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2020/02

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 2020年 お勧め生地:英 】

    2020.02.25 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 2020年 お勧め生地:英 】

        英国製アンティークの天秤で戯れる羊君達と共に 久し振りに登場のFOX君! 君が登場ということは!?         2月も残りあと僅かですね。 2月と言えば『如月:きさらぎ』 暦の上では春ですが まだまだ寒い時期でもあります。 衣を更に重ねて着ている様より『衣更着:きさらぎ』 後に 如月 という字に置き換えられたとの事。   まだ冬服が必要な日もありますが、 今年の春夏用ファブリックの新作なども届いております。   今週、先ずは英国産より 春夏用の生地を御紹介させて頂きたいと思います。             1772年創業の超老舗ミル 凛々しきキツネのマークでお馴染の FOX BROTEHERS より、今期の新作シリーズが届いております。           【 FOX JOURNEY 】   100% Wool による、所謂フレスコ地となります。 ウエイトは300g前後であり、強撚糸を使い 通気性に特化した織りとなります。 JOURNEY と名付けられたこのシリーズですが、 ご旅行をイメージされたデザインと性能が盛り込まれております。   皺にも強く大変扱いやすい生地であり、同時に旅先でも リラックスした雰囲気で和むスポーティーな色柄で構成されております。   リゾートに、ショッピングにと 旅先でも使いやすい 気楽なタウンスーツ地というポジションと言えますでしょうか。   勿論スーツとしても素敵ですし 大変お勧めですが、 上着や下物のみでの単品でも様になるのが嬉しいところです。 日本では残念ながらクールビズも浸透し、スーツを御着用されるより ジャケット&トラウザース等の単品構成で よりスポーティーな装いへと 流れつつある昨今にも正に打って付けと言えるでしょう。   スーツでお仕立てしておけば、気分やシーンなどにより着こなしを選択出来ますね。     “The Perfect cloth for a World Traveller” 是非ご覧くださいませ。           フレスコなので全く光沢感の無いマットで落ち着いた雰囲気。 独特のザラッとした触り心地は、 汗ばんだ肌にも張りつく事無く爽やかな着心地をお約束致します。 配色で構成された複雑な格子柄ですね。 春夏らしい明るめの色味も揃い、こんな主張のある格子柄だからこそ スポーティーでNOタイでも様になるというものです。             コレ、格好良いですね! 配色のブロックチェックに大きなウインドーペーン柄を重ねてあります。 柄は素敵ですが、仕立てる際には柄合わせの為 相当な要尺が必要となりそうです。                 格子の主張が強い物が続きましたが、 シンプルで落ち着いたクラシック・ウインドーペーン柄も御座います。 柄が大人しくなれば 着こなしもバリエーションが広がるというものです!   左上、くすんだグリーン × ブルー、惹かれます。                 クラシックなグレンチェック柄も涼し気なブルーを入れたり、 トーンの軽めな感じで構成されている辺りが やはり春夏意識というところです。 こちらも格子柄は結構なBIGサイズです。 柄物では、縞柄は縞同士の間隔や線の太さ、格子柄は格子マスのサイズで ドレッシー ⇔ スポーティー を表現されているとも言えます。               シンプル系で言えば 無地範疇に入れても良いであろうピンチェック!? ピンストライプ!? の織り柄となります。 遠目には溶け込み無地に見える事でしょう。 この様にオフ白を混入するだけで色目を明るくしつつ 涼しげな印象も与えてくれます。             これはネイビー地のピンストライプですが、かなり密度の高い縞柄です。 これでしたらONにもOFFにも良いですね。               最後は爽やかでスモーキーなストライプ。 これはリゾート感満載であり いかにも涼しげで軽快な印象です。 リネンのシャツがとても似合いそうですね。       今までのフレスコ系は主にビジネススーチングとしての扱われ方が多かったからこそ、 こんなにも多彩なバリエーションはとても新鮮であり 類を見ないポジションとも言えるでしょう。 FOX JOURNEY  是非店頭にてご覧下さいませ。               ・・・・・次は真っ赤なバンチでお馴染 1863年創業の老舗マーチャント HARRISONS からの御紹介です。 今期は『SPRING RAM』という新作が出ていますが、上記FOXに同じく所謂フレスコ地であり 主にビジネス用に使いやすいダーク系・無地系が揃います。 ウエイトもFOXと比べれば更に重めで確り感があります。 こちらはスルーしまして、、、       【 MYSTIQUE 】 というシリーズがSS用としてもともとあり、 今季リニューアルされました。 春夏のスーチングとして極ベーシックなPLAIN WEAVE(平織り)です。 やはり強撚糸を使い皺になり辛く とてもサラッとした肌触りであり、 滑らかで薄く涼しき代表的な生地シリーズとなります。           ・・・・・そんな MYSTIQUE より、 ネイビー地で魅力的な生地を御紹介致します。             敢えて染めムラのある糸を使用する事で 掠れた表情を打ち出し、 昔の藍染の色落ちを彷彿させるような感じにも見えますね。   単にネイビー地でなく、やや砕けた雰囲気と涼しさを感じさせる絶妙な調理です。 食欲もそそるというものですね。   スーツにも、ジャケット、アンコンジャケット等にもお勧めで御座います。 ウエイトは軽く しなやかながら、強撚糸使いで耐久性も加味されております。                 これまた見るだけで涼しさが伝わりそうなトーンと色目、優しいく清々しいスカイブルーです。                 良く見ると細かな小格子柄であり、厳密には 4-POINTED STAR となります。   この上着にリネンやコットンのホワイトトラウザースを穿き、 リゾート地へ出掛けたくなりますね。 グレーのウールトラウザースに穿き替えれば、 職種にもよりますが十分にビジネスシーンでもお使いになれるのではないでしょうか。                 ・・・・・以上となります。 今回ご紹介させて頂きましたシリーズたちは スーツでも、ジャケットやトラウザース等の単品でも御利用頂けます。   さてさて今年の夏はどうなるでしょうか。 暑いとは思いますので、そろそろ春夏用の仕込みに良い時期となって参りました。   近々には もっとスポーティーなジャケット地なども御紹介させて頂きますので 引き続き宜しくお願い致します。     では、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。 今週も最後までお付き合い頂きまして 誠に有難う御座いました。                      

