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Bespoke Tailor Dittos.

【 T様のご注文 : VINTAGE SUITING 】 

2020.12.22お客様のご注文

 

 

昨日には 冬至 も迎え、一年で昼が最も短い日でした。

日の入りは17時前ですから もう夕方になれば暗いですし、

帰る事は本当に寒くなりましたね。

 

そして 冬至が過ぎれば直ぐに クリスマス!!

 

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一番盛り上がり、外出も楽しき時期ではありますが、、、、

今年のクリスマス、皆様におかれましては

どんなお過ごし方をされますでしょうか。

 

 

 

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1922年 LONDON

クリスマスの時期で街も賑わいます。

流石はテーラードなオーバーコートや帽子の着用率の高さ、

そして足元は本当に黒靴一辺倒ですね!(モノクロ写真ではありますが。)

当然今では移り変わりも随分とありましょうが、

日本では半分くらいの方々がダウンにスニーカーではないでしょうか。

 

生地メーカーもそんな移り変わりに耐えられず

随分と減ってしまった事は仕方が無いのかも知れません。

 

 

 

 

 

 

 

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グレー系の 2P-SUITS を颯爽と着こなすダンディーな C.グラント氏。

スーツは本来 三つ揃いがあるべき姿でありつつも、

現代社会におきましては やはり2Pでの御着用率が圧倒的に多い事は確かです。

 

背も高く、スマートでスラリとしたその御姿は本当にエレガントです。

 

 

 

 

 

 

 

さて、今週はT様よりご注文頂きました

BESPOKE:2P-SUITS を御紹介させて頂きます。

 

 

・・・T様はモデル級の羨ましい容姿を持たれた御方であり、

背が高く、引き締まった逆三角形の上半身、

驚くほどに手足も長くて本当に格好良い素敵な紳士で御座います。

その手足の長さは当店総顧客様の中でもTOPレベルであり、

肩を並べるのは欧州の顧客様となります。

洋服が本当にお似合いですが、もう何を着ても格好良いです、、、、。

 

ベーシックでありつつも、

より良き物を求め 御縁あって当店に来て下さりました。

誂えの御経験も豊富であり、目の肥えた顧客様のお一人でも御座います。

 

前回のスーツは春夏用で大変貴重な

VINTAGE DORMEUIL:Super Brioにて誂えて頂きました。

当たり前な物は既にお持ちでだと思いますので、

敢えて個性的で拘った食材はむしろ大好物でしょう。

そんなT様が今回お選び下さった生地とは!?

 

 

 

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やはりVINTAGEで御座いました。

70年代後期に織られたとされておりますが、当時は各社挙って

より良き最高の生地を織るべく切磋琢磨だった事でしょう。

当店BLOGでも同じ頃のVINTAGE MOXONやT&L等も御紹介させて頂きました。

 

この生地はスーチングの中では正に欠かせぬ代表選手でもある

グレーのPICK&PICK であり、ウエイトは約350gとなります。

 

大変上質なウーステッドにカシミアを、

そして特筆すべきは何とミンクまでブレンドされています。

その耳にはキラキラと金糸で縁取られ、あからさまな演出が目を惹きます!

こんな所もMOXONやT&LのVINTAGE Golden Bale等でも同じですね。

 

そのミンクもスパイス程度な混率ですから、自己満的な部分も否めなくはありません。

少しの量でもブレンドすればこうやって記載出来る事こそ

大事であり差別化でもありましょう。

そして、低速織り機でじっくりと織り上げられた風合いはふっくらとしつつも

密でコシがあり、触るだけで仕立て映えする優等生である事が分かります。

 

ただし、残念な点も2点あり

1点は VINTAGEの多くは着分カットが多く、いつもスペアトラウザース込みで

御注文下さるT様では御座いますが、

LAST着分故にスペアTRが欲しくても仕立てる事が出来ません。

 

そしてもう1点は、メーカー/織元が不明なのです。

VINTAGEにはこういった食材たちも多く存在します。

今は無きミルやマーチャントであった可能性も有り得ますね。

 

ブランド名というのはある意味信用でもあります。

その名で判断するのではなく、

あくまでも御自身の経験で判断するしかありません!

