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Bespoke Tailor Dittos.

【 W様の御注文:VINTAGE T&L 】

2022.08.23お客様のご注文

 

 

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KING GEORGE Ⅵ

 

 

とてもエレガントで いつも美しい TAILORED CLOTHING を着ておられます。

スーツの源流は英国にあり、紳士服が一番エレガントであった時代とされる1930年代。

紳士服は歴史そのものであり、

確立された当時の美しく魅力的なスタイルに憧れを抱く者は少なくありません。

洋服が好きで掘り下げれば必ずや触れずにはいられぬ時代でもあります。

 

当時の古い写真が一枚あれば、その背景やスタイル、ディテールなど

語りだせばキリがありません。

細かく語るは無粋ながらも、ゴージラインの位置や線の具合、

打ち合いやフロントカット含め様々に時代的な流れと共に

説得力の強さをも感じずにはいられません。

同時にルーツは軍服という事に通ずる片鱗も垣間見ることが出来ます。

 

クラシックという語が気軽に使われますが、

時代によりそのクラシックは移り変わるものです。

しかしながら洋服に限らず、

多く物は簡略・簡素化されて中身は薄く、説得力が薄れてゆく。

その物の体を成していれば良いのかと疑問を投げかけたくなる物は増え続けています。

 

人間の『 手 』が生み出す品質と価値

 

どうしてもここに到達してしまいます。

機械化には素晴らしい恩恵を享受する一方、

されど機械にはまだまだ真似出来ぬ技術というものが多々御座います。

 

 

 

 

 

さて、今週は 1st-BESPOKE SUITS を誂えて下さった

W様の御注文を紹介させて頂きます。

 

 

 

W様は、W様も 本当に洋服が好きすぎる御方であり

その知識と拘りは尋常ではありません!

 

英国スタイルをこよなく愛し、当店開業時の頃よりのお付き合いとなります。

十数年に渡り ずっと HOUSE STYLE ORDER にて沢山の洋服を御誂え頂いて参りました。

そんなW様が満を持して BESPOKE のステージに、、、

いよいよお試しになる事になりました。

 

W様が追い求めたスタイルを

丹精込めて手作りにて具現化致します。

 

 

 

 

 

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ベースとなるイメージをお伺いし、+αなリクエストは美しい立ち姿。

あとは私と好みや価値観がかなり近いという事でお任せ頂きました。

 

スーツを愛し、好き過ぎるがゆえ ネイビーのスーツだけで もう何着お持ちでしょうか。

様々にこだわりの逸品、レアな逸品も楽しまれて参りました。

ですがこの度はステージの違うスーツであり、ある意味では別物となります。

 

そんなW様がお選びになられた生地は やはりネイビー!

 

 

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= VINTAGE Taylor & Lodge =

 

Lumb’s Golden Bale

WORSTED FLANNEL

ABOUT 360g

 

 

70年代後期に織られたとされる最高の生地、

色も風合いも打ち込みも 全てにおいて申し分御座いません。

何とも味わい深き生地であり、一目でお気に召して頂きました。

知識と御経験と共に、相当 目も肥えておられるW様が一目惚れです。

お好み的にも含めど真ん中との事でした。

 

W様におかれましては この当時の靴も沢山お持ちですよね!

当然革も違いますし、作り込みのレベルも違います。

 

ネイビーソリッドの三つ揃い、当たり前な物こそ

最高の生地による最高の仕立てにより 長きに渡って愛する事。

それに持ちこたえられる品質も踏まえ、当然 高スペックでなければ成りません。

この生地も本来では先週御紹介した生地の様に

事情あって御提供出来るようになった逸品でもあり、

結論的にはW様へご縁があったのかも知れません。

 

 

http://dittos.seesaa.net/article/462576555.html

【 VINTAGE Taylor & Lodge 】

 

 

 

 

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深き股上に比翼フロントの 2プリーツスタイル。

シルエットもゆったりと太く優雅に。

 

 

 

 

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ウエストコートはシングルの 6釦-5掛けスタイル。

ウエストコートの丈はトラウザースの股上に連動し、

ウエストのシェイプから腰に掛けて流れる様な一体感が生み出されます。

 

トラウザースの股下は裾部でクッションが 入るか 入らないか の絶妙丈。

FINISHは折り返しのカフ付きで仕上げますが、

BESPOKEは前後で3㎝の傾斜を付けていますので踵はホールド感を感じられます。

 

 

 

 

 

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シンプルでベーシックながら、細部にはブリティッシュライクなW様の拘りが詰まっています。

特にフロントカットは分かりやすいでしょうか。

イタリア系の軽快なCUT AWAYに目が慣れている方々には

かなり新鮮に見えるかも知れませんね。

 

上着のフロントは打ち合いも深く、その分 Vゾーンは小さくなりますので

ウエストコートの顔出し具合も変わります。

この重厚感こそ、ある意味往年のBURTISH SUITSを感じさせてくれるでしょう。

 

とても素敵です、、、、W様におかれまして、

初のBESPOKE SUITSへ一層の期待感が込み上げます。

 

段々と形がより具現化していくのです。

誰だって楽しみで仕方がないですよね!

