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【 CHARCOAL GREY:S様のご注文 】
2026.07.28
お客様のご注文

スリムで均整の取れたF.アステア氏が見事に着こんすドレッシーで 美しきダブルブレストのスーツは正に見本のように美しくエレガントです。 やはりダークスーツは紳士を一層 引き締めてくれますよね。 白黒写真なので生地の色は定かではありませんが、ブラックや チャコールグレーであれば、トラウザースを着替えるだけで 一段更に上のステージも御堪能頂けます。 BLACK LOUNGE SUITS コードストライプによるモーニングドレストラウザース、 更に欲を言えばグローブにスパッツ、、、 とにかく美しきドレッシーなスタイルです。 今では『デイフォーマル』における準礼装にあたり、 日本ではディレクターズスーツといった方が馴染み深いでしょう。 このポジションを「イブニングフォーマル」でみると ディナースーツ(タキシード)となります。 https://dittos.seesaa.net/article/500881048.html 【 BLACKLOUNGE SUITS 】 https://dittos.seesaa.net/article/501579971.html 【 BLACKLOUNGE SUITS ② 】 準礼装の上、正礼装であるモーニングドレスを着こなす上で、 ウエストコートは随分と色味が増えたといえます。 しかし、上着に同じ生地で誂えられるのが古からの正統的なスタイルでもあります。 (今では慶事含めパーティーなどでは色味、弔辞などでは共生地というスタンスも。) 英国王のウエストコートには内側に『 SLIP 』が付けられています。 これは基本的には釦留めであり、取り外しが可能です。 やはり更に古の着こなしからの流れを汲んだ『 重ね着 』を表し、 日本では十二単に同じと言えます。 さて、今週は そんな BLACK LOUNGE SUITS を見据え エレガントなチャコールグレーによるスーツをご注文下さった S様のスーツをご覧頂きます。 深くて濃ければ濃い程に黒に近付きますね。 黒に一番近いグレー、それがチャコールグレーであり、ミッドナイトブルーや チャコールグレーはブラックに同義でもあり とてもフォーマルなポジションです。 名の如くミッドナイトはイブニングフォーマルへ、デイフォーマルであれば チャコールグレーも含め BLACKLOUNGE SUITS へと成り得ます。 そんな深くて濃いチャコールグレーをお捜しであれば同社のそれは正に絶品です。 H.Lesser & Sons Super120‘s Wool with Cashmere 280~300g https://dittos.seesaa.net/article/517594024.html 【 FESTIVAL For The Henry Lesser & Sons. 】 シットリとした最高品質な原毛を使い、細過ぎぬS120‘s 縦緯双糸使いで打ち込みも確りした正に英国地、 そこに風味付けのカシミアがほんのりと優しさを加えております。 3シーズンウエイトで一番使い勝手の良いウエイトであり、 エレガントなチャコールグレー範疇の中で頭一つ抜き出る スーチングである事は疑いの余地さえ御座いません。 ですが このシリーズは残念ながら廃版となってしまいました、、、。 (店頭では あとストライプが一種のみ在庫が御座います。) この日はリネンのスーツでご足労頂きました。 御着用を重ねられたリネンは随分と味も出ていて魅力が何割も増しておりました。 トラウザースはいつものスタイル、IN 2-プリーツにハイバック仕様、 フロントのフォブポケットは左側に! が S様のお決まりです。 相当畏まった席でも通用するスーツでもあり、着用期間も広いウエイトです。 ですが更に春夏をも重視し ウエストコートは 『バックレス仕様』にてリクエスト頂きました。 https://dittos.seesaa.net/article/475035587.html 【 BACKLESS WAISTCOAT 】 今回はセンターシームも施し、アルバートチェーン用のシームホールもリクエスト! (下)背中が無いので納涼仕様としても大変大きな効果が御座います。 ブレイシーズはオールエラスのタイプを早速リネンのスーツに合わせてご愛用頂いております。 背中における支点の位置も完璧ですね。 (股上が同じ型紙ゆえ、S様私物をご試着にお借り致しました。) 冒頭でもご登場頂きました F.