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Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 BRITISH CLASSIC STITING 】

    2023.12.12 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 BRITISH CLASSIC STITING 】

          三つ揃いのスーツが気持ちの良い季節です。 いよいよ師走を迎え 皆様何かと忙しい事と思われます。 たまに気温が上がったりもしますが、 どうかご体調には十分にお気を付け下さいませ。               貫禄溢れるエレガントなスーツスタイルです。 ご自身の魅力だけではなく、その服にさえも 長きを共にされてきたであろう味わいが滲み出ています。               こんなにも素敵な良き相棒(スーツ)を得るにはどんな生地が良いのでしょうか。 やはり長きを共にするわけですから ソフトや軽さといった今風の価値観で 織られた生地とはある意味真逆でもある生地、そんな生地こそ 紳士の誂えるべきスーチングであると基本的には思っています。         経緯共に双糸で密に織られ、ハリコシの伴う生地だからこそ テーラードの技術を確りと受け止め 応える事が出来るとも言えます。 こういった生地こそ皴にも強く、復元力も高く、寿命も長い訳です。 であれば、やはり英国製の生地を選ぶ事になるでしょう。   紳士の着用するエレガントでクラシックなスーツに面白みや新鮮さなど 全く必要ありませんし、流行なんて取り入れたら それこそ飽きますし、廃れるのです。   スーツは所詮『額』でもあり、主役は中の絵であり写真となる御本人様です。     今週はこれぞ英国生地たる『いぶし銀』のような頼れる お勧めスーチングをご紹介させて頂きたいと思います。 冬は寒い‼ その寒さを感じる今だからこそ リアルにイメージして頂けるのではないでしょうか。                                         WILLIAM HALSTEAD   1875年に創業した老舗のミルであり、品質の良さだけではなく 伝統に培われた英国服飾文化自体への拘りがその150年近い歴史を紡いで参りました。   英国の伝統的なテーラードを念頭に展開されている生地がメインであり、 春夏系ではトロピカルやポーラ、そして上質なモヘア混紡生地なども有名ですね。 今回は秋冬地をご覧頂きます。               正に一番ベーシックとも言えるでしょう。 ウーステッドのスーチングは綾織りで確りとした打ち込み、されど弾力もあります。   100% WOOL 330g   やや秋冬より 3シーズンウエイトといったところです。 スーツは勿論の事、オッド・トラウザースにも良いですね。 素朴で当たり前のものこそ、質に拘り W.HALSTEAD の様ないぶし銀をお選びください。                 生地の教科書に出てくるようなものばかり、確かに新鮮味はありません! あるべきものが揃っている、それこそがクラシックなスーチングなのです。               平織は綾織りと比べて通気性も良く、艶が抑えられマットな表情を醸し出します。 こんな生地でブレザーなども良いですね。   ここまでのシリーズは全て同じ品質であり、 ウエイトは330gの企画で織られています。 厚地過ぎないのも好都合に、冬はオーバーコートと共にご堪能下さいませ。                   ここからはもう少し冬向けです。   100% WOOL 360g   ミルド仕上げのウーステッド、縮絨後に起毛を掛けます。 サキソニーと言った方がイメージも沸くでしょうか。   起毛されている分、見た目と共に温かさは増します。 縮絨によって蜜にもなり、起毛で通気性をそれなりに潰します。 生地の厚さが大して変わらないのにウエイト表記の数値差があるとすれば、 それは密度にあるとも言えます。             クラシックなハウンドツゥースは如何でしょうか。 スーツは勿論、このトラウザースはかなり使える選手になります! クラシックなのですが、、、巷では見かける機会がかなり減りました。。           ・・・・・サキソニーはサキソニーフランネルとも呼ばれ、 やはり起毛が大きな要因となる訳です。 例えばフランネル、ウーステッド(梳毛糸)フランネルと ウーレン(紡毛糸)フランネルで同じ羊の毛でも区分けされています。   フランネルという括りで見ると ウーステッドは糸が細く引き揃えられている分 上品さがあって都会的とも言え、生地の表情も間近で良く見れば 綾織り地であるツイル目が確認出来ます。   反面、ウーレンフランネルは繊維も不均一で短くて太くもあり、 織地が見えなくなるのが特徴でもあります。 ウーステッドと比較すれば もう少しモサッとしてボリュームが出て素朴感もあります。 もともとフランネルはスポーツやカントリーなどで使用されていた生地であり、 温かくて丈夫な生地です。   そんなフラノを都会で着るには田舎くさい! これを払拭したのはウインザー公でもあります。                 