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生地に付いて

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 CARLO BARBERA 】

    2023.11.14 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 CARLO BARBERA 】

              =箱 根=   先月の末 当店は14歳となる誕生日を迎える事が出来ました。 偏に皆様のお支えによるものであり、心よりの感謝を申し上げます。   そんな折、まだ暑さも残る10月末でしたが 妻と箱根へ行って参りました。             カントリーに行くのですからツィードやコーデュロイを! この日は曇り 時々小雨、早く馴染ませたくもあってコーデュロイを着ていきましたが、 まだ暑さの残る10月ですから弱気に2Pで出向いたのです。 ですが朝晩は寒くて宿では暖房を入れる程であり、都会とは全然違いました。 もし今であれば3Pにカバートコートが欲しいかも知れませんね。   ドラブ、良い色でしょう‼ 自然に溶け込みます。   流石は箱根、既に紅葉も始まっていました! 美しい情景にどれだけ心を癒されたでしょうか、、、 素敵な写真が沢山あるので改めてご紹介したいと思います。               ヴィンテージカーフのチェスナット、外羽根・外ハトメのフルブローグ。 カントリースタイルには欠かせぬポジションですが、 普段はタウンユースばかりなので今回のカントリーでは張りきってもらいましたよ。                 紫の実がとても綺麗だった こんな植物も! シソ科の落葉低木であり、名は【 紫式部 】といいます。 高貴な紫、粋なネーミングですね。 とても大好きな色の一つでもあり、今週ご紹介のネタにも。                 ・・・・・さて、前置きが長くなりましたが 今週は期中仕入れがありましたので 早速ご紹介させて頂きたいと思います。 当店では取り扱いが本当に少ないイタリア製の生地です。                       CARLO BARBERA   1949年 イタリアはビエラの地で創業されたミルです。 このメーカーは厳選された最高の原毛を使う事は勿論の事、 生地を織る為の糸作り自体に独特の製法を駆使してきた事に拘りがあるそうです。               Carlo Barbera   1911年生まれの創業者カルロ・バルベラ氏 圧倒的な自信と存在感、そして貫禄を兼ね備えた魅力的な紳士で御座います。 素敵に歳を重ねられ、長生きされた事でしょう。   馴染んだ上着の着用歴はどの位でしょうか。 クラシックなシングルの三つ釦ですが 今では右を見ても 左を見ても三つ釦は段返りばかりになってしまいましたが、 時代も含め 御仁は王道 本返りの三つ釦ですね。                 Luciano Barbera   父より引き継いだ二代目、とてもエレガントで品のある御方であり 日本においても かなり高き知名度を誇る事でしょう これはスウェーデンで創刊されたカルチャーマガジンの表紙を飾った時の一枚です。 氏は英国へも留学されていたそうであり、その影響は多分にあるようです。   二代目はクラシコイタリアの大いなる波を支え続け、 KITONでは特に同社の生地を大いに扱われていたとの事。   そしてもう一つ 私がお伝えしたいのは、英国の名門マーチャントである H.Lesser&Sons。 H.Lesserは当BLOGでも沢山出て参りますが、 同社のスーチングは王道で最上級な英国地そのものを生地で語ります。   そのH.Lはマーチャントです。 スーチングではなくジャケッティングは、、、よりカジュアルでリラックス、 英国にはない魅力をカルロ・バルベラ社へ見出し ダブルネーム にて別注を掛けていました。   国内外含め 多くのテーラーや顧客の方々にとってH.Lesserへの信頼度は抜群であり、 そのH.Lが見込んでの別注ですから逆の見方でも質とセンスの高さが伺えるというものです。   そんなカルロ・バルベラ社が織った今回の英国ライクなスーチング生地、 廃版となるOLD STOCK品を出物として買い付けました。                     先ずは渋み溢れるダークグレーから。 クラシックなヘリンボーン柄にストライプが重ねてあります。   