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生地に付いて

Bespoke Tailor Dittos.
  • 【 CHALKSTRIPE FLANNEL ② 】

    2020.08.18 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 CHALKSTRIPE FLANNEL ② 】

          今年の夏もかなり厳しい暑さが襲います。 加齢と共に 年々夏が苦しく感じられます。   子供達にとって楽しい筈の夏休みが こんなにもつまらない夏になるとは 誰も想像できなかった事でしょうし、不憫で仕方がありません。 私達がマスクをしながら静かに過ごす中、セミの元気な鳴き声が響き渡ります。       さて、お店の方ではこの酷暑を過ごす中 BESPOKE でも少しずつ秋冬物の裁断を始めております。         チョークでチョークストライプにマーキングです。 正に名の如く、TAILOR(CUTTER)の引く CHALKの裁断線の様だからと名付けられた訳ですね。   http://dittos.seesaa.net/article/452503990.html 【 CHALKSTRIPE FLANNEL 】             このチョークは殆どの場合 白を主体として使います。 ですが カラーチョークも大抵用意致します。これは左右で非対称となる線の時に使います。   例えば左右非対称の肩傾斜(腕が付く位置の高低差)であったり、 ベルト用などのトラウザースでは股上の非対称(腰骨の左右高低差)、 そしてドレスカットなどです。   対となる左右の必要なパーツに対し(例えば右前身頃・左前身頃など)、 前提として裁断線は片側だけにしか線を引きません。 効率化の為に生地を二重に畳み、対パーツを左右一気に裁断するからです。   この様に片側のみの裁断線に際し、右側パーツの線と左側パーツの線を カラーチョークで間違い無き様 区別しやすくしています。   また、白に近い色の生地であった場合は カラーチャコを使用した方が当然見やすいですね。 しかし、例えばホワイトタキシードやホワイトリネンなど こういったケースでも大抵は白チョークを使います。   それは カラーチャコの場合、 裏側に線を引いても表側に色が結構透けてしまうケースが多いのです。 この場合 白系の生地に白チョークですから かなり認識し辛く、分かり辛い裁断線となり苦労する訳ですね。   チョークに求められる性能とは明確な線で引きやすく、 そして適度に消えやすくなければ成りません。 基本は裏側にチョークを引くのですが、 例えばポケット位置や釦ホール位置など 表側に直接引く箇所もあります。 故に消え辛いチョークは敬遠されます。   適度に消えやすい、、、だからこそ チョークストライプの様なボケた線が『らしさ』となる訳です!   ちょっと触れただけで長くなってしまいました、、、早速本編へ戻りましょう。         この御方もチョークストライプのスーツを御愛用されておりました。 シガーにポルカドットのボウタイ、正に氏のアイコンとも言えるスタイルです。           チョークストライプのフランネルスーツは秋冬用のスーツとして 是非ワードローブに組み入れておきたいスーツです。   ここでもグレー派、ネイビー派と別れるでしょうが、 ネイビーの方がストライプのコントラストがより強くなりますので このクラシックなスーチング(縞)をよりご堪能頂けるのではないでしょうか。   イラストの紳士もポルカドットのボウタイですね。           ウインザー公はグレー系もネイビー系も御愛用されておりました。 氏の小指にはTRINITYのピンキーリング、私も真似っこしましたね(笑)。         渋いですね、凄くエレガントです。 白黒写真なので目立ちませんが、 ラペルのブートニエールがとても効果的なアクセントとなっている事でしょう。           今週は少量入荷ですが、素晴らしいネイビーの チョークストライプ フランネルを御紹介させて頂きます。           ・・・・・フランネルと言えば FOX BROTHERS がやはり有名ですが、 同社では絶対に作る事の出来ないフランネル、、、 それは LUMB’S GOLDEN BALEを使用したフランネルとなります。   これは逆に TAYLOR & LODGE でしか織れぬ生地で御座います。     TAYLOR & LODGE   Lumb’s Golden Bale 330g         本来ではある意味 野暮ったさが魅力でもあるフランネルが洗礼されたかのようです。 程好く縮絨され、密であるにも関わらず 流石はG.BALEです。 独特のシットリ感も残っております!         縞の幅は約16mm 狭すぎず、広すぎず、程好いバランスであり正にクラシックです。 ネイビー地らしくコントラストも美しく、縞のボケ感も良い感じです。         この生地、本当に絶妙で素晴らしい色出しなのです。 先ず室内では分からないと思います。 自然光下でじっくり見ると分かるのですが、、、 かなり絶妙な美しいネイビーを奏でているのです。   この拡大写真であれば少なからず垣間見る事が出来るでしょうか。         フランネルがGOLDEN BALEである必要など全くありません。 されど、GOLDEN BALEだからこその極上な品質と満足感は他では味わえません。   量は少ないですが、かなりお得な価格で入手できた代物です。 この機会に是非如何でしょうか。   心底お勧めなスーチングであり、 皆様の秋冬用ワードローブへとお勧め申し上げます。           チョークストライプのスーツを愛用された方々は本当に魅力的な方が多いのですが、 それだけ愛されるクラシックなスーチングであるという事でもあります。   男が男に惚れる そんな男気溢れた氏もご愛用者でした。 憧れであり、大好きな御方の一人で御座います。     『お洒落』 あまり好きな言葉ではありませんが 魅力溢れる方々からスタイルを学ぶ場合、手っ取り早くは真似してみる事が一番です。 最初はそれだけで嬉しくなるものであり、手に入れた後で 徐々に自分色へ染めて行けば良いのです。       どうか素敵なスーチングと出会いに皆様のお越しを心よりお待ちしております。         では、本当に厳しい暑さゆえ どうかご体調には十分にお気をつけ下さいませ。   今週も誠に有難う御座いました。              