冬のスーチングと言えばフランネルは欠かせぬスーチングです。 1931年の広告でもフラノのスーツをお勧めしていますね。     時代は変わりますし、変わって当然です。 スーチングに関して、もう随分と長きに渡りイタリアのファッションや 生地は日本にも相当根付いた事でしょう。 これは日本だけではなく、世界的な観点で見ても例外ではありません。 フランネルと言えば代名詞でもあるFOX社も全てではないにせよ、 随分と市場ニーズに合わせてきています。     イラストではありますが、曲線美に溢れ 美しき立体的な シルエットとバランスのスーツです。 軟弱な昨今のフラノではなく、当時は当たり前であったフランネルで仕立てれば こんな粘土細工の様な造形的フォルムも成り立ちます。     では、往年のフランネルが欲しいと思われる 拘り派の紳士方にお勧めできるフランネルとなると、、、 もはや敢えの企画として生みだされた生地というシリーズや限定生地となります。 敢えて復刻したのですから間違いありませんね!       http://dittos.seesaa.net/article/501128125.html 【FOX BROTHERS:2023AW/DIRECTOR’S CUT】       しかし、これはハードすぎる、、、、 と思われる方もおられるので、パンチ力を損なわぬ程度に迫力があり、 そして日本のタウンユースでも快適に過ごす事の出来る バランスの優れまくったフランネルとは⁉                     Savile Clifford     1899年 サヴィル氏とクリフォード氏が創業した英国を代表する生地メーカーです。 長い歴史の中で買収なども含め色々とありましたが、英国の伝統的なモノ作りや 思想を崩す事無く現在のポジションに君臨します。   今回はハダースフィールドで紡績されたウーレンフランネルを 新たなコレクションとして展開しました。 実は同社のウーレンフランネルは頗る良く、当店でも以前に 『これぞ一押しウーレンフランネル』 として扱って参りました経緯があります。                 ど真ん中、これぞクラシックなチョークストライプ! 縞の太さや幅、そしてボケ感、これこそがチョークストライプだと言いたいです。 チョークとはTAILORが裁断時に生地へ線を引く日本語でチャコを指します。 その裁断前にチョークでマーキングされた様より このネーミングとなった訳ですね。   左から2番目と3番目、ダークグレーのトーンはほぼ同じ。されど品番は違います。 縞のボケ感にも差があるのですね。   綾織りのツイル目など全く見えません! これぞウーレンフランネル、確りと縮絨され、起毛され、、、コレですよ!               上記のストライプと比べ、縞の幅などバリエーションも御座います。 ひと捻り欲しいお方は嬉しいですね。 欧米人と比べ そこまで身体の大きくない日本人であれば、 縞の幅は意識するところでもありましょう。               勿論ソリッドも御座います。 ブレザーにホワイトフランネルのトラウザース、憧れるものの 目立ち過ぎと懸念される方は一番左上のかなり明るいライトグレーがお勧めです。 同じような雰囲気、スタイルを楽しめつつ、グレーですから落ち着きもあります。   グレーのフランネルについては、これはもう語るまでもありません。 ワードローブに入れておくべきスーツでもありましょう。           持つべきグレーのフランネルは是非スーツで手持ちに入れておきたい。 ですが、オッドトラウザースとして得るのであれば昔から3色は持てとも言われます。 それだけ秋冬アイテムとしては万能であり、 上着に合わせてトーンを変えれば全てを賄えてしまうという事です。   この風合いが伝わりますでしょうか。 特有の良い意味でのふっくら感もあって、確りと縮絨された様は安定感が違います。                   ・・・・・・如何でしたでしょうか。 今回の生地達には特筆すべき大きなメリットが2点御座います。   ● 国内の老舗生地屋さんの監修で全てを原反で抱えておられます。 故に今日頼めば明日には届くのですね。 英国より取り寄せていたら1週間はかかりますので そんなロスタイムは掛けさせません。     ● 主要メーカーのバンチなどから選べば、在庫リスクや着分カットによる手数料、 海外からの送料含めた割高値を考えれば、それは反で買った方が俄然安くなりますね。 その反で仕入れたお値段より算出された額ゆえ、お値段ベースでは フラノの代名詞であるメーカーと比べると相当大きな差が出ます。       有名マーチャントや大手メーカーのバンチコレクションには 高額だとしても それを見越した魅力とバリエーションなどの付加価値が付随されています。 今回ご紹介のこういった小ロット展開は良質で『あるべきもの』が当たり前に揃い、 かつ良心的価格である事、これが最大の魅力となる訳ですね。     是非皆様にもご覧頂きたいシリーズであり、本当にお勧めです。 玄人好みというやつです(笑)!   皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。               ・・・・・今年のBLOG更新もあと2回となります。 