勿論その前に私のフィルターは通っていますので、

お勧めする事が出来ぬ生地が店頭に並ぶ事は御座いません。

 

ベーシックの極地であるかのようなPICK&PICK の生地を

贅沢で通好みなレアなVINTAGEより、、、

では ご覧頂きましょう。

 

 

 

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身体のバランスに合ったスーツを御着用になり、ご本人様お一人ですと

比較が無く どれだけ高身長なのか写真では分かりませんよね、、、、

もう何頭身ですか(笑)。

足の長さだけは一目でお分り頂けるのではないでしょうか。

 

クラシックな三つ釦の2P-SUITSですが、その顧客様のスーツに対する価値観や着方、

そしてお好みも含め様々にちょっとした味付けも変えています。

 

上着についても、3Pなのか2Pなのかも含め、

欲するスーツの印象次第でフロントの打ち合い量さえ変えています。

たかが数ミリ、されど数ミリ、私にとってこの差は大きく、意味があります。

クライアント様が気付かなくても関係ありませんので、職人の自己満という事になりましょう。

 

 

 

 

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背骨の上部、首の付け根付近に『第七頸椎』という骨があります。

このポイントはとても重要であり、

各採寸や製図での起点となるポイントで御座います。

 

その第七頸椎から靴を脱いだ時の床までの丈、これが『総丈』となります。

上着の着丈を設定する際、総丈/2 がその方の着丈の目安と言われています。

 

まぁ目安です、同じ身長でも腰位置の高い方、低い方で

その方にベストな着丈は変わるという事になります。

 

それにしても、、、T様はスタイル抜群です。

少しだけスリムに成られたようですね!

 

 

 

 

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トラウザースは 1-PLEAT シャープで細身のシルエットを御所望です。

ベルトレススタイルで確りと腰に合わせてのFITTINGとなります。

 

ヒップ周りには適度なユトリも加味しつつ、シャープな足筒へと繋がります。

尻ポケットは右側のみ、フラップも釦さえも付けません。

極シンプルでミニマムに!

 

 

 

 

 

・・・さて、微調整を加え いよいよお仕立て上がり・御納品で御座います。

T様、大変お待たせ致しました。

 

 

 

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長き足はシャープなシルエットも踏まえ より引き立ちますね。

裾上げはエレガントにスッキリとシングルにて。

クセ取りされた足筒と共に、

強き傾斜の付いた裾上げはスマートな足元を演出致します。

 

 

 

 

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本当に素敵です、、、、。

ベーシックの極致だからこそ、余計に生地や仕立てのレベルが滲み出るものです。

 

先には着丈に付いて少し触れましたが、

上着の着丈は一般的に指の第二関節あたりが

丈の『目安』と多くで紹介されています。

 

ご覧頂ければT様には全く持って不適合な目安である事が分かりますね。

それだけ皆様の御体型は個性的なのです。

 

私自身も足はともかく、、、腕は長いので、

日本製、もしくはインポートでも日本規格で作られた袖丈は全く足りません。

T様もご苦労があった事でしょう。

 

それにしても美しいシルエットであり、惚れ惚れ致します!

デザインやバランスは普遍的なクラシックに限ります。

 

 

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T様の個性として 右肩下がりの度合いが大きい事も特徴の一つと言えます。

個性ですから良いも悪いも有りません。

私自身も右肩下がりが強いですが、左右対称で作られた既製服では

この様に肩で左右均等な着心地を味わう事が出来ず、タスキ皺と共に諦めるしかありません。

 

また、人間の身体は本当に良く出来ておりますので、、、、

どちらかの肩下がりが強いと、そのバランスを矯正しようとしますので

度合いが強い方ほど 左右腰位置も高低差が出ます。

 

T様も少なからず御座いますので、

トラウザースの股上についても左右非対称で仕立てられています。

この対応はベルト用、もしくはベルトレスのスタイルには欠かせません。

腰で確りとFITさせるからです。

 

しかし、唯一 吊り用の場合は例外となります。

たっぷりとした深き股上、それを吊りますし、

ウエストサイズもJUSTである必要すらなく、腰履きよりもユトリを加味します。

故に 腰の左右高低差は限度が有るにせよ キャンセル出来る・されるのです。

 

 

 

 

 

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理想的であり、クラシックなバランスです。

リモートワークもお増えに成られたそうですが、

こんなにもTAILORED SUITSがお似合いになるのですから

変わらぬご愛用を頂けましたら幸いです。

 

 

 

 

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逆三角形と共に 美しきX字なシルエットです。

ドロップ寸も相当ですからね!

