【 INDIAN MADRAS COTTON 】
2025.06.10生地に付いて

晴れれば日差しは強く、雨が降れば気温は落ち着くものの 湿度が高くて蒸し暑い。
いよいよ関東も梅雨入り、暫くは辛抱の時期で御座います。
日中の盛夏を顧みれば なかなか上着の着用は厳しく、
自ずと装いの主役は軽衣料へとシフトして参ります。
コットンやリネンの涼し気なシャツが大活躍しますね。
フレッピーなスタイルには欠かせぬマドラスチェックはお好きでしょうか。
今週はそのマドラスチェックに焦点を当て、歴史と共に 今一度その魅力を掘り下げ
皆様にもリアルなマドラスコットンをご紹介させて頂こうと思います。
= INDIAN MADRAS COTTON =
『マドラスチェック』は聞きなれた呼称でもあり、洋服好きな方であれば
頭には何となくでもイメージが浮かぶのではないでしょうか。
マドラスとはインド南東部のマドラス(現チェンナイ)に由来し、
ベンガル湾に面する港湾都市名であり 南インド東海岸の主要都市でもあります。
マドラスは正式には『インディアン マドラスコットン』と呼ばれ、
綿花の栽培、そして綿織物で長い歴史を持つインドにて
農民などの労働者が身に着けていた綿の単糸を使って織物にした布を指します。
かつて17世紀 イギリス東インド会社の貿易拠点として
商業や文化の中心地として発展致しました。
当時好景気に沸いたイギリスではマドラスから輸入される
綿製品により多くの富がもたされます。
そのマドラスから輸出される格子柄の生地を総称して
マドラスチェックと呼ばれるようになったそうです。
故に、厳密にはインディアンマドラスコットンに
マドラスチェックが含まれていると言えますね。

1947年 ヴィンテージ:インディアンマドラスコットン(チェック)です。
(The New York Public Library より)
「らしさ」がありますよね、多色使いで構成され 滲んでいるようでアンニュイな柄出し、
この素朴な感じこそ本来のインディアンマドラスコットンなのです。
マドラスコットンはスラブ(節)のある単糸を平織にした素朴な風合いの先染め織物であり
、通気性が良くて涼しく 乾きやすいので特に夏向けの衣料として歓迎されました。
当初のマドラスは手紡ぎの綿糸を植物の天然染料で染色し、
手織り(HAND WOVEN)されていました。
家内手工業な昔のホームスパンツィードに同じですね。
故に不均一な表情、そして洗濯による滲み(Bleed:ブリード)や褪色も大いなる特徴でした。
1902年 米:Brooks Brothrsが初めて夏のレジャーウエアとして採用・展開を始めました。
その後 徐々に人気を博し、シャツからショーツ、ジャケットなどにも流用されるようになり
アイビーには欠かせぬポジションを築き上げます。
ただし、滲みや褪色などのマイナスな懸念材料はどうしたのでしょう、、、。

『 Guaranteed to bleed 』 ・・・このシャツ(手織り生地)は滲み保証付き‼
敢えてそんな特徴を「売り」にする事で逆に流行を作り出す事に成功したとの事。
ジョーク好きなアメリカらしいのかも知れませんね。
確かに問題が起きても誰も文句が言えません(笑)。

ラルフローレンだって欠かせぬインディアンマドラス、
タグでさえ頗る格好良く 流石です。
どうですか、インディアンマドラスコットンに興味が湧いてきましたでしょうか。
しかし、昔の様に手紬の糸で天然染料のみで染色、そして手織りは流石に厳しいですね。
この独特な色彩感覚や格子柄の構成をアレンジしつつ、
イタリアやイギリスなど多くのシャツメーカーが
マドラスチェックを織り上げるようになりました。
ですが、服好きな皆様であれば 敢えてインディアンな
オリジナルマドラスコットンが着たくなってしまいますよね!
では ご紹介致しましょう‼

