【 2025春夏 / お勧めスーチング② 】
2025.02.25生地に付いて

店内の アセビ(馬酔木)が可愛い花を咲かせております。
グリーンが強めなアセビの葉には有毒成分が含まれており、
葉を食べた馬が酔ったようにふらついてしまうその様より名付けられたとの事。
小さくて白い壺が幾つもぶら下がっている様でとても可愛らしいお花ですね。
ささやかな「癒し」を享受しております!
さて、今期仕入れの生地は全て揃い 徐々にご紹介をさせて頂いております。
お陰様により既に光栄なるご予約や
ご注文を頂戴しており誠に感謝しか御座いません。
お仕立て上がりが楽しみですね、私もで御座います!
今週も続きをご紹介させて頂きますが、生地ばかりでは飽きてしまわれると困りますので
次回は別のカテゴリにて更新したいと思っております。
とは言え、今週紹介の生地も素晴らしく かなりお値打ちな仕入れが出来ました。
昨今の値上がり状況下を垣間見れば、
間違いなく入手しておいた方が良いと心底お勧め申し上げます。

エレガントでクラシック、正に非の打ちどころ無き
そのスタイルに憧れを抱かずにはいられません。
ダークスーツにはそれなりの意味とポジションがあり、
どんな時代でも紳士にとっては欠かせぬスーツです。
故にこのポジションは年中常にあり得ますので、頼りになる相棒を
シーズンで分けてワードローブにラインナップされているべきアイテムでもあるわけです。
F.アステア氏のダブルブレストスーツ、
ソフトな仕立てによる美しきドレープがとても素敵です。
生地は皴よりやや軽めな印象でもあり、
袖にはピシっとプレスされたクリーズラインが見受けられます。

2月も後半になりましたが まだまだ寒く、
装うには好都合ながら 春夏は必ずやって参ります。
ネイビーのスーツはブルー系で単色コーデされ、
清涼感と共に清々しく暑さなど感じさせませんね!
帽子と靴で春夏らしい季節感や抜け感が良い感じです。
日本の様に高温多湿な国だからこそ、
春夏のスーチング素材ではモヘアが欠かせません。
MOHAIR(モヘア)はアンゴラ山羊の毛から作られた繊維であり、
吸湿性に優れている為に重宝され訳ですね。
その他にも沢山の特徴があり、光沢感の強さや
ハリコシが強くて皴になり辛いなどが挙げられます。
http://dittos.seesaa.net/article/321867264.html
【 新旧 KID MOHAIR 】 ・・・ 気付けば12年も前の記事!
そのモヘアの中で まだ生後間もないKIDS達より頂いた最高に綺麗で
細くしなやかな毛こそ最高のスーチングに使用されています。
豊かな特徴のモヘアでもデメリットはあり、ゼロではありませんが
ウールの様に100%で使用される事は極僅かです。
そのモヘアたる特徴を どのくらい表現したいかにより
混率を変えるという事になりますね。
暑い夏でも清々しく着る事の出来るキッドモヘアはお好きでしょうか。

SMITH WOOLENS
1921年 ロンドンのゴールデンスクエアで創設されたロンドンマーチャントの雄。
ここも沢山の名作がありますが、一番有名なのは ソラーロ でしょう。
登録商標を有し、本来では唯一 SOLARO を名乗れるメーカーという事になります。
同社よりキッドモヘア混の極上スーチングを特価にて仕入れる事が出来ました。
昨今の価格上昇にもれず、キッドモヘアも高級獣毛ですから
混率が高ければお値段も比例しますので
この度の出物仕入れはかなりのBIGチャンスとなります!


ライオンがトレードマークな同社のネーム、
迫力のあったライオンさんは発色良きレッドで、、、、
今では随分とシンプルになり、ライオンらしく勇ましい鬣(たてがみ)は
オールバックに整髪され モデファイ進んで
なんかスフィンクスみたいになってきたような!

60% KID MOHAIR
40% Super100‘s WOOL
260g
6:4 鉄板混率のブレンド、HARRISONS社の最高級で知れた
名作『CAPE KID』に同じ品質であり、
織元はモヘアを得意とするあのミルではと推測されます。
左に吸い込まれそうなシックで美しきダークネイビー、
右に英国らしいブルーグレー。
双方同じシリーズ、色違いの兄弟です。
これは間違いありません、春夏用のスーツとしては
是非ワードローブに入れておきたいポジションである筈です。


先ずはダークネイビーからご覧下さい。
実物は写真よりもっと濃い色であり、なかなか表現が難しいです。
本当に深く濃い色味で引き込まれる様な魅力を持ち合わせています。
特徴である光沢感は美しき光の陰影を生み、
ハリコシある弾力は豊かなドレープを生み出します。
吸湿性も高く、常にシャリシャリしていて冷んやりと感じられる肌触りなのです。


こちらはブルーグレーです。
これも英国的で欠かせぬ色味でもあり、英国王も良く着用されておられますね。
強き日差しを避けるがためにも色のトーンを下げ、
良い意味で春夏地らしい清涼感も生まれます。
単にライトブルーではなく、グレーシュな色味である事が前提であり
この色の魅力でもあります。
若い頃にはその魅力を微塵も感じられませんでしたが、
今となっては大人の落ち着きと渋みを感じさせてくれる素晴らしい色味です。


