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2022/08

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 T様の御注文:Raid & Taylor 】

    2022.08.30 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 T様の御注文:Raid & Taylor 】

          Sir Cecil Walter Hardy Beaton.       エレガントの塊の様な C.ビートン卿。 サラッと着こなすグレーの三つ揃いが大変上品でもあり、とてもお似合いです。       グレー という色は 白と黒の間にある無彩色であり、 有彩色との協調性に優れ どんな色にも馴染んでくれます。 自己主張は控えめに、周囲を引き立ててくれる調和の色 それがグレーです。   クラシックなスーツとは御自身を包む外枠であり、引き立て役でなければ成りません。 主役は御本人となりますので、スーツは絵や写真を飾る『額』とも言えるでしょう。 片やモードの範疇になると それが逆転もする要素を持ち合わせます。 着用される御本人ではなく、デザイナーの意図や想い、表現を纏うと言えます。   紳士服の装い、ことスーツスタイルにおきまして シンプルでベーシック、かつ品が良く 質の高い額(スーツ)は インナーのシャツやタイと相まって盛り上げ、当の御本人様をより良く引き立たせるのです。 そんな役割を担う額に グレー は正に打って付けでもあるのですね。   グレーの性格には、『温厚』 『中立』 『控えめ』 などが挙げられます。 ビジネスシーンからフォーマルまでをも欠かせぬ色であり 存在でもあるのです。         ・・・・・かなり大雑把に言ってしまえば、 男のビジネススーツはネイビーかグレーが主体です。 そのどちらにも魅力や特徴がありますが、 似合う・似合わない を超越したカラーでもあるのですね。   今週は 春夏用のBESPOKE SUITSとして、 当店では 二着目となるT様の御注文を御紹介させて頂きます。 一着目がネイビーソリッド、H.Lesserより GOLDEN BALE で織られたウールトロピカルでした。 今回の春夏用二着目は グレーソリッド となります。               = Reid & Taylor = 50% Summer Kid Mohair 50% Escorial   About 230g     随分と性格の違う者同士、 仲良く半分ずつブレンドされた とても贅沢な春夏用スーチングです。 皆様の知るK.MOHAIR混のスーチングとはかなり印象が違います! これも 欲しくても織られていない貴重な逸品であり、 春夏でもスーツを、タイをこよなく愛用されるT様に見初められて生地も嬉しい事でしょう。             IN / 2-PLEATS シルエットは若干シャープな感じでリクエストを頂いております。 右前にはフォブポケット、後はハイバックスタイル、 裾はシングル仕上げがT様の定番となっております。           まだまだお暑い最中、清々しい春夏らしきコーデです! シャツは CARLO RIVA:LISCIO、これは兎に角薄いシャツ地であり、 これ以上涼しいシャツ生地はそうそう御座いません。 タイはシルクとリネンをブレンドした生地の小紋柄、 展開はいつでしたでしょうか、、、私もお気に入りのシリーズです。   ブレイシーズはダックさん! このLIMITED EDITIONのシリーズは シルク地に織り柄で表現されたリボンとなります。 補強を兼ね、裏当てリボンで二重構造となっています。   実はT様は撫で肩傾向であり、この個性をお持ちの方々におかれましては どうしてもブレイシーズの安定感が下がり 肩先へズレがちではあります。 しかし、このLIMITED EDITIONのシリーズに使われている裏当ては スエード調な物を使用しているので摩擦抵抗が効いてズレ辛く、 大変お気に召して頂いております。           ブレイシーズの支点位置もバッチリです。 リボン長と共に最適サイズへ御調整済みで御座います!         ウエストコートは至ってベーシックに、特に春夏用ですからサッパリと参りましょう!             シングル:ノッチドラペルの三つ釦は段返りでのリクエストで御座います。 下前にはチケットポケット、背中はノーベントと T様のお決まりなスタイルです。 羨ましい程にウエストが引き締まり、 反面 腰は確りとされておりますのでメリハリのある御体型の御方です。   スッキリとしたシャープな全体感は T様らしいスタイルとして大変お似合いで御座います。               お仕立て上がりです。 キッドモヘアとエスコリアルのHalf & Half 光沢感はそれほど強くなく、ハリコシもエスコリアルの柔軟性に抑えられ、、、 シャキッと感は残るものの、 程好くしなやかで ひんやりとした感触をお楽しみ頂けます。   お上品なダークグレーですね。     手前に、今回のR&Tで仕立てられたNEW SUITS 奥には着用されてこられた H.LesserのG.BALEで仕立てられたスーツ。 これで最高の春夏用スーツがネイビーとグレーで2着、 羨ましいワードローブです。             最終FITTINGとなるその日、2ND仮縫いでのご来店時と同じコーデでお越し下さりました!         今回の裏地ですが、春夏用では平織の薄地を選ばれる方が多い中 艶の綺麗な綾織地をお選び頂きました。   背骨のS字から立体的なお尻まで、起伏激しき背中のフォルムを確りと追いかけつつ ネックはシャツのカラーに吸い付く様に、、、、とても綺麗な後姿です。             お上品な三つ揃いが完成いたしました。 個性の違うネイビーとグレーをローテーション組みながらご堪能下さいませ。           T様の型紙はメリハリの効いたカーブ線が強い型紙となります。 モヘア混だろうとガッツリとクセ取りの効いた優雅なドレープ 美しき背中は大変エレガントでもあります。           こう着皺を見ると、生地の薄さと共に性格なども見受けられると思います。 モヘアの艶感がありますので光が当たると陰影が魅力的に映えますね。           自然な感じが素敵であり、スーツは正にT様へ寄り添うさまが見受けられます。   T様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。 次のご注文も既に生地は来ましましたが、 デザインを少し変えられてみたいとの事。 じっくりと御検討中で御座います。 楽しいひと時でもありまね。   まだ残暑は少なからず残るでしょうが、今回のグレーも含め 是非ご堪能下さいませ。                   ・・・・・如何でしたでしょうか。 皆様 本当に素敵な御注文ばかりで全てが羨ましいです(笑)。   そういえば、この秋冬用に買い付けておりました生地達が届きました! BLOGでも順次 御紹介させて頂ければと思います。   BLOGを待てない方におかれましては是非お越し下さいませ。 大歓迎で御座います!   皆様とお会い出来る日を心より楽しみにしております。 今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。          

