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Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 TWEED / SUPERFLEECE:4P-SUITS 】

    2020.10.20 Bespoke Tailor Dittos. STYLE

    【 TWEED / SUPERFLEECE:4P-SUITS 】

        今年は確りと秋が感じられ、一カ月くらい前倒しで寒さも到来しております。 皆様 秋冬の装いを楽しまれておられるでしょうか。   もうTWEEDもイケますね! 今週は私事ながら BESPOKE 4P-TWEED SUITS の御紹介をさせて頂きたいと思います。   (先に申し上げますが、今週はかなりのボリューム量です。 来週のBLOG更新はお休みを頂きますので2週に渡り ゆっくり、じっくりとご覧頂けましたら幸いです。)             気持ちと装いだけでもカントリージェントルマン! 三つ揃いのスポーツスーツにフラットキャップを合わせての4Pとなります。     William Bill SUPERFLEECE 100% WOOL 375g   先週 御紹介させて頂いたツィードのシリーズとなりますが、出会いは早くも2年前です。 ツィード好きな私が一目惚れし、有無を言わさず自分用にも買い付けておりました。 2年の歳月をかけ、やっとデビューを果たす事が出来ます。   緯糸にブラウン系、経糸にグリーン系、正に主体となるアースカラーです。 ブラウンとグリーンを掛け合わせると何色になるでしょう!? …イメージ出来ましたでしょうか?  答えは カーキ色 となります。   軍服でもカーキ色は欠かせぬ存在ですが、何故だかお分りですね。 そのカーキ、男なら誰しもが愛着感じる好きな色ではないでしょうか。   縦にマルーン、横にマルーン×ネイビーの親子縞でのウインドペーン柄を重ねてあります。 そそる色味と配色です。         シャツは 英国:RINGHARTのブラッシュドコットン、 クリーム色のベースにプラム×ネイビーでのタッターソールチェックとなります。 ツィードで使われているウインドペーンの配色とも抜群に合います。   シャツの格子色であるプラム×ネイビー、これを掛け合わせると深いパープル色になります。 タイは 正にその配合たる深いパープル地のウールタイ、フォックス君のモチーフ柄です。   スロートタブを携える事により、更にカントリー色も濃くなりますね。 上着はプリーツ入りの 3-パッチポケット、 背中にもそれぞれ統一したインバーテッドプリーツが施してあります。               スロートタブは飾りでは無く機能としてのディテールであり、 ゴージラインが衿ぐり線であるという事が分かりますね。 歴史たる紳士服のクラシックなバランスは完成されておりますので、 著しく位置が高かったり角度の特徴的なゴージラインはクラシックでは無く ファッションである事がお分かり頂ける事と思います。   このスロートタブは取り外し自在です。 上衿と繋がって作られるのもありますが、分断できる事により気分やテイストに合わせて 自由に着脱が出来る事、そして分断する仕立て方だからこそ 上衿をクセ取りして成形し、折代である『ヒゲ』も付ける事が出来ます。 このヒゲこそ、長きに渡り着用される誂え服たるポテンシャルを持たせる事になります。   その服を存分に堪能でき、行く末まで見越した仕立てに対し 惜しむ事無く手間と目的が凝縮されているのです。         上着の腰ポケットであり、インバーテッドプリーツはデザイン的なポイントであると共に 立体物を入れても体積が広がる様に設計された機能美たる意匠です。 英国らしさ溢れる この口布のカーブ線の在り方までもが拘り所です。 生地が相当重なり合いますが、見えない所でも様々な計算とテクニックにより 出来る限りサッパリと仕上げます。 見えない裏側ここそ技術が隠れ潜んでいるのです。           身頃に確りと柄合わせされた腰ポケット。 これ、、、気付かれぬでしょうが本来では柄合わせに矛盾が生じます。 センターのプリーツ線で生地が畳まれていますが、実はその折線自体 ポケットのバランスにより緩い傾斜(縦縞に平行では無い)が付けられています。   普通に畳んでしまえば プリーツ線を挟んで前面側は身頃に合わせた通りに柄が合いますが、 後半側(脇側)は縦・横共にウインドペーン柄の線がズレる事になるのです、、、。 