次週にはいよいよ英国からACORNの生地が届きますのでご紹介できると思います。 入荷が遅れたのですが、注文した1種が一時品切れとなってしまい再入荷を待っておりました。 ですが総量は少なく、既にお陰様で顧客様より反響もありますので 無くなるのは早いかも知れません。   今は需要と供給のバランスなのでしょうが、 国内市場での英国シャツ地がほぼ無くなってしまいました。 日本は大いなる流れに皆向きますので、、、残念な限りです。 ご好評を頂けるようでしたら改めて次も考えて参りますので、 どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。               ・・・・・年末年始のお知らせで御座います。   年末は 12月28日(木) が最終営業日となります。 年始は 1 月4 日(木) より通常営業に入ります。     ご迷惑をお掛け致しますが、何卒宜しくお願い申し上げます。              

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  • 【 BLACKLOUNGE SUITS ② 】

    2023.11.28 Bespoke Tailor Dittos. STYLE

    【 BLACKLOUNGE SUITS ② 】

          ≪ Clothes make the man. ≫     服は人を作る。   これは何世紀にも前の言葉(表現)であり、今日でも当てはまります。 多くの人が今でもブランド名やトレンドに影響を受け、追いかけています。 その方々は他の人と同じ服を着ているので簡単に見つける事が出来ますが、 そのせいで自ずとスタイルステートメントの価値を下げている。   本当のスタイルとは自分らしくある事。 自分が誰で、自分を信じ、量より質と共に 反映するものを着る事から生まれます。 ビスポーククチュールが復活している理由の一つであり、 自分の選んだ生地で自分の服を仕立てている理由です。     (・・・英国のとある老舗服地商より。) とても的確に語られていたので引用させて頂きました。                   スーツを、テーラードクロージングを愛される皆様 朝晩は寒さも感じられ、今では存分に楽しまれているのではないでしょうか。   カジュアル化が進行し、スーツの着用頻度が下がった方々も多い事と思いますが 個人的にはとても勿体無いように感じます。 こんなにも紳士を美しくエレガントに表現してくれる洋服はありません。   紳士服の歴史と共に その奥行きを覗き込めば果てしなく その魅力たるや 未だその片鱗すら垣間見られた事なき方々へ、 その片鱗だけでもお伝えする事が出来ましたら幸いです。   装いには敬意や配慮含めTPOがあり、とても大切で重要な事ながら 誂え服は自己満足でもありますのでご自身が気持ち良く、格好良く、 気分が上がるテーラードクロージングをお楽しみ頂ければと思います。     今週は私個人の自己満と、ちょっぴりご提案も踏まえてご紹介させて下さい。 ブラックラウンジスーツ、続編となります。   http://dittos.seesaa.net/article/500881048.html 【 BLACKLOUNGE SUITS 】                 優に100年以上も昔の装いであり、エレガントなフロックコートのスタイルです。 長きに渡り正礼装に君臨して参りました。   大いなる特徴として、ウエストラインに上下を分断するウエストシームがあります。 そしてダブルブレストには腹部の前中心線にもセンターシームがあります。 シーム(縫い目)を利用し、様々な作用を生み出す事が可能となります。                   フロックコートが退役し、当時の準礼装であったモーニングドレスコートが イブニングドレスコートと共に昼夜に分かれ その役を担います。 現代での正礼装:ディ・フォーマルスタイルです。       そしてウエストコートについては もう一つ。 お気付きの方もおられると思いますが、 ご覧頂きました御三方のVゾーンを改めてご覧下さい。   白いインナーの様なものが確認出来ますね。 これは 【 SLIP 】 といいます。                     もともと古くはモーニングに合わされるウエストコートは上着に同じ共地です。 これはブラックラウンジスーツにも引き継がれていますが、 双方の違いは上着の尻尾を切り落としただけであり これでラウンジとなります。   このブラックラウンジスーツがデイ・フォーマルの 準礼装としてポジションが確立されました。 前編でもご覧頂きましたように、政治家や弁護士などを筆頭に 比較的目にする日常範囲でのドレッシーなスタイルであったことが伺えます。   細かなヘリンボーン地の上中、下はコードストライプ 基本はホワイトシャツのフレンチカフスですが、クレリックスタイルも素敵です。   凛として本当に大好きなスタイルです!               SLIP(スリップ)の起源は19世紀初頭にまで遡ります。 当時は対照的な色同士のウエストコートを同時に重ね着していた事に起因します。 日本においては朝廷の伝統的な装束でも複数の衣を重ねる事が基本であり、 十二単などをイメージされると似ている要素があるとも言えます。   