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  • 【 MORNING SUITS 】

    2020.02.18 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 MORNING SUITS 】

        皆様 こんにちは。 今年の冬はコロコロと安定せぬ異例尽くしです。 2月も後半に入り 洋服業界は既に春夏へシフトしております。   当店も春夏用へと生地の入れ替え含め衣替えを致しております。 今年はオリンピックイヤーでもありますが、夏はどうなるでしょうか。             1937年に撮影された写真です。 現代における日中の第一級正装であるモーニング・ドレス。 (モーニングコート、カットアウェイ・フロック) 皆様が一般的にイメージされるスタイルではブラックの上着に コードストライプの縞柄トラウザースを合わせます。   まだモーニングが普段着でもあった時代では、ビジネススタイルからカントリースタイルまで 様々な生地(ツィード等も)を使い バリエーションに富んだモーニングスタイルがありました。 フロントの釦も一つに限りません。   現代でも辛うじて存続しているスタイルにモーニングスーツ(アスコットモーニングとも)があり 主にアスコット競馬場での正礼装となっております。   写真の様に明るめのグレーで誂えられたスーツです。   勿論フォーマルなスタイルですし、トラウザースの裾上げは必ずシングルとなります。 写真に向かって左側の紳士の裾上げ傾斜をご覧下さい。 モーニングカットとも呼ばれる傾斜を付けた裾上げですが、 かなり意図的でエグイ角度にて上げられているのが見受けられますね。   これらは軍服などにも見受けられますが、ここまでの傾斜を付けるには それなりのテクニックが必要でもあり、BESPOKEのステージであれば いくらでもご要望通りに仕上げる事が出来ます。 その傾斜の付いた裾口は直線だけでは無く、カーブ線での上げ方もあり、 前後差が大きくなればなる程にカーブ線の方が良いですね。   スーツとして三つ揃いでも、フォーマルなオッド・ウエストコートを合されても素敵です。     では、現代での正統的なロイヤルスタイルのモーニングスーツもご覧頂きましょう。         御結婚式へ参列された時のマイケル王子御夫妻。 衿腰高きシャツと、ネクタイはボリュームたっぷりの結び方がアイコンでもありますね。         アスコット競馬場にて。 とても良く晴れた日に見えますが、傘をお持ちですね。 英国紳士にとっての傘というところでもあり、ステッキ代わりにも。 英国では様々な仕込み傘なども御座いますが、腰掛になる傘なども御座います。           さて、今週は大変御贔屓を頂いておりますN様より モーニングスーツのご注文を頂戴致しましたので御紹介させて頂きたいと思います。           モーニングのご注文頻度は低いので 折角ですからいつもと別の場所でも撮ってみました! 光沢感のあるライトグレーのモーニングドレスは、 キッドモヘアが主体となる混紡生地であり 春夏用としてのご注文となります。           確固たる御自身のスタイルを確立されてられるN様におかれまして、 モーニングドレスの御着用頻度はベーシックなラウンジスーツと比べれば そこまで高くは無い事と思われます。 だからこそ、今回の春夏用生地で盛夏も踏まえた三つ揃いのスーツに モーニングドレスを加えた 計4P-SUITS としてご注文を頂戴致しました。 これでスーツとして幅広くご活用頂ける事になります。   ウエストコートはショールカラーのダブルブレストを、 バックレスのスタイルにてリクエスト頂きました。           上着はシングル・ブレストの一つ釦、ピークドラペルのドレッシーなデザインであり N様の個性が表現されたバランスで御座います。 腰ポケットのフラップさえ排除された とてもエレガントな仕様です。   トラウザースの裾上げは勿論シングルですが、 冒頭の写真レベルまではあえて傾斜を付けておりません。 当店でのレギュラーでは、シングルでもダブルでも前後差:3㎝ で統一しておりますが 御希望であれば4㎝でも5㎝でもリクエスト頂ければと思います。           ・・・・・いよいよモーニングドレスも組み上がり、いざ仮縫いです。                 モーニングドレスにはウエストシームが入り、 深いセンターベントは『フックベント』となります。 仕立てる際に切込みも必要となる為、仮縫いではベーシックなセンターベントで組み上げます。               モーニングコート コートと言ってもオーバーコートではありませんね。 サイジングはあくまでもベーシックなスーツの上着に同じです。         ・・・・・さぁ、お仕立て上がりで御座います。     このバックレス・スタイルのウエストコートですが、 上着を脱がなければ誰もバックレスとは気付けません。 