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Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 MORNING SUITS 】

    2020.02.18 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 MORNING SUITS 】

        皆様 こんにちは。 今年の冬はコロコロと安定せぬ異例尽くしです。 2月も後半に入り 洋服業界は既に春夏へシフトしております。   当店も春夏用へと生地の入れ替え含め衣替えを致しております。 今年はオリンピックイヤーでもありますが、夏はどうなるでしょうか。             1937年に撮影された写真です。 現代における日中の第一級正装であるモーニング・ドレス。 (モーニングコート、カットアウェイ・フロック) 皆様が一般的にイメージされるスタイルではブラックの上着に コードストライプの縞柄トラウザースを合わせます。   まだモーニングが普段着でもあった時代では、ビジネススタイルからカントリースタイルまで 様々な生地(ツィード等も)を使い バリエーションに富んだモーニングスタイルがありました。 フロントの釦も一つに限りません。   現代でも辛うじて存続しているスタイルにモーニングスーツ(アスコットモーニングとも)があり 主にアスコット競馬場での正礼装となっております。   写真の様に明るめのグレーで誂えられたスーツです。   勿論フォーマルなスタイルですし、トラウザースの裾上げは必ずシングルとなります。 写真に向かって左側の紳士の裾上げ傾斜をご覧下さい。 モーニングカットとも呼ばれる傾斜を付けた裾上げですが、 かなり意図的でエグイ角度にて上げられているのが見受けられますね。   これらは軍服などにも見受けられますが、ここまでの傾斜を付けるには それなりのテクニックが必要でもあり、BESPOKEのステージであれば いくらでもご要望通りに仕上げる事が出来ます。 その傾斜の付いた裾口は直線だけでは無く、カーブ線での上げ方もあり、 前後差が大きくなればなる程にカーブ線の方が良いですね。   スーツとして三つ揃いでも、フォーマルなオッド・ウエストコートを合されても素敵です。     では、現代での正統的なロイヤルスタイルのモーニングスーツもご覧頂きましょう。         御結婚式へ参列された時のマイケル王子御夫妻。 衿腰高きシャツと、ネクタイはボリュームたっぷりの結び方がアイコンでもありますね。         アスコット競馬場にて。 とても良く晴れた日に見えますが、傘をお持ちですね。 英国紳士にとっての傘というところでもあり、ステッキ代わりにも。 英国では様々な仕込み傘なども御座いますが、腰掛になる傘なども御座います。           さて、今週は大変御贔屓を頂いておりますN様より モーニングスーツのご注文を頂戴致しましたので御紹介させて頂きたいと思います。           モーニングのご注文頻度は低いので 折角ですからいつもと別の場所でも撮ってみました! 光沢感のあるライトグレーのモーニングドレスは、 キッドモヘアが主体となる混紡生地であり 春夏用としてのご注文となります。           確固たる御自身のスタイルを確立されてられるN様におかれまして、 モーニングドレスの御着用頻度はベーシックなラウンジスーツと比べれば そこまで高くは無い事と思われます。 だからこそ、今回の春夏用生地で盛夏も踏まえた三つ揃いのスーツに モーニングドレスを加えた 計4P-SUITS としてご注文を頂戴致しました。 これでスーツとして幅広くご活用頂ける事になります。   ウエストコートはショールカラーのダブルブレストを、 バックレスのスタイルにてリクエスト頂きました。           上着はシングル・ブレストの一つ釦、ピークドラペルのドレッシーなデザインであり N様の個性が表現されたバランスで御座います。 腰ポケットのフラップさえ排除された とてもエレガントな仕様です。   トラウザースの裾上げは勿論シングルですが、 冒頭の写真レベルまではあえて傾斜を付けておりません。 当店でのレギュラーでは、シングルでもダブルでも前後差:3㎝ で統一しておりますが 御希望であれば4㎝でも5㎝でもリクエスト頂ければと思います。           ・・・・・いよいよモーニングドレスも組み上がり、いざ仮縫いです。                 モーニングドレスにはウエストシームが入り、 深いセンターベントは『フックベント』となります。 仕立てる際に切込みも必要となる為、仮縫いではベーシックなセンターベントで組み上げます。               モーニングコート コートと言ってもオーバーコートではありませんね。 サイジングはあくまでもベーシックなスーツの上着に同じです。         ・・・・・さぁ、お仕立て上がりで御座います。     