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2019/11

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 10th-ANNIV P.STRIPE:S様の御注文 】

    2019.11.26 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 10th-ANNIV P.STRIPE:S様の御注文 】

        Fread Astaire (1936)     スタイルも良く運動神経も抜群、 お洒落で格好良く 正に非の打ちどころ無きエレガントな御方です。 氏の充実したワードローブの中で、 シングルブレスト:ノッチドラペル 2釦 のデザインはとてもお好きだったようであり、 スーツからジャケットスタイルまで残された沢山の写真からも垣間見る事が出来ます。   この日は やはりシングル・ノッチ 2釦のスーツを2Pで! 帽子のリボン、タイ、チーフは意識されている事でしょう。           先月末の当店誕生日の折には本当に多くの方々より お祝いのお言葉を頂戴しまして、恐縮ながら誠に有難う御座いました。 10周年による記念生地も 沢山のご注文を頂いておりまして心より光栄に思っております。   今週は、御贔屓頂いております S様より BESPOKE 2P-SUITS:10th-ANNIV PINHEAD STRIPE のスーツを御紹介させて頂きます。   http://dittos.seesaa.net/article/468986091.html 【10th-ANNIV PINHEAD STRIPE】               裏地には渋いブロンズ色のペイズリー柄。 SB-2B-1(シングル・ノッチ:2釦 1つ掛け) 2Pスーツでの御注文で御座います。         当店で頂いておりますご注文は三つ揃いのスーツがとても多いのですが、 最近は上下2Pでのご注文も随分と増えております。   三つ揃いのトラウザースは基本吊りますので、 ベルト用トラウザースの御紹介は自ずと少くなく 今回は是非ご覧頂ければと思います。     W-BANDの腹部には小さなループが見えますでしょうか。 これはピンループですね。 ベルトのピンをこのループに通してベルトをして頂くと、 ベルトのバックル自体が上下する事無く安定致します。 使うか否かは勿論ご自由で構いません!         当BLOGでは、今回に同じくシングル:2釦でも古のデザインである 『パドックカット』は随分と特集致しましたが、 こちらはそれ以降となる2釦のスタイルとなります。 F.アステア氏の2Bに同じであり上釦一つ掛けで着用致します。   http://dittos.seesaa.net/article/418036041.html 【 PADDOCK CUT① 】   とてもクラシックでエレガントなバランスであり、シルエットも綺麗に出ていますね。 2Bといえば、やはりF.アステア氏の姿を意識せずにはいられません!             ・・・・・さて、いよいよお仕立て上がりです。 一般的に長ズボンはストローの様に直線の筒として仕立てられますが、 着用する人間は そんなに真っ直ぐな脚の方などほぼ皆無です。     クセ取りによりS字に曲げていますが、この度合いはシルエット(太さ)にもよりますし、 筋肉含めた脚の立体感、そしてその御方の姿勢さえ加味されます。 故に、S字の度合いはクライアント様によって変わると言えます。           フロント開閉はファスナーをお選び頂きました。 ファスナーを閉じれば、あたかも縫われている様にフロントを包み込ませます。 これもBESPOKEならではのテクニックが宿ります。   フロント帯の持ち出しは手付けの前カンか 今回の様に釦止めが一般的なニ択となりますが、 ご要望があれば何でもお申し付け下さい。             脇はスラントポケット、尻ポケットは右のみでフラップを付けない仕様を御選択です。             裾上げは折り返しのあるダブル仕上げ(TURN UP CUFF)。 当店ではダブルの場合でも 前後差3㎝の傾斜をレギュラーとして付けております。   この3㎝という数値を定寸とした場合、裾口幅が狭ければ傾斜が強くなりますし、 太ければ傾斜も緩く感じる事となります。 これも理に適っていると言えます。   ただし、勿論オーダーですのでクライアント様のご要望があれば当然尊重致します。 ( HOUSE STYLE ORDERの場合でも、頑張って2㎝の傾斜を付けて頂いております。)           内部に見える外脇・内脇の縫代裁ち端、 これは裁断後 一般的には解れ止めとしてロックミシンが利用されますが、 こんな所も手縫いによるカラゲ縫いで解れ止め致します。   『 靴擦れ 』 靴擦れというパーツですが、一般的には踵の部分にだけ共生地で付けられていますね。 当店ではグリルと一周に渡り 専用の別途同色テープ(コットン)を付けています。 = KICK(BACK)TAPE   では何故この手法をチョイスしているのでしょう。   先ず、単純に考えてみましょう! 靴に擦れ、摩擦を受けるのは踵だけではありませんね、、、 側面も、甲の部分だって擦れます。   摩擦を受ける靴擦れ自体は いつかダメになります。 靴擦れを取り換えたくても共地が無いですね、、、 このテープであればいくらでも在庫がありますので、 いつでも、何度でも付け替え交換が出来ます。   内側のヘム(生地の折代)はやはり靴により擦れて汚れます。 (摩擦を受け続ければ擦り切れる事もあります。) 例えば もし股下の長さ調整をした場合に この汚れが露呈してしまうのです、、、。 このテープは一周付いているのでテープ自体が汚れてくれるので、生地を汚しません。 ヘムは更にダブルの折り返し内に隠していますので常に安泰なテクニックとなり、 そのヘム量はダブル幅分丸々と確保していますので量も多く丈出しにも対応しつつ、 折代段差がゼロとなる為 プレス当たりも防ぐ事が出来ます。   まだありますよ! 裾口に対し、伸び止め効果兼、力芯の役割も担います。 コットンですから前後クリーズ線の折り目定着度も高いですね。 このテープ、下側(裾側)のみフラシにしていますが これにも意図があります。   文字で書くと凄い量になってしまいますね(汗)。 まだ工夫はあります。   たまたま靴擦れの話ですが、この部分だけでは無く各所にて本当に様々な手法があり、 それぞれに手間と共にかかる時間、技術難易度も違います。 何を尊重し、何を最優先するかにより その沢山考えられる手法からチョイスされて一着の服へと構築されているのですね。         S様のご来店を楽しみにお待ちしております!   袖の緩やかな『くの字』が見てとれます。 これも裁断とクセ取りによる賜物ですが、袖の設計には必ず『肘位置』の設定があります。 例えば、既製品で袖丈が長かった場合 丈を袖口のみで短くしてしまったら、、、 お分り頂ける事でしょう。 やはり始めから その方だけに誂えられる服があるべき姿であるという事です。         大変長らくお待たせ致しました。 股上も腰骨に沿ったあるべき位置に適合し、スッキリと綺麗な尻周りで御座います。 W-BANDの後中心には Vスリット、ループは左右に振り分けております。     因みに、大抵の方々は左右でどちらかの肩が下がっており 非対称となります。 度合いも様々ですが、御自身の身体は その歪みを支え直そうと腰骨位置も左右高低差が出るものです。   股上深く、ある程度ゆったりとしたウエストサイズで設定する吊り用トラウザースの場合、 その腰位置左右差はキャンセルする事が出来ます。 しかし、ベルト用やベルトレスなどの様にWサイズがジャストであり、 股上を腰位置に合せる場合は その左右高低差も本来であれば補正しなければ成りません。   当店ではBESPOKEでは勿論、 HOUSE STYLE ORDER でも腰位置非対称補正を行っております。             御当日はリラックスされた上品なジャケットスタイルでお越し頂きました。 スェードのタッセルローファー、そしてパープルのソックスが良きアクセントとして! S様はいつも本当に素敵な装いでお越し頂きます。 股下の長さ、これは御着用者のお好みも勿論御座いますが 裾口幅とも大いなる関係があります。   このフロント部分のスッキリさ、もし裾上げに傾斜が付いていなければ 踵のホールド感で丈を定めた場合(後側基準)、 傾斜分の3㎝がフロント側に圧し掛かり 結構なクッションとなります。   逆に、フロント側から定めて股下設定した場合(前側基準) さっきとは逆に現状踵位置から3㎝も上がってしまう事になります。   どうでしょうか。 これが傾斜付きで裾上げされる効果となります。   お好みにより、傾斜を弱くも出来ますし、もっと強くも出来ます。 お客様次第で御座います。           コテと共に立体縫製による丸味感が良く出ています。 この生地は本当にTAILORのいう事を良く聞く優等生です。 オリジナルゆえ その様に織って頂いたわけですが、これがTAILORの想う『良い生地』であり、仕立て映えのする生地という事になります。   シンプルで控えめ、されど精度高く身体に寄り添い 美しいシルエットと機能性を秘めております。     今日のS様はアステアも良く愛用していた釦ダウンシャツですね。 本日もS様らしさが漂い 本当にお似合いで御座います。             『軽い、本当に軽い!』と 笑みがこぼれ、大変お喜び頂きました。 洋服好きなS様に喜び頂けて私自身も光栄であり、本当に嬉しいです。     S様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。             では皆様、今年もあと約一カ月 体調を崩さぬ様 頑張って参りましょう。 今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。            

