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技術について

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 至高のシャツ地フェア① 】

    2018.04.10 Bespoke Tailor Dittos. 技術について

    【 至高のシャツ地フェア① 】

        皆様 こんにちは。 今週は説明が多いので 早速本題に入りたいと思います!   先週より、今月の 4月21日(土)まで 【 至高のシャツ地フェア 】を開催させて頂いております。 至高レベルの生地は その圧倒的な品質により、 大変限られた生産量である事、そして希少価値性と共に高額である事は否めぬ事実です。 故に、これらレベルの生地は 普段皆様にご覧頂いておりますシャツ生地の見本帳などには入って参りません。 という事は、普段は見たくても、オーダーしたくても出来ない事になります。 (個別でリクエストを頂けましたら手配させて頂き、御用意はさせて頂いておりました。) そんな至高たるレベルの生地が 現在当店に抱えきれぬ程集まっております!! そのメーカーたるは、シャツ地の最高峰とも言われ【 コットンの宝石 】とまで称される CARLO RIVA そして、もとは英国メーカーであった やはり超高品質生地を織りあげ名を馳せる DAVID & JOHN ANDERSON   この2社における極上な生地を お世話になっている生地屋さんの御好意のもと フェア期間中は ささやかながらお値引きをさせて頂き ご注文を承らせて頂きます。 (C.RIVAに関しては通常のお値段より、何と4,000円引きです!) こんな機会は滅多に御座いません! 当店は基本SALEなども行わず、お値引きも御座いませんので そういった意味でも是非この機会に世界の頂に君臨する至高の生地で、皆様のお身体に合った最高のクラシック シャツを御誂え頂けましたら幸いです。   本当に沢山御座います! C.RIVA:42種 D.J.A:23種 計 65種の中より じっくりとお選び頂けます。   それはもう圧巻です! 私も個人的にヨダレをたらしながら、迷いに迷い 皆様と同様に選んでおりますが ワクワクして楽しくて仕方がありません。   今週は先ず CARLO RIVA のシャツ地を御紹介させて頂きます。   洋服好きな方におかれましては、同社をご存知の方も多い事と思います。 何故 そんなにも評価が高いのか、、、ご興味がありませんか。 (世界文化社様:Men’s EX 2017年8月号にて、ファッションジャーナリスト:長谷川様の書かれたカルロ・リーバ取材記事が掲載されています。その詳しく、そして素晴らしい記事より一部抜粋させて頂きます。)       ・・・・・イタリア北部にあるコモにそのファクトリーは御座います。 創業当時の確かな記録が無く、おおよそ 1941年頃に創業されたと言われています。 その最高品質は長きに渡りリーバ 一族で頑なに守られて参りました。 現在ではその遺志を受け継ぐ これまた凄い御方が現オーナーとなっております。 オーナーの誇るそのシャツ生地の特徴は、 肌に吸い付くかのような柔軟さと艶、コットンとは思えぬ光沢感に尽きるそうです。 これは目にすれば、着用すれば必ず御理解と共に納得がいく事でしょう。 私自身も初めて手にした時は かなりの驚きと感動をしたものです。 正に独自の頂に君臨していると言えます。   シャツ生地において、これ以上のクオリティは存在しないとも言われる圧倒的な品質。 【 シャツ生地の宝石 】とまで言われる その理由とは具体的に何なのでしょう。   【  旧式シャトルの織機 】 ・・・最近での効率化に伴った織機の生地幅は 150㎝ で織られております。 今となってはこちらが主流ではありますが、旧式は 90㎝ 幅なのです。これだけみても生産効率の違いが分かるでしょう。 しかも、150㎝幅の織機と比べ、旧式の織機で織り上げるスピードは なんと1/3 以下なのだそうです。 ゆっくりとしたスピードと緩慢なテンションのかがり具合が 繊細でしなやかな生地を生み出すのです。 その代り 大量生産は出来ませんね。     【 アーカイブと伝統製法 】 ・・・オーナー曰く、『どこかの会社の様に買い集めたアーカイブでは無く、全てが自社のものである。』 これ、思い当たるシャツ地メーカーさん ありますよね。