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2021/06

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 ODD WAISTCOAT:HAINSWORTH 】

    2021.06.22 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 ODD WAISTCOAT:HAINSWORTH 】

          昨日の21日は『 夏至 』でした。 一年で一番陽が長い日ですが、確かに陽が出れば19時まで明るいですね。         さて、先週は極上のジャケッティング(ESCORIAL)を紹介させて頂きました。 今週はそんなジャケットを主体とした着こなしや、 ツィード等のカントリースーツにも合わせたくなる最高の生地を御紹介させて頂きます。   アイテムは ODD WAISTCOAT です。         左の紳士はカラシ色のODD WAISTCOAT:POSTBOY を着用しております。 私が技術者としてまだ未熟だった若い頃から ずっと憧れていたスタイルのWCです。   そして『 色 』 イエロー系の類だけでも様々に御座いますが イエロー系は一見派手に感じられる方が居られるかも知れません。 しかし、こんなにも合わせ易く大抵のコーデにはマッチしてしまう 優れたODD COLLAR でもあるのです。           S様の御注文、POSTBOY:ODD WAISTCOAT です。 この独特なイエロー、後程 登場してもらいます。   衿は本作りで上着の様にハ刺しされ仕立てられています。 一番の特徴である 上下を分断するウエストシーム、 そこからのスカートが緩やかなフレアで腰回りまで寄り添います。   ベーシックなウエストコートと比べ着丈が長く、吊り用では無いトラウザースにも 程好く合わせられるので重宝出来るスタイルでもあるのです。   http://dittos.seesaa.net/article/449698302.html 【 POSTBOY WAISTCOAT 】 http://dittos.seesaa.net/article/450128554.html 【 POSTBOY WAISTCOAT② 】   上記記事を書いてから もう4年も経っていました!             ・・・・・ODD WAISTCOATの生地を考えてみると、 スポーティーな装いでは クラシックなタッターソールチェックが思い浮かびます。 もしくは フォーマル含め、 今回御紹介させて頂く 無地で色の表現が主体となる形になるでしょう。   無地での場合、私のお勧めBESTはコチラです。       HAINSWORTH     1783年創業であり、もう238年、、、日本は江戸時代でした。 ロイヤルワラントも持ち、古くよりロイヤルファミリーが着用されてきた式典の服や、 近衛兵含む様々なユニフォーム、映画の衣装やオペラなどのコスチュームなど 多岐に渡り支えてこられた老舗中の老舗です。   服地としてだけでは無く、インテリア用のファブリックとして 女王陛下にも王室住居の内装に使用されているそうです。 もう歴史とご活躍ぶりが凄過ぎるのでご興味のある御方は調べてみて下さい!       展開される生地も英国の歴史を見るかの如く、コレクションも凄いのですが 今回はその中より、私のお気に入りでもあり ODD WCにも適した【 MELTON 】と【 DOESKIN 】をご覧頂きます。   【 DOESKIN 】 100% Merino Wool 390g   【 MELTON 】 100% Merino Wool 340g   双方ともに起毛・縮絨された生地であり、 目が確りと詰まっていて地の目など全く見えません。 英国地らしくコシがあり、質実剛健な本当に昔ながらの英国生地です。 素朴ではあるのですが、色の展開も素晴らしく、本当に歴史を感じさせます。   メルトンなどは分厚いコート地をイメージされるでしょうが、 これは中肉であり とても扱いやすく、 ODD WAISTCOATにも嵩張り過ぎずに好都合なウエイトです。 もうお勧めポイントばかりなのです!         こちらはドスキンです。         こちらはメルトン、イエロー系だけでも数色見えますね、BUFFも欠かせぬ色です。           CAVALRY YELLOW これは騎兵隊の色(イエロー)という事でしょうか。 その隣は、PRINCESS OF WALES GOLD、、、、!!   有名なグレンチェックは通称 PRINCE OF WALES CHECK とも言われていますね。 PRINCESSですから頭には直ぐダイアナ妃を思い浮かべてしまいますが、 歴史は相当深く 調べてもキリがありません。 そそられる名称であり、独特の色ですね。   色味の濃いイエロー(ゴールド)であり、こんな英国由来の色味があるのです。 それが冒頭の仮縫い:POSTBOY WAISTCOATの生地でもあります。         