この伝統的で洒落た着こなしの名残が 『スリップ』 を生み出し、 洋服がブラックですからホワイトの(大抵の場合はコットン・マルセラを使用します。) 生地でパーツを作り Vゾーンに添えられるようになります。 ( スリップ自体は通常取り外しが出来るように誂えられています。)     ≪ MARCELLA / マルセラ … ピケとも呼ばれ、 イブニングドレスのウエストコート・ホワイトタイを誂える凸凹な生地です。 ≫     今では全く一般的ではなく、 歴史にも通じたTAILORに行かなければならないでしょう。 確かに重ね着しているように見える・見せるアイテムとなり、 古を重んじた本格的な誂えであるとも言えます。 必要が無ければ外せますので、場面に合わせて利用できるのです。               個人的に大好きなブラックラウンジスタイルを突き詰めたい そんな想いを具現化致しました。   ブラックラウンジスーツとはポジションへの呼称であり、 生地は勿論ブラックを筆頭に、チャコールグレーなども含まれます。 個人的な拘りでは 限りなく濃いエレガントなチャコールグレーで 細かなヘリンボーン地である事。 W.チャーチル氏の生地もそうでしたが、バラシアやドスキンなどと同じように モーニングドレスを仕立てる王道なクラシックスーチングです。   先ずはベースとなる三つ揃いが必要となります。 仮に黒でなければ凄く濃いグレーのダークスーツ範疇ですから これこそ冠婚葬祭からビジネスまでフル活用できる万能と言えますね!   生地は厳選の上 選び抜いたコチラで。         http://dittos.seesaa.net/article/499684657.html 【 FOR THE DISCERNING MAN 】                         この生地はとにかく濃いトーンであり、正にチャコールグレー。 英国(H.Lesser)ではライトウエイトのスーチングとなりますが、 このウエイトこそ日本では3シーズン用となりますので 真夏以外はいつでも対応可能です。   ピークではなく、ノッチでの三つ釦は勿論本返り。 当然ノーベント、そぎ落とされたシンプルさである事。 至って普通ながら 秘められた拘りは相当なものなのです(笑)。                 ブルーの効いたEND ON ENDのシャツはクレリックスタイル。 白いチーフにシャツの襟、そしてスリップがとても映えます。   あっ、もはや当店の隠れ定番であるタイスライダーですが 職人さんへ発注していた在庫分が届いております! チェーンと共に是非お声掛け頂ければと思います。         http://dittos.seesaa.net/article/460665292.html 【 お知らせで御座います。】                 フロント釦を外せばアルバートチェーン。 深めに付けられているフロント釦、これは打合い量を示し 拘りポイントの一つでもあります。   ダブルブレストのウエストコートによる狭きVゾーン 昨今ではローライズのトラウザースに合わせた 着丈の長いウエストコートをよく目にしますが そのバランスでは上手く成り立ちません。                   アルバートチェーンには、ダブルチェーンとシングルチェーンがあります。 これはダブルチェーンであり、シングルよりも古めとなるそうですが 英国製ではそれぞれにホールマークの刻印で製造年代が分かります。 一般的にはTバーを釦ホールに引っ掛け、 当然ながらポケットウオッチの落下防止を担います。   ウエストコートがダブルブレストの場合、Tバーはホールに掛けますので 冒頭写真 チャールズ国王の様にチェーンの中心は右寄りになります。     このウエストコートではもう一つ 古のディテールがあり、 それはセンターシームなのです。 後で触れて参ります。                 スリップが見えますね、程好く顔を見せ 左上前でウエストコートの打合いとリンクさせます。 (先にも述べたように取り外しが出来ます。)   重ね着の様に見えますね! 正にその要素が目的なのですが。   因みに、Tシャツで 襟ぐりや袖口に重ね着風に見せた 配色部分パーツが加えてあるのを見た事がありますが これも目的はスリップに同じですね!     しかし生地色はブラックに見えますよね、、、 それが狙いのチャコールグレーでもあり H.Lesserも意図している事でしょう。                               センターシームに着目してみましょう。 この意図的に組み込まれたシームにホールを敢えて設けられ、 チェーンのTバーはシングルブレストの様にセンターへ納まります。   英国古着に造士が深いお方は見た事があるかも知れません。                 エドワーディアンのフロックコートです。 冒頭でも述べましたが、ウエストラインに上下を分断する縫い目 そして腹部の前中心に左右分断の縫い目がある事が見て取れます。   冒頭写真のフロックコート、そしてこのイラストを見てもわかる様に、 ダブルブレストのウエストコートは釦数が多く、 8釦‐4掛けなど より縦に長く腹部面積を覆います。   