【 2024 AW:お勧めスーチング 】
2024.09.03生地に付いて
典型的な2枚目のスターである ケーリー・グランド氏。
この名は 1931年に芸名を変える事になった折、クラーク・ゲーブル氏と
ゲーリー・クーパー氏にあやかって C と G をもらい
Cary Grant と名付けられたそうですよ!
エレガントなダークスーツは 3釦のピークドラペルによる三つ揃い。
端正で品もあり、スーツが本当に似合う英国出身の俳優ですね。
氏が格好良いのはプロでもあり ある意味では納得処かもしれません。
スターたるオーラを纏い、隙の無い着こなしと共に魅力が滲み出ております。
ですが、スターでは無くともスーツとは男性を一番魅力的で
格好良く見せてくれる装いでもあるのです。
1933年 ロンドン。
列車に乗り込もうとする紳士は 2釦ピークドラペルの三つ揃い、
ボーラーハットがとてもお似合いです。
ビジネスにおける日常着として着込まれたスーツには皴が刻まれ、
身体に馴染んだその様は なんとも味わい深き魅力を放ちます。
昨今の目で見れば ゆったりとしたシルエットのトラウザースですが、
優雅で大人の落ち着きをも感じさせてくれます。
30年代だからと言って目立つほどに誇張された太いシルエットのトラウザースは
徒花的な存在でもあり、TAILORで誂えられるクラシックなスーツは
それほど誇張されたものは実際には多くありません。
『く』の字を感じさせる袖のカットは肘幅もしっかりと動きやすく機能的で男性的、
当時のカットを感じずにはいられません。
これが 正に当時での CLASSIC であり、現代にも通じる本質的なスーツでもあります。
足す事も 引く事も不必要なほどに
ある意味では完成されたカッティングのスーツではあります。
しかし時代の変化や多様性は有れど、今では形だけスーツを真似た簡易な服が
かなり増えすぎではありますが、紳士が着るべき、選ぶべきスーツは昔から変わりません。
それを感じ取られた方々が吊るしから昔の様に誂えへと断ち返っているのかも知れませんね。
いよいよ9月です。
暑すぎた夏、、、テーラードを嗜まれる方におかれましては早く着たいですよね。
今週は今期仕入れ分の生地より
クラシックでエレガントでありつつ、
方向性は違う魅力を備えたエリートスーチングをご紹介させて頂きます。
HENRY LESSER & SONS
当BLOGでは幾度となく登場しておりますね。
マーチャントの中で私が最も信頼し、頼りにしている老舗のメーカーであり
BLOG読者の方々でしたら説明は不要でしょう。
もうこの大きなサイズのバンチもかなり貴重です。
バンチサイズ(生地見本)が小さければコスト削減にはなりますが、
顧客の方々におかれましてはマイナスであり、
やはり迫力不足ではありますよね。
http://dittos.seesaa.net/article/499684657.html
≪ FOR THE DISCERNING MAN ≫
同社を語るうえで欠かせぬ名言ですね。
変な飾り気も無く、至ってシンプルでありベーシック、クラシックの極みです。
当たり前な物(生地)を最高品質にて、常にブレず突き進んできたその様は
多くのメーカーが模範とした所からも高い説得力を感じる事が出来ます。
ある意味では面白みは無い、、、
いや、そもそもスーツ地に『 面白みがいるのか?』と聞こえてきそうですね。
そんな同社のコレクションは先細る一方ではありますが、
その中の一つにコチラが御座います。
3シーズンウエイトで 展開された当初を思えば頗る高級な品質です。
H.Lesser & Sons
= WORSTED SUITING WITH CASHMERE =
ABOUT 300g
残念ながら廃版となる品番、
シリーズも含め時間とともに廃版も増えて参ります。
残念ながらそんな折だからこそ縁あって当店へ来ました。
普遍的で極上、クラシックなバンカースーチングを
お手頃価格で入手する事が出来た次第です。
縞柄の線の太さ、間隔、どれをとっても典型的で正に見本の様です。
この様なバンカーストライプは他メーカーでも十分に揃いますので、
わざわざ H.Lesserである必要なないとも言えます。
されど H.Lesserを選択する!
分かる人が選べば良い、正に通好みな自己満の極みです。
こういった生地で誂え、
冒頭で列車に乗り込む紳士の様な相棒へとご自身で仕立てて下さい。
H.Lesserの生地は絶対に裏切りません!
