BLOG
生地に付いて

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 2023 AW:SHIRTING 】

    2023.10.10 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 2023 AW:SHIRTING 】

              先月の事ですが、チャールズ英国王夫妻がフランスへ公式訪問されました。 夜にはヴェルサイユ宮殿にて公式晩餐会も開かれたそうです。   見事なまでにクラシックでエレガントなディナースーツの着こなしで御座います。 英国王の着用されるシャツは2枚衿(Turndown Collar)でのパネルフロント、 そしてブートニエールより 胸に刺された格子柄のチーフが私にはとても印象的です。   前回のBLOGでは、セミフォーマルとなる ブラックラウンジスーツ をご紹介致しました。 そのデイフォーマルに対し、イブニングフォーマルでの同ポジション(準礼服) となるのがディナースーツ(タキシード)です。   昔を遡れば夕食の際にはテールコートを着用していましたが、 カジュアル化に伴い ディナースーツへと変わりました。 それに合わされるシャツも1枚衿から多様化が進みましたが、 英国王も着用される2枚衿シャツの着用は 1930年代初頭 後のウインザー公からとされています。                 さて、今週は秋冬用含め 新しいシャツ地のコレクションが揃いましたのでご紹介させて頂きます。   ご紹介の都度お伝えしておりますが、ソリッドやストライプ、 極上品質なもの含め 定番的なクラシックシリーズは 常に品揃えを豊富に揃えております。 故にご紹介させて頂くのは個性的なデザインやシーズン用に特化したものなど ファンシーなシャツ地も含めてご覧いただきたいと思います。         そして シャツに関してご報告を一つ!   以前は展開しておりました半袖含めたスポーツシャツのお誂えに付きまして いよいよもって来年早々よりご注文をお受け出来る事になりました事をご報告申し上げます。 ご協力くださっている工場さんには本当に感謝しか御座いません。 既に以前展開時から御愛用下さっておられる顧客様含め、 リスタートを心待ちにされておられた多くの皆様、 そして展開当時のBLOGをご覧になって問い合わせ下さるお客様もおりますし、 本当にお待たせしてしまいました。   数年前より私個人は復活したら作ろうと思っていたシーズンファブリックが 既に数着御座います(笑)、、、私自身も嬉しくて仕方がありません!   詳しくは また進捗のご報告をさせて頂きますので、 合わせてこちらも宜しくお願い申し上げます。               【 伊 】 CANCLINI   発色がとても綺麗で織地も様々なストライプたち。 シーズン考慮もあると思いますが、綾織り地が多いので その分色柄は綺麗に出ますし、生地も密で確りとしています。   同じ様な色目での縞柄でも、糸の太さや織り方、 縞の感じによって多彩なポジションを網羅する事が出来ますね。             【 伊 】 CANCLINI   アイスブルー、ライトブルー、、、、淡いブルー系の爽やかな色目 これら無地範疇での織柄で表現したシリーズです。 多くはドビー織機が使われています。             【 伊 】 CANCLINI   何かと欠かせぬド定番のシャンブレーであり、ピンオックスですね。 無条件に惹かれる生地でもあり、かなり汎用性高き生地です。 風合いも素朴でナチュラル、平織で適度な通気性、そして緯糸が白ではなく、 アイボリー色で織られているので 絶妙な優しい色出しが大変そそられる生地です。     ネームの上に四角の白い⁉ これは色対比にと置いてみた真っ白見本という事です。 緯糸のアイボリーが引き立つと思ったのですが、写真ですと分かり辛かったです、、、。 ですが、これはお勧めであり間違いなき逸品です。 早速 私物用に調達しました、これも復活予定の スポーツシャツを仕立てる予定なのであります!             【 伊 】 CANCLINI   ヘリンボーン柄も綾織り、光沢感が出ますので艶のある柄がとても浮き出ますね。 このヘリンボーンだけでもバリエーションが豊富です。   綾織り特有の傾斜がついた畝、意図した幅で織り(畝)向きを切り替えてこの柄を出します。 この織地、後半に個性的な同織が出てきますので覚えておいてください!             【 伊 】 CANCLINI   白無地範疇のドビーシリーズ、見方によって柄は浮き沈みしますが、 遠目にはただの白シャツに見えます。 様々な織り地デザインが魅力的な個性となります。           