シームがある事により、そのシームを利用して クセ(ダーツ)的な概念を盛り込む事が出来ます。 故に腹部の覆う面積が広ければ広い程に このシームの効果は大きく、 立体的な身体に寄り添わせることが可能となります。     もう少し時代は流れ、、、 ダブルのWCも6釦‐3掛けあたりに落ち着き、 釦配列は腹部にある程度 集中されます。 そうなると前中線長は短くなり、シームの効果は昔より薄まると言えます。   だからこそ、上記状況と、ポケットウオッチが使われなくなってきた事などを背景に センターシームは排除されるようになったのだと推測できます。 勿論 作り手が楽だからという要素も必ずあるでしょう。                 では名探偵にもご協力頂きまして、、、全くもって同じですね。 このディテールは、ブラックだから、フォーマルだからではありません。 ダブルブレストのウエストコートだからです。   センターシーム長が短くなったとはいえ、 シームを切るならクセ取り的要素も入れます。 より身体へ吸い付くように、、、 名探偵の様に腹部が立派であればある程 その効果を盛り込めると言えます。 では何故 ダブルブレストの上着は切らないのか、、、 確かに切れば効果を盛り込めますね。 それは多分ウエストコートには『チェーンホールを開ける』 という要素がプラスされているからではないでしょうか。               ではトルソーの為の服ではないですから 着用写真もご覧頂きましょう。   チェーンを使わなければただのシームがあるだけであり、 名残であるラペルのフラワーホールに同じです。 しかしそのシーム効果だけはフィッテイングに作用として残ります。   スリップは外してあり、サッパリと見慣れたクラシックな印象です。               上着は超ベーシック。 トラウザースの裾は折り上げ、スリップも外し、 極クラシックなダークスーツです。   これでドレスTR(コードストライプ)を履けば BLACKLOUNGE SUITS となります。 まぁこれもラウンジスーツであり、ブラック範疇ですが、、、、。   真面目そうに見えますね(笑)。             スリップを付けました! Vゾーンにアクセントが加わり、より華やかな印象とも言えます。   これでドレスTRを履いて、足元にはスパッツを装着すれば 私の中でのブラックラウンジスーツの完成です。   袖口から白、そしてVゾーンはシャツ衿の白、そしてスリップの白。 これでスパッツを付ければ足元の裾口からは そのスパッツが程好く顔を出し、 素晴らしくコントラストの効いた重ね着スタイルの完成となり 本当に美しく成り立っています。   昔の方々は本当にお洒落であり、紳士の着るスーツ(スタイル)が どれだけ完成・熟成され続けてきたか分かるというものです。     ここまでお読み下されば、上着の袖口からシャツのカフスが出ていな事が なんてナンセンスなのかも繋がりますね。 理由はそれだけではありませんが、正しきサイジングを知る事が 美しくスーツを着こなす近道となるでしょう。               スリップ、小さく些細なパーツながら、効果は絶大なものです。 普段のビジネスシーンには重いようでしたら結婚式や 日中での重要な会合、パーティーなどで如何でしょうか。     日本の、日本人特有な冠婚葬祭やリクルート用などで重宝されている 『ブラックスーツ』 という作られたポジションが実在しています。 便利だとしても歪な概念を少しでも打破し、 本質に近付けたいと微力ながら思っております。                     ・・・・・如何でしたでしょうか。   次は本当の意味での着こなし(ドレストラウザース)を履いて いつか続編をご紹介したいと思っております。   では いよいよ師走を迎えます。 どうか今年も最後まで 宜しくお願い申し上げます。                 ・・・・・British Style を愛する顧客様方へ。 クラシックなスーツやコート(ジャケット)を仕立てても、 合わせたくなるような英国製のシャツ地はお選び頂ける見本が今は無く、 英国テイストのシャツ地もめっぽう少ない! RINGHART社も注文できなくなり、 私自身もそういったご要望にお勧めが無く大変困っていました。   なので、、、 ACRON SHIRTING を仕入れました!   初回なのでそう多くはありませんが、、、 正確には発注済み、入荷待ちです。 私個人も欲しいですし、『らしさ』のある英国シャツ地を 厳選して ご提供させて頂きます。   届き次第 改めてご紹介させて頂きますので、是非ご期待くださいませ。 来月は 【 ACRONプチ祭り 】 を開催予定です(笑)。                   ・・・・・大変恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。 次回は、12月12日(火)を予定しております。   寒くなり、誰しもが忙しくなる師走 どうかご体調には十分にお気を付け下さいませ。     今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。              

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