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  • 【 2020AW – OVERCOATING 】

    2020.07.28 Bespoke Tailor Dittos. 生地に付いて

    【 2020AW - OVERCOATING 】

          7月もあと僅か、 今年の梅雨は粘りまして関東も含め8月の梅雨明けとなりそうです。 8月の梅雨明けは なんと13年ぶりとなるそうです。   それよりも7月はまだ台風が来ておらず、もしこのまま来なければ 観測史上初となる 台風ゼロ の7月になるとの事。   既に水害の出ている所も御座いますし、諸々含め8月が怖くなりますが どうか皆様 くれぐれもご注意下さいませ。               なんてエレガントなのでしょう。1928年当時の写真となります。   当時は帽子もマストアイテムであり、 手にはステッキ、胸にはチーフ、そして足元にはスパッツを、、、。 深い打ち合いのシングルブレスト、コンパクトなVゾーンが語ります。 上衿のベルベットとシルクのトップハットのマッチング、 重厚感のある生地で仕立てられた膝ホールドの丈、 身体に寄り添い 美しささえ感じられるコートは その方の格をも裏付けているかのようですね。 CHESTERFIELD COATの かくあるべきスタイルと言えるでしょう。   コートと言うアイテムは総面積も大きく、当然ながら目立ちます。 紳士の装いを語る上でオーバーコートは一番の外套であり、 根本は防寒着ではあるもののやはり拘りたい、拘るべきアイテムであると思います。               さて、突然ですが この上着は 当店HOUSE STYLE ORDERのサンプルとなります。   三つ揃いの内訳に対する呼称と致しまして、英国では 中衣 = WAISTCOAT(ウエストコート) 外衣 = COAT(コート、日本では一般的にはジャケットですね。)   そして、その上着の上から着用されるからこそ OVER COAT となる訳です。 名称も分かり易く繋がっています。         クラシックなブラックの チェスターフィールドコート です。 これも HOUSE STYLE ORDER のサンプルであり、先の上着に同じサイズです。 全く見えませんが中には 先の上着の上より着用させております。 (写真ではネイビーっぽくも見えますが、ブラックとなります。)   当店BLOGでもオーバーコートの話になれば 毎度インナーとアウターのマッチングについて語って参りました。 オーバーコートは インナーであるコート(ジャケット)の 精度如何でレベルが決まるというものです。   詳しくは下記リンクより 是非ご覧頂けましたら幸いです。 極上のGOLDEN BALEのオーバーコーティング(HOUSE STYLE ORDER)、 そして繊維の宝石CASHMEREの オーバーコーティング(BESPOKE)も共にご覧下さいませ。   http://dittos.seesaa.net/article/474431702.html 【 HOUSE STYLE ORDER:T様のご注文】   http://dittos.seesaa.net/article/473408826.html 【 CHESTERFIELD COAT:V様のご注文 】           上記リンクでは 最高級な素材を存分に生かした気品溢れるオーバーコートを 御紹介致しましたが、このサンプルを仕立てられている生地は求められる価値観が違います。   イギリス = 質実剛健   良く耳にするのではないでしょうか。 正にそれを感じさせてくれる生地で仕立てられております。         CAVALRY TWILL   大変丈夫な生地であり、乗馬服などにも使われております。 名の如く騎兵隊からくる名称を持つこの生地は 綾織り特有の斜めに入る畝、 これが二重畝になっているのが特徴となります。     上記リンクページにて御紹介させて頂いた 御二方による極上シリーズは良いに決まっています!! 昔は富と権力の象徴でもあったオーダーコート、やはり生地には拘るべきです。   