【 葡 】 SOMELOS   PCで描いたグラフィックデザインがそのままに シャツ地として表現される時代でもありましょう。 プリントなら理解しやすいのですが、織機が良く対応できるものです。 個性強め(笑)!             【 葡 】 SOMELOS   ブロック崩しの画面見たいですね、規則正しく積まれたブロック自体を 中抜きしてドット柄の様にデザインされています。 なんか超巨大高層ビルのようにも見えますが、 皆様はどんな印象を受けるでしょうか。             【 葡 】 SOMELOS   経糸 緯糸の色を敢えて変えた交織ですね。 左の赤は青と交織されており、見る角度で色が様変わり!   その他は交織ながらも 有彩な色糸と無彩色で構成されています。 独特なメランジ感が特徴的なシリーズとなります。 写真で見るより現物はもっと目を引きますよ!             【 伊 】 TEXTA   恒例のプリント物は需要が高いのか いつもかなり充実しています。 バイクに、猫ちゃんに、カエルさん、、、。             【 伊 】 TEXTA   これ、前回にも似たデザインがありましたね。 規則的に並んだシャークさん、 ところどころに骨だけのシャークさんが、、、。 こちらは色付きの魚のみ 狙われて釣り上げられてしまっています!             【 伊 】 TEXTA   1972年 日中国交正常化を記念して 中華人民共和国より贈呈されたランランとカンカン。 覚えていますか? 日本中に大フィーバーを巻き起こしました。 小学校の遠足でも上野動物園へ! 『 客寄せパンダ 』の語源は、この2頭のアイドルに他なりません。   日本人はパンダが皆好きですよね~、、、イタリア(TEXTA)でも!?             【 伊 】 TEXTA   リーフ柄は如何でしょうか。 今年は特に夏が強すぎて、、、紅葉はいつ頃でしょうか。             【 伊 】 TEXTA   これは正に、、、モロですよね!? 一世を風靡した名ゲーム、お好きな方はいらっしゃいませんか!           【 伊 】 TEXTA   カラフル過ぎる家が密集しています、し過ぎです。 「あなたのお家は何処ですか♪」 いぬのおまわりさん でした、、、お粗末(汗)。             【 豪 】 GETZNER   落ち着いた定番シリーズに戻って参りました。 これからの秋冬シーズンには欠かせぬ ブラシュドコットン、 所謂ネルシャツ地です。 こちらは ウールが20% ブレンドされており、一層温かいですね。 ただし、肌のデリケートな方はご注意を。             【 豪 】 GETZNER   上記に同じく 20%ウール混紡 です。 格子柄は多いですが、ストライプは新鮮ですね。             【 葡 】 SOMELOS   こちらは コットン100% でのツイル地。 シャツでウインドーペーンは新鮮であり、 結構なサイズ感が逆に良い感じです。             【 葡 】 SOMELOS   クラシックな千鳥格子柄、日本語では千の鳥ですが 英語では ハウンドツゥース / ドッグツゥースと犬の牙になります。   この織柄は綾織りであり、綾織りと言えば デニムの様に斜めの畝など織目の斜行性が特徴です。 それを活かし、幅を決めて向きを変えるとヘリンボーン柄になります。 始めの方でブルーのヘリンボーン地をご紹介しましたね。   この生地は初めて見ましたが、千鳥格子の組織をヘリンに同じく 幅を決めて向きを反転させています! 千鳥杉綾、いや、杉に見えない。 ニシンの骨、いや牙、あれっ⁉ 具現化されるとこんな感じになるのですね、目がチカチカしてきました!             【 葡 】 SOMELOS   最後のご紹介です。 ソリッドのネルシャツ地といえばこちら、 コットン100%で肌触りも優しく欠かせぬ秋冬の定番生地です。 色味も豊富に揃っていますのでニットで軽快に合わせたりと 着こなしをお楽しみ下さいませ。                   ・・・・・如何でしたでしょうか。 沢山ご覧頂きましたが、一部を抜粋してのご紹介ですから まだまだ沢山御座います!   見ている分には楽しいですが、実際にコーデを考えると、、、 いえいえ、ユルく遊び心もふんだんに楽しまれてみて下さい。     やっと秋を感じられるようになり、いよいよ装いを楽しめる時期へ突入です。 皆様が仕込まれた重衣料も続々と御納品が始まっています。   シャツも合わせて是非如何でしょうか、 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。   今週も誠に有難う御座いました。                  

