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Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 VINTAGE DORMEUIL:CHIC 】

    2022.07.26 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 VINTAGE DORMEUIL:CHIC 】

        暑中お見舞い申し上げます。 先週には『大暑』も迎えましたし、厳しい暑さが続いております。   暫くは暑さと付き合わなければ成りませんが、 その先の秋冬を心待ちに頑張って参りましょう。       改めてご連絡させて下さい。 HOUSE STYLE ORDER限定による【 早期受注キャンペーン 】が始まります。 8月1日(月)~22日(月) までの約3週間となります。 秋冬用としてはお早目な御注文の分、いつもより少し多めに工期を頂きます。 その代わりと致しまして、ささやかながらお値引きが入るという工場さんの企画となります。   ご注文の内容は、春夏物でも構いませんし、 オーバーコートやオッドジャケット等も対象となります。 どうかこの御機会を是非 有効活用して頂けましたら幸いです。   何卒宜しくお願い申し上げます。                 ポアロはとてもエレガントな探偵さんとして知られています。 アガサ・クリスティー原作のドラマであり、設定されている時代は1930年代と 紳士服が一番エレガントであったと言われる時代です。   グレーのクラシックな三つ揃い、氏には帽子にステッキも欠かせません。 上着はピークドラペルの本返り三つ釦、ラペルには 『ポージーホルダー(フラワーホルダー)』 で花飾りも忘れません。 ウエストコートのアルバートチェーン含め、こういった小物はまだまだ アンティークで探す事が出来ますので、お好きな方はそんな楽しみもありますよね。   そこまでしないにしても、グレーの三つ揃いが放つ 大人の魅力は大変惹かれるものがあります。 黒では無い このグレーのグローブが また大変利いています!           無彩色であるグレーは どんな色でも受け入れ、合わぬ色が無い程に器の広き色です。 だからこそ、そんなグレーに青味を味付けすれば渋いブルーグレーに、 ベージュを味付けするとグレージュにと絶妙な中間色も奏でてくれます。   こちらのスーツは縞による織り柄が見受けられますのでヘリンボーンでしょうか。 ウエストコートはダブルブレスト、確りとチェーンホールも開けてあります。 T-BARは釦ホールに留めても良いのですが、ダブルの構造上どうしても片足が長くなるので ホールはセンターに開けられるパターンもしばしば見受けられます。   細かな所で見ると、ウイングカラーの剣先はラウンドしており乙な演出です。 そしてグローブ、昨今のグローブは手首までと大変短く、 スリットが僅かに入っている!?かのモデルばかり、、、。 一番のクラシックグローブは名探偵もされているモデルであり、 手首を確りとホールドする丈は釦留めされます。   http://dittos.seesaa.net/article/440640193.html 【 BESPOKE GLOVES受注会 】   グローブの受注会、もう6年前にもなります。 革製品ですし基本的には冬だけ用ですからお仕立て頂きました皆様のグローブも まだまだ現役である事と思いますし、味わいも出てきている頃では無いでしょうか。 そろそろご要望もあり 再開したい所では御座いますが如何でしょうか!?         名探偵のチェスターフィールドコート、とても極上なカシミアなのでしょう。 肩周りや肘部での光の陰影、ウールではここまで出ません。 胸ポケットは排除され極シンプルに、腰ポケットは片玉縁で仕立てられているのが分かります。 これらのディテール、、、昔は普通でも 今では通好みな選択となるかも知れませんね。   打ち合いも深く、ピークドラペルが一層エレガントさを際立てます。 オーバーコートを着る季節が恋しいです!             さて、名探偵のエレガントでクラシックな装いにウットリとした所で 暖機運転もお済みの事でしょう。 今週も引き続き秋冬用の VINTAGE SUITING を御紹介させて頂きたいと思います。     先週は最古のミルでもある MOXON でしたが、 今週は最古のマーチャントでもある DORMEUIL です。 数々の名品を残してきた実績は皆様も知る所で御座います。           DORMEUIL   1842年創業の同社は、イギリス製の生地をフランスで販売する事から始まりました。 