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Bespoke Tailor Dittos.

【 S.B. CHESTERFIELD COAT:O様の御注文 】

2021.09.28お客様のご注文

 

 

 

1eo

 

1934年3月号 ADAMより

 

フランスの30年代です。

この独特な雰囲気、シルエット含めエレガントな様は世界的なスタイルでした。

シングルのピークドラペル、ボリューム感だけでは無く

ゴージや剣先の雰囲気(バランス)にも特徴が見受けられます。

打ち合いも深く重厚感のあるオーバーコートは、

格調の高さや男の貫禄さえ感じさせてくれます。

 

 

 

 

 

2eo

 

1935年、A.イーデン氏のエレガントなスタイルは今なお色あせる事はありません。

イーデンハットと共に寸分の隙も無き装いでありスタイルです。

 

 

 

 

 

 

 

大変御贔屓を頂いておりますO様より、

このイメージでチェスターフィールドコートを仕立てて欲しいと

誠に光栄なるご注文を頂戴致しました。

 

特徴は様々にありますが、小さ過ぎず、

大き過ぎないラペル幅や先に同じくゴージや剣先の様。

Vゾーンは大変こじんまりとしていますが、

これはフロントの打ち合いがかなり深い事を示します。

 

細身な胸部ウエルトポケット、

腰には片玉縁で仕立てられたフラップ付のポケット。

エレガントなシェイプが効いたシルエットのコートは膝丈ですね。

 

 

 

 

 

3eo

 

お選び頂きました生地は、

最高品質なウールでもあるGOLDEN BALEで織り上げられた逸品です。

 

4eo

 

TAYLOR & LODGE

LUMB’S GOLDEN BALE COATING

560g

 

http://dittos.seesaa.net/article/471939194.html

【 LUMB’S GOLDEN BALE COATING 】

 

大変しなやかで肌触りもシットリ、クラシックなヘリンボーン柄は

コート地らしく かなり堂々とした広幅でデザインされています。

色はチャコールグレーを御選択頂きました。

 

 

 

 

 

5eo

 

前端より 確りと控えられた比翼フロント、

正面から比翼(身返し)が除くような事はあってはなりません。

古より伝承されてきたディテール(仕立て方)であり、

比翼止まりには確りと閂も施します。

 

 

 

 

 

6eo

 

腰ポケットは A.イーデン氏のコートに同じく片玉縁仕上げ。

フラップの上に玉縁(口布)が無いので身頃からフラップへ直結です。

その分 柄合わせもシビアに合わせつつも、、、柄はあまり見えませんね。

 

袋地にはコットン・フランネルを使用しております。

 

 

 

 

 

 

7eo

 

仮縫いへお越し頂きました。

BESPOKEで誂えられた春夏用タウンスーツを軽快に着崩され、

大変爽やかなスタイルでお越し頂きました。

スカーフでの着こなしがとても素敵です!

 

精度高き型紙による着慣れ親しんだBESPOKEの上着、

その上着こそイギリス英語では COAT、

その上からアウターとして着用するのが OVER COAT です。

 

O様の身体的な特徴含めた情報が正確に、ふんだんに落とし込まれた上着の型紙に

ユトリを肉盛りすれば 仮縫いなどしなくとも

最高にフィットしたオーバーコートが誂えられます。

 

肩幅や肩傾斜、左右非対称、アームホールや衿のバランス、袖の振り位置や太さ、

反身や屈伸体の度合い、ウエスト位置の連動性、

そして勿論B・W・Hの適切なバランス関係、、、挙げればキリがありません。

こうして複雑怪奇な立体により構成されたマトリーショカたるコート同士が

インナーとアウターとして これ以上無き程に最高の合致性を自ずと生みだすのです。

 

 

 

 

8eo

 

O様のお好み含めたご要望を踏まえ、早々にFINISHへ!