    Read more
  • 【 ESCORIAL:SUITING 】

    2023.09.19 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 ESCORIAL:SUITING 】

          = エル・エスコリアル修道院 =   この美しい宮殿は 16世紀にスペイン王によりマドリードに建設されました。 今では広大な宮殿、修道院、博物館、図書館などからなる複合施設となっているそうです。 ユネスコの世界遺産でもあり、極めて人気の高い観光スポットでもあります。   その昔、寄贈された個体の小さな羊をスペイン王は王室専用にと敷地内で育成する事にし、 その羊たちは『エスコリアル』と名付けられました。 この羊から採取されたウールは正に別格で特別なものでありました。 軽く、柔らかく、そして伸縮性の高さに秀で、 しなやかで正にカシミアの様なタッチは王族や貴族たちを虜にします。     エスコリアルの毛(繊維)はとても縮れ毛であり、コイル状に巻かれたバネのようです。 これが独特な高い伸縮性に繋がっており、同じ型紙でエスコリアルウールと 他のウールを着比べた場合 生地(羊毛)の性能差で動きやすさが全然違うとされます。 また、カシミアの様に繊維は細く シットリとした最高の肌触りでありつつも 実はウールですから弾力性と共に耐久性的な側面もウールに同等となります。   美しきドレープを生み、軽くて動きやすく、しなやか極まりなき夢の繊維、、、 それがエスコリアルなのであり、王家の羊とも言われる由縁です。                 当店でも多くのエスコリアルを扱って参りました。 このエスコリアルに対する詳しき蘊蓄は 下記リンクよりご参照頂けましたら幸いです。   http://dittos.seesaa.net/article/481995724.html 【 ESCORIAL:JACKETING 】   http://dittos.seesaa.net/article/482531122.html 【 ESCORIAL:COATING 】                       現代のスペイン国章にも描かれている幻獣の様な、、、 これはライオンさんであり、エスコリアルの紋章にも使われています。 この度も光栄なご縁により、夢のスーチングをお得に 入手する事が出来ましたので是非ご紹介させて頂きたいと思います。               ネイビー系 3種、グレー系 2種、計5種をとくとご覧下さいませ。   PURE ESCORIAL WOOL 250/270g   経緯共に双糸使いで確りと織られた英国製の生地、 このウエイトは 4シーズン用 とも言われています。 300g前後で3シーズン用ですから頷ける事ながら、昨今の日本では 春秋が短くなり、残暑含め夏場が長くなってきている印象を受けます。   そういった側面から見れば、このスーチングは正にこれからの気候変化に伴い 必ずや重宝頂けるウエイトでもあるという見方も出来ますね。                                         深きダークネイビー地は細い縦畝を表現したコード織りの生地。 有名なのは乗馬服でも使われているBEDFORD CORD が頭に浮かぶでしょうか。   厳密には平織と綾織を融合させた織地であり、 デザインの如く縦に安定感が頗る高くてコシもあると言えます。 原毛の細さ故、とても上品な光沢感に富み、光の陰影を美しく奏でます。 無地ながらも大変表情のあるスーチングであり、 これを最高なエスコリアルで味わう贅沢を是非ともご堪能下さいませ。                               こちらも無地範疇で更に深きダークネイビー地です。 目を凝らすと見えてくる独特な織り地、 一見は細かく正確に整った蜂の巣⁉ のようでもあります。   これは ピケ(PIQUE)ですね。 刺し子繍された意味のフランス語に由来し、浮出織りとも呼ばれるそうです。 縦・横・斜など 畝で表現し、表面に凹凸を持たせた織地となります。 ピケについて、これはかなり広範囲に使われる語であり、 厳密に言えば先に紹介したコード織り(BEDFORD CORD)も入ります。 一般的にはワッフル、ハニカム、スモールダイヤモンド(マルセラ:MARCELLA) などが挙げられ、織柄が細かいほどにエレガントになります。   この凹凸により光沢感は落ち着いてなりを潜め、 いぶし銀かの如く 落ち着いてじんわりとした表情を奏でます。   