全てが過去のアーカイブからのインスピレーションによって生み出されるそうです。 また、生地の仕上げに伴う洗いの工程では、多くの会社がシリコンを使っているそうですが、同社はコモ周辺の水で洗いを掛けるそうです。 こんな拘りは、ALUMOなんかも同じですね。良い生地に良い水は欠かせません。     【 糸を熟成させる 】 ・・・これも驚きます。 『 最高の革はエルメスにいく』 良く聞きますよね。 最高のコットン(原花)はカルロ・リーバに行く事になっているんだそうです! 最高の綿花で引き揃えられた最高の糸は、様々な色に染められます。 その染色された糸は 先ずは半年間も倉庫に寝かされます。 半年後、湿度が70%に管理された部屋で また更に半年貯蔵するそうです。 『コットンの原花に同じく、織糸を湿度70%の自然な状態に戻してあげる事で風合いが増す。これが独特で快適な着心地を生む。』との事、、、恐れ入ります。 確かに大量生産できませんし、しようとも思っていない訳です。     最高の原材料を使い、膨大な時間をかけ、それこそ長きに渡る製法をかたくなに守り 世界一のシャツ生地を織りあげる。 それが CARLO RIVA です。 『カルロ・リーバはカルロ・リーバだ。他に比べる物は無い!』 その強気なオーナーの発言も、織り上げられた素晴らしい生地を目にすれば、そして着用すれば 自ずと納得させられる圧倒的な説得力を持ち合わせているのです。 生産量は限られ、お値段も高額になる訳ですね。     では、説明はこの辺に 美しい生地達を具体的にご覧頂きましょう。       【 ポプリン 】 160~170/2 ・・・平織で一番ベーシックなシャツ地です。 当たり前の織りであり、生地であるからこそ その品質差を御理解頂けるでしょう。 この何とも言えぬスベスベさ、赤ちゃんの肌の様です。 平織なのに このマッタリとした光沢感は何なのでしょう!!             ・・・・・黒、紺、白のソリッド、そして遠目には無地に見える程の極細ストライプが3色、そして使いやすいブルー系のクラシックなストライプが揃います。 黒無地、なかなか選ばれない色かも知れません。 他メーカーの生地でも黒無地を何度も見た事がありますが、こんなところで格の違いを見せつけられるとは思いませんでした、、、。 リーバ品質です、その細くしなやかな糸、確りと染められた色糸による黒無地、本当に無表情で本当に真っ黒です! なんてクオリティなのでしょう。 これは、高性能デジカメで撮った限りなく解像度の高い写真だと思って下さい。 解像度の違いは糸の品質や細さだと思って下さい。 解像度次第で写真の鮮明さなどは歴然の違いが出ますね、、、ソレです。         【 ポプリン ツイル 】 170/2 ・・・綾織です。 通常では、ポプリンが平織でツイルが綾織です。 後にスーパーリーバというシリーズが出てきますが、本来綾織とは緯糸を飛ばして潜らせる事により 独特な斜線の畝が出ます。 平織より丈夫で光沢感が出る事が特徴です。 このポプリン ツイルは、スーパーリーバ(ツイル)と比べ その緯糸の飛ばし方に違いがあるそうです。 故に、スーパーリーバは光沢感が本当に素晴らしく、特徴的でありますが こちらは程好き光沢感と、ポプリンの様なベーシックな感じも持ち合わせる和洋折衷みたいな感じなのです。           ・・・・・こちらも使いやすく、ベーシックなストライプが揃います。 計6種、タイ選びに困らず そんなタイでも許容してくれるシンプルさです!             【 スーパーリーバ 】170/2 ・・・出てきました。典型的な綾織であり、そのツルツル感や光沢感は正に別次元です。 C.RIVAの中で一番売れているシリーズでもあるそうですよ。   写真でも風合いと質感、光沢感が分かると思いますが こんなもんじゃないです!! 触っているだけで どんな着心地なんだろう と想像してしまう御自身がいる事でしょう。           ・・・・・ソリッドで一番らしさが出ますね。 6色御座います。 本当に発色が美しい!             【 リシオ 】170~180/2 ・・・私のC.RIVAデビュー、初回はポプリンでした。個人的に今回はこのシリーズで仕立てます! こちらは、同社の生地でも特徴的な生地です。 実はこのリシオ、ALUMOでも有名な 所謂ボイルなのです! 糸も細く、比較的に薄く織られた生地であり、その糸は強く撚りをかけた強撚糸使いが特徴です。 薄地で涼しさ満点、強撚糸なので フワッとした風合いになります。 