しかし、別のベクトルでは 質実剛健で雨の日でも気兼ねなく着用でき、 皺なども気にする事無く防寒着を、、、されど仕立やサイズ、 着心地やバランスには拘りたいところでもあります。   そんな価値観でオーバーコーティングをお探しであれば、 今週御紹介させて頂く出物は正にど真ん中のお勧めとなる事でしょう。             Taylor & Lodge  SINCE 1883   大変お世話になっておりますし、頼りにしております、、、。               CAVALRY TWILL 100% ALL WOOL 480g   この度は、ブラックとネイビーの2色を かなりお得なレンジで入手出来ました。           写真ですと色味が本当に分かり辛いのですが、 こちらはダークネイビーとなります。   光の陰影が凄いですね、 もともと綾織は平織と比べ光沢感が出ます。 この生地は更に表面をクリアカットに仕上げておりますので ツルツルのお肌 に同じであり、それがこの陰影に繋がります。   480g、十分です。 重過ぎず軽過ぎない、そしてかなり密にガッチリと打ち込まれており、 コシと弾力が半端ではありません。   皺にも相当強く、そして復元力も強い事でしょう。           綺麗な二重綾が見てとれますね。 このキャバルリーツイルは相当重いウエイトまであります。 リアルな乗馬用となれば 1000gレベルまで御座います。   もともと強くて弾力のある生地です、乗馬用と比べてしまえば こちらは中級のウエイトです。 だからこそ、ゴリゴリでは無く 細マッチョ で スマートなコートになり、日本の冬には十分で御座います。   ここまで密に織り上げておりますので北風も通しません!             こちらはブラックとなり、単なる色違いです。 品番の同じ色違いではありますが、先のネイビーと比べるとややマットな印象ですね。 クリアカット仕上げに差があるという事になります。   差がある、、、、ドンマイ! 海外基準ですから(笑)。 生産ロットが違うとこんな事も御座います。         色次第では ODD TROUSERS にも良く使われる定番生地とも言えます。 パワーのあるツィードの上物には打って付けの下物となるでしょう。   キャバルリーツイル、、、かなり仕立て映え致します!   冒頭に当店サンプルコートの写真がありましたが、 あのシルエットはカットとクセ取りによる賜物です。       2色並べてみました。 こう見ると差が分かりますし、微妙な光沢感の違いも分かりますね。   ネイビーの方ですが、結構光沢があります。 しかし、これは仕上げで出しているので 数シーズン着用すれば落ち着いて参ります。           この御方のオーバーコートのスタイルも本当にエレガントで魅力的です。(1935年) ホンブルグハットは氏のアイコンでもあり、『イーデンハット』とも呼ばれています。 英国の首相も務められた方ですので知名度と影響力、 信用・信頼度も御座いますし 参考にせずにはいられぬ存在です。   勿論時代性もあるでしょうが、氏はピークドラペルが本当にお好きだった事でしょう。 冒頭の写真含め、バランスなど ご参考になる事は多い事と思います。               ・・・・・如何でしたでしょうか。 早くもオーバーコートを着用出来る季節が待ち遠しいです。   この度のキャバルリーツイル、出物ゆえかなりのお得なプライスレンジですが 更にHOUSE STYLE ORDER限定とはなりますが 早期受注キャンペーン での仕込みにもお勧めで御座います。   勿論 BESPOKEでも喜んで承らせて頂きます。 時間はかかってしまいますが何十年とお付き合い頂けますので BESPOKEに限らず、誂えは思ったが吉日で御座います。   皆様のお越しを心よりお待ちしております。               ・・・・・大変恐縮では御座いますが、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。   次回は 8月11日(火)の予定となります。   どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。          

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