とても涼しきスタイルでもある為、 春夏でも三つ揃いを御愛用される方におかれましては重宝出来る仕様でも御座います。             もう一つ、独特なメリットがあります。 それは中胴サイズが有って無い様なものである事、 背ベルトでのご調節次第という事になります。 3サイズが多少の増減をされたとしても、背ベルト次第で補えますね。             キッドモヘアの光沢感はドレッシーに映え、ハリやコシは綺麗に丸味を生み出します。 上着が一つ釦ですので自ずと Vゾーンは深くなります。 インナーのダブルで仕上げたウエストコートが素敵です。           モーニングスーツとしての御着用です。 一般的なブラックのモーニングは、フォーマル地としてバラシアやドスキン、 そしてミニヘリンボーン柄などは王道です。 アスコットモーニングはピック&ピック(シャークスキン)がメジャーとなります。 しかし、これら装いも当然春夏用としてのフォーマルシーンもありますので、 その場合は やはりモヘアを混紡された生地が主体となって参ります。   通常の秋冬用のウーステッドと違い、個性の強いキッドモヘア系の生地は地も薄く、 融通性も低い為 見越したテクニックが必要となります。   N様、、、、本当にエレガントで素敵です。 英国滞在時に御着用との事であり、御機会の折に是非デビューされて下さいませ。             背中には必ず付けられる2つの釦、 これは歴史上でのモーニング誕生に端を発する大切なディテールです。 (今回は長くなるので割愛致します。)   センターベントはフックベントに! 腰のくびれからお尻のボリュームへと立体的な曲線が身体を包みます。             本来モーニングコートでのスタイルは、 帽子(トップハット)とグローブにて完結致します。 昔のビジネスモーニングなどは腰ポケットが付けられたりもしていましたが、 基本的に この確立されたモーニングドレスのスタイルには腰ポケットがありませんね。 では、グローブ含めちょっとした物を仕舞いたい場合はどうしましょう。     実は後側に隠しポケットがあしらわれているのです。 内側である裏地に付けるお店(TAILOR)もありますし、 そもそも省略してしまった老舗TAILORさえ御座います。 昔ながらに背釦は付けるにも拘らず、モーニングを着用される歴史的・スタイル的な前提に立てば やはりお付けしたいところでは御座いますが、無いと単純に不便だとも思います!   TAILORは仕立てのテクニックだけでは無く、着用されるスタイルや背景、 歴史も踏まえ多大なる学びと理解が不可欠必という事でもあり それらが些細ながらも仕立てられた服への説得力へと繋がればと願っております。             ウエストシームは大いなる特徴です。 ここで上下分断されている訳ですが、 実はシェイプのライン自体がウエストシームでは無いのです。   貸衣裳のモーニングから、 一応既製服としてのモーニング、ほぼシェイプの無いモーニングなどもあり それはもう色々とある訳ですが、、、本来ではそのシームより上に 製図設定上のウエストラインがあり、シェイプされる位置となります。   更に言えば、語弊があるかも知れませんが、 昔の男性は女性の様に見えない所でパッド等を内蔵して肉盛りし、 よりメリハリの効いたスタイルを作り出していた歴史があります。 モーニングコートもそれに漏れず、昔は腰パッドも内蔵され より顕著なシルエットを作り出してもいました。           ¥背中の写真ですが、テールコートの類では 通常のジャケット(コート)には無い『細腹』が御座います。 縫目は通常『割り始末』と言って縫代を両側に倒しますが、 ハリやコシ、そして反発力の強いモヘア系の生地では、各縫代を片側に倒し ハンドステッチで押さえるのが一般的な始末となります。   その細腹のシームは、袖のアウトシームへと繋がります。             英国のパブリックスクールである名門イートン校では、モーニングコートが制服であり 街中にはモーニングを着た学生さん達が日常体に見受けられる訳です。 日本では堅苦しくもあるとみられるモーニングスタイル自体を N様はもう少し身近なスタイルとして御着用されたいとの趣旨に対し ポジション的にもバランスの良いモーニングスーツに成られたのではないでしょうか。   いつかは自分にも仕立てたいモーニングコート、、、 その時はどんな風に料理にするか考えるだけでも楽しいものです!   N様、この度も素敵な御注文を頂まして 誠に有難う御座いました。           では、いよいよ本格的に春夏へシフトで御座います。 まだまだ寒いもある事と思いますが、 春夏の装いを妄想しつつ是非お気軽にお越し頂けましたら幸いです。   皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。            

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