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  • 【 W様の御注文:VINTAGE T&L 】

    2022.08.23 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 W様の御注文:VINTAGE T&L 】

            KING GEORGE Ⅵ     とてもエレガントで いつも美しい TAILORED CLOTHING を着ておられます。 スーツの源流は英国にあり、紳士服が一番エレガントであった時代とされる1930年代。 紳士服は歴史そのものであり、 確立された当時の美しく魅力的なスタイルに憧れを抱く者は少なくありません。 洋服が好きで掘り下げれば必ずや触れずにはいられぬ時代でもあります。   当時の古い写真が一枚あれば、その背景やスタイル、ディテールなど 語りだせばキリがありません。 細かく語るは無粋ながらも、ゴージラインの位置や線の具合、 打ち合いやフロントカット含め様々に時代的な流れと共に 説得力の強さをも感じずにはいられません。 同時にルーツは軍服という事に通ずる片鱗も垣間見ることが出来ます。   クラシックという語が気軽に使われますが、 時代によりそのクラシックは移り変わるものです。 しかしながら洋服に限らず、 多く物は簡略・簡素化されて中身は薄く、説得力が薄れてゆく。 その物の体を成していれば良いのかと疑問を投げかけたくなる物は増え続けています。   人間の『 手 』が生み出す品質と価値   どうしてもここに到達してしまいます。 機械化には素晴らしい恩恵を享受する一方、 されど機械にはまだまだ真似出来ぬ技術というものが多々御座います。           さて、今週は 1st-BESPOKE SUITS を誂えて下さった W様の御注文を紹介させて頂きます。       W様は、W様も 本当に洋服が好きすぎる御方であり その知識と拘りは尋常ではありません!   英国スタイルをこよなく愛し、当店開業時の頃よりのお付き合いとなります。 十数年に渡り ずっと HOUSE STYLE ORDER にて沢山の洋服を御誂え頂いて参りました。 そんなW様が満を持して BESPOKE のステージに、、、 いよいよお試しになる事になりました。   W様が追い求めたスタイルを 丹精込めて手作りにて具現化致します。             ベースとなるイメージをお伺いし、+αなリクエストは美しい立ち姿。 あとは私と好みや価値観がかなり近いという事でお任せ頂きました。   スーツを愛し、好き過ぎるがゆえ ネイビーのスーツだけで もう何着お持ちでしょうか。 様々にこだわりの逸品、レアな逸品も楽しまれて参りました。 ですがこの度はステージの違うスーツであり、ある意味では別物となります。   そんなW様がお選びになられた生地は やはりネイビー!       = VINTAGE Taylor & Lodge =   Lumb’s Golden Bale WORSTED FLANNEL ABOUT 360g     70年代後期に織られたとされる最高の生地、 色も風合いも打ち込みも 全てにおいて申し分御座いません。 何とも味わい深き生地であり、一目でお気に召して頂きました。 知識と御経験と共に、相当 目も肥えておられるW様が一目惚れです。 お好み的にも含めど真ん中との事でした。   W様におかれましては この当時の靴も沢山お持ちですよね! 当然革も違いますし、作り込みのレベルも違います。   ネイビーソリッドの三つ揃い、当たり前な物こそ 最高の生地による最高の仕立てにより 長きに渡って愛する事。 それに持ちこたえられる品質も踏まえ、当然 高スペックでなければ成りません。 この生地も本来では先週御紹介した生地の様に 事情あって御提供出来るようになった逸品でもあり、 結論的にはW様へご縁があったのかも知れません。     http://dittos.seesaa.net/article/462576555.html 【 VINTAGE Taylor & Lodge 】           深き股上に比翼フロントの 2プリーツスタイル。 シルエットもゆったりと太く優雅に。           ウエストコートはシングルの 6釦-5掛けスタイル。 ウエストコートの丈はトラウザースの股上に連動し、 ウエストのシェイプから腰に掛けて流れる様な一体感が生み出されます。   トラウザースの股下は裾部でクッションが 入るか 入らないか の絶妙丈。 FINISHは折り返しのカフ付きで仕上げますが、 BESPOKEは前後で3㎝の傾斜を付けていますので踵はホールド感を感じられます。             シンプルでベーシックながら、細部にはブリティッシュライクなW様の拘りが詰まっています。 特にフロントカットは分かりやすいでしょうか。 