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2023/03

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 DOBCROSS:T様のご注文 】

    2023.03.28 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 DOBCROSS:T様のご注文 】

            今年も桜は満開となりましたが、あいにくの雨が多いですね。 朝日を浴びる青山霊園の桜、この日は満開まであと一息といったところでしたが 今年も本当に綺麗に咲いていました。   桜をみて また新しい春が来たのだと実感致します。                           ダークネイビーのスーツ、紳士にとって 特に日本では所有率の一番高いスーツでもあるではないでしょうか。   ネイビーに限らず、頼りになるソリッドのダークスーツは 必ずやワードローブに入っていなければなりません。           社会人となって様々なご経験を積まれ もし誂えの世界に足を踏み入れたのであれば、やはり基準たる ダークネイビーのスーツは手持ちがあったとしても 敢えて誂えたくもなるアイテムでもあるでしょう。 基準の次元を上げて再設定されるというニュアンスになるでしょうか。   折角ですから正統的な三つ揃いで、更に服好きで拘るのであれば ダブルのウエストコートにも チャレンジしたくなるお気持ちをもたれる方もおりましょう。   美をも感じさせる一つの完成されたスタイルでもあり、 先人達のエレガントな装いに影響を受ける事はごく自然な事だと思います。         1930 NETHRLAND:Prince Claus.   オランダの王子も この時代のエレガントでクラシックなスタイルは変わりません。             さて、今週は T様より頂戴致しました 極上で大変エレガントな ダークネイビーの三つ揃いをご紹介させて頂きます。   T様はとてもシャープでスマートな紳士であり、 特に肩回りはT様の個性を感じられると言えるでしょう。 顔や性格などが十人十色なように、身体型的個性も本当に人それぞれです。 当たり前な事ではありますが、これが最大公約数で組み上げられる 既製服という範疇では多くの方々が適合せず お困りの方は多数存在します。   T様におかれましては 当店HOUSE STYLE ORDER よりご縁を頂戴し、 大変ご満足頂いて参りました。 同時に、H.S ORDERでここまで 身体に合って快適に着用出来るスーツが出来るのであれば、 更にその上のステージとなる BESPOKE SUITS のレベルとは、、、。 大変ご興味をお持ち頂いていた次第です。   それなりにローテーションを組めるワードローブが揃われた事も踏まえ、 満を持して BESPOKE でのご注文を頂戴致しました。             ダークネイビーはシングルブレストの上着に、 ダブルブレストのウエストコートです。 既にご納品させて頂いており、この日は早速ご着用の上でお越し下さりました。 この度は春夏用での2着目となる BESPOKE SUITS のご相談も兼ねております。   では 早速ご覧頂きましょう。                   John Cooper & Son DOBCROSS   98% 140‘s WOOL  1% CASHMERE  1% SILVER MINK 340g     旧型の織機でもある ドブクロス にて、 極上な原毛を使いつつ 贅沢にミンクの毛までブレンドされた生地です。 ウエイトも3シーズン範疇であり、改めて現行品として考え得る 最高な生地を織りあげた逸品の一つである事に間違いはありません。   http://dittos.seesaa.net/article/498354262.html 【 DOBCROSS 】     掛け値なしで本当に極上で素晴らしい生地です。 肌触りが最高なのは当然のこと、クセ取りも良く効き仕立て映えも致します。 高貴な光沢感は質の高さがもの語り、オーラが滲み出るかのようです。   当たり前の基準たるベーシックなスーツこそ、最高の食材を選びたい物。 特に無地は質と共に生地の個性が際立つものです。 最高の仕立てをもってご期待にお応え出来るよう全力を尽くします。             ハイライズのゆったりとしたクラシックな 2‐PLEATS には FOB POCKETもお付けしております。 ウエストは細く、、、羨ましい限りです。             後はハイバック仕様にされ、尻ポケットは利き腕側のみ。 T様はもともとスタイルも良くて足も長いのですが、余計に長く見えますよね。 本来の リアルな三つ揃いとは、 この様に意図的なバランス構築が成されているのです。   三つ揃いですから三位一体で一つの美しい調和を生み出さねばなりません。 それぞれの各アイテム同士のバランス、連動性が命でもあります。           括れた腰に寄り添い、 背中に向かって競り上がるハイバックはフィット感も独特です。             