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生地に付いて

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 HARRISONS:SEA SHELL② 】

    2023.07.11 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 HARRISONS:SEA SHELL② 】

            ブルー 海や青空をイメージさせ、 爽快感と共にやはり涼しげな印象を与えてくれます。   しかし、、、暑いですね! 雨が降らなければ酷暑、降れば九州の様に 大きな被害が出ておりとても心配しております。               これからの時期はどんな生地に触手が向くでしょうか。 何を着ても暑いですから 少しでも涼しげで快適なものが良いですよね。           7月も中頃に差し掛かり蒸し暑さも際立ちますが、 皆様がご注文下さった春夏用のシャツやスーツ、 そしてオッドアイテムのご納品が続いております。   一般的な会社ではクールビズの期間でもあり、 タイや上着を着用されない時期でもありましょう。 そんなこの頃の時期に需要が高まるのが ODD TROUSERS です。   トラウザースの着用は回避出来ませんし、、、暑さを少しでも凌ぎたい。 涼しさを求め、生地を薄くすればするほど 強度・耐久性は落ち、 皴になりやすくなります。 織りで通気性を高めたり、素材自体の性能に頼るという 方向性に流れる側面も御座いましょう。     選択肢は複数御座いますが、そんな中から一種 お勧めな生地をご紹介させて頂きたいと思います。               HARRISONS SEA SHELL   55% TERYLENE 45% LINEN 360g   http://dittos.seesaa.net/article/456373692.html 【 HARRISONS : SEA SHELL 】         夏と言えばリネン、放熱効果が高く、涼しくて夏をイメージする代表格でしょう。 強度も高く、濡れると更に強くなるので洗濯にも強いという事であり、 人類と本当に長きを共にしてきた天然素材でもあるのです。   そのリネンの魅力の一つとして『皴』が挙げられます。 これが特徴であり味である訳ですが、それが苦手な方もおられるでしょう。   特に夏は暑くて汗をかきますし、クリーニング頻度は高くなるとも言えますね。 秋冬物と比べ、コストもかけ辛いとお考えになられる方もおられる事と思います。   それらをマルっと解決してくれるのが このSEA SHELL なのです。             混率表記のように、実は化繊が半分以上を占めています。 テリレンとは日本で言うポリエステルだと思って下さい。   化繊をブレンドする事により、強きリネンへ更に強度が増し、 味である皴もある程度抑えてくれるのでシワシワまで至りません。 されどリネンたる皴は十分に楽しめるのです。   平織でザックリとして通気性も良いです。 汚れも付きにくく 落ちやすい、 そしてリーズナブルである事、、、化繊の恩恵です。 肌触りは天然繊維100%と比べれば劣るのは致し方ありませんが、 もともとザックリとした生地・織地ですから全然気になりません。   SEA SHELLはスーチングですので、勿論スーツからジャケットのみ、 トラウザースのみでも良いですし、スプリングコートや ワークコートなどの類だって似合う事でしょう。   