イタリア系の軽快なCUT AWAYに目が慣れている方々には かなり新鮮に見えるかも知れませんね。   上着のフロントは打ち合いも深く、その分 Vゾーンは小さくなりますので ウエストコートの顔出し具合も変わります。 この重厚感こそ、ある意味往年のBURTISH SUITSを感じさせてくれるでしょう。   とても素敵です、、、、W様におかれまして、 初のBESPOKE SUITSへ一層の期待感が込み上げます。   段々と形がより具現化していくのです。 誰だって楽しみで仕方がないですよね!                   いよいよ仕立て上がりました。 釦は英国では既に廃盤となっている 英国製ポリエステル釦をリクエストされました。 袖口から第一ホールまでの距離、、、、こんな所も見逃しませんよ!   実は、HOUSE STYLE ORDERでのレギュラー距離、 BESPOKEでのレギュラー距離、 そして私個人の服での距離、 実は三様に違います。   袖口は腕まくり出来るよう開きを設けられます。 その開きを閉じておく為に ホールと釦で留める訳ですが、 昨今 巷で見受けられる袖口ホールはかなり高く設定されていますね。 高ければ高い程に矛盾が生じますが、如何でしょうか。   古き時代の写真を見れば、自ずと当たり前の位置に定められているものです。         トラウザースに足を通す際、既にスーツとの対話が始まっております。 『おっ、、、』 生地のウエイトやしなやかさ含め、ワクワクしない訳がありません!   とても綺麗ですね。         お履きになられる古いE.Gも この生地と同じ頃に作られた靴。 革質や製造クオリティーが時代で随分と変化が見受けられるのが靴ですよね。               この度のライニングは、ブルーとレッドの交織により表現されたパープル。 GOLDEN BALEのイメージカラーもパープルです。   ハイバックで仕立てられたトラウザースのバックには、 尻尾錠をお付けになりました。           フロントのラペルは本返り仕立てながら、返り止まりは敢えて高めの設定にしています。 W様、とてもエレガントで素敵です。             色々な角度やポーズで御確認されています! 上着の釦付け位置を見れば その打合いの深さも見てとれる事でしょう。 冒頭のジョージ6世の写真も相当深めにとられているのがご覧頂けますね。                         座位での具合も御確認。 この座位では 着用される服のレベルも出ると言えます。   本当に素敵です、、、。   W様には大変喜んで頂き 何よりで御座います。 仮縫い時には既に次の BESPOKE SUITS を御予約頂いております。   誂えの世界におき、BESPOKEは最高となるステージであり これ以上は存在しません。 されど 初BESPOKE SUITSでもある訳であり、これからお互いに『練』を掛け続けるのです。 まだスタートしたばかり、、、   秋になり、涼しくなればいよいよ本格デビューです。 これからこのスーツと対話(着用)が始まります。 まだ嫁いだばかりで緊張状態のスーツ自体も段々解れ、 その秘めたるポテンシャルを少しずつ感じ取って頂ける事でしょう。   この1stスーツのレベルは以降 既に保証されております。 このレベルから下がる事は絶対にありませんので、あとは上げていくばかり。     次の段階は着用しなければ分からぬ好みやお気持ちなどのフィードバックをもらいつつ、 次回へ繋げたい事が私なりにも御座います。   手作りの生み出す品質に、職人の生み出す洋服に 終わりはありません。 そんな充実した楽しき航海を共に歩むのも誂え服の一つの側面でもありましょう。   W様、素敵な御注文を誠に有難う御座いました。 次回のスーツも是非ご期待下さいませ。                 ・・・・・如何でしたでしょうか。 好みも価値観も、体形や姿勢も 十人十色です。 ただ、このBLOGをご覧下さる方々の共通点は やはり洋服(紳士服)がお好きである事でしょう。   人様のご注文にもご興味がおありでしょうし、様々な気付きや学びがあるかも知れません。   HOUSE STYLE ORDER と BESPOKE ではステージが違います。 お値段も工期も全然違います。   ステージが違えば比べても公平では無く、意味がありません。 ただ、それら各ステージの中で 最高 を常に目指し続けます。   『 最高 』 これは顧客様が決める事であり、そのご期待に対し ほんの少しでも上回る事が出来る様 全力持ってお誂えさせて頂きますので、 そこにH.S. ORDERやBESPOKE での違いは御座いません。     皆様だけの 最高 を求め、是非お越し頂けましたら幸いです。 何卒宜しくお願い申し上げます。                      

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