ウエストコートはダブルブレストの襟付きで御座います。   因みに、衿と襟 どちらも エリ であり、指す意味も音も同じですね。 実はこれ、和服には『衿』 洋服には『襟』 と使い分けがあるとの事! ご存じでしたか、、、私は今更知りました、、、、(汗)‼             堂々とし、確りされた肩です。 後姿もとても素敵ですよ。 トラウザースのハイバックは綺麗に顔を隠してしまいます。             上着もクラシックな三つ釦の本返り、 チケットポケットも付けられました。   誂えの世界に来られる前は随分とフィッティングに ご不満とご不便を感じられてきた事でしょう。 もうそんな思いはさせませんし、テーラードクロージング本来の 着心地と魅力を味わって頂いております。   いよいよ仮縫いも終わり、T様のご期待感はますます膨らみます。 お任せ下さい、ここから更に微調整を加え、 精度を上げた上でフィニッシュ致します。               仕立てあがったスーツと共に T様のご来店をお待ちしております。 この写真から見受けられる光の陰影だけで 最高の肌触りを彷彿させてくれています。   素晴らしい生地です、、、お安くなない分 それだけの満足感と 説得力を持ち合わせており、絶対に損はさせない生地です。                     T様にご来店頂きました。 いよいよ最終FITTINGであり、問題が無ければご納品となります。 H.S ORDER と BESPOKE、ステージの違いは如何でしょうか。             靴はこれに尽きますよね、スーツも靴も間違いなき基準たるご選択です。             中下の調和も申し分御座いません。           背中も大変綺麗です。 フィッティング精度も高く、お身体の個性に寄り添います。 が、、、、現状では どうしても抗えぬ事実があります。   それは本来では止まり木であり、 未着用時に洋服が休息の地でもあるハンガーです。     BESPOKE SHOES は専用のツリーがセットですが、 洋服のハンガーはそこまで至っておりません。 靴のツリーと担う役割が似つつも重要性が違うからでしょう。   既製品のハンガーは肩傾斜なども最大公約数ですから、 T様に限らず 肩周りが個性的であればある程に 不適合率が高くなってしまいます、、、。   ハンガー専業のメーカーさんもありますが、 オーダー対応していても目先のディテール選びだけであり 本質的な部分には介入されていないのが現状です。 これだけオーダースーツが認知されてきているのですから、 各メーカー様 そろそろご介入を! 出来れば非対称肩傾斜も、、、 更には前肩具合なども加味出来たら より嬉しいですね。   具現のアイディアはあるのですが、私たち側の今後の課題でもあります。           T様、如何でしょうか。 とても、とてもエレガントでお似合いで御座います。 全てのバランスはT様の為だけに設計され、 それをより活かす様にハンドメイドにて仕立てられています。   手作り故、その時選ばれた生地とも対話しながら 様々な『手加減』が加えられます。   T様は各アイテムや各所でステージの違いをご堪能しつつ、 素敵な笑顔でフィッティングを楽しまれておりました。 ステージの違いは、当然 お値段にも工期にも大いなる差があります。 最低でも それら差以上の価値を見出して頂けなければ BESPOKE の立場が御座いません。   この上のステージは存在しませんし、誂え本来での一番素直な方式です。 ですが、どのステージであろうと そのステージ内で お店違えば 諸々な違いは御座います。 何を尊重し、何を最優先するかでお店選びも定まってくる事でしょう。                 身体に寄り添い、フィットしているにも拘らず動きやすくもある。 ご着用されれば自ずとご理解頂ける事と思いますし、 その度合い自体もリクエスト次第で自在にご対応可能です。 そして 手作りはここから更に育ち、T様色に染まって参ります。     これでどんなシーンでも この頼りになる、 基準となるスーツがあるからこそ、、、 次の展開を安心して構築できるというものです。   T様の素敵な笑顔が印象的でもあり、大変嬉しき思いです。 ご満足して頂けまして何よりであり、光栄にも次のご注文も頂戴致しました。   次の2着目、結構マニアックなリクエストですね! BESPOKEならではとなるステージを最大限に、 そしてリクエストを高次元にまとめ上げて参りますので是非ご期待くださいませ。   T様、素敵なご注文を誠に有難う御座いました。                     如何でしたでしょうか。 食材となる生地にも様々な価値観と個性があります。   その価値観により『良い生地』という内容は全く変わります。 また、値段が高いから良い生地という訳でもなく、 その方にとって価値観が合い、最高であればそれが一番の ベスト回答であると共に良い生地と成り得ます。       皆様にもそんな出会いがありますように、、、 いつでもお気軽にご相談くださいませ。     今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。              

