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Bespoke Tailor Dittos.

【 DINNER JACKET② 】

2019.03.19お客様のご注文

 

 

 

桜の開花予想日までもう少しです。

東京での満開を迎える見頃は今月末から4月の頭くらいだそうです。

毎年楽しみですね。

 

 

 

 

 

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正に完璧でクラシックなブラックタイのスタイルです。

中にはチラリとドレスウエストコートも見受けられますね。

三つ揃いのディナースーツ、エレガントな夜の装いであります。

 

 

 

 

 

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若かりし頃のC.ゲーブル氏もディナースーツをエレガントに着こなしております。

ウエストコートの衿にも拝絹があしらわれていますね。

 

 

 

 

 

 

・・・・・現代におけるフォーマルウェアは、DAY FORMAL と EVENING FORMAL に分かれており、イブニングにおける正礼装がテールコート(イブニングドレス・燕尾服)であり、その準礼服にあたるのが ディナースーツ(タキシード)となります。

 

正式なパーティーでの招待状にはドレスコードが案内されます。

そこには 『 ホワイトタイ 』や『 ブラックタイ 』などと書かれており、分かり易く言えば そのパーティーの格を表しているとも言えます。

 

白や黒のタイを締めて行けば良いのか!?

いや、これは服装スタイルを示し ホワイトタイは正礼装であるテールコートの着用を、

ブラックタイはディナースーツで来て下さいという事になります。

 

格式高き正式なパーティーではホワイトタイですから、ブラックタイでとの記載があれば 本来ではリラックスして砕けたディナースーツでお越し下さいという事になります。

 

ただし、昨今のカジュアル化を考えればブラックタイでも十分に格の高いパーティーとも言えるかも知れません。日本国内であれば尚更ですね。

 

日本では冠婚葬祭含め ブラックスーツ があれば良い。

独自のルールがすっかり浸透しております。

これはバレンタインデーにはチョコをあげる様にと企画された行事ではありますが、ブラックスーツもこれに同じく洋服メーカーが販促を目的に一石二鳥を謳う企画から始まったそうです。

確かに経済的には優しいでしょう。しかし、もしこの打ち出しがなかったら、、、

結婚式など含め御祝い事や式典などの行事ではもっとフォーマルウェアの着用が残っていたかも知れませんね。

 

 

 

 

 

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大人の渋みが漂うC.グラント氏、流石は堂に入っております。

 

 

 

 

 

・・・・・フォーマルの装いにはかなりのルールが存在致します。

ホワイトタイのスタイルでは、シャツの衿はウイングカラーです。

 

しかし、準礼服であるブラックタイのスタイルでは、C.ゲーブル氏の様にウイングカラーは勿論の事、レギュラーカラー等の折り返った二枚衿でも良いですよ となります。

C.グランド氏は二枚衿ですね!

 

その本来では砕けたポジションとなるディナースーツ、これにも様々な特徴がありますが、一番目立ち 特徴的なのはやはりラペルに被された拝絹となるでしょう。

 

では少しだけ歴史を遡ってみましょう!

 

 

 

 

 

・・・その拝絹ですが、勿論テールコートにも、ディナージャケットにも付けられています。

そもそも何故シルクが、、、、。

 

これ、実は昔の服の名残から来ており 実際に裏地で使われていたシルク地からきています。

ラペル(下衿)が折返るという事は、内側が露呈する事になりますね。

 

今現在における正礼服はテールコートとモーニングコートです。

その昔には更に上の親玉がおり テールコートとモーニングコート自体が

準礼服であった時代があります。

 

その上位に君臨していたのが フロックコート となります。

 

モーニングコートが普段着であった時代、デザインと共に様々なバリエーションがありました。 スタイルとしてもビジネスモーニング、ハンティングモーニングなど ツィードで誂えられたモーニングコートだって有った訳です。

 

 

 

 

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1900年の写真です。

これがフロックコートであり、ラペルの返り線側にはシルク地が見受けられますね。

これはこれで意図して仕立てられたデザイン仕様であり、

やはり昔の名残より生まれ、シルクでラペルの全てを覆うテールコートや

ディナージャケットより手前となる時代の仕様と言えます。

ラペルには剣先まで釦ホールが並び、両前仕立てのダブルでも

全て上まで釦を閉じられる名残を表しています。

 