今一度 兄弟揃って色味の比較を。
皆様、ここまで高品質な英国製KMは
もうこんな価格帯では手に入りません。
真面目に大きなチャンスであり、鉄板な色、そして最高な品質です。
KMを堪能するなら是非 混率6割レベルでご堪能下さいませ。
では次に参ります。
(今週ご紹介の生地は 全て SMITH WOOLLENS です。)

84% FINEST MERINO WOOL
16% SUPERFINE KID MOHAIR
230g
FINEの最上級でFINEST、SUPERなFINE具合、、、
一体どっちが上ですかね⁉
という冗談はさておき、こちらの生地は妖艶で美しい『 茄子紺 』です。
濃紺に赤みが入り、青紫色の濃い色、、、まぁ正に茄子の色味です。
とても色気のある色ですよね。
この生地には小技が効いていて、同社のソラーロよろしく交織織になっています。
150㎝幅の生地端を合わせて二つ折りに畳んであります。
内側が表側となり、中表状態を捲っているので見えているのが表側となります。
対角線に左上と、右下、明らかに色味が違いますね!
左上は経糸が強く反映、右下は緯糸が強く反映し、
見る角度によりこれだけ色味の印象が変わります。

生地の裁ち端(横地)ですが、刷毛の様に見えている
黒っぽい糸が経糸であり 先ほどの左上色です。
緯糸にはネイビー(青紫)が使われ、それらが交織となり
独特な表情を醸し出すのです。


本当に美しくて綺麗です。
先の兄弟2色と比べれば華やかさがあります!
そしてこの生地は先の2色より薄地で軽く、
キッドモヘアの混率が少なくて 16% しかブレンドされていません。
故にウールの柔軟性が主体に、光沢感とハリコシが
加えられているという感じでKM感はそれほど強くは感じません。
そこが良くも悪くも特徴であり、企画された意図という事です。
桜色のシャツがとても似合いそう、、、、。
では次が今週のラストです。


27% CAPE MOHAIR
73% SUPERSPUN MERINO WOOL
290g
また中途半端に刻んできた混率は約3:7、
CAPEは南アフリカ産のモヘアであるという事であり、
今では世界でも有数のシェアを誇る産地となっています。
SPUNは撚糸ですからSUPERで強撚糸を指しているのでしょう。
ウール側の糸も強撚糸にして弾力を持たせ、
KMのハリコシと共に防皴に特化していると言えます。
また、この生地のみ 290g と3シーズンウエイト並みに
ボリューム感があるのも特徴です。


色は正に KHAKI(カーキベージュ)です。
カーキとは軍服色としても有名であり、とても振れ幅の広い色でもあります。
そもそもカーキとは「土埃」を意味するヒンディー語のKhakiであり、
本来では黄色に茶色を混ぜた様な色味を指します。
ベージュでも良いのですが、カーキと敢えて区別すると
ベージュは茶色を明るくした色、カーキは黄色に茶色を混ぜた色との事。
絵画などを嗜む御方は色のブレンドによる変化や違いが分かりやすいと思います。
別に大した事ではないのですが、色のもつイメージと共に
印象を与えるであろう呼称は大事です!
前々回でご紹介させて頂いたFOXのサンドベージュより濃い色味でもあるのです。
乾いた土が風に舞う色、これまた美しきアースカラーでもあります。

涼しさを念頭に入れれば生地は薄い方が良い、
ですが強度や耐久性を尊重すればこの位のウエイトが望ましい。
平織地で通気性も良く、皴にも強くて頼りがいもあります。
なにより この色のもつ魅力が素晴らしい。
こういったベージュ系のスーツもワードローブには入れておきたいですね。

では最後に 今週ご紹介分の4種を並べてみました。
ダークネイビーの濃さ、茄子紺の色気などは分りやすいです。
反面 カーキが白っぽ過ぎる印象な写真です。
それぞれの混率やウエイト、そして色味、シャリ感の度合いが織りなす肌触りと
ご自身の目で見て、触って、そしてリアルを感じてください。

このイラストは一目瞭然で分かりやすい!
装いは主にTPOに応じたスタイルになりますね、
春夏のワードローブ内でのバリエーション。
春夏用のスーツはビジネスやタウン、リゾート。
そしてお気楽なオッドジャケットでの装いも加え、靴や帽子も様々です。
センターのダークスーツは浮いている様にも見えますが、
欠かせぬからこそ仲間にいる訳ですね‼
クレリックカラーのシャツが素敵ですが、双眼鏡を持っている辺り 競馬⁉
どちらに行かれるのでしょうか⁉
皆様、春夏に向け 丁度良い仕込み時で御座います!
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。
・・・・・誠に申し訳御座いませんが
来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。
地味に動き続けているシャツの受注再開に向け、諸々行動に伴い時間が必要です。
顧客様方からの再開を願うお言葉も強く、もう少しお時間をください。
次回は 3月11日(火)を予定しております。
どうか引き続きよろしくお願い申し上げます。
New Article
Archive
- 2025年3月
- 2025年2月
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月