 

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いよいよ仕立て上がりました。

釦は英国では既に廃盤となっている 英国製ポリエステル釦をリクエストされました。

袖口から第一ホールまでの距離、、、、こんな所も見逃しませんよ!

 

実は、HOUSE STYLE ORDERでのレギュラー距離、

BESPOKEでのレギュラー距離、

そして私個人の服での距離、 実は三様に違います。

 

袖口は腕まくり出来るよう開きを設けられます。

その開きを閉じておく為に ホールと釦で留める訳ですが、

昨今 巷で見受けられる袖口ホールはかなり高く設定されていますね。

高ければ高い程に矛盾が生じますが、如何でしょうか。

 

古き時代の写真を見れば、自ずと当たり前の位置に定められているものです。

 

 

 

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トラウザースに足を通す際、既にスーツとの対話が始まっております。

『おっ、、、』 生地のウエイトやしなやかさ含め、ワクワクしない訳がありません!

 

とても綺麗ですね。

 

 

 

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お履きになられる古いE.Gも この生地と同じ頃に作られた靴。

革質や製造クオリティーが時代で随分と変化が見受けられるのが靴ですよね。

 

 

 

 

 

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この度のライニングは、ブルーとレッドの交織により表現されたパープル。

GOLDEN BALEのイメージカラーもパープルです。

 

ハイバックで仕立てられたトラウザースのバックには、

尻尾錠をお付けになりました。

 

 

 

 

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フロントのラペルは本返り仕立てながら、返り止まりは敢えて高めの設定にしています。

W様、とてもエレガントで素敵です。

 

 

 

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色々な角度やポーズで御確認されています!

上着の釦付け位置を見れば その打合いの深さも見てとれる事でしょう。

冒頭のジョージ6世の写真も相当深めにとられているのがご覧頂けますね。

 

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座位での具合も御確認。

この座位では 着用される服のレベルも出ると言えます。

 

本当に素敵です、、、。

 

W様には大変喜んで頂き 何よりで御座います。

仮縫い時には既に次の BESPOKE SUITS を御予約頂いております。

 

誂えの世界におき、BESPOKEは最高となるステージであり これ以上は存在しません。

されど 初BESPOKE SUITSでもある訳であり、これからお互いに『練』を掛け続けるのです。

まだスタートしたばかり、、、

 

秋になり、涼しくなればいよいよ本格デビューです。

これからこのスーツと対話(着用)が始まります。

まだ嫁いだばかりで緊張状態のスーツ自体も段々解れ、

その秘めたるポテンシャルを少しずつ感じ取って頂ける事でしょう。

 

この1stスーツのレベルは以降 既に保証されております。

このレベルから下がる事は絶対にありませんので、あとは上げていくばかり。

 

 

次の段階は着用しなければ分からぬ好みやお気持ちなどのフィードバックをもらいつつ、

次回へ繋げたい事が私なりにも御座います。

 

手作りの生み出す品質に、職人の生み出す洋服に 終わりはありません。

そんな充実した楽しき航海を共に歩むのも誂え服の一つの側面でもありましょう。

 

W様、素敵な御注文を誠に有難う御座いました。

次回のスーツも是非ご期待下さいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・如何でしたでしょうか。

好みも価値観も、体形や姿勢も 十人十色です。

ただ、このBLOGをご覧下さる方々の共通点は

やはり洋服(紳士服)がお好きである事でしょう。

 

人様のご注文にもご興味がおありでしょうし、様々な気付きや学びがあるかも知れません。

 

HOUSE STYLE ORDER と BESPOKE ではステージが違います。

お値段も工期も全然違います。

 

ステージが違えば比べても公平では無く、意味がありません。

ただ、それら各ステージの中で 最高 を常に目指し続けます。

 

『 最高 』 これは顧客様が決める事であり、そのご期待に対し

ほんの少しでも上回る事が出来る様 全力持ってお誂えさせて頂きますので、

そこにH.S. ORDERやBESPOKE での違いは御座いません。

 

 

皆様だけの 最高 を求め、是非お越し頂けましたら幸いです。

何卒宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
Bespoke Tailor Dittos.