紳士服地だけでは無く、パリコレ常連の一流メゾンにも沢山の生地を供給し、 ファッション的なエッセンスも大切にされて参りました。     今週御紹介させて頂く生地ですが、 当時メジャー展開していた 【 CHIC 】というシリーズからの御紹介です。 80年代初頭 一般的なスーチングは今でいう スーパー表記だと70~80位であり、 これでも十分に高級・高品質な舶来物の羅紗(毛織物)で御座いました。 まだ私が小学生の頃です。   この同時代での極上なトップレンジがやっとスーパー100であり、 GOLDEN BALEなども出てきております。   表記数値では 糸(原毛)が太いという事になりますが、 実用性を考えればむしろ丁度良く、細ければ良い訳ではないという事です。 その恩恵たるメリットは大きく、実用性や耐久性が高く、皺になり辛い上 復元力も高い。 昨今の柔で直ぐ皺になる生地と比べれば 圧倒的に硬派で質実剛健な性質となります。 これが本来の『らしさ』溢れる英国生地というものです。   仕立て映えするのは当たり前、立体的なフォルムを生み出し、 迫力と共に着用している安心感やホールド感などは抜群であり、代えがたいものがあります。         当時らしい迫力と説得力のあるプリント、今では廃止されています。 これ、、、アイロンにベトって付きますのでTAILORは嫌いです(笑)。             ネイビー範疇に入れたいブルーグレー地、 落ち着いた印象で控えめなストライプが品よく浮き出ます。             もの凄く表情豊かですが、皆様 気付かれましたでしょうか!? ベースの織り柄、これはヘリンボーンの様で違います。 ピンヘッドというクラシックな織り柄がありまして、 幅を決めて織り目の向きを変える PINHEAD STRIPE です。 ヘリンボーンがツイル目で行う所を、これはピンヘッドで同じ事をしているのですね。   VINTAGE H.Lesserであった この織地に惚れ込み、 10周年記念生地でT&L社に復刻してもらいました。     http://dittos.seesaa.net/article/468986091.html 【 10th anniv.PINHEAD STRIPE 】   現行品では滅多に見受けられない織り柄でもあり、 その織り柄にストライプを更に足したデザインとなります。   粋ですね!           これまたブルーグレーというのが かなりミソな所です。 遠目には溶け込み、単にシンプルなブルーグレー地のスーツに見えますが 実はかなり凝った逸品でもある訳です。 近付く程に この多彩な表情は顔を出し、 意表さえついてしまうであろう この生地の魅力です。           上の10th-ANNIVリンクページでも掲載していますが、 このブルーグレーのスーツが素晴らしく素敵です。(ポアロが痩せたようです!) こんな粋にサラリと着こなしたいものです。               次の生地は純粋にグレー、かつ ライトグレーです。 やはりグレーは本当に品がありますし、大人な印象です。       こういった明るめのスーチングは、 インナーのシャツやタイをやや強めにしてコーデすると もの凄く映えます!   シックに!?(笑)  黒靴でも良いですし、茶靴でも似合いますのもグレーが持つ懐の深さです。 もう少し細かく言えば、そのスーチング(生地)のトーンに合わせて靴色も広がります。 チャコールグレーやダークグレーにタンの靴は合わせられませんが、 トーンの薄いライトグレーなら合うという事です。           ライトグレー、スーチングでは春夏用に好まれる傾向色ながら 敢えて秋冬に着用するのが新鮮でしょうし、 本当に品がありますので是非お勧めで御座います。             この生地で三つ揃いを誂えたとします。 たまにウエストコートを変えてみたり、 またはトラウザースをチャコールグレーにして着こなされてみて下さい。 驚く程に魅力的で、ガラッと変わった顔も見せてくれるでしょう。   自分でお勧めしていたら欲しくなってきました(笑)。         ライトグレーのダブルブレストも素敵ですね。 チェスナットの靴にボルドーのタイ、 こんな有りそうではあるコーデですが、凄く素敵な鉄板コーデです。               ・・・・・如何でしたでしょうか。 まだまだ暑い日々は続きますが、だからこそ 仕込みに良い時期へとなって参りました。   暑ければ暑い程に、 打ち込みが効いて肉の確りとした生地による三つ揃いを早く着たくなります!   寒い冬をイメージして、是非とも秋冬の装いを頭に思い描いて下さい。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。                  