アステア氏もダブルブレストの バックレス・ウエストコートですね、踊りますのでより効果的なのかも知れません。 襟(ラペル)が個性的です。 センターシームを設けない場合は、氏のようにチェーンを大きく跨がせます。 当店で初めてとなるダブルブレストに挑戦されて以降、 とてもお気に召して頂き 最近ではダブルのご注文を多く頂いております。 独特の重厚感はダブルならではであり、ダブルブレストこそ お身体に合っていなければまともに着用すら出来ません。 S様らしく 主張無きベーシックでクラシックなダブルブレストにデザインしております。 S様の個性たる片鱗には強い肩があり、 良い意味でとてもS様らしさを感じさせてくれます。 ダブルブレストの上着は着用すると、ウエストコートがほぼ見えません。 では2Pでも⁉ ご自身の誂えですから勿論尊重いたします。 ですが本来スーツは三つ揃いが前提であり、 見えなかろうとウエストコートを携えます。 三つ揃えでお手持ちなれば その日のTPOや暑さなどで選択する事も可能ですね。 では微調整を加えつつ、仕上げに向かわせて頂きます! さぁ、仕立て上がりました。 左フォブポケットの隣にも小さなリクエストが! 吊り用のトラウザースにはベルトループがありませんね。 それ故 ループに代わる役割を担わせるべく、D環を別途お付けしております。 御愛用頂き何よりで御座います。 本日は黒靴であり、最終FITTINGに際し 少しでも イメージを感じられるようにとご配慮下さりました。 仮縫いにより レングスが決まればリクエストはダブルカフにて。 良いですね、凄く素敵です! バックレスも御経験済みですから慣れたものですね。 (下)このブレイシーズは当店ご試着用であり、S様には支点位置が高すぎますね。 高すぎると Yの字の足は急な大股開きに耐えられず、歪となる皴が発生します。 この皴はウエストコートの背中、上着の背中にも響きます。 この状況を見れば、ブレイシーズでも ご試着が必要である事がご理解頂ける事でしょう。 必要であれば直して支点を下げ、適正サイズにするしかありません。 今では本格的な深き股上のトラウザースに合うブレイシーズは 基本的には何処にも売っていませんし 作られていません。 当店のようにサイズ含めた別注品か、その都度 穿かれるトラウザースに 試着で合わせ、支点を下げるお直しをするしかないのです。 同様にフロントのリボン長も同じことが言え、アジャスター金具の位置も 適正位置がありますので合わせるべきなのですね。 ベルトはウエストサイズで探せば良いですが、ブレイシーズは股上が 兼ね合いますのでTAILORでの購入が理想的な事がご理解頂けると思います。 エレガントでとても素敵です。 ダブルにも慣れ しっくりときているご様子、目立つような主張は一切なく、 構築的に見えるショルダーも生S様、そもそも前提たるリクエストは 「アンダーステイトメント」である事。 もう既にS様らしさまで感じられます! 実はこの最終FITTINGに合わせてみようと 小物類をご持参下さったとの事。 そうでしたか、では改めて是非合わせてみましょう! やはり引き締まりますね~、スタイルとして完結します! 完成品の写真ではリクエスト頂いていた SLIP を既に装着しておりましたが、 白シャツに溶け込んでいましたね。 タイが入る事でとても映えるようになりました。 シームホールよりダブルチェーンが優雅に渡ります。 折角ですからね、ポケットウオッチも是非使われて下さいませ。 凄く素敵です、、、、。 FITTINGの写真では、具合の確認が主体ですから 着こなし(コーデ)自体は範疇外であり、ノータイ然りで御座います。 しかし、この様にスーツはタイを持って完結している様を見れば 単にタイを外しただけのクールビズ的な発想は無様であると言わざるを得ませんよね。 ノータイには見合うシャツやカラー(襟)があります。 写真ではブラックスーツかのように見えますよね。 それだけ深く濃い色味なのです、、、ここまで深く見事なチャコールグレーは 他のメーカーでは見当たりませんよ! 「なら黒でも⁉」 そうではないのです(笑)、あくまでも黒ではない チャコールグレーである事に拘りと意味がるのです。 S様、この度も素敵なご注文を賜りまして 誠に有難う御座いました。 次に頂戴したダブルのご注文も丹精込めてお仕立てさせて頂きますので、 暫しお時間を頂戴致します。 ・・・・・如何でしたでしょうか。 御納品時は夜でしたので室内照明です、自然光下であれば もう少しグレー味を感じられるでしょう。 それにしてもエレガントで素敵で御座いました。 