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  • 【 VINTAGE:KID MOHAIR 】

    2023.03.14 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 VINTAGE:KID MOHAIR 】

            皆様 こんにちは。 3月もまだ前半にも関わらず、気温は20度を超える日もありました。 急激な気温上昇に身体も追いつきませんし、 桜も驚いて焦っているのではないでしょうか。   先週には キッドモヘアでご注文下さったO様のスーツを紹介させて頂きましたが、 本当にデビューは近そうでもあり 早々たる夏の到来が怖くて仕方がありません。             T様にご注文頂きました キッドモヘアのクラシックな三つ揃いのスーツ。 この生地は Taylor & Lodge製 でした。           背が高くてスリムなT様、とてもエレガントに仕上がりました。 キッドモヘアの生地が放つ独特な光沢感とハリ・コシは、 美しい光の印影と共に立体的なフォルムをパリッと奏でてくれます。 ヒヤッとした涼感も感じられ、そのハリ・コシは肌離れ良く 暑くても爽やかにご着用頂ける事でしょう。               M様も長身でモデルの様なお方であり、このキッドモヘアは希少価値高き VINTAGE DORMEUIL:Super Brio で御座います。   昨今では春夏用のスーチングにおいて欠かせぬ展開を見せる キッドモヘアのシリーズではありますが、そのジャンルの元祖でもあるのですね。           Super Brio といえば、当店の貴重な在庫も残り3種であり それぞれに残量も僅かとなって参りました。 その3種は ネイビーとグレーのバンカーストライプ、 そしてライトネイビーのソリッドです。               春夏らしくダークトーンから逃れるようなライトネイビー。 ライトグレーと比べれば日本では馴染み薄かも知れません。 雨多き英国の天候の様にくすんだライトネイビーは 渋みと落ち着きをも感じさせてくれます。                 英国王もライトネイビーを御愛用されます。 爽やかで清涼感も感じられる春夏地ならではの 魅力的なキッドモヘアは如何でしょうか。               ・・・・・さて、そんなキッドモヘアを主体にしたスーチングですが 今季仕入れた ヴィンテージのお勧め地を2種 ご紹介させて頂きます。                       じんわりと光沢感を放つ美しきネイビー地。 ゴールドのハンギングシールにはタワーブリッジ、あそこですね!           VINTAGE WAIN SHIELL 60% KIDMOHAIR 40% WOOL   ABOUT 280g       モニターを通してみる写真の色よりも、実物の方がもう少し濃いです。 極一般的で皆様もイメージされるであろうネイビーの色味です。   1980年代製との事で、ビッグネームのSuper Brioに影を潜めますが 同時期に織られていた逸品となります。   こんなにもベーシックで定番のネイビー地が 無地で現存している事こそ、驚くも嬉しき貴重なスーチングでもあります。                 旧型織機で織られた貴重な生地は、同時期であれ Super Brio とも違う個性を放ちます。 写真含め、一見では分かり辛いでしょう。 しかし調理してみると結構違いが分かります。   どちらの雰囲気が良いかはお好み次第ですが、ヴィンテージのカテゴリーにおいて もはや混無地自体を探すことは大変困難であり、 目の前にあるご縁を大切にされるべき逸品だと思います。                                       次のキッドモヘアへ参りましょう。 次の生地は かなりトーン深き ダークネイビーの無地です。         VINTAGE JOHN FOSTER 60% KIDMOHAIR 40% WOOL   ABOUT 280g     クオリティーの面において、先のW.SHIELL、冒頭のS.BRIO、そしてJ.FOSTER 混率もウエイト感もみな同じです。 同じですが比べると全然違います!     この J.FOSTER製は 1990年代頃に織られた生地との事で、 他の2種と比べるとほんの若干だけ若いと言えますね。               