 

 

 

 

 

 

 

 

9eo

 

ご来店前に一度掲載させて頂きましたね。

最高にエレガントで素敵なチェスターフィールドコートの完成です。

O様の御来店をお待ちしております。

 

 

 

 

 

 

10eo

 

下前 フロントの釦位置をご覧下さい。

前端より随分と深い位置に付いているのが見受けられます。

こんなコート、、、、今ではどこを探しても売っていませんね!

 

そもそもオーバーコートは防寒着であり、寒いから着るのです。

ダブルブレストはもともとデザインとしてフロントの打ち合いが深くて温かいと言えます。

 

シングルの場合でも、フロントから冷たい北風の侵入を防ぎ、

体温を逃がさない為にも打ち合い(重なり)を深く取り防寒としての一端を担います。

その分 当然暖かく、重厚感と共に VゾーンもA.イーデン氏の様にコンパクトに成ります。

 

( この打ち合い度合いはお好みにより 幾らでもご要望を御伺いする事が可能です。

打ち合いの深さにより随分と着用感や印象が変わります。 )

 

 

 

 

11eo

 

1911年 米国です。

女性の装いを見れば相当古い時代である事が一目瞭然ですが、

反面 紳士だけでは大して変わらないのが見受けられますね。

これが歴史からなるクラシックな紳士服です。

ただ、紳士服ではシャツを見ればやはりこの時代らしさが表れています。

 

センターの紳士はフロント釦を開けていますが、

釦が相当深い位置に付いているのがお分かり頂ける事と思います。

 

昨今 市場で売られているコートの類は丈が短く打ち合いの浅いコートばかりになり、

最早ジャケットに近く とてもカジュアルで軽快な装いであると言えます。

 

表層的なデザインだけでは無く、

様々なディテールにも深き意味や込められ設計されているのです。

 

 

 

 

 

 

12eo

 

申し分御座いません、最高です、、、。

リクエストを私なりに加味し 表現しつつ、

あくまでもO様のご要望が加わったONLY ONEの

チェスターフィールドコートで御座います。

 

 

 

13eo

 

私の無粋な言葉は最早いりません。

ただただ美しく、、、、、手前味噌ながら最高の出来栄えです。

 

 

 

 

14eo

 

スーツ地に比べ コート地は比較的に地厚であり、

丈もインナーの上着より当然長いですよね。

それなりに服としての総重量が嵩む訳ですが、左右の肩が非対称であっても

それに合わせて仕立てられて しっくりと均一に乗り、

首元(衿)と共に重さが綺麗に分散されれば 着ていても重さは感じさせません。

 

広めにとった蹴廻し(裾周り)はドレープとなり分散していますが、

これが歩くと運動量となりつつ優雅に生地が躍るのです。

 

オーバーコートの後姿はとても男を感じますが、

丈のあるコートは歩きなど動きのある時の優雅さがたまらぬ魅力でもあります。

御自身ではあまり見る事が出来ませんし、気付かれないかも知れません。

しかし、周りの方々は そう見えるのです、、、これ、重要です!

 

 

 

 

15eo

 

春夏用に誂えられた W.Bill製のくすみのある淡いグリーン系のスーツに、

色目の薄いコンビがとても軽快で映えますね。

素敵です!

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・如何でしたでしょうか。

涼しくなって参りましたし、コートに思いを馳せる時期となってきております。

 

クラシックでアンダーステイトメントな

男のオーバーコートとは、この様なコートを指します。

 

ピークドラペル、ベルベットの上衿、、、、派手に見えるでしょうか。

上衿は勿論共地でも構いません。

誂えであれば上衿のベルベットを共地に、またその逆も『上衿掛け直し』が出来ます。

 

16eo

 

 

厳選した素晴らしい食材である魅力的な生地は揃っております。

長きに渡る相棒となるであろう素敵なコートを誂えに、

皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

 

 

 

O様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。

 

 

 

 

 

 

 

 
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