【 VINTAGE MOXON ② 】
2022.07.19生地に付いて
1928年:英国 地下鉄の駅での一コマですが、混んでいますね!
男性は誰しもがクラシックなスーツを着込み、帽子を被っております。
昨今でのスーツの着用率からすれば、
もはや制服かの如く さも当たり前に着られています。
まだまだ誂えが主流でもあった時代、TAILORが違えば
カットやサイジングなども価値観含め様々に違いもあります。
確かに色や柄の違いはあれど、ファッショナブルな女性服と比べて
紳士服のスーツはシンプルでベーシック極まりない訳ですから、
女性から見れば ある意味つまらなく見えるかも知れませんよね。
そんなスーツだからこそ、生地や仕立てに拘り、
唯一無二で最高の着心地をと求められていたのでもありましょう。
スーツという呼称の内訳は広く、ビジネス、タウン、カントリー、スポーツ、
そしてフォーマル等とシーンにより多岐に渡りますが、
これだけスーツが愛され誰しもが着用していた訳ですから
多くの生地屋や仕立屋が切磋琢磨に高いレベルで競争が成り立っておりました。
織れば織る程に売れていた時代、競合他社との更なる差別化の為にも工夫を凝らしたり、
珍しさや希少価値性を求めたりと 昔の生地はバリエーションと
展開総数が今とは比べものにならない程充実しておりました。
しかし、時代はカジュアル化へ進行し続け
当然ながらスーツ(TAILORED CLOTHING)という括りでのスタイルによる
マーケットは縮小し、沢山あった生地屋さんも随分と減ってしまう事になります。
そんな生地だけで見ても、現代では随分と技術発展もあって機械化が進みつつ
効率化も図られ、良い物をより早く織れるようになりました。
逆に当時ではまだまだ手作業比率が高くて効率も悪く
多くの工程や手間をかけた物が多く、、、これらは生地に限った事ではありませんが、
今となっては結果的に味わいや温もりといった品質や付加価値にも繋がって参ります。
何といっても手の価値、時代が古ければ古い程に
人件費が安いという事にもなり、沢山の技術が培われておりました。
今では復刻する事が出来ない物、事ばかりです。
仮に出来る物・事があった場合、その当時より何倍ものコストを掛けなければ成りません。
昨今の生地では見られない・味わえない生地達に往年の想いを馳せ、誂え、纏う。
VINTAGE FABRIC が人気たる所以の一つでもあるでしょう。
この秋冬に向け
今週、来週とで魅力に溢れた VINTAGE SUITING を御紹介したいと思います。
MOXON
1556年創業 現存する世界最古といわれる英国は超老舗のミル。
ショーンヘルの低速織機を頑なに使い続け、
多くの名立たるマーチャントへも生地を供給していた名門中の名門です。
(同社の詳しき情報は下記リンクより御参照下さいませ。)
http://dittos.seesaa.net/article/452864090.html
【 VINTAGE MOXON 】
今週は 3種 御紹介致します。
当時 MOXON社では【 THOROUGHBRED 】 というシリーズが展開され、
様々な生地を展開しておりました。
名門が 更にサラブレッドと名付ける位ですから、
それだけ自信を持って展開されていたシリーズという訳です。
3種全て VINTAGE MOXON : THOROUGHBRED です。
(ハンギングシールや織りネームにも確りと記載されておりますね!)
100% WOOL
ABOUT 360g
SUPER 100のウーステッドをショーンヘルにて織り上げられた逸品で御座います。
赤味を帯びる綺麗なネイビー地は濃い目なロイヤルネイビーの様です。
それなりの主張を醸し出す縞の織り柄が特徴です。
そして 当時の『らしさ』溢れる風合いは格別なものがあります。
なんて装飾的な縞柄なのでしょう、、、。
こんなの勿論 現行品では見る事が出来ません。
個性的で特徴的な縞柄による魅力的なネイビースーチングです。
柄は少し離れれば地に溶け込み、
薄らとシャドーストライプのスーツ地に見える感じです。
この複雑で装飾的な縞柄、レースのデザインの様でもあります。
光による陰影によって これがまた魅力的に存在感を醸し出してくれます。
生地も確りと打ち込まれ、厚過ぎない 360g は
程好い安心感と着用感と共に、確実に仕立て映えのする生地でも御座います。
お次の御紹介は、兄弟となり 同じ織りによる色違いとなります。
こちらはやや明るめなグレー地、落ち着いた無彩色であるグレーのトーンは
薄目に料理され とても品があります。
この距離でも、独特な織地柄が個性を放っているのが見受けられますね。
ドレープ感や光の陰影より、糸や生地としての品質が感じられる事と思います。
綾織の変化織りという類になるでしょうが、、、、
VINTAGEの場合、その多くは固有名称さえ無い、もしくは分からないですし、
初めて見る織りであったりも致します。
バスケット織りに近いのかな!? ベーシックなその無彩色は、
独特で魅力的な織り柄によって控えめな主張が際立つ
素晴らしい生地として仕上げられております。
最後はこちら、ネイビー地となります。
ネイビー地ですが、ある意味英国らしい グレーシュでくすんだ印象が加味された色であり、
雨の多きロンドンの空模様に大変似合いそうなネイビー地ですね。
この独特な色味により、主張や強さも無く、逆に大変使いやすいスーツングとして
ビジネスやタウンの場でハマってくれる事でしょう。
先のグレーに同じです!
糸の色は数色使われているので杢糸遣いの様な霜降り感が味わえます。
兄弟を並べてみました。
色の印象と共に、同じ織りでも表情の出方も変わります。
・・・・・如何でしたでしょうか。
名門が展開するサラブレッドですから間違い無いシリーズからの逸品となります。
BESPOKEであれば仕立て上がりは年を越しそうです。
HOUSE STYLE ORDER であれば、
ご希望により8月からの【早期受注フェア】もご利用頂けます。
VINTAGEは限りある在庫であり、そんな儚さもあります。
どうか この個性的な子達へ実際に会いに お越し頂けましたら幸いです。
服地は洋服に誂えられ、
御注文主様に着て頂いてこそ その本望を全う出来るのです。
皆様とお会い出来る日を楽しみにお待ちしておりますので、
何卒宜しくお願い申し上げます。
今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。
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