頼りになる仕立ての良いチャコールグレーのスーツは是非とも ワードローブに入れておくべきだと思います。 今回のようにH.Lesserの生地は勿論の事、当店在庫のお勧め地でも 私が厳選したチャコールグレーも御座いますので是非如何でしょうか。 暑き中では御座いますが、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。 今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。 ・・・・・もう7月もそろそろ終わりですね。 お店の方では HOUSE STYLE ORDER限定による 【早期受注キャンペーン】を開催中で御座います。 お急ぎのご注文でなければ ささやかながらお値引きも入りますので、 是非この御機会を有効利用して頂けましたら幸いです。 ~ 8月21日(金)までとなりますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
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【 TAILORING-5 】
2026.07.21
技術について

古き Savile Row での裁断風景です。 私達テーラー(CUTTER)はこのようにクライアント様の型紙を引き、 ルールに伴ってパズルのように効率よく蜜に型紙を並べ 裁断して参ります。 この風景は今でも変わりようがありませんが、大量生産を前提にみれば 機械化は進み 型紙レイアウトもPC内で行い、レーザーで綺麗に素早く裁断が出来ます。 ですが、この写真の様に格子柄になると二重に畳まれた生地を裁断する際 上下の生地で柄合わせが必要になるので 工場さんでも手裁ちは残っています。 この写真に使われている生地はグレナカートチェックでしょうか。 前身頃と後身頃で逆さま、山袖と谷袖も逆さま、JKとWCでも互いに逆さま、 この方が効率よく蜜に裁断出来るとの優先順位であり、 昔の一着分に伴う用尺が短いのは こういった要因も含まれているでしょう。 ですが、カシミアなど毛並みのある生地含め方向性のある生地は 必ずや一歩通行で生地方向を全パーツ合わせなければなりません! 触り心地は勿論の事、生地方向で見栄え的な色味さえ変わるのですが コーデュロイやベルベットなどは特に顕著ですね。 写真で裁断されている生地はグレナカートチェックと仮定した場合 厳密に言えばグレナカートチェックには天地(柄の上下)があります。 故に本来では一方裁ちが望ましく、特に丁寧な日本では重要視されているとも言えます。 その分 生地用尺は増えるのでコスト高ではありつつも、、、 業界人でない限りは そんな一方裁ちなんて なかなか気付かれないかも知れませんね。 コート(上着)の襟型製図ですね。 左からノッチドラペル用、ピーク用、ショール用と並んでいます。 根本的な製図方法はどの国においても大きく変わる事はありません。 ただ、衿腰幅や寝かし量、デザイン線的な部分は違うでしょう。 因みに、ショールカラーを頭にイメージされてみて下さい! ノッチやピークの上襟は、左右でのゴージラインまでがそれぞれの上襟エンドです。 しかしショールカラーの上着はゴージラインが無いですよね! 実は地襟自体はノッチやピークに同じく(上図)ゴージラインで切り替えています。 しかし、上襟となる部分は身返し自体で一緒に補うよう長くとられ、 ゴージラインを覆い隠し、首の後ろ(バックセンター)でエンドとなり接がれているのです。 これはエンドライン自体にノッチ(刻み)やピーク(尖がり)が 無いからこそ可能な芸当となるのですね。 裁断書に関しては 先人たちの遺した貴重な書物が結構残っています。 しかし、縫製書はそれと比べて本当に少ないので貴重です。 上の写真、左中にはBODYの襟ぐりが見えますね。 そこに合わせて『地襟』をクセ取りして付けようとしている所です。 鎌襟、棒襟、そして標準的な襟、、、この辺りは別の機会にしますね。 今週は当店のクラフツマンシップをご覧頂くべく TAILORINGにおける続編、襟作りに関し 皆様にご覧頂きたいと思います。 当店 BESPOKE は当たり前の事ながら、HOUSE STYLE ORDERによる 『上襟ハンド仕立て』のオプションをお付け下さる方々も じっくりご覧頂ければと思います! BODYは襟・袖のな無い『ちゃんちゃんこ』状態になりました。 襟ぐりを整え、型紙を当てて正確な現物距離(付け寸法)を測りますよ。 