汗ばんだ肌でも ペトっと肌に張り付かない様な風合いと言えば分かりやすいでしょうか。 シャツ地屋さんの御主人も大好きで一年中着用されているとの事、皆様も気に成らなければ通年用としても十分にお使い頂けます。         ・・・・・薄地の感じが見てとれるでしょうか。 しかし本当に美しい、、、。 平織で なんでこんなに光沢感があるの!? 原花の良さと、糸の細さ、それらの品質はナチュラルでシルクの様な光沢感を持ち合わせているのです。 凄いです、、、早く着てみたい! ボイル、強撚糸のシャツはアイロンの伸びが素晴らしく良く、かなり掛け易い生地である事も特徴ですよ。             ・・・・・なんと 計16種 御座います。 リシオはこれからの季節が最適という事も有りますが、仕入れた御主人のお好みと気合も窺えます。 このイタリア的で綺麗な配色、、、らしさが溢れんばかりです。 この辺りは好みも分かれるでしょうが、敢えてイタリアの風を感じるも良し、 ベーシック処でリシオの性能自体を堪能するも良し、何色も欲しくなります。         ・・・・・英国的なストライプも有りますが、独特に洗礼されたこの色はやはりイタリア的です。 英国は良くも悪くも もっと強い色のイメージですよね。   RIVAを着るならリシオのこれらストライプも絶対にお勧めです。               【 麻&綿 】 ・・・こちらもこれからの季節には欠かせぬ混紡ファブリックです。 様々なメーカーで色々な混率がありますが、C.RIVAは麻がメインであり(60%)、そこにコットンをブレンドしているというスタンスです。   リネンらしい節が大変涼しげで清涼感があります。ビジネスシャツ地としても是非御利用下さいませ。           ・・・・・綺麗ですね、、、リネン混、いや コットン混の生地がこんなにも綺麗に感じるとは、、、。 ソリッド2色、ストライプ4種 の計6種 御用意があります。     この桜色のロンス、淡い感じがたまりません。           ・・・・・如何でしたでしょうか。 今回はここまでとなります。 カルロ・リーバの生地は、基本的に高番手です。 全てが超長綿であり、そうでなければ この番手まで辿りつけないのです。 100/2の極一般的なポプリンと比べてしまえばデリケートであり、糸が細い分 薄地という事にもなります。 ですが、私は 100/2の極一般的な品質のシャツと同じ様に着用し、家庭洗濯機で丸洗いしています。 全然大丈夫ですし、勿論クリーニングもOKです。 高番手生地は縮率も小さいながら、従来通り湯通ししてから裁断に回しますので 生地の安定性もさらに増します。   シャツは下着です。 下着に拘るのは女性だけでは成りません、是非この機会に世界TOPレベルの下着を楽しまれてみては如何でしょうか。 その魅力は こんな文字や写真では伝わりません。 触れば必ず ウットリとしてしまう説得力を御自身で体感されてみて下さい!   全65種中、C.RIVAが42種御座いますので 半分以上を御紹介させて頂いた事になります。 次回は D.J.A の世界を御紹介させて頂きます。     では、今週もお付き合い頂きまして 誠に有難う御座いました。 皆様のお越しを 心よりお待ち申し上げております。        

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  • 【 HOUSE STYLE ORDER① 】

    2018.02.27 Bespoke Tailor Dittos. 技術について

    【 HOUSE STYLE ORDER① 】

        皆様、こんにちは。 いよいよ寒かった2月も明日で終わりです。 3月になればもう少し春らしさが感じられてくるでしょうか。   では、早速 今週の本題に参りましょう。   作れば売れた時代、スーツも既製品のシェアがますます広がりました。 そんな頃と比べれば、こと紳士服におきましては随分と『 オーダーでスーツを作る 』という事が増えて参りました。 今ではセレクトショップやデザイナーズブランドに至るまで参入しておりますね。 在庫リスクを抱えるのであれば、オーダーは受注生産ですから そういったリスクを回避できるという事は大いなる理由の一端でもありましょう。 また、昔ながらの所謂フルオーダーばかりではなく、イージーオーダーの進化も見逃せない事実です。     