ラグジュアリーファブリックス社という大きな組織があり、
同社が抱える多くのミルは正に名門ばかりです。
先週にも登場しました 『王家の羊』 と称されるラグジュアリーなエスコリアルは、
主にリード&テーラーやジョシュア・エリスなどで織られ、
梳毛も紡毛もお任せあれ といったところです。
同社の運営は再編成され、老舗の STANDEVEN を看板に新しく広がって参ります。
故に固有なミルの呼称は出さず STANDEVENで賄われる流れの様ですね。
エスコリアルは独特で別格なポジションを確立するラグジュアリーな羊毛ですが、
今期AWから もともと高級であったエスコリアルは
更に驚くようなお値段になってしまいました。
STANDEVEN
=TOLEDO=
PURE ESCORIAL
ABOUT 300g
この度は正に幸運な仕入れをする事が出来ました。
美しきオーラを放つその表情は、極上なウーステッド・フランネルであり、
ダークネイビーとなります。
至高な肌触りと着心地、独特な機能性の高さは
シュリンク性高き原毛の性能であり、耐久性的な側面はウールに同じなのです。
高級で知れたカシミアの1%しか収穫量は無く、
希少性も高いので高級である事は仕方がありません。
だからこそ、此度の様なご縁を尊重せれてみては如何でしょうか。
わざわざ耳へ表記する辺り 時代を感じさせますね。
エスコリアルの羊は、ニュージーランドとオーストラリアの極一部でのみ
放牧され毛が採取されています。
羊毛は毛を刈るだけなので持続性はあると言えるのでしょう。
妖艶な光沢感、美しきドレープを生む
その極上なエスコリアルを是非味わってみて下さい。
それは正に独特であり、唯一無二な存在なのです。
では、今週最後のご紹介となります。
とりは 高級老舗なマーチャント、DUGDALE よりのご紹介です。
1869年 ハダースフィールドにて創業されたマーチャントです。
同社の高品質なコレクションは幅広く、生地だけではなくて
トリミング(付属類)を扱う事でも有名であり
TAILORにとっては有難い限りですね。
この生地は日本の老舗メーカーさんが別注された
渾身のオリジナルスーチングとなります。
高貴なパープルを耳帯に、、、あの Taylor & Lodge が手掛けていた
GOLDEN BALE のオリジナルスーチングが やはりパープルの耳でした。
FINE そして RARE
実は GOLDEN BALE の原毛を使用して織られているとの事。
今現在では GOLDEN BALE の呼称はH.Lesser(HARRISONS)が保有する形となり、
他社は呼称できません。(判決以前の古い生地は仕方がないですね!)
全体感のクォリティーは スーパー130レベルに換算されるそうで正に丁度良い塩梅!
DUGDALE BROTHERS & CO
≪ SUMMA CUM LAUDE ≫
100% WOOL( GOLDEN BALE )
330g
これは ラテン語で「最優等」という意味を持ち、同社の社長が名付けたそうです。
確かに意味合い的にも GOLDEN BALE に同じですね。
当店オリジナル別注生地であるGOLDEN BALE を含め、沢山のG.BALEを扱い、
お仕立てさせて頂いて参りましたが、
やはり見れば、触れば分かる程の品質であります。
ウールの原毛(BALE)の中で 正にエリートだけで糸に紡績されていると事です。
ダークネイビー地の綾織り地は綺麗にクリアカットされた丁寧な仕上げ、
原毛の良さと共に隠せぬ品の良さが滲み出てしまうのです。
当店の5周年記念生地でも T&L社へダークネイビー地を織って頂きました。
ウール100%でこの品質は GOLDEN BALE 以外では難しいでしょう。
綾目のエッジが効いたその顔立ち、正に普通のダークスーチング の体ながら、
実は最高原毛たる格を感じさせてくれます。
これまた間違いない逸品で御座います!
このSUMMA CUM LAUDEシリーズは
11種のバリエーションで構成されています。
ベーシックなPICK & PICKやSTRIPEも御座いますので、
お好みの色柄が見つかるのではないでしょうか。
しかし、、、ハダースフィールドのスピナー(紡績メーカー)である
JOSEPH LUMBS & SONS が最高原毛の品質を
『 LUMB’S GOLDEN BALE 』とした歴史を考えると、
呼称制限は少し不思議ですよね。
ふぅ~、ウットリしてしまいます。
ソリッドなダークスーツ、いかようにも使えますし、
重厚なダブルブレストも魅力的ですね。
当たり前のダークスーツを拘りのある逸品で是非誂えてみては如何でしょうか。
・・・・・以上で御座います。
それぞれのスーチングには それぞれの個性と魅力があります。
単に高品質でクラシックなスーチングといえど、
その食材たる生地により 服となったスーツの魅力は大きく変わります。
されど傍から見て「希少な原毛、メーカーだ!」 なんて
一般的には分かる訳ありませんし、分からせる必要がそもそもありません。
誂えスーツは自己満の塊でもあるからこそ、食材から拘り、
それを最高の技術で自分好みな料理に調理してもらい、食す事。 掛け替えなきその味は、長きに渡って自分だけが享受できる至福でもあるのです。
特に今回ご紹介の後発2種は 双方ともに 100% WOOL です。
先にも触れましたが 「何も足さない、何も引かない」
日本の誇る名ウイスキーの如くであり、自信と潔さが際立ちます。
ですが、その山崎のように実はお値段も、、、。
モチベーションが上がるような相棒を育てるべく、
是非とも様々な個性をご覧になりにいらして下さいませ。
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。
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