横縞だけを意識すれば、畳む際に多少捩り込む事で何とかなりますが、 縦縞はどうしてもスタンス(格子柄幅)が合いません。   故に、全てを完ぺきに合わせようとすると 各パートで切り替えて繋げ合わせる事により ここまで完璧な柄合わせが可能となります。 口布・前布・後布、奥襞となる向布、そして裏布と計5パーツから構成されているのです。 格子柄だからこそでもあり手間と共にこういった柄合わせをする為生地も沢山必要になります。   上記写真のプリーツが開いた時、奥襞(向布)の横柄も合わせて裁ち合わせするので、 極自然に見えますが 作り手の手間がこんな所にも内蔵されているのです!         背ベルトの付いたピンチバック スタイル、 背中から裾までインバーテッドプリーツが畳まれています。 実はこれもウエストシームを敢えて施す事で、 上部・裾部とでプリーツの襞幅を意図的に変えています。 ですが、縦柄は完璧に縞が合っていますね! 全て計算の上で正確な裁断・縫製が行われているのです。 ベルト然り縦縞を合わせています。         このウインドペーン柄、やや縦長の長方形です。 背中心のセンターシームが中心となり、左右の柄が合う様に裁断されます。 上衿をご覧下さいませ。 マルーン色の縦縞が確りと合っていますね。 格子柄の横幅が正確に合っているという事です。   更に 今度は横縞であるマルーン×ネイビーの親子縞、 身頃ネック部分の縦方向に格子柄の縦幅を合わせて 上衿パーツは計算の上で柄合わせされています。 故に、折り返った上衿とネック部分の身頃での格子柄が 縦横完璧に揃うよう柄合わせされているのです。 結論的に言えば上衿パーツも残布の取りたい所で取って良い訳では無い という事になりますので、やはり要尺は嵩むわけです。           上記 背中周りの柄合わせやポケット類、 ここまでは それなりに高級な服であれば考慮された裁断が成されている筈です。 しかし、次は考慮に入れた裁断をしたTAILORED(上着)は案外少ないのが現状です。   フロントの釦を閉じます。 左右の前身頃が重なり、釦で定まりますね。 その時に、先ほどの背中心線同様にフロント側でも打ち合いが定まれば 格子柄が確りとその比率を正確に合わさる様に裁断されているのです!   3釦の真ん中、これは製図上のウエストラインであり 基本的には一番シェイプされる位置となります。 ここに格子柄のセンターを持ってくると一番美しく理想的です。   最優先に前身頃をベストポジションで定め、 後身頃は前身頃の脇の横縞に合わせつつ、背中心を縦縞に合わせて取ります。 山袖は前身頃のアームホールにポジションを柄合わせ(横縞)、 谷袖は山袖に連動、、、こういった具合です。   昨今では世界中のテーラーやサルトリアの仕立てた写真が インスタで簡単に見る事が出来ます。 グレンチェックでもウインドペーンでも この縦幅方向の柄合わせを施された裁断、、、見つけてみて下さいね! 格子柄だけでは無く縞柄(STRIPE)でも バンカーストライプクラス以上なら考慮の上 裁断します。   柄合わせは拘れば拘る程に時間と手間、 そして生地要尺が掛かるという事になります。 知ってしまえば こんな所からも そのお店の物作りへの熱意や拘り、 コストへの意識などをも垣間見る事が出来るとも言えてしまうのですね。           今回は衿付き仕様でポケットは腰のみフラップ付きです。 各ポケットやフロント打ち合いの柄合わせもバッチリですよ!           ウエストコートの衿、これはジャケットの様に身返し側が返るタイプの本返り仕様、 そして今回の様に衿のみ独立して作り 後付けされる仕様のタイプと2種類あります。   双方にメリット・デメリットがあります。 サビルローでも昔から伝統的に採用されてきた後者である この後付け仕立て、 これはインナーとして衿周りが嵩張る事無く 本返りに比べ薄くすっぺりと出来る事、 要尺が本返り程 掛からない事が挙げられます。 そして意図すれば身頃自体に柄合わせで作る事も可能です。   ( お店には C.ビートン卿がタッターソール柄の ダブルブレスト・衿付きのODD WAISTCOATを着用された写真があります。 これは後付け仕様:身頃合わせで衿柄が裁断されています。)   肩線をご覧下さいませ。 お皿の底の様に反ったインカーブで仕立てられているのが見てとれますね。 首元であるシャツのカラーへ寄り添い登る様に、 そして前肩考慮で立体的に仕立てられております。   