消費者の方々におかれましては 選択肢が増えた事は良い事ではあるものの、 どこで、どの様な、どの位のレベルなスーツを作りましょうか、、、。   その普及した『 イージーオーダー 』という形態に着目してみます。   デザインや仕様、品質や値段も本当に様々であり、それらお店の(作られるスーツの)スタンスやグレードもある程度理解しなければなりませんね。お値段にも直結して参ります。   採寸から補正のレベル(型紙作成)、仕立てる上での品質(縫製)、その前に御注文を頂く際に伴う打ち合わせの時点でもお店によって差がありましょう。 (良い・悪いという括りでは無く、お店により 出来る事・出来ない事の差がとても大きいという事になります。)   さて、弊店で扱わせて頂いております HOUSE STYLE ORDER につきまして 国内屈指の腕を持つ工場さんにお世話になりつつ、皆様へ少しでも満足度の高いスーツを御提供出来るよう精進しております。 顧客の皆様におかれましては 多大なるご高配を賜りまして、心よりのお礼を申し上げます。   工場さんからしてみれば、私からの要望は高く、そしてうるさく、付き合いの楽なクライアントで無い事は確かでしょう。 これは技術者たるTAILOR目線であるという事と共に、高いポテンシャルを持ち 大いなる伸び代がある工場さんだからこそです。 もう本当にお世話になっておりまして、つくづく感謝するばかりです。   しかし、仮にですが 日本国内に限らず、世界一の縫製工場さんでHOUSE STYLE ORDERを仕立てて頂いたとしても 私にはきっと満足出来ないでしょう。   それは当たり前な事でもありますが、BESPOKE TAILORが満足出来るレベルを そもそも大量生産を前提とした縫製工場さんで期待する事自体に無理があります。   普通車を生産するライン工場でF1マシンは作れませんね! それぞれの意図に伴ったステージが存在します。   それは イージーオーダーのカテゴリーでも、ビスポークのカテゴリーだとしても、それぞれの各カテゴリー内で更にステージがあるのです。     では、そのイージーオーダーというカテゴリー内で具現化出来得るハイレベルなスーツを仕立てて頂いても、まだ満足出来ぬのであれば それは自分自身である程度補うしかありません。   その一端となるのが弊店 HOUSE STYLE ORDER の仕立て上がりに行う『 2次加工 』となります。   市販車を改造し、競い合うレースがありますね。 チューンナップ(アップ)をして、少しでも多くのパワーと共に、スピードを出したい訳です! そのチューンナップを行えるのは技術者であり、テクニックなのです。 (これも そもそも基たる車なりスーツのポテンシャル自体も高い方が良い訳です。)     今週は、そんな風景を 2回にわたってご覧頂ければと思います。       とある日、工場さんより 仕立て上がりホヤホヤのスーツが3着届きました。   とても綺麗な仕上がりです!   手前のスーツは、弊店オリジナルのGOLDEN BALEによる三つ揃いです。 大変御贔屓を頂戴しております H様よりご注文頂きました。   真ん中、そして奥の2点は、同じく多大なる御贔屓を頂戴しております S様より H.LesserのVINTAGE、同じくVINTAGE MOXON:GOLDEN BALE による三つ揃い2点口で御座います。   最高の生地にて、HOUSE STYLE ORDERの最高スペックでお仕立て頂きました。     これからプレスをしながら、検品や検寸を行って参ります!   今週は TROUSERS から御紹介させて頂きます。               ・・・・・先ずは表裏引っくり返します。 糸くずや糸始末不良、袋地や膝裏の具合を確認しつつプレスして参ります。   この部分は、ウエストの内側です。 手前がW-BAND裏となる腰裏、接がれて繋がっている奥のスカートが腰幕と言います。 大抵は『マーベルト』と呼ばれるインスタントで簡易な腰裏専用の裏帯が使用される部分ではありますが、BESPOKEの様に腰裏と腰幕に分離し、深くまで確りとホールドさせるようにしてあります。   プリーツ(折り襞)が見えますね。 これは必ず必要であり、この襞によってウエストとヒップの差寸を補っています。 そのプリーツ分量が適切でなければ 綺麗に折り直しです!               ・・・・・お尻の部分です。写真上部が尻縫い目であり、ウエストサイズが出せる様に沢山の縫代が付いていますね。 