【 H様のご注文:VINTAGE ZENITH② 】
2026.05.05お客様のご注文

5月5日 本日は端午の節句 「こどもの日」です。
青空を優雅に泳ぐ鯉のぼりですが、鯉が急流を登って龍になるという『登竜門』の伝説に因み
困難に負けず強く育つようにとの願いが込められているそうです。
皆様 こんにちは、ゴールデンウィークも後半ですが、如何お過ごしでしょうか。

ジョージ6世のエレガントなスーツの着こなしであり、
氏は比較的にダブルブレストを好まれている印象があります。
兄君の方が一般的な知名度は高く着目される機会も多いかと思いますが、
王位を継いだキングジョージ6世のスタイルは今になっても色褪せるどころか
むしろリスペクトも含めて影響を受ける御方々は少なくはありません。
端正な顔立ちでスタイルも良く、見事なバランスで仕立てられたダブルブレストは
本当に美しくまるで見本の様です。
またシャツも良くて、、、
当時のシャツを顧みればロングポイントカラーも席巻してはいたのでしょうが、
この小振りなショートポイントカラーだって欠かせません。
やはりTPOですね。
羽襟はセパレートで台襟に専用のカラースタッズで付けていました。
所謂 デタッチャブルカラーシャツです。
共地襟から白襟、ウイングカラーなどデザインも選ぶ事が出来ましたが、
多くは小振りでベーシックなショートポイントであり、
それら変え襟は もうパキパキに硬くて正にロングポイントと真逆です!
上着の堂々としたラペルが美しく、、、
小振りなVゾーンにはショートポイントがとても映えますね。
お好きでない方から見れば ただのダブルのスーツを着ているにすぎませんが、
好きな方が見れば多大なる影響と学びがあります。
さて、今週は大変な御贔屓を頂戴しております H様よりご注文頂きました
極上なダブルブレストのスーツをご紹介させて頂きたいと思います。
博識なH様は確固たるご自身のスタイルをお持ちであり、
その首尾一貫な姿勢は尊敬に値します。

早3年前、極上で激レアな生地により
ダブルブレストの三つ揃いをお仕立て下さりました。
合わせるシャツはクラシックなクレリックシャツをお召しです。
このシャツはデイウェアであり 特に午前中が良しとされていますが、
夜間に着るシャツではないという事だけ覚えておきましょう!
シャツも奥深く、、、紳士服には色々とルールがあるのですね、
デザインなどは一度決まれば一貫していつも通り、
そんな所もスタイルを貫く上では大切な要素とも言えるでしょう。
カット(型紙)は先の国王へのオマージュと共に。
https://dittos.seesaa.net/article/499910177.html
【 H様のご注文:VINTAGE ZENITH 】

お選び頂きました生地ですが、3年前に同じく
此度も VINTAGE ZENITH よりお選び頂きました。
大変贅沢な生地であり、なんとミンクの毛まで織り込まれているのです。
良き意味で当時の生地メーカーさんたちの切磋琢磨が窺えるというものです。
ウエイトは 約330g と3シーズン用、着用期間も一番広くご愛用頂けます。
https://dittos.seesaa.net/article/499114742.html
【 EXTRMELY RARE:VINTAGE SUITING 】
今回の生地が持つ魅力は先ず この色目にあるでしょう。
渋いブルーグレーは英国らしいくすんだ感じがまた良いのです。
正に雨の多い英国らしさもあり、こんな渋味はイタリアの生地では出せません。
コントラストを効かせた縦糸と緯糸のトーン違いはツイル目の畝を浮かび上がらせ、
明るめなトーンで控えめにストライプ重ねます。
紳士服地はネイビー派かグレー派に大抵分かれますが、この様なブルーグレーは
両派の良さや特徴を併せ持ち、最早どちら側の方々でも
直ぐにしっくりと来るのではないでしょうか。


さて、仮縫いが組み上がりましたので早速ご足労頂きました。
今日も素敵な装いですね!