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  • 【 VINTAGE MOXON ② 】

    2022.07.19 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 VINTAGE MOXON ② 】

            1928年:英国 地下鉄の駅での一コマですが、混んでいますね! 男性は誰しもがクラシックなスーツを着込み、帽子を被っております。   昨今でのスーツの着用率からすれば、 もはや制服かの如く さも当たり前に着られています。       まだまだ誂えが主流でもあった時代、TAILORが違えば カットやサイジングなども価値観含め様々に違いもあります。 確かに色や柄の違いはあれど、ファッショナブルな女性服と比べて 紳士服のスーツはシンプルでベーシック極まりない訳ですから、 女性から見れば ある意味つまらなく見えるかも知れませんよね。 そんなスーツだからこそ、生地や仕立てに拘り、 唯一無二で最高の着心地をと求められていたのでもありましょう。     スーツという呼称の内訳は広く、ビジネス、タウン、カントリー、スポーツ、 そしてフォーマル等とシーンにより多岐に渡りますが、 これだけスーツが愛され誰しもが着用していた訳ですから 多くの生地屋や仕立屋が切磋琢磨に高いレベルで競争が成り立っておりました。         織れば織る程に売れていた時代、競合他社との更なる差別化の為にも工夫を凝らしたり、 珍しさや希少価値性を求めたりと 昔の生地はバリエーションと 展開総数が今とは比べものにならない程充実しておりました。   しかし、時代はカジュアル化へ進行し続け 当然ながらスーツ(TAILORED CLOTHING)という括りでのスタイルによる マーケットは縮小し、沢山あった生地屋さんも随分と減ってしまう事になります。     そんな生地だけで見ても、現代では随分と技術発展もあって機械化が進みつつ 効率化も図られ、良い物をより早く織れるようになりました。 逆に当時ではまだまだ手作業比率が高くて効率も悪く 多くの工程や手間をかけた物が多く、、、これらは生地に限った事ではありませんが、 今となっては結果的に味わいや温もりといった品質や付加価値にも繋がって参ります。   何といっても手の価値、時代が古ければ古い程に 人件費が安いという事にもなり、沢山の技術が培われておりました。 今では復刻する事が出来ない物、事ばかりです。 仮に出来る物・事があった場合、その当時より何倍ものコストを掛けなければ成りません。     昨今の生地では見られない・味わえない生地達に往年の想いを馳せ、誂え、纏う。 VINTAGE FABRIC が人気たる所以の一つでもあるでしょう。       この秋冬に向け 今週、来週とで魅力に溢れた VINTAGE SUITING を御紹介したいと思います。               MOXON   1556年創業 現存する世界最古といわれる英国は超老舗のミル。 ショーンヘルの低速織機を頑なに使い続け、 多くの名立たるマーチャントへも生地を供給していた名門中の名門です。 (同社の詳しき情報は下記リンクより御参照下さいませ。)     http://dittos.seesaa.net/article/452864090.html 【 VINTAGE MOXON 】     今週は 3種 御紹介致します。 当時 MOXON社では【 THOROUGHBRED 】 というシリーズが展開され、 様々な生地を展開しておりました。   名門が 更にサラブレッドと名付ける位ですから、 それだけ自信を持って展開されていたシリーズという訳です。 3種全て VINTAGE MOXON : THOROUGHBRED です。 (ハンギングシールや織りネームにも確りと記載されておりますね!)   100% WOOL ABOUT  360g   SUPER 100のウーステッドをショーンヘルにて織り上げられた逸品で御座います。             赤味を帯びる綺麗なネイビー地は濃い目なロイヤルネイビーの様です。 それなりの主張を醸し出す縞の織り柄が特徴です。   そして 当時の『らしさ』溢れる風合いは格別なものがあります。           なんて装飾的な縞柄なのでしょう、、、。 こんなの勿論 現行品では見る事が出来ません。 個性的で特徴的な縞柄による魅力的なネイビースーチングです。 柄は少し離れれば地に溶け込み、 薄らとシャドーストライプのスーツ地に見える感じです。           この複雑で装飾的な縞柄、レースのデザインの様でもあります。 光による陰影によって これがまた魅力的に存在感を醸し出してくれます。   生地も確りと打ち込まれ、厚過ぎない 360g は 程好い安心感と着用感と共に、確実に仕立て映えのする生地でも御座います。               お次の御紹介は、兄弟となり 同じ織りによる色違いとなります。                 こちらはやや明るめなグレー地、落ち着いた無彩色であるグレーのトーンは 薄目に料理され とても品があります。   この距離でも、独特な織地柄が個性を放っているのが見受けられますね。       ドレープ感や光の陰影より、糸や生地としての品質が感じられる事と思います。         綾織の変化織りという類になるでしょうが、、、、 VINTAGEの場合、その多くは固有名称さえ無い、もしくは分からないですし、 初めて見る織りであったりも致します。   バスケット織りに近いのかな!? ベーシックなその無彩色は、 独特で魅力的な織り柄によって控えめな主張が際立つ 素晴らしい生地として仕上げられております。           最後はこちら、ネイビー地となります。 ネイビー地ですが、ある意味英国らしい グレーシュでくすんだ印象が加味された色であり、 雨の多きロンドンの空模様に大変似合いそうなネイビー地ですね。         この独特な色味により、主張や強さも無く、逆に大変使いやすいスーツングとして ビジネスやタウンの場でハマってくれる事でしょう。           先のグレーに同じです! 糸の色は数色使われているので杢糸遣いの様な霜降り感が味わえます。             兄弟を並べてみました。 色の印象と共に、同じ織りでも表情の出方も変わります。               ・・・・・如何でしたでしょうか。 名門が展開するサラブレッドですから間違い無いシリーズからの逸品となります。   BESPOKEであれば仕立て上がりは年を越しそうです。 HOUSE STYLE ORDER であれば、 ご希望により8月からの【早期受注フェア】もご利用頂けます。   VINTAGEは限りある在庫であり、そんな儚さもあります。   どうか この個性的な子達へ実際に会いに お越し頂けましたら幸いです。 服地は洋服に誂えられ、 御注文主様に着て頂いてこそ その本望を全う出来るのです。         皆様とお会い出来る日を楽しみにお待ちしておりますので、 何卒宜しくお願い申し上げます。   今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。                

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