一般的には手抜きをされがちなウエストコートというアイテム、 こちらも妥協は一切ありません。 拘りまくった上着(ジャケット)のインナーです、 スーツ(三つ揃いでセット)としてのクオリティーバランスは大変重要な事であり、 疎かなアイテムがあれば その拘りは本末転倒となります。           今回のライニングは大正から昭和にかけて主に愛用されていた ノスタルジックなアルパカ裏地を使用しました。 経糸にコットン、緯糸に昔はアルパカ、、、後期はモヘアなどが使用されています。 高級裏地の代表格でもあったアルパカ裏地、大いなるメリットは丈夫さです! 落ち着きと渋みがあり、獣毛が故の柔らかさ、 温かさも兼ね備え、表地とのマッチングは抜群です。 その代わりデメリットは いまいち滑りが良いとは言い難く、、、、 これは着心地や動きやすさに直結致します。   アルパカ裏地は滑り含めた性能の良いビスコースやキュプラなどの 台頭により姿を消してしまいました。 コスト面も否めぬ所でしょう。   フラットキャップのライニングも勿論合わせてアルパカ裏地です。 薄い中綿を噛ませ、キルティングステッチが掛けられます。 保温性も格段に上がりますよ。         トラウザースはプラスフォワーズと迷いましたが、、、 クラシックな IN・2-PLEATSのハイバックスタイルにしました。           当店ではBESPOKEは勿論の事、HOUSE STYLE ORDERでも 折り返しの付いたダブルの裾上げには傾斜を付けており、 これも斜めに織り上げると矛盾が生じますが 技術で解決します。 BESPOKEで前後差3㎝、HOUSE STYLE ORDERの方で2㎝弱といった所です。 柄があるので傾斜が付いているのが分かり易いですね。   ダブルの傾斜付き、これも行えるお店は限られます。 BESPOKEであればシングルでもダブルでもリクエスト頂ければ 傾斜度合いさえご希望に伺えます。 その度合いにより裾上げの手法も変わります。   何故傾斜を付けるのか、、、圧倒的に見栄えと収まりが良いからであり、 手間をかける価値がそこにあります。           腰部内側です。 腰幕という深めの綿裏が名の如く幕の様に付けられます。 トラウザースの裏地であり、保護的な役割と共に 業界用語では『ボロ隠し』とも言われ、縫代など含め様々な物を覆い隠しています。   マーベルトを使用せぬ当店HOUSE STYLE ORDERのトラウザースにもお付けしています!           足筒を裏返した内側、各縫代は手縫いによるカラゲ縫いで解れ止めです。 裾につく靴擦れは伊製の専用コットンテープを使用し、一周ぐるりと付けます。 これも様々な理由や意図(メリット)があるからであり、 工夫が内蔵された付け方をしています。   長く着用すれば膝裏も擦り切れます。 膝裏修理はロックミシンよりも数段交換が楽でもあり、 長く着て頂く事を考えればこそでもあると言えますね。 ロックミシン始末、手かがり始末、 双方にやはりメリット・デメリットがあります。                 お疲れ様で御座いました、、、、 余程好きで興味がないと付き合い切れぬ文量ですね(汗)! お付き合い有難う御座います。   では、誂え服ですから 最後に本人の着用した姿をご覧頂いて終了となります。           なんか 反省して しょんぼり しているみたいですが、 帽子を見えやすくしようとしまして、、、。 心は大満足のウキウキで踊るくらいに嬉しいのです(笑)!                 このバックスタイルですよ! センターのインバーテッドプリーツを挟む様に両側には ダーツ式プリーツ(=タック)が畳まれており、こちらも当然動きにより開きます。                       やはりツィードに合せるブレイシーズは クラシックなBOX CLOTHが相性良いですね。 このALBERT THURSTON は随分と古い VINTAGEです。 現行品と比べ、設計バランスもハイライズ(深い股上)前提であり かなり手縫いが多用された芸の細かな手法で作られております。 これも復刻を相談しましたが、現在使われていない材料や 職人さんのレベルや確保により無理との事でした、、、寂しい。           靴は私の 1st-BESPOKE SHOES となる福田さん製の外羽フルブローグ、 外ハトメがポイントです!   靴下はダークオリーブにマルーンのジャガード織による柄が入ります。 