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  • 【 BESPOKE 5P-SUITS 】

    2019.11.19 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 BESPOKE 5P-SUITS 】

        11月も後半に入り、そろそろツィードやカシミアなども楽しめる様になって参りました。     なんて格好良く、素敵な日常着なのでしょう! ツィードやフラノがとても活きて似合うスタイルですね。 日常的な普段着だからこそ、その力み無き 様になるスタイルには魅力を感じます。 御二人ともタブカラーシャツというのも時代を感じますね。   頭には帽子、そして下物は機能性高き活動的なプラスフォワーズ。 古のフラットキャップ(ハンチング)はトップが一枚天井の円形であり歴代的正統派です。 正に英国的でもあり、私にとってはこれがフラットキャップ(ハンチング)です。   因みに、ロンドンにある老舗の帽子専門店『 BATES 』がフラットキャップと呼称している事からの引用となりますが、このスタイルは残念ながらプラスフォワーズ同様に今ではあまり見られなくなりました。       フラットキャップに三つ揃いのスーツにて 4P-SUITS。 ブラウン系で落ち着きのある小格子柄の生地はツィードでしょうか。 上着はシングルのピークドラペルという所が乙ですね!           さて、今週は大変御贔屓を頂いておりますH様より、 BESPOKE による スペシャルな5P-SUITS を御紹介させて頂きたいと思います。   H様におかれましては この5P-SUITSオーダーは2回目となります。 とてもお気に召して頂き、使い勝手と共に欧州のカントリーをめぐる上では 正に最適との事で光栄にも生地を変え 2セット目となるご注文です。   この5P-SUITSの内訳ですが、上記紳士の様にコートにウエストコート、 そしてフラットキャップにプラスフォワーズ。 更にレギュラー型のトラウザース(長ズボン)を合わせて 5P となります。 気分やTPOに合わせて下物を変える事が出来ますし、そもそもツィードでのお仕立てですから 各アイテムを外して加えたり、それぞれも単体アイテムとしても大いに流用できます。     では、早速ご覧頂きましょう。           お選び頂きました生地は、 カントリー系服地を得意とする W.Bill より、軽量級なツィードである SUPERFLEECEというシリーズからお選び頂きました。 http://dittos.seesaa.net/article/461069973.html     ウエイトは400gさえも切った 375gであり、 今回の仕様はプリーツ類などが各所に施されるディテールとなりますので、 あまり生地が厚いとモコモコになります。   そういった意味では今回のデザインや仕様は 正に好都合極まりない生地でもあるのです。 確りとした打ち込みはコシもあり、皺にも強く、復元力も高い。 私自身分も色柄違いですが、ちゃっかりKEEPしているお気に入りのツィードです。   それにしても激渋で王道的なスポーツスーツで御座います!             そもそもH様とのご縁は、冒頭の写真でもあった様な ゆったりとした 昔ながらのプラスフォワーズを求められ、御縁あって当店へお越し頂きました。 フロントは勿論2プリーツです! (第2プリーツはまだ仮縫いなので閉じてあります。)       カントリーサイドではサイクリングにも活用されるそうで有り、正に打って付けです。 完成時にはリクエストされた尻尾錠をお付け致します。         上着の腰ポケットは敢えて優しい傾斜、H様お好みのアイコンでもあります。             いよいよお仕立て上がりであり、H様に御連絡です。 H様も本当に洋服がお好きで拘り深く、洋装における知識は私など足元にも及びません。 いつも大変勉強させて頂いており、楽しい時間を過ごさせて頂いております。           秋冬用のフラットキャップはライニングに薄い ドミット(中綿)を噛ませたキルティングステッチが入ります。 成形を支えると共に暖かい仕様となります。 裏地自体は勿論スーツと同じ裏地であり、英国製ヴィスコースの裏地となります。           衿付きのウエストコート。 今回のスーツにお付けする釦は革のバスケット釦をお選び頂き、英国より取り寄せました。   ツィードとは正にマッチしますし、よりカントリーテイストが引き立ちます。 雰囲気満点です!           首元には取り外しの出来る スロートタブ。 そして各ポケットと背中にはインバーテッドプリーツが畳まれています。     スポーティーなウエルトステッチが雰囲気を一層盛り上げます。           袖口にはターンバックカフ、腰ポケットのみフラップをお付けに成られております。 フラップのRの具合や強さにも拘りがあります。   この腰ポケットに付くフラップ、ただ付ければ良いわけではありません。 腰ポケットとは腰骨をホールドする大変カーブの強い場所に位置します。 立体的に丸く包み込むように付ける為には それなりのテクニックを要するのです。           インバーテッドプリーツは背中から裾まで開いています。 背幅の運動量、そして腰回りの運動量もエレガントに許容します。           ファッションでは無い本質的なクラシックのテーラードです。 となれば このタブは『オマケ』ではありません。 スロートタブは飾りだけでは無く、あくまでも機能たるディテールでならなければ成りません。   ゴージラインは本来では衿ぐり線であり、 首元を上衿でホールドし、スロートタブで固定します。 故にゴージラインには本来適切な位置があり、それが正統的クラシックのバランスです。 仮に高過ぎたり低過ぎる衿ぐりを無視したゴージラインは 最早モード(ファッション)である事がお分かり頂ける事でしょう。   この首元、本当に締める事は無いかも知れません。 『 締められる 』という事が重要なのです。 袖口の本切羽(ワーキングカフ)に同じと言えますね。             ご来店当日は凄い雨の日でした。 そんな日は潔くラバーブーツを履かれての装いでお越し頂きました。   やはり釦が本当に素敵なアクセントになっていますね。         H様、本当にお似合いで素敵です。 今回の欧州ご出発に間に合って良かったです。 是非ご堪能頂けましたら幸いです。   この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。                 ・・・皆様も素敵なスポーツスーツやジャケット等は如何でしょうか。 共生地で合わせてフラットキャップも御誂え頂けます。 (勿論 帽子単品のみでも喜んでお受けしております。)     秋冬の装いを存分に楽しみましょう。   皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。                

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