イタリア生地にありがちな軽くてソフトな、、、 打ち込みも甘目であったり、単糸使いの生地さえ少なくありません。 そんな生地は肌触りも着心地も良いでしょうが耐久性は低く、 皴になりやすく型崩れを起こしやすいのですね。 正にファッション的な生地であり、長持ちしたら次が売れません⁉   片や英国地の多くは経緯共に双糸使いでハリコシがあって弾力性に富み、 皴になり辛くて耐久性も高くなります。   ファッションを楽しむのか、それともスタイルを形成していきたいのか 生地を織る側の企画や価値観も変わるでしょうし、 それに伴ってお客様方の目線も違う事でしょう。 イタリア国内のサルトリアは英国地を好むと言われるのはそういう事であり、 アパレルメーカーとは価値観が違うという事ですね。 ただ、お客様方だって時には逆の味をつまみ食いもあるでしょう!     この生地は正に英国地の様なハリコシ、 当然 経緯共に双糸使いで確りと打ち込まれており、 触っただけではイタリア製とは思わないかも知れません。 こういう生地だからこそ喜んで仕入れたのです。               グランドの深いダークグレーは程好くメランジ調で ヴィンテージにあるかの様な顔立ちです。 ヘリンボーンに重ねられた縞柄ですが色は同じでの2種、 それぞれ入れ方が異なりオルタネートの様でもあります。 これまた色が紫式部の様な綺麗なパープルで粋ですよね。               そのパープルは 縞自体が細く弱めなので目立つ事なく控えめなのも品があります。                 100% WOOL 350g   これは仕立て映えしそうです! いや、します。 350gといえばイタリア生地好きにとっては正に秋冬地ですが、 イギリス生地好きにとっては秋冬地の範疇でありつつも、 3シーズン用として捉えられる方も沢山おりましょう。   イタリアのセンスと顔立ちながら、 質はめっぽうイギリスで、、、、これが魅力なのです!                     グレーに変わって、次は欠かせぬネイビー地です。 柄のデザインはグレーに全く同じでの色違いとなります。   勿論 品質、ウエイトも変わりません。 良い意味で印象が随分と変わりますね!                 深く魅力的なネイビー地、グレー程にメランジ調が見受けられません。 単色糸使いではないメランジ調を生み出す際、 糸色の配色コントラストがグレーは強め、ネイビーは弱めにされています。   ヘリンボーン柄特有な縞柄での陰影がエレガントに浮き出ます。                 縞柄のパープルもグレーに同じです。 パープルは青と赤で構成される色ですからネイビーとの相性は抜群です。   本当に素晴らしい生地であり、うっとりレベルで御座います!                         グレーとネイビー、重ねて色の感じをご覧下さい。 もう このくらい離れるとパープル味さえ優しく溶け込むかのようです。   生地はバンチを見るかのように目近での印象だけで判断してはなりません。 纏って、離れて、、、、数メートル離れたら? と 『 仕立て上がったスーツを着たら 』 を想定してご覧下さいませ。 だからこそ、バンチでの判断は難しく、 こういった現物は欠かせぬ強みと説得力を兼ね備えているのです。                 パープルの縞柄に使用されている色糸は同じでしょう。 デザインも同じ、だからこそグランドが違うだけで随分と印象も変わるのが分かります。   グレー派? それともネイビー派? どちらもそれぞれの魅力がありますが、皆様はどちらがお好みでしょうか。                       ・・・・・以上となります。 写真はあくまでもイメージ程度に収め、是非 現物を見にお越しくださいませ。   この品のある顔立ち、弾力あるハリコシ、現物が放つ存在感と説得力。   英国の良さをも理解された当主だからこそ、こういった生地の表現が上手いのでしょう。 H.Lesserも信頼した CARLO BARBERA の生地を是非お勧めさせて頂きます!       では 急に冬へシフトしたように寒いですが、むしろ嬉しくなりますよね。 急な気温の変化にご体調を崩さぬよう 是非冬の装いを存分に楽しみましょう。   皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。 今週も誠に有難う御座いました。            