脇や尻縫い目なども確りと縫代を割り直し、後側のクリースライン(センターの折山線)を一度 途中まで消します。 自分で改めて付け直すからです。                 ・・・・・ここは股の部分です。 左側にグレー裏地が見えますが、前身頃裏であり膝裏地です。 内脇縫い目を挟んで尻側の後身頃です。   股の部分は、尻と内脇の縫代が十字に重なります。 黒い半月型の股シックはボロ隠し(縫代隠し)と共に、余計な摩擦を軽減しつつ、補強も兼ねた大切なパーツです。 尻グリの縫代処理をクセ取りで確りと行いつつ、股シック周りもバッチリと潰し直します。 この辺りは股周りのスッキリ感や収まり具合が全然違って参りますので穿き心地にも大きく影響致します。                 ・・・・・表に返しました。 左側の外脇縫い目部分です。 フロントは1-PLEATのデザイン、脇はスラントポケット、尻ポケットは無しでのご注文です。 脇ポケット口 と 向う布 は確りと柄合わせされて綺麗に仕上がっています!     ですが、ここからが重要な所です。   NO-PLEAT や 1-PLEAT の場合、どうしても脇線自体はカーブの度合いが強くなります。 『 綺麗に、正確に仕立て上げた 』 ここまでが工場さんの役割です! ここからクセ取りを行います。             ・・・・・スッキリと直線だった縞が、カーブを描いているのが分かります。 強制的に曲げているのですね。 脇縫い目を見て下さい。 先の写真では縫い目自体がカーブしていましたが、縫い目を直線的にしつつ、そのボリュームを前後に振るのですね。 この操作により、脇ポケット口は少しイセ込まれます。   これで、穿いた時の脇への馴染みや吸い付き、そしてラインまでもが雲泥の違いが出ます!!                   ・・・・・脚に参りましょう。 極一般的ですが、、、ストローの様に真っ直ぐでストレートな脚筒です。 H様におかれましては、後身頃の股部に共地補強布を付けられました。 ここから脚のフォルムに合わせて曲線にします。 ふくらはぎのボリューム考慮ともよく言われます。勿論それも有りますが 多くの方々は棒の様に直立では無く、ある程度反った状態でバランスを取られている方が少なくありません。   勿論 度合いの個人差は大いにありますが、その御方の姿勢であり、自然体がそうでもあるという事です。 言葉で言えば反身体となりますが、結構な比率の高さですね。 誂えスーツは その方の為だけに仕立てられるのです。 クライアント様の体形に素直に寄り添います。                     ・・・・・マジックの様ですが(笑)ある程度のライン成形が終わると、蓋をします! 当て布ですね。 スチームの透過が良い平織ウール地を使用しています。 (これも起毛系やテカる生地などは当て布の種類を変える必要があります。)   ウールは、水と熱と圧力によって成形できます。 この融通性・柔軟性を生かし、様々な技術によって立体成型するのがクセ取りであり、テーラードです。                   ・・・・・バッチリとクセ取りができ、立ち姿勢と共に、脚のフォルムやふくらはぎのボリュームなどを加味された形状になりました。 真上からでは無く、斜に写真を撮っているのでより顕著には見えますが、 「取り過ぎでは、、、そんなに曲がってないよ!」と思われる方も少なくないでしょう。 その通りです! これは故意的にわざわざ過剰なラインを作り出しています。   何故でしょう!?   皆様もご存知の様にウールには復元力があります。 クセ取りされたこの現状態からある程度は戻ってしまうので、それを見越している訳ですね。   また、HOUSE STYLE ORDERはどうしても後付けでクセ取りを行う為に、戻りやすいとも言えます。 BESPOKEの場合は もう裁断直後から、組み立てる工程の間ずっとクセ取りし続けます。 仕上げまでずっと意識され、そのフォルムを維持しようと仕立てられます。 故に 後付けより何倍も戻り辛く定着率が高いのです。                 ・・・・・ストローの逆足を下ろして重ねてみましょう。 どれだけ意図的に下げて曲げているのかがお分り頂けると思います。   これにはもう一つ大事な考慮がありますが、、、、、もうキリが無いので ここまでにしておきましょうね。                   ・・・・・逆足も同じ様に、同じ位にクセ取りです。 