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Bespoke Tailor Dittos.

【 2024 / brisbane moss 】

2024.02.27生地に付いて

 

 

 

 

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2019 Cotswolds

 

 

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霧に包まれた早朝

その幻想的で美しき風景に ただただ見とれるばかりでした。。

 

自然の織り成す美しき緑、

その中でも苔(moss)は大好きでとても大きな魅力を感じています。

 

 

 

 

先週は SPENCE BRYSON のリネンをご紹介させて頂きました。

今週は分かりやすく苔からのつかみで BRISBANE MOSS を!

リネンに同じく植物繊維なコットンの雄をご紹介させて頂きます。

 

 

 

 

 

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19世紀半ば以来 同社の母体である Moss Brothers Limited はコーデュロイ、

及びモールスキンを織り上げて参りました。

もともとはカントリーに特化した強くて暖かな起毛生地を織っていたのですね。

 

その後も発展を続け、紡績、製織、染色から 衣料品としての

製造・販売まで手掛けるようになります。

 

1970年 モスブラザーズは地元のベルベット(別珍)のメーカーである

Brisbane Jones社を引き継ぎBrisbane Moss Corduroys

として知られるようになりました。

その後の発展と活躍は皆様もご存じの通りであり、

英国のコットン地には欠かせぬメーカーでもあります。

 

 

 

 

 

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T 1 - NEEDLE CORD

( 12 Wale Cord )

Col. DRAB

 

http://dittos.seesaa.net/article/497327570.html

【 CORDUROY:3P-SUITS 】

http://dittos.seesaa.net/article/498256175.html

【 CORDUROY:3P-SUITS② 】

 

 

針のように、、、と形容された細畝のコーデュロイは 1インチ間に12畝。

着用を重ね、ゴワゴワ感も薄れ 随分と柔らかくなってきたように思います。

色と良い、温かさと良い、そしてこの素朴感が

カントリーな落ち着きを醸し出してくれています。

作業着のようにも着用出来る普段着なスーツ、

そんな想いより誂えられています。

しかしコーデュロイの歴史は相当古いですね。

 

同社のウェブサイトでは、

その畝数によりシリーズが管理されるように変わっていました。

畝が太ければ その本数が少なく、生地厚(ウエイト)は増してまいります。

 

 

では、コーデュロイに限らず

B.MOSS社の素晴らしいコレクションをご覧いただきましょう。

 

 

 

 

 

 

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Shakespeare

 

巷ではチノパンの生地であるチノクロス、といった方が一般的でしょうか。

英国でがコットンドリルと呼ばれる同じく綾織りの生地であり、

ほぼ同義語とも言えます。

とても密に織られ、ヘビーなものはワークウエアから

サープラスまで幅広く使われて参りました。

このシェイクスピアは軽量級なシリーズであり、

英国生地好きには特に春夏に特化したとも言えますが、、、

一般的にはオールシーズン用なの⁉かも知れません。

 

これから春夏を迎えるという事もありますが、

ラインナップは12色で一番揃っています。

 

 

 

 

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定番色は抑えられ、当たり前な色から明るめな中間色も御座います。

 

 

 

 

 

 

 

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Tennyson

 

私も大ファンであり、当店でも一番人気のあるシリーズです。

ハリコシがって馴染むまでは少々着込むことが必要ですが、

馴染んでしまえば とても良い感じに育つのが魅力でもあります。

とても密に織られて丈夫であり、

私としては これこそオールシーズン用と捉えております。

 

 

 

 

 

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Tennyson

Col. Cream 02

 

仕立て上がって3年、育ち具合は中学生か高校生くらいでしょうか。

随分と小慣てきました。

 

 

既製服と違い、当店では湯通しを行い縮絨したのちに裁断しますので

水洗い洗濯による縮みを出来る限り抑えているからこそ御家庭でも洗濯出来ます。

しかし、既製服を筆頭に 縮絨せずに誂えてしまうお店では著しく縮むため、

コットンにも拘らず洗濯表示はDRYクリーニングになってしまいます。

 

 

このクリーム 特に春夏系では欠かせぬ色味でもあり、

ブレザーに、ブッシュジャケット、そして盛夏になれば上着も脱ぎ捨て

ポロシャツ含めスポーツシャツのみでお楽しみ頂けますね。

 

因みに当店での人気色は KAHIKI / CERAM / GOLD(New Beige)となります!