本当にリアルです、、、日本語が変ですね。
インドはマドラス製の 正に インディアンマドラスコットン で
皆様の洋服をお仕立てする事が出来るのです。
この掠れた感じと素朴感、単糸で地薄、
確かに絶対に涼しいでしょうし 直ぐに乾きそうです!
着込んでクタクタになったら相当な味が出るでしょうね。
これらリアルマドラス、
「全ての工程が稚拙である」とエージョントより注意があります!
旧式の織機を使いつつ、生地のキズや織ムラは当たり前。
それに単糸で色が芯まで染込み辛い上に、
染料自体も安定感が無く 色落ちもしやすいとの事。
なので汗をかいたりしますので、
他の衣類へ移染する可能性もあります。
格子柄のマスサイズは不安定であり、柄合わせ裁断にも限界があり
なかば諦めて下さいと言わんばかりなのです。
実際 上記写真でも見受けられるように、下部 水色の2重縞は太さと共に
平行さえ保てていませんね、、、それでも良いんです‼
これら多大なる欠点は リアルなインディアンマドラスコットンである事を意味します。
でも尚着たい、着てみたい という御方のみ
恐れずにお仕立て下さいませ。
これだけリスキーな商材を敢えて扱うエージョントのオタク具合が素晴らしい。
私自身は喜んでリスキーなインディアンマドラスコットンをNEW FACTORYで
シャツに仕立てて頂く所存ですが 皆様も如何でしょうか!?


比較的に「らしさ」を感じられる やや明るめなトーンのマドラスチェック。
「スゲ~良いっす‼」 1枚を選ぶには厳しい程に素敵な柄が揃います。

コレとコレは是非欲しい!
売り切れる前に調達しなきゃ!

渋いダークトーン、珍しいですか!?
80年代頃には流行っていたらしいのですが、、、
私はまだ意識出来ていない頃です。
流行は巡りますから 案外また来るかもですね!
渋くてこれはこれで魅力的ですよ。

これも素晴らしい、、、でも3枚目、どうしよう、、、欲しい(笑)。

ブラックウオッチもあります!
インド、そしてイギリス、
マドラスチェックは歴史あるタータンにも影響を受けていた可能性もありますね。

変わり種、格子柄のみならず 植物モチーフなデザインも!
今回学んだと思いますが、マドラスチェックはマドラスで織られた格子柄の総称であり、
マドラスコットンは別に格子柄以外だってあるという事ですね。

これも凄く素敵です。
クラシックなモチーフに『ペイズリー』がありますね。
ペイスリー柄の発祥はインドのカシミール地方であり、もともとは
葉や花をモチーフにした植物を抽象化したとされています。
これ、凄くオールドチックでペイズリーのご先祖様みたい!
現代見受けられるペイズリーになる前のデザインっぽさがあって素敵ですが、
女性受けはしないかもです(汗)。

なんと既に作られて用意されたパッチワークなマドラスチェックも!
そう言えば こういった既製品もありますよね。

これ、、、それぞれが それぞれに移染したら滅茶苦茶やね!
というジョークながらも、手間が掛かっていますね~、でもお値段は一緒!
上手く余りや残りを有効活用したエコロジーなデザインでもあるのです。
洗濯もしますから それぞれのパッチは一つずつロックミシンが掛けられています。
一応デメリットをお伝えしておきますと、移染もそうですが
生地の他にミシン糸も縮みます、表からは見えぬ縫代が重なり
軽さ・柔らかさ・涼しさ はそれなりに犠牲となります。
だからこそ、洗濯を繰り返し、パッチワークの独特なエイジングを見せてくれるのでしょう。

・・・・・如何でしたでしょうか。
質の高いシャツ地はイタリアやスイスに任せておけば良いです。
インディアンマドラスコットンは癖があり、手間で面倒のかかる子ほど可愛いとも
思って頂けましたら 今回の歴史的リアルなマドラスシャツをお楽しみ頂けます。
シャツであれば、リネンの上着やブッシュJKなどにも凄く相性が良いです!
または H.S. ORDER で アンコンJK をお仕立てになるのも良いでしょう。
往年のマドラスチェックを是非ご堪能されてみて下さい。

さぁ、夏はマドラスコットンで少しでも快適に、
そしてほくそ笑みながら問題児と共に乗り切りましょう!
● 誠に残念ながら、固有の生地ネームがありません。
仕方がないので自己満でお願い致します。
ご了承の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
では 今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。
・・・・・大変恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。
次回は 6月24日(火) を予定しておりますので、
どうか引き続きお立ち寄り頂けますようお願い申し上げます。
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