STRAW / PRINCESS OF WALES GOLD / BRIGHT SCALET 特に下の2色は英国的な色ですね。 滅茶苦茶に素敵です、、、、。         PRINCESS OF WALES GOLD 色味が上手く出ませんが、良く煮込み、出汁の効いた様な深い味わいを感じさせる黄色です。           HUNTING PINKを彷彿させるSCARLETであり、近衛兵の赤も感じますよね。 これも写真では色味が上手く表現出来ません。             2週前、N様:ODD 3PでのODD WAISTCOAT です。 DOESKIN:PARA MAROON   マルーンは濃い茶色から。紫がかった赤にかけての色とあります。 深みのある所謂ワインレッドの様な感じです。 激渋です!     スタイルは極ベーシックな シングル 6釦-5掛け です。 腰ポケットのみ スポーティーにとフラップ付きにされました。         選ばれた裏地は更に深みがあります。 黒とワインを交織にした裏地であり、見る角度により 赤味と黒味が見え隠れする様がご覧頂けるでしょう。               U様にはこれまた英国的なグリーンでお仕立て頂きました。 MELTON:FOREST フォレストグリーン、、、森の木々による深き緑のODD WCは、 同じくご注文頂きましたHARRIS TWEED JKのインナーとしてお選び頂きました。   冒頭のPOSTBOY WAISTCOATに同じ型でありながら、 こちらは本返りの衿(ラペル)では無く、後付けされる仕立て方であり、 ダブルブレストの衿付きでは むしろこちら側の方が一般的です。 衿(ラペル)のボリュームが控えられるので、 Vゾーンのすっきり感はコチラに軍配が上がります。   釦はM.O.P.のボトルグリーンにて。           POSTBOY WAISTCOATの丈が長めな設定である事がお分かり頂けるのではないでしょうか。 お履き頂いておられるトラウザースは、WHIPCORDのベルトレススタイルであり、 吊り用の深い股上ではなく 腰履き設定となります。 ベルトも使いませんのでアジャスターが付きます。         こちらはH様の御注文であり、本返り衿のPOSTBOY WAISTCOATです。 MELTON:PRINCESS OF WALES GOLD   何とも魅力の高き独特な色味と歴史、自身分の生地も勿論購入済です! が、いつWCになるでしょうか、、、。 釦はM.O.P.のフォーンにて。         縮絨され、密な生地です。 ウエルトハンドステッチがとても映え、立体的で美しく見えます。 敢えてミシンステッチというのも乙な選択でしょう。           POSTBOYは着丈が長い分、長めの脇スリットが入ります。 尾錠は脇にて。 当然位置も高めになりますね。 勿論 付けないとう御選択も!           ・・・・・では、COLLAR WAISTCOATに合せるべく 英国製の釦をご覧下さい。     M.O.P. Cats Eye   WHITE / FAWN / WINE / BOTTLE / SMOKE / ROYAL と6色が写っていますが、展開自体はなんと計8色もあります。 キャッツアイ、確かに雰囲気あります(笑)。   WC用なので 上着のフロント釦サイズはもともと作られておらず、1サイズ展開です。   適度な厚み、ボリューム感があり、貝独特の美しき艶がエレガントでもあります。 インポートなのでお安くは無いのですが最適である事に間違いありませんね。   勿論 御要望により、ナットやホーンなどもお選び頂けますし、 同生地で包み釦を別途作る事も可能です。   脇役な釦ですが、とても重要な脇役であり イメージ含め 完成形を大きく左右致します。             N様のWCは、M.O.P.:WINEです。 素敵ですね!             ・・・・・如何でしたでしょうか。 三つ揃いのスーツに限らず、ウエストコート(WC)というアイテムを楽しまなければ損です! WCの役割は何役も担い、WCが有るか 無いかで様々な差がつきます。     今回のHAINSWORTHは秋冬地の一押しですが、もっと軽めなもの、 ソフトなものが御希望であればお勧めは変わりますし、 春夏であれば それこそリネンなども御座います。 季節に応じた様々な ODD WAISTCOAT をお楽しみ頂けますので 是非如何でしょうか。 今回のHAINSWORTHは お手持ちのツィードスーツ等に誂え足しされると、 それまたグッと魅力の変った着こなしをお楽しみ頂ける事でしょう。               ・・・・・誠に恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。 次回は 7月6日(火)を予定しておりますので、どうか引き続き宜しくお願い致します。   来月には仕込んでおりました 当店別注のスカーフも届く予定です。 雨か 暑いか の時期では御座いますが、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。   今週も誠に有難う御座いました。              