襟の型紙は必ず人それぞれに準備してありますので、型紙よりやや大きく 荒立ちして芯地を裁断、裏にはカラークロス、一部伸び止め力芯とでセットし、 それぞれの素材を一つの『地襟』とすべく ハ刺し にて縫いまとめて参ります。 地襟の芯地、これは贅沢にも IRISH LINEN を使用しています。 業界では通称「エラス」と言い、これはエラステックからきています。 バイアス(生地の縦横に対して45度の斜め方向)で裁たれた芯地は あたかもゴムの様に伸び縮みするのです。 襟とは人間の首に伴い、ぐるりと覆うカーブ線を描く事、 そして縦方向・首に沿うように昇っていく様なカーブを描かせます。 この複雑怪奇な形状を立体的に表現するには この麻のバイアス芯が一番優れているという事ですね! 成形に純真で素直、それなりのハリコシを持って安定的な形状を保ってくれます。 新品時は(意図的に)やや確り感がありますが、 着込めば麻の芯地はクタクタに柔らかく馴染んで参ります。 カタカナの「ハ」に見えるからハ刺し、ピッチや方向、指し方に違いはあれど 目的は皆同じです。 ただし、これも価値観により 糸やピッチ、指し方も色々です。 強いてメリットを活かすとすれば、、、と考えるとより良き手法に導かれますが、 それらは往々にして時間が掛かってしまう方向に進むのですね。 こんな見えない所でも差が出るものなのですが やはりほぼ気付かれぬ部分でしょう(笑)。 ハイ、ハ刺しが刺し終わり、BODYに縫い付ける部分のみ 綺麗に出来上り線でカットしました。 (地襟・下部=ゴージラインから衿腰部) 私自身は地衿の型、サイズを意図に基づき制御しますが、 大きめにザックリサイズでハ刺しし、BODYに宛がい 適正サイズで切り落とす手法もあります。 ですが後者はハ刺しの糸を切る事になりますし、 過剰な面積へのハ刺し自体も無駄となるので個人的には好きではありません。 バキューム付きのプレス台へ来ました。 地襟は先ず返り線で折り返し、 そしてクセ取りにより UFO の様な形状に成形します。 これで首を縁取るカーブの印象が出てきましたね! 裏側、カラークロス側であり、折り返された衿腰部が見受けられます。 このカラークロスはウールの織物であり、やはりバイアスです。 とても柔軟で成形が効き、もう一生 衿芯と共に一体化され 連動します。 オーバーコートの場合は襟を立てたりもしますので、 共生地を裏にも使用する事があります。 ただ、共生地の場合は襟裏に特化した性能を持つカラークロスより 「その個所では」性能が落ちますのでデメリットが幾つか発生する事になります。 故に優先順位は? が決め手となります。 衿腰がベタっと返り線と共に引っ付くほどの状態では、 襟ぐりの付け寸法自体はかなり伸びている現状にあるのですね。 故に襟腰のみ 改めてクセ取りで縮めると付けやすくなります。 衿腰部が少し立ち上がりましたね、これが付け寸法が縮んだ証拠であり、 距離が短いので座る事(接地する事)が出来なくなったという事になります。 この付け寸法(襟腰)は、どうせ縮ませ過ぎてもBODYの 襟ぐりカーブに合わせれば自ずと適切な距離へ戻ります。 BODY(襟ぐり)に重要なポイントを優先的に合わせ、 躾で縫い留め セットします。 背中心線、肩縫い目、そして返り線(ラペルとの連動)、 ゴージラインと言った具合です。 肩傾斜など左右非対称度合いが大きな方は、左右で襟ぐりの距離も変わります。 なので当たり前なのですが、肩パッドや地襟自体も非対称で作られています。 躾で仮止めしたら「カラゲ縫い」という手法でBODYに縫い留めて参ります。 このカラゲ縫いとは解れ止め効果もあり、 形状が三角となる千鳥縫いよりも細かく縫われます。 襟芯(麻)は目立ちますので絶対に見えないように隠したいですね、 カラークロスのエッジより 0.5~1㎜くらい控えて裁ち合わせております。 (正確には襟芯の幅が正しく、+αをしてカラークロスを裁ち合わせます。) 確りと地襟がBODYに縫い付けられましたら簡単に部分プレスして 地襟とBODYを馴染ませておきます。 次は上襟(共生地)ですよ! 冒頭の写真でご覧頂いたように、身頃や袖など主要なパーツは型紙を当てて裁断します。 その時には必ずロス(隙間)が発生する訳ですが、 実は『ここで〇〇をとろう!』と加味しながら裁断レイアウトを決めています。 残った残布より、ポケット作りに伴うパーツや、 後に作る上襟などは確保しておかなければなりません。 ターンバックカフス付きのご注文であれば結構な横地を確保しておく必要がりますね、 この写真は上襟用にキープしておいた残布であり、細長い横地です。 チャコで矢印が見えますが、生地方向であり、後身頃の裁断方向でもあります。 