正礼装のイブニングフォーマルで着用されるテールコートには、 コットンで織られたホワイトピケの生地を使い、シャツやウエストコート、 ボウタイを仕立てて合わせられる正統的なフォーマル地があります。 通称ホワイトピケと日本では呼ばれていますが、 これが英国ではMARCELLA(PIQUE)となります。   そんなエレガントなポジションたるピケのスーチング、 様々なシーンでの活躍が見込まれますね。                             アクセントとなるロイヤルブルーの色が効いたモダンなグレナカートチェック、 そして目立つ事なく 隠れ過ぎぬ重ね格子も入った美しき格子柄です。 ネイビー地ですが、グレー味も入って絶妙にくすんだ感じが何とも言えず、 ニヒルかつ妖艶な雰囲気を漂わせます。   先にご紹介した2種は大変エレガントなポジションですが、 格子柄ですから肩ひじ張らず気楽に着用でき、されど品良くまとめられた様は ビジネスシーンでも大いに活躍してくれる事でしょう。   このロイヤルブルーが上手いですね、、、渋くさせ過ぎず、派手な若々しさもなく、 正に大人の着るべき格子柄スーチングです。                 では次にグレーの2種をご覧下さいませ。 グレーにはグレーの魅力が溢れています!                         エレガントなチャコールグレーにきられたクラシックなピンストライプ。 このストライプの色がまた大変映えて 堅苦しくもあるダークさに彩を与えてくれています。   このロイヤルブルーは先の格子柄で使われていた色味に近く、担う役割も重なります。   ストライプはクラシックな種類だけでもピン・ペンシル・チョークなど様々にありますが、 個人的にはこのピンストライプが一番好きであり、一番縞が細く繊細です。 この縞がアイボリーやライトグレーであれば この色気は出ません。 出す必要が無ければそれまでですが、このエスコリアルでは出したいのでしょう。   コントラストが強過ぎないピンストライプは 弱く細い縞なので遠目には溶け込んでしまいます。 だからこそ、近くで見た時のささやかなインパクトが効くわけです。   お手持ちのブルー系シャツは驚くほどの抜群な相性を見せ、 鮮やかな色味(縞色)にも関わらず それを微塵も感じさせません。 高貴なエスコリアルだからこそ、この色気がより美しく調和するというものです。                           最後のご紹介となります。 これも美しく素晴らしい生地であり、グレーだからこその落ち着きと渋みがたまりません。 トーンはミディアムか、ダークというべきか 暗すぎないグレー地に シャドーチェックが施されています。   近くでよく見ないと分からぬレベル、こういったテイストはTAILOR泣かせでもあり 裁断も縫製もキツイ戦いになるでしょう(笑)。 されど、『あれっ、よく見ると・・・』 これがキモなのですね。 その魅力を尊重し、頑張るしかありません!   ベースの織はPICK&PICKに同じであり、程好きミックスされた 細かき霜降り感が よりグレー味を際立たせます。   離れればPICK&PICKのスーツにも見えるかも知れませんね。 こういった目立たぬ名優こそが優れた映画に魅力的なスパイスを与えているのです。 (主演は常に御着用者様であります。)   色味も濃すぎず、正に普段使いのスーツとして 頼りになる存在になる事は言うまでもありません。 こんなにも有能な名優を相棒に持つ事が出来たなら幸せな事でしょう。                   ・・・・・如何でしたでしょうか、王家の羊を是非味わってみて下さい。 王が囲った特別なエスコリアル、一時的には絶滅したとされていました。 幸運にも生き残っていた純血種がおり、管理し守りながら大切に育てられています。 されど現存する全ての羊という括りの数からみれば 1%未満に過ぎません。   確かに贅沢品ではあります、あるからこそ この御機会を幸運な縁と捉えて頂けましたら嬉しい限りで御座います。         VINTAGE SAVILE ROW   古き良き伝統的でエレガント、タイムレスなスーツスタイルに対し 個性とモダンを加えたONLY ONEを求める皆様へ、、、 ご来店を心よりお待ち申し上げております。     今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。            

    Read more
Bespoke Tailor Dittos.