このバックレス・スタイルのウエストコートですが、 上着を脱がなければ誰もバックレスとは気付けません。 とても涼しきスタイルでもある為、 春夏でも三つ揃いを御愛用される方におかれましては重宝出来る仕様でも御座います。             もう一つ、独特なメリットがあります。 それは中胴サイズが有って無い様なものである事、 背ベルトでのご調節次第という事になります。 3サイズが多少の増減をされたとしても、背ベルト次第で補えますね。             キッドモヘアの光沢感はドレッシーに映え、ハリやコシは綺麗に丸味を生み出します。 上着が一つ釦ですので自ずと Vゾーンは深くなります。 インナーのダブルで仕上げたウエストコートが素敵です。           モーニングスーツとしての御着用です。 一般的なブラックのモーニングは、フォーマル地としてバラシアやドスキン、 そしてミニヘリンボーン柄などは王道です。 アスコットモーニングはピック&ピック(シャークスキン)がメジャーとなります。 しかし、これら装いも当然春夏用としてのフォーマルシーンもありますので、 その場合は やはりモヘアを混紡された生地が主体となって参ります。   通常の秋冬用のウーステッドと違い、個性の強いキッドモヘア系の生地は地も薄く、 融通性も低い為 見越したテクニックが必要となります。   N様、、、、本当にエレガントで素敵です。 英国滞在時に御着用との事であり、御機会の折に是非デビューされて下さいませ。             背中には必ず付けられる2つの釦、 これは歴史上でのモーニング誕生に端を発する大切なディテールです。 (今回は長くなるので割愛致します。)   センターベントはフックベントに! 腰のくびれからお尻のボリュームへと立体的な曲線が身体を包みます。             本来モーニングコートでのスタイルは、 帽子(トップハット)とグローブにて完結致します。 昔のビジネスモーニングなどは腰ポケットが付けられたりもしていましたが、 基本的に この確立されたモーニングドレスのスタイルには腰ポケットがありませんね。 では、グローブ含めちょっとした物を仕舞いたい場合はどうしましょう。     実は後側に隠しポケットがあしらわれているのです。 内側である裏地に付けるお店(TAILOR)もありますし、 そもそも省略してしまった老舗TAILORさえ御座います。 昔ながらに背釦は付けるにも拘らず、モーニングを着用される歴史的・スタイル的な前提に立てば やはりお付けしたいところでは御座いますが、無いと単純に不便だとも思います!   TAILORは仕立てのテクニックだけでは無く、着用されるスタイルや背景、 歴史も踏まえ多大なる学びと理解が不可欠必という事でもあり それらが些細ながらも仕立てられた服への説得力へと繋がればと願っております。             ウエストシームは大いなる特徴です。 ここで上下分断されている訳ですが、 実はシェイプのライン自体がウエストシームでは無いのです。   貸衣裳のモーニングから、 一応既製服としてのモーニング、ほぼシェイプの無いモーニングなどもあり それはもう色々とある訳ですが、、、本来ではそのシームより上に 製図設定上のウエストラインがあり、シェイプされる位置となります。   更に言えば、語弊があるかも知れませんが、 昔の男性は女性の様に見えない所でパッド等を内蔵して肉盛りし、 よりメリハリの効いたスタイルを作り出していた歴史があります。 モーニングコートもそれに漏れず、昔は腰パッドも内蔵され より顕著なシルエットを作り出してもいました。           ¥背中の写真ですが、テールコートの類では 通常のジャケット(コート)には無い『細腹』が御座います。 縫目は通常『割り始末』と言って縫代を両側に倒しますが、 ハリやコシ、そして反発力の強いモヘア系の生地では、各縫代を片側に倒し ハンドステッチで押さえるのが一般的な始末となります。   その細腹のシームは、袖のアウトシームへと繋がります。             英国のパブリックスクールである名門イートン校では、モーニングコートが制服であり 街中にはモーニングを着た学生さん達が日常体に見受けられる訳です。 日本では堅苦しくもあるとみられるモーニングスタイル自体を N様はもう少し身近なスタイルとして御着用されたいとの趣旨に対し ポジション的にもバランスの良いモーニングスーツに成られたのではないでしょうか。   いつかは自分にも仕立てたいモーニングコート、、、 その時はどんな風に料理にするか考えるだけでも楽しいものです!   N様、この度も素敵な御注文を頂まして 誠に有難う御座いました。           では、いよいよ本格的に春夏へシフトで御座います。 まだまだ寒いもある事と思いますが、 春夏の装いを妄想しつつ是非お気軽にお越し頂けましたら幸いです。   皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。            