後身頃と上襟は連動していますので必ずや方向を合わせなければなりませんから すぐに分かる様 残布には矢印を入れておきます。 (これに同じ行為が必要なのが腰ポケットのフラップや、胸ポケットの口布です。) おおよそで目で追える程度に横地の目を合わせていますが、 まだ正確な100%の横地ではありません。 という事で、、、地味に緯糸(横糸)を抜いて参ります! 端から端まで ピーっと一本の横糸で繋がって解けるまで続けていると、、、 だんだんマフラーの様なフリンジ状になってきますよ。 これが格子柄であれば、横縞を追って直ぐに100%の横地の目が導けますが、 無地や縞柄、更には起毛されたフラノなど微塵も横地の目を追えませんので この様に地味な作業で100%正確な横地の目を導きます。 端から端まで横地が通ったら はみ出したフリンジ状の経糸をカットします。 これで完全・完璧な横地の目が拾えましたね! その整えた横地(写真では上辺)を襟のエッジに見立て、 上襟自体を荒立ちで裁ち合わせます。 一部印(切り躾)がありますが、主要なポイントと共に返り線ですね。 これはクセ取りを行う際の目印となります。 正に一直線な上襟エッジ、こんな直線が地襟に付く訳がありません! そこでクセ取りにより整形して理想的な襟型へと動かすのです。 地襟(芯)でも UFO型にしましたが、上襟も一緒です。 一体化させて一つの襟となる訳ですから当然ですね。 カーブの具合、寝かし、それぞれ意識して! 更に、、、 更に、、、見えますでしょうか⁉ この生地はヘリンボーンであり、縞柄です。 100%の横地であるエッジラインがカーブで曲がりました。(曲げました。) その際、縦地となる縞柄は綺麗に直下線で落ちるよう強制的にクセ取りで仕向けます。 生地とは縦糸と緯糸の交差であり本来であれば格子柄は直角・平行で構成されていますね。 であれば、緯糸に対し経糸は直角前提で考えると この様に縞柄は直下線ではなく扇方に向く筈です。 それを無視して強制的に直下線で成形させる、これも正にクセ取りです。 次は、エッジ(100%の横地)を一縫代で予め折り畳んでおきます。 ここには出来上り線でカットされた麻の地襟芯のエッジを スポっと覆い隠す事になります。 綺麗なライン、、、、これを経験により身体に覚えさせておかねばなりません! 随分と撮影なく進んでしまったようです、、、。 本当は撮影している事自体不効率で面倒ですから ちょっと集中すると直ぐに忘れて進行してしまうのですね(汗)! 順を追って上襟の共地を地襟に躾していき、馴染ませて一体化させます。 「上襟据え」という工程ですが、据えが終われば まとめ(手縫い工程・縫い留め)ですよ。 それが この写真の状況です。 エッジはやはりカラゲ縫い、 カラークロス側から針を刺しているのがポイントです! 勿論エッジから指してもカラゲ縫いは出来ますが、 その針を刺す方向でさえ意味があるのですね。 アップで見辛いですが、右側の衿刻み部『ゴージライン』です。 ゴージラインは縫い方が変わって「梯子まつり縫い」にスイッチです。 緩く縫い過ぎると縫い目は笑い(口が空くように開く)、 きつ過ぎると地の目を歪めます。 適度な頃合いで縫わなければなりませんよ! 下の写真では分かりやすいと思います。 縫った糸があたかも 梯子 の様に左右へ渡っていますね! 縫い加減も重要ですが、ゴージラインに対し 平行・直角で保てなければ地の目は歪みます。 そんな顔である襟部のコージラインですが、 ハンドメイド以外の服は全てミシン縫いされています。 まとめ(手縫い工程)が終われば部分プレスで上襟自体を 確りと地襟に馴染ませるようにプレスします。 ゴージラインが返り線の向かって上りゆくカーブ線である事が見受けられますね。 ゴージラインとは 本来では「襟ぐり線」であり、 カーブ線ですから これがリアルで本当にあるべき姿です。 大量生産ではミシンでゴージを縫いますし、これら曲線を無視して 直線に修正され設定・製造されているのですね。 そりゃあ 直線より曲線の方がリアルでありつつ色気がありますよね! 如何でしょう、、、首を縁取る綺麗なカーブ、首に寄り添うような立ち上がるカーブ、 人間がどれだけ曲線かがお分かり頂けるでしょう。 だからこそ難しく、それを成し得るのが職人の技術なのですね。 ここで少し名称(呼称)について一応整理しておきましょう、 襟・衿・・・洋服と和服的な区別もありますが同じで結構です。 上着の衿と言えば 下衿(ラペル)と上衿にて構成されています。 その上衿とは 地衿(裏であり、土台であり、芯地)と上衿(共生地衿)で構成され、 まとまり一体になると上衿と呼ばれます。 