NEW&LINGWOOD製であり、顧客様よりロンドンのお土産として頂戴致しました。 こういったエグいセンスは国産はおろか他では探せぬ英国らしさがありますよね。 N様、お気に入りであり大切に愛用させて頂いております!               ・・・・・如何でしたでしょうか。 薀蓄や技術論など制限はあれど 語りだせばキリがありません。     何故 BESPOKE SUITSが高額であり、掛替え無き最高ステージなのか、、、 ほんの少しでも感じて頂く事が出来ましたら幸いです。         秋冬はやはり楽しく心が躍ります。 TWEEDを見れば、着れば気持ちも高揚するばかり! 仕立て上がった服を今度は愛用しながら育てて参ります。   これも遣り甲斐ある楽しきお付き合い、 5年後、10年後にはどんな味わいが出ているでしょうか。 誂えたスーツに対し、シャツやタイ、ストールやグローブ、ソックス等 小物類に至るまで どんな物が合うかなと楽しみは広がるばかりです。   是非皆様も魅力的なツィードと巡り合い、服である相棒と共に歳を重ねられて下さいませ。 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。           ・・・・・誠に恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。 次回は 11月3日(火)の更新予定となりますので、 どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。     では 装いを楽しみつつ、急な寒さには十分にお気をつけ下さいませ。 今週も誠に有難う御座いました。            

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  • 【 BACKLESS WAISTCOAT 】

    2020.05.12 Bespoke Tailor Dittos. STYLE

    【 BACKLESS WAISTCOAT 】

          5月も半ばを迎え、そろそろカンカン帽も似合う季節になって参りました。 外出がままならぬ状況下、ご体調など崩されてはおりませんでしょうか。 一日でも早く平穏な日々が戻るよう願いばかりです。       今週は 先週にも登場させて頂きました BACKLESS WAISTCOAT につきまして、 歴史や背景などを交えてお話をさせて頂きたいと思います。             イブニング・フォーマルの正礼装であるテールコートに合せるべき ピケ等で誂えられたイブニングドレス・ウエストコート。 クラシックな前後身頃から構成されたスタイルだけでは無く、 仕様のバリエーションとして今回のお題目であるバックレス・スタイルは 多く愛用されて参りました。   ご覧の様に かの名店でも素敵な広告が残っています。           リアルな VINTAGE CLOTHING のバックレス・スタイルです。 本来では皆様がご存知の様に、前身頃と後身頃で 構成される中衣が一般的なウエストコートです。 まだ暖房設備が現代の様に整っていなかった時代、 下着であるシャツと上着の間に入る中衣が及ぼす役割は大きく、 温かさと共に ブレイシーズやトラウザースの腰帯、 シャツとトラウザースとの分断線を隠すなどの役割も担っています。   http://dittos.seesaa.net/article/464675692.html 【 DINNER JACKET② 】 中衣に付き、こちらも合わせてご覧頂ければと思います。           英国の古き裁断書でも クラシックなウエストコートと共に、 バックレス・スタイルも当たり前に掲載されています。 背中が排除され、首元で吊るしつつ 胸掛けの様に覆った上で 脇から腰に回したベルトなどで装着されます。   このスタイルは1930年代のファッションには欠かせぬ仕様となり、英国貴族を始め、 ハリウッドスター等にも愛用され 大きなトレンドとなりました。   この仕様に関する誕生は極シンプル かつ単純であり、夏場での結婚式や各種フォーマルシーン、 そしてダンス等をする際に少しでも快適に涼しく、、、という事で考案されました。             ・・・・・この仕様を語る際、欠かせぬ名店の存在があります。   1913年創業 Hawes & Curtis ロンドンのピカデリーアーケードに第一号店を開いた仕立屋(洋品店)となります。   