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  • 【 ESCORIAL:JACKETING 】

    2021.06.15 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 ESCORIAL:JACKETING 】

        皆様 こんにちは。 もう晴れれば夏のように暑いですが、関東甲信もいよいよ昨日には梅雨入りが発表されました。   そんな6月では御座いますが、当店BLOGはAWのお話で御座います。           色や柄も多彩に、魅力的なコーディネートをされた装いは正に三者三様です。 御三方共に上手くグレーを取り入れていますが、 無彩色であるグレーは何でも受け入れ 調和という恩恵に授かれる万能色でもあります。 地味で控えめでもありながら、懐の大きな色であり 紳士服の装いにも欠かせません。           先週はエスコリアルの上着を主体にした N様:ODD 3P のご注文を紹介させて頂きました。 至福なエスコリアルはとてもウール(羊)だとは思えぬ程に 優しい肌触りでソフトな風合いがお楽しみ頂けます。   今週は2021年AW用として、 素晴らしいエスコリアルの生地を入手致しましたので是非お勧めさせて頂きます。 以前にもエスコリアルに付いては御紹介しておりますが、改めて簡単に触れておきましょう。         北アフリカのMAHGREB(マグリブ・マグレブ)地方を起源とする独特で小さな羊がいました。 14世紀 スペインの王室はこの種をエスコリアル宮殿内に向かい入れる事になります。 これが現代にいたる呼称になっている訳ですね。 (その後、この種は一度絶滅したとされていました。)   この独特な羊はメリノ種の羊と比べ個体がとても小さく、 メリノ種の1/3 程度しか毛を採取できません。 そして、その特徴的な原毛は『繊維の宝石』と称されるカシミアより細く、 更にはコイル状のばねの様にカールしており これがナチュラルなストレッチ性を生み出しています。 ウールの原毛で良く使われるSUPER表記で換算すると、 細い毛の部位でみれば SUPER 200レベルの細さに相当するようです。 ウール(羊毛)であってウールではないかの如く 別の特別な獣毛みたいですね。   こんな夢の様なウールが存在し、 今では少しずつ個体数も確保される様になりましたので、 洋服地からニット製品に至るまで様々に見受けられる様になりました。 それにしても まだまだ希少である事には変わりませんし、当然高額でもある夢の服地です。   スペインの王族が独占していた事も頷けてしまいますね。             無彩色によるモノトーンコーデは、ニットでのリラックスしたジャケットスタイル。 FLATCAPも加え、装いに締まりもでますし、渋くてとても品を感じられます。           Joshue Elis   PURE ESCORIAL About 350g     先ずは無彩色:グレーによる3者共演です! これら3種は紡毛糸(WOOLEN)よる生地でありボリューム感と迫力が御座います。   織り柄やトーンの違いにより グレーにも様々な個性と表情がある事が分かりますね。   当たる光の陰影も美しく、これも原毛の細さや質の高さからきますので 勝手に滲み出るホテンシャルの高さを垣間見る事が出来ます。           ベーシックなヘリンボーン柄は濃淡の糸遣いを有効に綺麗なニシンの骨模様を表現致します。 堂々と、かつ落ち着きのある存在感です。         ジャケット地であり、紡毛糸という事もあり 柄出しはこの位が丁度良い塩梅です。 スーチングでは梳毛糸になるので 梳毛か紡毛による織り糸の太さにより柄の出方、表現力に差が出ます。 ( 柄の大小は ドレッシー ⇔ カジュアル に対するバランスも表現している事になります。 )         とても綺麗です、、、、、写真では無理ですが、触ればウットリとしてしまう事でしょう。 もう洋服に料理せず、このまま首に巻いても気持ちが良さそうです!               お次は やはりクラシックな バーリーコーン柄。 この生地は先週たっぷりとご覧頂きました N様の上着に同じです。 遠目には無地の様に溶け込みますが、近くではここまで表情を楽しむ事が出来ます。   先の当店仕入れ分は直ぐに無くなってしまいましたので、 追加仕入させて頂いた次第で御座います。           これも素晴らしい! 一見 白黒の千鳥格子の様に見えますが、千鳥格子ではありません!   これは TWO & TWOという織りであり、日本ではヘアラインと言う織に属すようです。 このモノトーンベースへ 何とパープルでオーバーペーンを重ねているのです。   TWO & TWOとは濃淡2色の糸を交互に経糸・緯糸に織る事により 自然に浮き上がった織り地となります。 面白いのは 表側から見ると縦縞に見えますが、裏側は横縞のボーダーになるのが特徴です。   有名なグレンチェック、これは織りを複合させた格子柄ですが 千鳥格子と共に このTWO & TWO(グレンストライプ)で構成されています。 グレンチェックの服をお持ちの御方はご覧になってみて下さい!           