直線である筈のストライプをご覧ください。縞柄なので分かりやすいですね。 前後クリーズライン(前後中心の折山線)ですが、単に紙同様 畳めばその折れ線は直線ですし、縞も当然ながら直線ですが、ここまで川の流れの様にカーブ線を生み出します。   ウールの生地はこの様に息を吹き込まれ、立体的に成り、身体に合わされていくのですね。                   ・・・・・今回 H様よりお預かりしておりました お直しのトラウザースも新しいご注文のスーツと共に上がって参りました。     これから同じく2次プレスをかけますが、、、脇縫い目に対し 直角に横皺が見えますね。 工場さんかからはハンガーに掛かって納品されます。 運搬中にトラウザースが落ちぬ様、ぐるりと一回り引っ掛けられて納品されます。   ハンガー皺、、、これは回避出来ませんし、仕方のない事です。   弊店では2次プレスするので別に良いですが、店内にアイロン設備の無いお店ではどうしているのでしょうか!?                 ・・・・・沢山ご愛用くださったからこそ、、、尻縫い部分が摩擦により 擦り切れてしまいました。 その修繕でのお預かりです。   カケハギも一つの手法ですが、工賃と工期が結構かかります。 それ以外で一番単純で簡易に修繕を行えるのは、この様に裏に充て生地をし、同色ミシン糸で確りと補強しつつ縫いつぶすのです。 カケハギと比べれば見た目の綺麗さは歴然です。 ですが、股部分ですから穿いてしまえば見えません。   お直しにも様々なテクニックがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。 考えられる選択肢を全て御説明させて頂き、ご相談の上でその手法を御選択頂きます。   H様、新しいご注文は補強布を付けておりますので安心ですね!                   ・・・・・S様のトラウザースに参りましょう。 同じく裏側に引っくり返し、、、 !!!! これは脇ポケットの袋地です。 たまに有り得ます。   確りと綺麗にプレスしますので大丈夫です! 検品、そしてプレス、欠かせないと言いう事が良くお分り頂ける事と思います。                   ・・・・・同じく股の部分です! S様も内股補強布をお付け頂いておりますね。 S様は身長含めお身体が大きいので、トラウザースも当然大きいです!                     ・・・・・シルエットが太ければ太い程、足のフォルムを追いかける度合いは減ります。 それだけ筒が太いので、脚のフォルムはキャンセルされる事になります。 しかし、立ち姿勢考慮は別ですので度合い自体もお客様、そして構成されているシルエットによります。                   ・・・・・トラウザースが全て終わりました。 良くあるプラスチックハンガーは、バーの所が2本で出来ているので運送の際に落ちない掛け方が必要でもあり、ハンガー皺を生み出します。   このハンガーは滑り止めがバーに付き、落下防止は押さえるゴムを使用するのでハンガー皺入らずです!                   ・・・・・如何でしたでしょうか。 近々には、ウエストコート、そしてジャケットの2次プレスを御紹介させて頂きたいと思っております。   スーツを仕立てる上で、あるべき姿でもあるフル・ハンドメイドのBESPOKEというレベルがあり、それを理想と掲げれば HOUSE STYLE ORDERにもどれだけの技術と手間を落とし込めるのかが品質向上のカギでもある訳です。   物作りは 追求すればする程にキリがありません。   今回はこの辺りまでとさせて頂きます。 皆様の大切な御注文の品は、こうやって1点1点大切に、そしてパーソナルな対応のもと お手元に渡ってゆきます。   平素より、素敵な御注文を頂戴致しまして誠に有難う御座います。               ・・・・・誠に恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。 申し訳御座いません。   次回は、3月13日(火)の予定となります。   どうか引き続き 宜しくお願い申し上げます。   今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。                  

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