ウインザー公爵、ケイリ―グランドやクラークゲーブル、ビンククロスビー、 フランクスナトラ、そしてフレッドアステアまで名立たる名士が顧客であり、 ウインザー公からはロイヤルワラントも授かっております。 ( 因みにウインザー公との関わりは深く ウインザーノットに見合うタイ、 そしてその結びに見合うワイドカラーのシャツ等も共に作り上げてきたそうです。)   1920年代、創設者でもある GF Curtis氏がロンドンのボールルーム(舞踏室)にて 非常に暑い日に踊っていた際、 バックレスの仕様を半ば偶然に思いつき考案されたとの歴史があります。     これはウインザー公も大層お気に召された様であり、何着も誂えています。 イブニングドレス・ウエストコートは基本白ですし汚れも目立ちます。 汗もかくでしょうし、シャンパンを零すかも知れません。 替え分も沢山用意されていたようですね。   公を含め、沢山の貴族に愛用された革新的な バックレス・スタイルをハリウッドスターも見逃しません。   当時 トレンドセッターであったウインザー公に憧れたフレッドアステアは同店を訪ねますが、 貴族からの注文過多の為と一度は断られた事もあったそうですが、、、 その後は顧客として名を連ねる事になります。   後にはアメリカでも急速に支持を得た事は言うまでもありません。   2002年に経営者が変わり 随分と大きな拡大を成し遂げる事となりますが、 その分 往年の面影は随分と薄れてしまったようにも感じられます。           1930年 VINTAGE:MOSS BROTHERS製 同社は今でも現存し、主にフォーマルを主軸とした貸衣裳店となっています。   バックレス・スタイルの支持は大きく、イブニングドレス用に限らず、 デイ・フォーマルのモーニングコートに合せるウエストコートなども含め 様々に広がりを見せます。   写真の様に 極プレーンな シングル型:6釦、良く見ればグレンチェックですね。   この仕様は誂えだけでは無く、後には既製品としての展開もあり ネックの帯は釦留めで 留める釦位置をズラす事により 長さを変えられる様な構造を持つ古着も見受けられます。 もともと腰回りはベルト状であり、それなりのサイズに アジャストする事が出来ますが、簡易な物は平ゴムタイプまで!?           こちらもVINTAGEであり、フロント6釦:全掛け仕様ですね。 一番下を外して着用される様になり、 今では その一番下の釦は配列から外した位置に設計されています。 原型タイプのデザインである事が分かりますね。   上着でいう PADDOCK CUT にかなり酷似しています。 昔は2釦モデルでは全掛け、現行クラシックでは 下の釦は飾りであり、 止められる位置に配列されません。   http://dittos.seesaa.net/article/418036041.html 【 PADDOCK CUT① 】       如何でしたでしょうか。 この様に紳士服は正に歴史であり、大抵の事は偉大な先人達により様々に考案され、 仕様含めたデザインの流れと共に歴史を探る事が出来ます。 これが 紳士服におけるリアルクロージングの源流たる BRITISH STYLE なのです。   バックレス・スタイルの背景やイメージが湧いてきましたでしょうか。 これを採用し、大真面目でバカ丁寧に仕立てた当店なりの BACKLESS WAISTCOAT をご覧頂きましょう。           極ベーシックなシングル型 6釦-5掛けスタイルです。 上着を着用していればバックレスとは全く分かりません。           一見、、、、、凧!? 蛸!? のようでもありますね。       ネックに引っ掛け 前掛けとし、背中のベルトでホールドします。 大きくえぐられたアームホール、最早アームホールとは言えないですね。 身体が覆われる面積は圧倒的に小さく、軽くて涼しい、そして動きやすい! フィット感は背ベルトの調節で賄える為、 多少の体型変化にも安易に対応出来る事になります。   確かにダンスという運動なども考えれば、 涼しくて機能的な要素は嬉しい限りであり 流行る事も頷けるというものです。         ネック周りは綺麗にシャツのカラーをホールドしたい、させたいところ。 共地によるミツ布は引き続き採用し、インナーでもある中衣としての安定感、 そして薄くフラットに身体に吸い付く様に仕立ててあります。         バックレス、ご覧の様に後身頃がありません。 ネック部と背ベルトだけですね。           