面倒ですから覚える必要はありませんが(笑)、 今回の様な話では分離して呼称しなければならないのですね。 お疲れ様で御座います、、、後もう少し! 衿付近までは裏地を既に躾し、据えておいた状態になります。 衿の工程が終わったので、その部分(衿周り)の裏地を最終的に据えて参ります。 ここは裏側(内側)の肩縫い目です。 前回 表地は沢山のイセ込みが内蔵されていましたね、 当然ながら同等か+α位のイセ込みを裏地にも入れておかなければなりません。 なおかつ、そのイセ込みは乱暴だと直ぐにギャザーの様になってしまいます。 裏地側は直接身体に触れる内側です、 少しでも無駄な凸凹は無い方が良いに決まっていますね! 実際 凹凸があれば凸の部分が優先的に摩擦を受けるのでダメージが集中します。 理想的であり、かつ最高とは、、、 考え出すとキリがないのが職人の世界でもあります! ふぅー、皆様もお疲れ様で御座いました。 最終プレス、仕上げではフラワーループを縫い付けて! フラワーホールは第一釦ホールの名残であり、 その名残に花が飾られるようになったのでフラワーホールです。 その花の茎やシルバーのフラワーホルダーなどを 留めておくのでフラワーループなのですね。 実際に使われる方は少ないでしょう。 ではいらないのか⁉ そうではないのが伝統的な紳士服ですよね! 最後に ウインザー公の格子柄スーツをご覧頂き 締めと致しましょう。 ハンドメイドで仕立てられた掛け替えなきBESPOKE SUITS。 その上襟は 今回ご覧頂いたように、100%の横地拾いによりクセ取りで成形され、 美しく上襟へと成り立ちます。 格子柄であれば この様にエッジに100%の横地が綺麗に縁取る事になります。 これがあるべき姿であり、仕様となります。 では、大量生産含めハンドメイドではない上襟はどうなのか、、、 1着1着 クセ取りした上襟を躾で据え、手縫いで縫いまとめるなど出来ませんね。 そもそもTAILORではない方々は クセ取りはしない・出来ないという事になります。 故に、残しておいた横地残布に 既にUFO型の襟型で裁断して地衿と結合します。 そうなれば上襟のエッジはカーブ線に伴い 斜めに横地柄が切れて エッジに沿って平行に通らなくなる事を意味します。 そして横地の目は通っていなければ(切れていれば) より生地は伸びやすく、 裏側には部分的に接着芯をも貼ってしまうのですね。 横地を通す行為とは、見栄えの為だけに行う技術ではないという事です。 横地を通す事により見栄え的な美しさは勿論の事、生地の安定感が全然違うのです。 勿論BESPOKEでは接着芯も貼りません。 されど 切られた横地(近バイアス)は伸びてしまうので接着芯で留めますが 硬くなりますし、剥離の懸念や、クリーニングなどによる縮みの懸念もあり 接着芯自体を出来れば使わない方が良いに決まっています。 1年、5年、10年と着用を重ねた時、その上襟の違いはどうなっているでしょうか。 とても大きな差が付く事は明白です。 ここでポイントとなるのが手作りなBESPOKEは 数十年着用する事を前提にして仕立てられます。 大量生産の服は直ぐにくたびれ、型崩れを起こし、へたりやすいと言えます。 だからこそ次が売れる訳ですし 買ってもらわなければなりません。 それ故のお値段とも言えます。 では そう考えると高級なブランド品は品質(仕立てレベル)と 値段が見合っていませんが、ここはここで また違った価値観がありますよね。 より良き品質を求めれば不効率なハンドメイドしかなく、 それが発祥でもあり 先週のVINTAGE SUITINGなどにも通じる部分も多々御座います。 先人から培われてきた技術は機械化できぬ事ばかりです、 だからこそ修行して技術を身につけ、磨き続ける必要があるのです。 掛け替えなき手作りの洋服を纏った時のご満足度は 格別である事が当然でなければなりません。 そんな当たり前のことを当たり前に成し得られるよう 日々精進致します。 少しでも高度で手作りな温もりのこもった仕立服に ご興味を持って頂けましたら何よりの幸いで御座います。 皆様、どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。 今週は特に長く、本当に最後までお付き合い頂き 誠に有難う御座いました。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
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