 

 

 

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テニソンは全9色。

今期秋冬に向け、もう少し色を増やしてくれるそうですよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

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T 1  12 Wale Cord

 

ニードルコードのドラブ、冒頭のスーツに同じであり

軍服色、戦車色にも採用されている色味ですから保護色で汚れも目立たず

優れたアースカラーである事が分かりますね。

 

T 1は厚過ぎないコーデュロイとして一番使いやすく、

タウンユースではベストです。

 

 

 

 

 

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ご存じの通り起毛させた糸をカットしてこの畝が生み出されます。

畑を彷彿させ、正にカントリー地であり、ワークウエア地でもあります。

 

生地には方向があり、純目と逆毛になる訳ですが

コーデュロイはその毛並みの違いでかなり大きく見た目の色が変わります。

 

純目であれば色は薄く見え、汚れやホコリも受け流しやすくなります。

逆毛にすると濃く見え色はハッキリと強く出ますが、

反面ゴミやホコリは保ちやすくなってしまいます。

一般的には佐賀家裁断が主流と言えますが、

お仕立てであればお好みで構いません。

逆毛裁断であればブラッシングは上から下へ掛けた後、

その逆方向で下から上へ掛け直してあげてください。

 

 

 

 

 

 

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現物はもう少し濃く見えますが、左のグレー地

結構人気が高くとても落ち着いた渋い感じになります!

 

 

 

 

 

 

 

 

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3101 X    8 Wale Cord

 

きました、昔ながらのパワータイプが!

先のT 1は12畝、こちらは8畝であり ウエイトも2倍以上です。

 

とても丈夫で本当に暖かいです。

しかし、これで裾上げを折り返しにすると大変な事になります!

 

ここまでハードであるとハンドメイドなテーラードには向きません。

手縫い針など 完成するまでに何本折るか、曲がるか、、、、。

ハンドホールなんて埋まりますし、畝が邪魔ですし、それこそ不向きです(笑)。

 

このレベルはクセ取りも効かず、ワークウエア的になってきますので、

ジーンズのようにマシーンを使ってクセ取りなどもしない製法に適します。

 

 

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T 1の8畝、3101 Xの12畝 並べてみました。

これ、見た目以上に触るとかなり大きな差があるのです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Rye

 

これも当店で昔から取り扱っている コットン地のキャバルリーツイルです。

見た目はサラリとしていますが これも大変丈夫であり、打ち込み満点です。

 

 

ウエイトはテニソンより若干重い表記ながら、

見た目自体はサラリなのでむしろ逆に軽そうではあります。

それだけ密に織られているという証拠でもありますね。

 

 

 

 

 

 

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綾織り特有の斜めに走る畝、

これが二重畝となるのがキャバルリーツイルの特徴です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Kipling

 

これは当店では初めてのご紹介となります。

 

先ずコットン100%と記載がありますが、

実は 100%:オーガニックコットン なのです。

そういった付加価値を持たせた生地も出てきていますね。

 

地厚で頑丈の見本のような生地であり、これこそドリルと呼ぶに相応しく、

日本では葛城(カツラギ)とも呼ばれます。

 

デニムみたいですね。

 

 

 

 

 

 

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そうなのです、デニムと言えばデニム、しかし厳密には違うとも言え

正しく紹介するのがややこしいくもあります。

 

 

 

 

 

 

 

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裏側を見てみると白いですね!

デニムに同じです。

 

このドリル地は、経糸に先染めされた色糸を使い

緯糸には染めていない白糸を使って交織されています。

この経糸をINDIGOで染められているのがデニム となります。

 

故に、まどろっこしいのですが

デニム(インディゴ染め)以外は

カラーデニム・カラードリルなどと呼称されるようです。

 

私は紹介させて頂く側なので区分けのご説明をしましたが、

まぁB.MOSS製のデニム地であり、やや起毛感があります。

 

日本人は特にデニム好きですから Kipling でお肌にも優しく、

敢えて英国製なデニムを使ったトラウザースというのも乙ですね!

そんな捻くれた狙い所も自己満なオーダーの世界です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・以上となります。

 

コーデュロイとモールスキンから発祥した同社ですが、

モールスキンが入ってませんね。

英国と違い、モールスキンについて日本では一般的な認知度が低く

人気が低いという事が垣間見れます。

 

モールスキンをお求めでしたら当店も在庫しておりますし、

別のマーチャントがB.MOSS製を扱っていますのでご安心くださいませ。

 

 

 

これからの季節、特にコットントラウザースは人気のアイテムです。

BESPOKEに限って見れば 時間がかかりますので

早々にコーデュロイの仕込みをご検討されても良いでしょう。

 

 

リネンとコットン、双方欠かせぬ植物繊維であり肌身優しい天然素材です。

特に春夏では洗濯も念頭に入るので欠かせぬ素材でもあります。

 

是非お気に入りの一着を吟味し、誂えてみて下さいませ。

皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

 

 

今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。

 

 

 

 

 

 

 

 
Bespoke Tailor Dittos.