これらの特徴を考えると、ODD TROUSERS に向かぬわけがありませんね!           黒耳に黒字、ほぼ読めません(笑)。 やや明るめでくすんだネイビー、ブルー系は清涼感が御座います。           全てソリッドであり、色のバリエーションが本当に豊かです。 涼しげなブルー系も充実しており、一番左は極微妙に色付いたアイスブルーです。             鉄板なクリーム系からベージュ、ブラウンまで。             ミックスなメランジ調まで揃いますので、お好みにより選びたい放題です。 ミックス系はよりスポーティーな雰囲気が出ますので、 皆様の思い描くシーンや、合わせたいワードローブに合わせてお選びください。     では洋服(ODD TROUSERS)となった雰囲気をご覧いただきましょう。                 紳士たる鑑のようなM様、このSEA SHELLでスーツも誂えられており、 とても素敵なオリーブグリーンでした。   IRISH LINENは更に前にお誂え頂いており、 それらにも合わせるべく 今回はODD TRとしてご注文下さりました。             M様は常にブレイシーズで着用されます。 シンプルでベーシック、一切の無駄なきデザインと仕様。 2プリーツでユトリもあり、余計に涼しいですよね。             未修正のままFINISHさせて頂きました。 鉄板のクリームは必ずや重宝して頂ける事でしょう。                           S様よりのご注文です。 S様もスーツは基本三つ揃いであり 吊り用のトラウザースですが、 今回は真夏も視野にベルトレス仕様にてご注文頂きました。   お仕事帰りにご足労頂きましたのでコーデはお固いですが、 お疲れの中 誠に有難う御座います。                     お仕立て上がりです。 RINGHARTのマドラスチェック、とても素敵です! 春夏らしさが満点ですね。 本当に爽やかです。               仮縫いでは付けておりませんが、 ベルトレスは何かしらのアジャスターをお付け致します。 吊らない、ベルトもしないベルトレスでは、やはり動きや空腹時など含め ウエストサイズは多少動きますし、状況により微調節機能を設けておくのですね。   お二方共に尻ポケットがありません。 その分軽く、通気性も良いですから使わないのであれば涼しい仕様とも言えますね。             お上品なタッセルスリッポン、絶妙な股下のレングスに丁度良いですね。             S様はフロントのフォブポケットを左側に付けられます。 その隣にはDカン付きの小さなタブを携え、ここには大事な、、、、、。   休日にはワードローブに加えて下さった BUSH JACKET も必ず合いますし、 むしろこの上から是非羽織ってくださいませ!!                 ・・・・・如何でしたでしょうか。 色味も豊富ですし、スタイルも皆様次第で 吊り用やベルト用、ベルトレスとご選択ください。   ODD TR向けの生地は他にも御座いますし、 皆様の価値観やお好み等でお勧めも変わります。   少しでも快適で性能高き素材を選び、夏をも楽しまれてください。 どうせ また残暑も長いと思いますので、、、、。     では、水分補給を確りとされ この暑さを乗り切りましょう。 今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。            