これを着用してみると、当然ながらこうなります! これは決して美しくなく、 基本的には上着を脱がない前提であるという事も念頭において下さい。 勿論脱いでも良いですし、私はあまり気にしませんが こうなります!   ブレイシーズは丸見えであり、前から見ても露出は このデザイン上避けられません。 ブレイシーズはシャツ色に合わせて同化させるか、 最早見せるべく色や柄のデザインを楽しむ方が潔いでしょう。   トラウザースの尻尾錠は好きなディテールなのですが、 この組み合わせだと少々うるさく見えますね、、、、。       では、顧客様方の素敵なスタイルもご覧頂ければと思います。         S様の春夏用スーツは キッドモヘアを主体とする3者混の生地です。 白シャツにブレイシーズがシルバー、これであればあまり目立ちませんね!           同じくS様のブラックスーツです。 ダブル型の衿付きであり、とてもエレガントです。                   N様の SUPER BRIO による三つ揃い。 ダブル型の裾剣付きデザインであり、ショールカラーとなります。 爽やかで如何にも涼しげです。           ・・・・・世界的なカジュアル化が進む昨今、 そうはいっても以前と比べれば巷でも随分と三つ揃いが認知された事と思います。   スーツとは本来では三つ揃いがあるべき姿でもあり、 中衣を割愛してしまった2Pのスーツは その時点で略式となります。 ウエストコートが当たり前の時代だからこそ、様々な工夫が多くの軌跡を残してきました。   春夏であろうと三つ揃いを嗜まれる紳士方は是非お試しに成られてみては如何でしょうか。       では 最後に凄いのをご覧頂きましょう!           Adjustable Brace Attchment Waistcoat バックレスな仕様は勿論の事、更にトラウザースを吊り上げるべく ブレイシーズも兼用された発展バージョンです!   これは、、、誂えでなければトラウザースとの連動性がままなりませんね。   フロント側には5つの釦ホールがかがられたタブが付き、 これをそのままトラウザースのブレイシーズ用釦に4つ留めます。 センターにもう一つタブが余りますが、 これはソレ用に位置を合わせてトラウザースに釦が付けられたのでしょう。   ネック部の下部には釦留めで 多少サイズ調整機能の付いた取り外し式の吊りが付けられます。 取り外し式なのは洗濯への考慮や、替え用の同ウエストコートに対し、 この吊りパーツ自体を兼用でも使えるとの事でしょう。   利点として、一石二鳥の仕様であると共に、トラウザースに確りと固定もされる為 正にツナギの様にもなりますね。 それぞれのアイテムが別々に動く事、ズレる事無く 常にピッタリと寄り添い固定されている事にもなる訳です。 また、ブレイシーズ自体を使用しない為、ブレイシーズの露出!? という観点で見れば一体式ですから不自然さがありません。   凄いですね、、、個人的にはデメリット含めやり過ぎ感もありますが、 それだけ多くのTAILORがあり、技術者が切磋琢磨していたとも言える訳です。           ・・・・・既製服化と共に大量生産のもとによる効率化ふまえ 失ってきてしまった事、物、そして技術は計り知れません。   素晴らしきクライアントの方々、 そしてその顧客様方を支えてきた技術者たる先人達に敬意を払いつつ、 皆様にも御紹介させて頂きながらご堪能して頂ければと思っております。   源流たる英国での紳士服の世界は本当に深く、魅力に満ち溢れています。   洋服好きな顧客様と共に、より快適で充実した『衣』を ご提供出来る様 引き続き精進して参ります。 何卒宜しくお願い申し上げます。   ( 現在 このバックレス仕様は BESPOKE でのご注文のみとなります。 ご要望が高ければ HOUSE STYLE ORDER での展開も考えますので、 お気軽にご意見をお聞かせ頂けましたら幸いです。)             ・・・・・誠に恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。   次回は、5月26日(火)の予定となります。 どうか引き続き宜しくお願い致します。   今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。              

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