当時の裏地はシルク裏地が一般的です。

今みたいなキュプラとかは無いですから、、、シルク地はとても高価・高級な裏地です。

 

 

紳士服は歴史であり、ほぼ全てにおいて意図や理由、生い立ちの背景などを探る事が出来ます。

これがファッションでは無い本当の紳士服であり、リアルクロージングなのです。

 

長き歴史の流れとして

軍服はスーツに、馬は車に と、どれもこれも突然生まれてきた訳ではないのですね。

 

 

少し、ご興味が湧かれましたでしょうか!?

 

 

今週は HOUSE STYLE ORDER にて、Y様よりご注文頂きましたエレガントなディナースーツを御紹介させて頂きます。

 

 

 

 

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背も高く、逞しいお身体をお持ちであるY様。

この日はお仕事帰りにお立ち寄り頂きましたので、コーディネイトはご了承下さいませ。

 

お仕事の関係上 海外の方々との交流も多く、ディナースーツはビジネス的にも必要ながら、なんとご結婚もお決まりに成られたそうで 本当におめでとう御座います!!

 

身体に厚みのあるY様はとてもスーツがお似合いです。

正統的なディナースーツは三つ揃いでの御注文を頂戴致しました。

 

しかし、シルエットがとても美しいです!

 

 

 

 

 

 

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お選び頂きました生地は、これも当店自慢の最高たる生地で御座います。

10周年記念で御用意させて頂きました GOLDEN BALE : BLACK DOESKIN です。

http://dittos.seesaa.net/article/463655660.html

 

極上な原毛を確りと糸に引き揃え、ガッチリと打ち込み強く織り上げられた当店オリジナルの生地です。 優雅で美しきドレープをお約束致します。

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フォーマル地のブラックとして正統的なドスキンを

3シーズン用のウエイトでお作りした逸品となります。

お値段も含め、これ以上の個人的お勧めBLACKは当店にありません!

 

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生地が黒ければどれでも良いのか、いえ そうではありません。

色が黒いだけでは織りなどによっても向き・不向きが有りますし、

やはり正統的クラシックなブラックの生地が理想です。

 

ブラックスーツ含め、フォーマルウェアをお考えでしたら

ベストな御選択だと心底思っております。

 

 

 

 

 

 

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吊り用のゆったりとした股上に優雅な2プリーツをお選び頂きました。

トラウザースもさる事ながら、ウエストコートもC.ゲーブル氏に同じく

シングルの衿付きを御選択されました。

 

 

 

 

 

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バックスタイルも大変綺麗です。

特にハイバックにはされませんが、これがレギュラーとなるスタイルです!

 

尻ポケットは右側のみ、フラップも付けずに至ってシンプルに。

 

 

 

 

 

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後姿も凄く綺麗です。

トラウザースとの連動もバッチリですね。

 

ウエストコートを着用すれば、トラウザースの帯部は隠れてしまいますのでハイバックかレギュラーバックのどちらでも見え方自体は変わりません。

 

 

 

 

 

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光を吸い込む様なブラック、本来ドスキンはマットな表情であり 光沢感なども出ず、本当に落ち着きのあるエレガントな生地です。

光の陰影が写真によって出るのは原毛自体がハイクオリティーだからこそです。

 

Y様、本当にエレガントで素敵です!

 

三つ揃いなので、勿論ウエストコートも着用されております。ほんの少し見えますね。

(WCは写真を撮り忘れておりました、、、。)

ドレスウエストコートであり、VゾーンはUネック型の衿付です。

シャツの胸元を見せつつ ウエスト部をホールドする役割となります。

 

 

では少しだけディナージャケットのディテールについても触れてみましょう。

 

● ビジネススーツ等では良く見受けられる腰ポケットのフラップ。

ディナージャケットにはフラップを付けません! 付いていたら偽物です(笑)。

FLAPとは、洋服的に訳すと『 雨蓋 』 と訳されます。

室外着前提たるディテールですね。

室内着として生まれたディナージャケットには不必要な訳です。

 

 

 

 

 

● 同じく皆様も良く見受けるであろう上着の背中にはベント(ベンツ)が切られている服が多いですね。 しかし、ディナージャケットは絶対に切りません!