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  • 【 ESTATE TWEED:Glenurqhart check 】

    2023.06.20 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 ESTATE TWEED:Glenurqhart check 】

            6月、梅雨の最中ながらも好天になれば気温は30度を超えたりと、 既に厳しい暑さも感じさせますね。 そんな時期だからこそ、誂え慣れされた顧客様方は 秋冬用のネタを仕込まれる時期でもあります。               秋冬となればツィードが恋しくなります。 ウインザー公は格子のスポーツスーツに フラットキャップも合わせて誂えられていますね。 ゴルフやシューティング、フィッシングなどのスポーツウエアでさえ 当時は丈夫なツィードがその役割を担っていました。   http://dittos.seesaa.net/article/485242277.html 【 LOVAT TWEED:5P-SUITS 】                   LOVAT MILL   ツィードの発祥地であるスコットランドのホーイックにて 1868年に設立された老舗のミルです。   ≪ エステートツィード ≫ ツィードの理解を深めるのであればエステートツィードを知る必要があります。 簡単に説明すれば、貴族や領主が広大な領地内で着用する 専用の格子柄を生み出したのですね。 丈夫で自然に溶け込むアースカラーを巧みに、 そのバリエーションは各家多岐に渡りました。 このエステートチェックに有名なタータンも含まれるという事になります。   http://dittos.seesaa.net/article/486092629.html 【 LOVAT TWEED ① 】               厳密に言えば タータンチェック とは和製英語であり、 本来はタータンのみで格子柄共々あらわされます。 スコットランドの正装としても有名であるスカートは 男性でも着用されます。                 ウインザー公の多くの愛用品はサザビーズのオークションにでました。 これは当時のカタログであり、 公の愛用品は言わずもがな目を見張るものばかりです。               中身を覗いてみましょう。 公のワードローブのうち、 カントリー系に特化した極一部の写真だと思われます。 左側の方に小豆色のグレナカートチェックの上着が見えるでしょうか。                   1923年製 公が贔屓にしていた Scholte により仕立てられたものです。 ショルテ、ショルト、スコルト、、、日本語に置き換えられると 私が見てきた記述だけで様々な読み方がされております。 確か生まれはオランダの方だったような、、、 袖のカットを見れば等袖裁断(等分配袖)が成されており 時代を感じさせてくれる一つの手法です。   日本語ではグレンチェックと呼ばれる格子柄がありますね。 正確には Glenurqhart check (グレナカートチエック)となり、 スコットランドにあるアカート渓谷(グレン=渓谷)を指し、 この地域の領主のエステートチェックとして作られました。   Glenurqhart check は Prince of Wales check とも言われています。 多くの方々の認識ではモノトーンベースで多様な織地柄で構成された格子柄であり、 スーツ地含め良く見る格子柄である事でしょう。   ですが、ウインザー公(エドワード8世)の着用していた Prince of Wales  は この色柄であり、HARRISONSがこのデザインを復刻した際には TRUE PRINCE OF WALES とし、モノトーンベースで一般的な格子は CLASSIC PRINCE OF WALES と区別されていました。   どちらもグレナカートチェックですが、 ウインザー公の格子(Prince of Wales)は別途認識する必要があるという事になります。     この格子は、MAROON『マルーン:栗(マロン)に由来する赤味帯びた茶色』 がベースであり、ブルーのラインを帯縞に加えられていると記載されています。 まぁ見れば分かりますね!   とても印象深く、魅力的な色、格子、、、、 洋服好きな方にとって公のスタイルは避けて通れませんし、 どこかしらで目にしているのではないでしょうか。               ・・・・・エステートツィード(エステートチェック)を 現代へ復刻・再生を目指し、担うのがLOVAT社の役割であると謳われています。   もうピンときましたね!                       絶対に意識されたであろうデザインですね。 因みに この帯縞はグレンストライプと呼称されますが 横方向の帯縞にはリアルに同じくブルーが採用されています。 気付かれた方はいらっしゃるでしょうか、、、 リアルのPrince of Wales checkではブルーは飛び飛びで入れてあるので、 青の入る横縞、入らない横縞と交互に織られています。 反面 LOVATは全ての横縞にブルーを入れていますね。   これ、、、、もし同じように飛び飛びで織った場合 ただでさえ格子は柄合わせの為に用尺を+α必要とするにも拘らず、 飛び飛びにした場合は 1クールのデザイン区画が大き過ぎ とんでもない尺を有してしまうのです。 故に現実的な側面により HARRISONSでもそうでしたが この様にデザインされているのでしょう。 と考えると、公の格子は相当に贅沢でもあると言えるのですね!       縦の縞を見ると、分かり辛いのですが オリーブグリーン も 帯縞色に加えられていますね。 この深みとエグ味、流石のセンスとしか言いようがありませんね!                   ・・・・・英国通で博識な顧客様より、 フラットキャップ含めたスポーツスーツの御依頼を頂戴しております。 光栄な事に 拘り深きスタイルを持たれる別の顧客様からもご注文依頼を承りました。   この生地を選ばれる方は偶然ではなく、必然で選ばれているのですね。 私は洋服バカですが、皆様も相当お好きです!!   どんなスタイルで仕立てられるのか、、、、 どうか皆様も妄想を膨らませて楽しまれてくださいませ!                 ・・・・・如何でしたでしょうか。 当店BLOGは宣伝的側面もありますし 今回の様にマニアックな話も多いかと思いますが、 普通に無難でベーシック、クラシック、シンプルなご注文も 勿論お受けしておりますし、むしろそちら側の方が圧倒的多数ですので ご検討下さる皆様もお気兼ねなくお声掛け頂けましたら幸いで御座います。     真夏を前に既に気温は高めですが、 お店を涼しくして皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。 今週も誠に有難う御座いました。               ・・・・・来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。 次回は 7月4日(火)の更新を予定しております。   どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。                    

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