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  • 【 FOX BROTHERS:2023AW / DIRECTOR’S CUT 】

    2023.10.17 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 FOX BROTHERS:2023AW / DIRECTOR’S CUT 】

          皆様 こんにちは。 10月も後半に入り、やっと装いを存分に楽しめそうですね。     今週は特別な限定生地をご紹介させて頂きたいと思います。     昨年には創業250周年を迎えた FOX BROTHERS もう超老舗のミルですから名立たる歴史的な方々も同社のフランネルを愛用して参りました。 今年も様々な企画による幅広き限定生地が展開されています。             と、、、そんな折 このタイミングでたまたま偶然なのですが 社長のダグラス・コルドー氏が来日されており、 ご丁寧にも当店へ顔を出しに来てくださりました。             ダグラス社長がとてもエレガントで素敵な紳士である事は皆様もご承知の事でしょう。 丹精込めて織られた同社の服地を自らBESPOKEで仕立て、 率先して宣伝もなされております。 服地の単純な写真ではなく、その生地が服となり着用されると 何倍も魅力を発しますし、皆様も完成イメージが具体的に見る事が出来ますね。 実益と営業も兼ね、説得力が頗る高い訳で御座います。   品質にも高い拘りを持ち、長きに渡り愛用されるに耐え得る生地、 そして仕立てである事。BESPOKE TAILORが本当にお好きなのだそうです。                   同社の展開する DIRECTOR‘S CUT という1シーズン限りの特別限定となる生地が御座います。 それらは季節やテーマ毎に展開され、よりストーリー性高き生地に説得力と付加価値をのせ、 大変評価も高く 見応えのあるコレクションが展開されています。 これらは小ロット展開ですからバンチ展開はされません。     以前のDIRECTOR‘S CUTでは 特に RACING GREEN がお気に入りで、 英国らしさも滲み出て本当に素晴らしかったです。     http://dittos.seesaa.net/article/479701009.html 【 PRINCE OF WALES CHECK with RACING GREEN 】         今期も本当に幅広く展開されていますが、その中でも私個人が 惹かれた生地を仕入れましたのでご覧頂きたいと思います!           ≪ FOX SILVER SCREEN ≫     ハリウッドの黄金時代、銀幕の向こう側で輝くエレガントな紳士達をテーマに 当時のフランネルらしく起毛と共にガッツリと縮絨された 大変密で肉のあるウーレンフランネル。 これぞフラノ、といった品質であり ソリッドから チョークストライプをメインに展開されています。 その内の1種がコチラです!             正に一目惚れでした、、、。 渋いダークグレーがベースながら、青味が若干混ざった絶妙な色出し。 ダークブルーグレー調な色味はフラノらしき霜降りの効いた顔立ち、 織り目なんて勿論全く見えません。                 そしてご覧の様に ダブルのチョークストライプ、、、見事です。 現行展開品では探すことは困難でしょう。 復刻されたVINTAGEかの如く、されど現行らしく活き活きとしたタッチは 100% Lambswool で織り上げられています。                       ウエイトは 530/560g、かなりのヘビーウエイトです。 既に中肉のオーバーコート地レベルですが、 このウエイトでなければ出ぬ迫力というものがあります。   そして、往年のスターをはじめ多くの著名人が愛用していた 当時のフラノもこのレベルであろうと想像されます。 正に誂えスーツが 子の代、孫の代まで と言わしめる程に持つのは 当然生地もゴツイ必要がとなります。     当時の着こなしに想いを馳せ、こんなヴィンテージ級のマニアックなフラノで スーツを楽しまれてみては如何でしょうか。               多くの名優がフランネルを愛用しておりますが、 私にとってはやはりマシンガンを持ったこの方が Mr.チョークストライプです! 多くの方々がダブルブレストで仕立てている中、 シングルというところもまた良いのです。                                 ≪ WINDSOR FOX ≫     エドワード8世、のちのウインザー公へのオマージュとして企画されたシリーズです。 紳士服の着こなしからスタイルに至るまで、本当に多くの影響を与え、 今でもその功績は脈々と引き継がれております。   ウインザー公のスタイルを紐解けば本当にキリがないのですが、 その多くをFOX社なりに表現されているのです。   その内の一つ、公の着用したスーチングをイメージに展開された スポーツスーチングがありまして これがまた素晴らしい! 公もダグラス社長もグレナカートチェックがお好きですからね。                 ベースは公も多分に愛用したグレナカートチェック、 やや大ぶりのサイズ感がスポーティーさをそそり、迫力満点です。 ジャケットをはじめ、軽めなトップコートに、 そしてスポーツスーツにと幅広く調理法が浮かびます。                 特筆すべきはご覧の様に配色です。 オリーブとネイビーで構成された格子柄、 遠目にはグレー調に見えるので落ち着きもあります。   しかし このカントリーテイストな色味はウインザー公の様に パドックスタイルであったり、ハッキングスタイルなんかでも仕立てたくなりますね。     100% Lambs Wool100% 400/430g             パドックカットに三日月形のカーブが付けられたクレセントポケット、 シャープなラペル、ディテール違いも含めグレナカートチェックは複数着お手持ちです。   ふと見れば、身頃と袖は柄合わせ裁断されていないのですね。 身返しの裁ち方も今の価値観とは違うので、 それだけ見栄え含め価値観が変わってきたとも言えます。。 VINTAGEなどでの着分CUT生地は、今では『足りない』となるほど尺が小さく、 それだけカツカツに節約取りしなければならなかった事もうかがえます。 地の目や柄合わせなどは2の次という現実もあった事でしょう。                   冒頭のフラノもそうですが、これは是非 絶妙な色味、そして風合い、迫力と存在感、、、 是非店頭にて現物の生地と対峙して頂きたいです。                               ・・・・・以上で御座います。 FOXの特別限定生地は如何でしたでしょうか。 今期AWではかなり幅広く展開されていますので、この2種は極一部となります。       ダグラス社長には当店BESPOKEの服を沢山ご覧頂いたり、 ご説明も熱心に耳を傾けておられました。 当店オリジナルの小物など色々ご覧頂きまして沢山お褒め頂きましたが、、、 リップサービスでも嬉しいものです!   そして光栄な事に 今期新作の 『グレナディンタイ』 をお気に召して頂き、 2色ご購入頂きました!   当店へ来店された前日、実は京都に行かれていたそうです。 また、社長の家系ではその昔 シルクの機織りを生業とされていたそうです。 であれば西陣織は勿論の事、シルクについては造詣深き事でしょう。   社長に締めて頂けるのは大変光栄であり、誠に有難う御座います。 さて、何色を選ばれたでしょうか!?   ご購入いただいた顧客様もお揃いかも知れませんね(笑)。     http://dittos.seesaa.net/article/500362461.html 【 Dittos.TIE 22th-COLLECTIONS 】       ダグラス社長にお聞きしたのですが、 あのVANNERSも再建に向けて動き出しているそうです。 これは嬉しきビッグニュースであり、一日でも早い復活を待っております!         では、陽気も良い時期で御座います。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。   何卒宜しくお願い申し上げます。              

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Bespoke Tailor Dittos.