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  • 【 CHESTERFIELD COAT:V様の御注文 】

    2020.02.04 Bespoke Tailor Dittos. お客様のご注文

    【 CHESTERFIELD COAT:V様の御注文 】

          2月に入り随分と天候も安定して参りました。 2月といえば、とうとう英国はEUを離脱致しましたね。                 グレタ・ガルボと並んで歩く セシル・ビートン卿 私の大好きな写真の一つであり、お手本の様にエレガントなコートスタイル。 ダブルのチェスターフィールドコートの持つ魅力に溢れています。             ギャング映画には欠かせぬ存在でもある エドワード・G・ロビンソン。 ビートン卿のコートに同じく 上衿はベルベットカラーです。 そのベルベットは袖口のカフにもあしらわれていますね。         このエレガントなコートは、 フォーマルなスタイルに着用が許されたオーバーコート(外套)であり、 防寒着でもある訳です。 Vゾーンもコンパクトに、インナーである上着を全てホールド致します。         今週はこんなにもエレガントで重厚感もあるダブルブレストのチェスターフィールドコートを 最高のカシミアにてご注文下さりました V様のコートを御紹介させて頂きたいと思います。             仮縫いの準備が整いました。 ダブルブレストの顔はある意味シングルよりも多彩と言えるでしょう。 時代性やクライアント様の好みや御要望、 そしてカッターのセンスによっても随分と変わります。 V様のご要望は 『クラシックでアンダーステートメントである事。』 、、、ほぼお任せ頂いております。     デザインと言いますか、バランスは体型や身体のサイズにも少なからず影響を受けるものです。 体型は個性でもあり、その方にとって一番のバランスを探る事 これはCUTTERがDESIGNERでもあるという側面でもあります。 表層的なデザインだけでは無く、構成される そのデザインやバランス自体に 深みや説得力さえ宿っていなければと考えております。   ユトリ感やフィッティングの精度と共に、重要な釦配列もご確認頂きます。             オーバーコートはある意味 安心して望めるアイテムでもあります。 それは外套に対し、インナーである上着の型紙精度が高く御満足頂けているのであれば その型紙に肉盛りするだけであり、極論仮縫いなど無くても良いです!   勿論行いますが、着用されてこその感じられたユトリ感など含め ご意見・ご要望を頂戴致します。             丈は膝小僧(膝蓋骨)ホールドのバランスです。 動きやすさや時代性も踏まえ 長過ぎず、短くなく、、、。 当然 ここまで至るまでの過程におき、全ては打ち合わせ済みです。   ご納得いただき、袖丈の微調整のみで仮縫いを終えました。           ・・・・・お選び頂きました生地はコチラで御座います。     CERRUTI 100% Cashmere 480g Black   http://dittos.seesaa.net/article/463250786.html 【CHESTERFIELD COAT】         仕立て上がりです。 流石に威厳と風格のあるコートに見えますでしょうか。 内側へ巻き込む袖のフォルムも美しく、カットと共にクセ取りの賜物です。   私自身は服を見て『V様らしさ』を感じます。 その服のバランスは V様の個性である体型により導き出されたものです。 きっとお似合いの事と思います!         袖口は4釦のワーキングカフ、腰ポケットは片玉縁を御選択されました。 釦は英国製であり、コート用ですからサイズも大きな釦さえも迫力と存在感があります。         ポルトガル:SOMELOS というシャツ地メーカーのコットン・ネルとなります。 腰ポケットの袋地には贅沢にも このソメロス製シャツ生地を使用しています。   私自身 この色違いをシャツで着用しておりますが、 下着であり 地肌に着る肌触り良きシャツ地を袋地になんて本当に贅沢です。 そこは最高ステージでもある BESPOKE という事で!           手前味噌ながら、見惚れるほど美しきコートです。 V様の為だけに誂えられたコートで無ければ こうはなりません。   本当にエレガントであり、大変お似合いで御座います。         上衿はベルベットをあしらっておりますが、黒同士ですから そこまで目立つ事はありませんね。 首元、シャツのカラーへのホールドも良く これでインナーにスーツを着ている様には見えませんね。 オーバーコートはこうでなければ成りません。                 毎度コートの話ではお伝えしておりますが、ボリュームが欲しい位置、シェイプの位置、 ポケットの位置、そして肩傾斜やカマ深、カマ幅、左右非対称など 全てにおいてインナーに準じています。   複雑に立体化されて作られたマトリーショカに同じです。   V様の思わずこぼれる笑みが最高のご褒美となります。             正に一生物であり、最高のコートです。 V様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。   次の春夏用スーツも是非ご期待下さいませ。               ・・・・・先月末には一旦止るシャツの受注が終了致しました。   目が回る程に大量のご注文を賜りまして 大変恐縮ながら心よりのお礼を申し上げます。 どれだけ多くの顧客様方がBLOGをご覧下さっており、 当店でご提供させて頂いておりますシャツを御愛用して下さっているのか、、、 つくづく痛感させて頂いた次第でも御座います。   頂きました皆様の大切な御注文は 順次工場様へ回して参ります。 これだけ短期間に御注文が入りましたので1か月での御納品は厳しく、 余裕を見て頂けましたら幸いです。   必ず近いうちにリスタートすべく、準備も進めております。 進展なども踏まえ 当BLOGにてご連絡させて頂きます。   新たなるスタートへ是非ご期待下さいませ。             ・・・・・申し訳御座いません、次週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。 楽しみにお待ち下さる多くの方々におかれましては本当に恐縮で御座います。 次回は 2月18日(火)を予定しております。 書きたい、御紹介したい事は沢山御座いますが、、、 どうか変わらぬ御贔屓の程 宜しくお願い申し上げます。     今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。          

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Bespoke Tailor Dittos.