 

例えば CENTER VENT 、これは洋服的強引に訳すと 『 馬乗り 』と訳されます。

お分りですね、室内着には不必要な切込みです。

因みに SIDE VENTS は軍服から来ており、サーベルに関係があります。

NO VENTはこういった事からも一番エレガントな仕様であり、

シルエットも一番美しく表現されます。

 

 

 

 

 

 

・・・・・写真では撮っておりませんでしたが、、、

● トラウザースの両側面にある外脇縫い目。ここには側章といってシルクのテープが

腰から裾まで付けられています。

 

 

その側章ですが、準礼服では1本、もしくは細目な物。

正礼服は2本並べて付けられるか、太めなブレードが付けられます。

ここでも差が付けられているのですね。

 

因みに、側章は何故付けられているのでしょうか、、、。

 

【 紳士の礼服には下着的な部分はなるべく隠すという原則がある。

例えばトラウザースの穿き口(フロント部や帯周り)というのも下着的な部分とみなされる。

故にそれを他人に見せないようにウエストコートやカマーバンドで腰部をホールドして隠す。

トラウザースの外脇縫い目、これも下着的な部分として他人に気付かせてはならぬ。

したがって側章でカバーしている。 】・・・男子専科様より

 

(日本最古のメンズファッション誌との事、

私が若い頃はDANSENですとかお世話になりました!)

 

 

 

 

 トラウザースの裾上げは必ずシングルです。

 

今現在では、ビジネススーツでも折り返し付のダブルであげられる事は一般的です。

しかし、本来は裾が汚れるからと折り返した事が始まりであり、

ジーンズのロールアップと同じ様な行為です。

 

ダブルの裾上げは くだけたカジュアルな仕様でしたが、長い年月を経てそのポジションが上がり 今ではビジネススーツまではOKという事になります。

しかし、フォーマルに関しては絶対にNGであり 必ずシングルとなります。

 

 

 

履く靴にも決まりがあり、本来ではエナメルの靴となりますが

何故エナメルなのか、、、これにも理由があります。

キリが無いのでこの辺にしておきますが、特にフォーマルは正しき知識が必要です。

フォーマルな場において、装い含め 正しきルールを理解し、守る事は

エチケットでありマナーなのです。

 

 

皆様に正しき御説明が出来るよう 私達側の人間は大いに勉強が必要です!

 

 

数十年先を見れば、現在における正礼装はフロックコートの様に引退し、

準礼装であるディナースーツとディレクターズスーツが正礼装に格上げされるかも知れません。

 

燕尾服を着用する機会、、、指揮者になりますか、ノーベル賞を狙いますか。

無くなって欲しくは無いのですが、順番的には上からです。

故にディナースーツとディレクターズスーツはまだまだ現役期間は長い事でしょう。

 

 

 

 

皆様も歴史のある正統的なフォーマルを踏まえ、

素敵なディナースーツを誂えてみては如何でしょうか。

 

当店では、お合わせになるドレスシャツの誂えと共に、ブラックのボウタイやカマーバンド、シルクのチーフなどの小物も御用意しております。

 

 

勿論 日本人として既に一般化し 浸透しきったブラックスーツ。

これも準礼服の下に位置します。

正統的経緯を踏むブラック地を使用したクラシックで

エレガントなブラックスーツを御誂え下さいませ。

 

http://dittos.seesaa.net/article/146420653.html

( DINNER JACKET )

 

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Y様、この度も素敵な御注文を頂戴致しまして誠に有難う御座いました。

機会が御座いましたら結婚式のお写真も是非拝見させて下さいませ!

 

また奥様とのご来店を心よりお待ち申し上げております。

 

 

 

 

 

 

 

 

では、今週も最後までお付き合い頂きまして 誠に有難う御座いました。

 

皆様とお会い出来る日を心より楽しみにしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
Bespoke Tailor Dittos.