高貴なパープル、とても大好きな色ですが ベースの織り地が強いので 良く見れば、、、といったレベルですね。   だからこそ、派手に感じる事も無く 逆にこのパープルを拾って コーデに有効利用できる楽しさを備えていると言えます!   白の織糸を良く見ると、2本引き揃えて織られているのが見受けられますね。             では、次に有彩色での秀色をご覧頂きましょう。 これから2種ご紹介しますが、先の3種より 織糸細く地薄に感じる生地でもあります。   それだけ上品でエレガントに見える上品な生地となります。         Stanley Mills   PURE ESCORIAL ABOUT 340g   タン、そしてネイビー。どちらも欠かせぬ秀色です。 一番使い回しも効く色であり、押さえておくべきジャケットでもあります。   この2種は先の紡毛と違い、梳毛(WORSTED)が使われています。 織糸が細い分 生地も薄くなり、サラッとした印象になります。   ≪ Stanley Mills ≫ 同社はあまり耳に致しませんが、1890年創業のやはり老舗のミルで御座います。 カシミア含め高級な品質の生産が主だそうで プラダやディオールなどのメゾン等との取引きもしているそうです。 このミルも今や大きな組織に属しており、 早々たるメーカーが名を揃えているグループとなります。   このメーカーは、ファーストクラスの品質とサービスをモットーとしており 知名度は低いものの、隠れた高級服地ミルですね。           この写真より もう少し黄色味があるでしょうか。 日本語だと 小麦色がしっくりと来ます!           とても表情豊かな顔立ち、実は小格子柄であり 小さなバーリーコーン柄となります。 穂は小さく、バーズアイっぽくも見えますね。           綺麗に揃い実に美しい柄出しです。 色味からも秋を感じさせてくれますし、柄からも、、、、。 この上品なバーリーコーン柄、 これに合わせて下物はコーデュロイなど如何でしょう。 正にカントリーを彷彿させる鉄板なコーデの一つでもあります。             次は これまた美しいネイビーです。 シットリとしてしなやか、至福の肌触りは暖かく 万能なネイビージャケットをこれで誂えたらどんなに幸せな事でしょう。         典型的なツイル織り、 ほんのり赤味のあるそのネイビーはビジネススーツのネイビーと一線を画します。 濃ければ濃い程に、要は黒に付かい程に色としてドレッシーな扱いになります。 ネイビージャケットの色は濃過ぎず青味の感じられるネイビーこそお選び頂く色でもあります。     ネイビージャケット、ネイビータイ、何着・何本あっても欲しくなります。 季節やシーン、素材感含め多彩なネイビーをご堪能下さいませ。       では最後に これまたクラシックで美しい格子柄:カントリーチェックをご覧下さい。             Reid & Taylor   PURE ESCORIAL About 340g 4-PLY   1839年 スコットランド創業のミルであり、 かつてはMOXONやTAYLOR&LODGEなどに並び、ウールの中で 頂点でもある最高原毛 Golden Bale も扱っていた素晴らしいメーカーです。   同社はスーチングからジャケッティングまで エスコリアルをバンチで抱える程に扱いこなし、多彩なコレクションは群を抜いています。         発色も大変美しく、原毛が細いからこそ 柄出しのきめ細かさが際立ちます。 クラシックなガンクラブチエックにタンのオーバーペーンが重ねられています。 素晴らしき配色による魅力が溢れています。   このカントリーチェックがツィードでは無くエスコリアルである事に意味があります!           ツィード等とは本当に真逆の質感、、、。 大人の上品でスポーティーなジャケットを是非ワードローブに!               ・・・・・如何でしたでしょうか。 羊の毛(ウール)という括りの中でも本当に様々なウールがあります。 エスコリアルとツィードが 品種は違えど同じ羊と言う動物の毛であるのです。 (品質表示的にみれば、ESCもTWEEDもG.BALEも みな WOOLです。)         毎度ながら写真での色出しが難しく、 ネイビーの色や先のグレーなどもトーンのバリエーション含め この写真だと比較的リアルに出ていると思います。   ですが、やはり生で、御自身の目で見て感じて下さい。 その素晴らしい質感にやられてしまうでしょう。   またエスコリアル未経験の方々におかれましては、今回の出物仕入は素晴らしいチャンスです!         合わせるウエストコートやトラウザースはお任せください! 迷ってしまう程にお勧めが沢山御座います。   ODDでは組み合わせがかなり多彩に成りますので、 皆様の価値観により 最適をお勧めさせて頂きます。       では、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。 今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。          

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