結び慣れたボウタイがいつも素敵であり、最早H様のアイコン的でもあります。
キュっと絞り過ぎない結び目がポイント、かのウインザー公もそんな結びですよね!
ウエストコートも良いですね、とてもお似合いで御座います。
H様、この優しい色味のシャツはお仕立て頂きました ACORN のエクリュですよね。
やはり凄く素敵、、、私も頼めば良かったと後悔しております。
エクリュ(ECRU)という色は日本語だと「生成り色」になります。
故に白(WHITE)とは漂白された人工的な色とも言えます。
昔は WHITE ⇒ ECRU ⇒ CREAM と段々と色味が付くよう
カラーバリエーションも豊富だったのですが、
色味が近過ぎとの判断でしょうが ECRU の廃版が進んでおります。
世界的なカジュアル化による需要の縮小もあるでしょうが、
コロナが拍車を掛けました。
まぁ確かに 「エクリュのシャツが欲しい」 と言われるのは極一部の通な方々であり、
一般的には白シャツは白、エクリュなんて知らない・聞いた事ない
となるのかも知れません。
無ければ一層欲しくなる、、、また探してみます!

大人の渋さが滲み出て凄く素敵です。
ストライプは強くないですから この位離れると結構沈み込んで目立ちません。
ですが、このストライプこそ控えめながらも個性を放ち、
凛としたシャープさを感じさせてくれるのです。


無事に仕立て上がり、改めてご足労頂きました。
最近 ご病気もありお痩せになられました。
ですが 敢えてサイジングはそのままで修正する事なく
ここ直近のサイジングをご希望されましたので敢えて
修正する事なく御納品とさせて頂きました。
元気になればもとに戻るでしょうし、むしろ万全でなき今は
このユトリこそ「楽」でもあり、大人の余裕! とも。
こんな所もH様らしいのですね。


本日の靴は黒、サイドエラスのBESPOKE SHOESは仏の名店。
その名店に対する私の勝手なイメージでは黒靴がありません!
お仕立て下さる その職人さんとは随分と長いお付き合いだそうで御座います。
本日のような仮縫いの時には正にレイジーマンが最適ですね!

決まっておりますね!
多少緩いとは言え慣れ親しんだ着心地とサイジング、
骨格含めご自身の為だけに仕立てられているのですから
多少痩せられてもユトリが増える感じだけです。


3年前に仕立てた冒頭のダークスーツとカットは同じながら、
印象は随分と変わるのが分かります。
良い意味で濃過ぎないトーン、
ですが落ち着きや信頼感さえ感じさせてくれる生地。
洋服になってしまえばスパイス程度なミンクは完全に自己満となりますが、
VINTAGE の生地には織られた当時の価値観と共に
当時での最高で織り上げられた逸品ですから
そんな背景をも楽しみながらご愛用頂ければと思います。



胸部の立体的なドレープとウエストのシェイプが美しき
起伏のコントラストを生み出し、エレガントなシルエットを奏でます。
ダブルブレスト用サイズのホーン釦が一層しっくりときますね。
昨今のダブルでは打合いが浅いので このサイズでは持ち堪えられないでしょう。
昔ながらのクラシックなブリティッシュスタイルだからこそ、
今でも残る この専用サイズを尊重したいところですよね。
H様、この度も素敵なご注文を頂戴致しまして誠に有難う御座いました。
夏が来るまで是非お楽しみ頂けましたら幸いです。
・・・・・如何でしたでしょうか。
自身の為だけに設計され、裁断され、そして仕立て上がった自分だけの服。
誂えの服は着用時の美しさだけではなく 着心地や
ご満足度さえ高くて当然であり、そうでなければなりません。
そんな誂え服の着用が当たり前になると、選ばれたそれぞれ生地の個性が
よりクローズアップされ 対話を楽しむ事が出来ます。
最高の食材を 最高の調理によって 最高の料理を食すのです。
選ばれた食材の個性を活かすも殺すも知識と技術が必要です。
スーツは洋服であり着るものです。
着てこそ(食してこそ)真価が発揮される洋服を仕立てるべく、
これからも一層精進して参りますので どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。
今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。
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