私が言いますが、 H.Lesserのチャコールグレーは最高です。 とにかくトーンが濃くて限りなくチャコールです。 比べればわかりますが、ここ、、、とても大事です。   そしてH.Lマニアな私が50代になり、改めてダークスーツを顧みた時に選んだ生地。 それは細めでエレガントなヘリンボーン柄のチャコールグレー、これを購入しました。 (洋服になるのは当分先ですが、、、。)   兎に角 深くて渋くて、美しいチャコールグレー、 細めなヘリンボーンもダークスーツとして丁度よい! もう全てが良い!   このネームは比較的に近年ですが、既に使われていません。 (この似寄り 2種でさえ新旧となります。) 古着に同じく、ネームで年代も分かりますね。 黒と赤の2トーンを見れば、スーツ好きはH.Lesserが頭に浮かぶ事でしょう。 そのネームを良く見て下さい。   【 FOR THE DISCERNING MAN 】   目の肥えた紳士に / 違うの分かる男に、、、 と訳しましょうか。 クロート好みの生地なのです。                 さて、そんな私のお勧めに賛同して下さった 顧客様の生地が入荷したのでご覧頂きましょう。 双方ともに チャコールグレー です。               真っ黒なグランドに、真っ赤なロゴ。 とてもシンプルに一新された現在のネームです。 H.Lesserの生地は昔からミミに ★ も入れますよね!               K様よりお選び頂きました。 クラシックなスーチングには欠かせぬド定番、PICK & PICK です。 紳士のワードローブには必ず入っているべき PICK & PICKをチャコールで、且つH.Lesserで、、、 うらやまアンサーです。                 K様の当店 1st SUITSはダークネイビーでした。 2着目となる今回も同じく 3シーズンウエイトであり、 これでソリッドのダークスーツが両雄揃う事になります。   この模範解答であり、この盤石たる基盤の上に時間を掛けて誂え足され、 素晴らしいワードローブを構築されてください。           オタクですから、、、こんな写真を見ているだけで嬉しく、 羨ましく、仕立てさせて頂くのがとても楽しみです。 品質面は語る必要がありません、最高 ただそれだけです。   気品漂うエレガントな三つ揃いをご用意させて頂きます。                         次のご紹介です。 こちらの生地は M様よりのご注文となります。 三つ揃いを御愛用し、常にエレガントな出で立ちでご来店くださります。 『 3シーズン物で面白い(個性的な)生地を!』 とのリクエスト。   私のお勧めは迷わず冒頭のバンチもご覧いただきます。                 スーツの需要が減れば、生地メーカーも元気がなくなります。 展開される種類は厳選・集約され、どこも定番的で似通ったラインナップに 成りがちな昨今、だからこそ VINTAGEにも目が向くという側面があります。   そんな時こそ、H.Lesserのラインナップもご覧いただきます。 この生地だって 一味も二味も個性を持ち合わせる 魅力的なチャコール地のストライプです。             ご覧頂けますでしょうか。 ベースはクラシックなヘリンボーン柄です。 ニヒルな鈍い艶感、シャドーストライプの様に見える 織柄表情は『らしさ』でもあります。 そこにストライプ、白っぽいピンストライプをヘリンボーンに重ねますが、 もう一味加えたいとブルーの縞も重ね ツートーンストライプでの縞柄を奏でています。                 この陰影と共に艶やかな表情について、 織柄は勿論の事 厳選された最高級な原毛から滲み出ます。                       他メーカーのチャコールグレーと比べてみましょう。 TARGET スーツ好き、生地好きな方は直ぐにピンときますね! これまた高級で知られた HOLLAND & SHERRY より、 TARGETという3シーズン用のシリーズです。     チャコールの色味、トーンの違いが分かるでしょうか。 色出しの攻め方も違います。   良い・悪いではなく、好みでお選び頂ければそれで良いのです。 比べなければ分からぬほど些細な事に対し、 真剣に悩むのも誂えの楽しさではないでしょうか。               最後に同じヘリンボーン柄でのチャコールグレーで比較です。 手前が H.Lesser であり、冒頭に紹介した生地であり 奥が H&S です。                     ・・・・・以上で御座います。 今週はオタクであり、マニアな御託にお付き合い頂きました。 色味寂しく、ずっと炭を見ていたようなものですね。 多くの方々は付いてこられなかったかも知れません!     クラシックなダークスーツたる装いは デザインやスタイルなどに大きな違いは御座いません。 だからこそ 生地に拘り、仕立てに拘り長きを共に過ごせる相棒を誂えるのです。   最高の食材を使い、最高の調理をもって 最高においしい料理をお作りさせて頂きます。 ご注文され、食されるのはクライアントであり、皆様なので御座います。     どうか素敵な生地と巡り会えますように、、、。   今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。                

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