この生地の個性はまた独特で、、、、 モヘアらしい光沢感がほぼ無く、パッと見はベーシックなウールトロピカルの様です。 ですがモヘアらしいハリ・コシは持ち合わせているのです。   特徴でもある光沢感につき、この部分では好き・嫌いが分かれるところです。 モヘアの光沢感が苦手、、、でも興味はある というお方にとっては一押しですし、モヘア好きな方々には こんな天邪鬼な子も愛おしくなるのではないでしょうか。                   この織地感、、、見えますかね、、、、、。 平織なのですが、順逆織りの様に筋っぽい織柄表情があるのです! (順逆織りではありません。)   これは分かり辛いですが、洋服となって様々な角度や光の当たり方で 見え隠れする独特な表情を持つ天邪鬼なキッドモヘアスーチング、 色目もシックにダークネイビーで春夏でもシャキッと 目の覚めるようなエレガントな着こなしをぜひお楽しみに下さいませ!         JOHN FOSTER   1819年創業の老舗のミルです。 スーツ地といえばウールが一般的である中、同社は他社に先駆け モヘアなどの服地を作るべく 開発と投資を続けて参りました。 これが功を奏し、世界中でベストセラーとなった DORMEUIL:TONIK の開発・製作へと繋がったのです。 この成功を機に、DORMEUIL そして JOHN FOSTER は Super Brio を生み出します。   故に、モヘアスーチングの歴史は J.FOSTER なくしては語れぬ貴重な老舗のミルなのです。   そんな生みの親でもある同社製のスーチングなのですが、 とてもリーズナブルな『出物』として入手出来ました。 ですが、そこにも理由があり、、、、 なんと JOHN FOSTER の生地ネームが無いのです!   だからこそのお値段でもあり、ヴィンテージの生地には色々な生い立ち含め、 当店に辿り着いた経緯や軌跡があるという事です。                 上に W.SHIELL、下にJ.FOSTER 並べてみました。 トーンの濃さが分かりますね。                     更に今週ご覧頂きました 全3種 での共演です。 左から DORMEUIL / W.SHIELL / J.FOSTER と並びます。   同じ 6:4比率なキッドモヘアスーチング、同じ無地のネイビー地、 でも色味加減含め個性は多彩です。 もしかすると、、、、 3種すべてにおいて JOHN FOSTER製である可能性も高いと言えます。   ですが、それぞれに原毛として質や番手、色、撚り、 織り方の差(皆平織範疇での話です。)、 フィニッシングなど含め企画やコスト面も違うでしょう。     現在織られている現行品のモヘア、それらの多くは南アフリカで採取されています。 ですがヴィンテージと呼ばれている時代のモヘアはトルコ産が多く、 産地違えば動物としての特徴や個性も変わりますから そんな背景も感じながら着用を楽しむのも良いでしょう。 相当オタクのようですが(笑)、 男子たるもの多かれ少なかれオタク気質を持ち合わせているものです!   何より、当店BLOGをご覧頂いているくらいですからね。 いつも心より感謝しております。                   ・・・・・如何でしたでしょうか。 今年の夏もきっと暑く成るのでしょう。   マスク着用は早々に緩和され、5月には新型コロナも5類となり、 いよいよもって普段通りの生活を取り戻せます。   人間はやはり面と向かったコミュニケーションを欠かすことは出来ません。 であれば相手方へのリスペクトも含め 装いへも気を回す事になります。   衣・食・住の『衣』をもっと楽しまなければ人生勿体無いです。       皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。 今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。                   ・・・・・大変恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。   次回は 3月28日(火)を予定しておりますので どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。                  

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