 

微調整を加え、仕立て上がったT様だけに誂えられたハンドメイドスーツです。

背中に見えるドレープは着用姿勢にもよりますが、

優雅でもあり機能性に繋がりつつ、

腰のくびれに後身頃が追従しているのがお分り頂ける事と思います。

確りとクセ取りされ立体的な後身頃で御座います。

 

 

 

 

 

 

・・・T様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。

次のスーツの仮縫いまで今暫しお時間を頂戴致します。

どうかご期待の上、引き続き宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

・・・如何でしたでしょうか。

当店BLOGでは沢山の方々の御着用写真をご覧頂いて参りました。

(ご協力下さる顧客様方に心より感謝しております。)

 

皆様 とても大切な顧客様方であり、プロのモデルである訳でも御座いません。

顔や声、性格などと同様に体型に関しても

個性的で千差万別である事が御理解頂ける事と思います。

 

その個性に寄り添うには、専門技術者としての知識や蓄積、

そして技術なくしては実現できません。

誂え服はクライアント様の為だけに仕立てられるのであり、

トルソーに着せる為でもありません。

本当にリアルな御自身のサイジングや極上の仕立てを全力持ってご提供させて頂きます。

BESPOKE や H.S ORDERの区分けに限らず

お好みを踏まえた極上の一着を共に仕立て上げて参りましょう。

 

 

 

 

 

 

【 早期受注キャンペーンのお知らせ 】

 

早くも来年のお話で御座います。

新年を迎え、 2020年1月18日(月)~2月19日(金)の約一か月間におきまして

恒例の工場さん企画である 新規受注キャンペーン を開催させて頂きます。

通常よりも工期を多く頂く分、ささやかながらお値引きをさせて頂くという企画となります。

 

● もし、年末や年始でのご注文で

このキャンペーンを御利用希望の場合はお気軽にお声掛け下さいませ。

その期間開始日まで当店でお預かりしておき

投入させて頂きますので、期間日程前でも是非御利用下さいませ。

 

● 内容は春夏・秋冬に関係ありませんので、こ

の御機会にコートなどでも勿論対象で御座います。

 

● 早い出来上がり・時間優先 を望まれる御方々におかれましては、

勿論レギュラー日程でのご注文も受け賜っております。

 

● 上記キャンペーンには 上着が絡む事が対象となります。

2P/3P-SUITS、JACKET、OVER COAT が対象となり、

残念ながらOOD WAISTCOAT、ODD TROUSERSは対象外になってしまいます。

 

 

是非ともこの御機会を有効利用して頂けましたら幸いです。

宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

 

【 シャツの衿・カフス交換につきまして 】

 

いつも当店誂えシャツを御贔屓頂きまして、誠に有難う御座います。

今年の4月より 新しい工場さんに変わり、

全てにおいて同じレベル・品質にてご提供させて頂く事が出来ました。

 

さて、当店でのシャツ受注スタート時から今年の3月まで、

大変長らくお世話になっておりました旧工場さん製のシャツに付きまして、

衿・カフスに伴う交換(お直し)の最終受付けに関する日限が迫って参りました。

 

2021年1月末 までの受付けとなり、

残念ながら以降はお受けする事が出来無くなってしまいます。

もし交換をご希望される顧客様におかれましては、

期限内に是非ご相談頂きたくお願い申し上げます。

 

● 2020年4月以降の受注分は全て 新工場さん製となります。

こちらのシャツは先方様とお取引を続かせて頂いている限り、

衿・カフス交換 をいつでも 常にお受けしております。

 

● このお知らせは 理由が御座いまして、大変恐縮ながら以降は告知を致しません。

今のうちに御確認をお願い致します。

悪しからずご了承頂きたく、重ね重ね宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

 

・・・・・本年も大変、大変お世話になりまして心よりのお礼を申し上げます。

さて、年内のBLOG更新は今週をもって終わりとさせて頂きます。

 

次回は新年を迎え、1月12日(火)の更新を予定しております。

暫しお休みを頂戴致しますが、どうか来年も宜しくお願い申し上げます。

 

年内は 12月28日が最終営業日となり

年始は  1月4日より 通常営業となります。

 

 

では 少し早くは御座いますが、

皆様どうか素敵なクリスマスを、そして良いお年をお迎え下さいませ。

 

来年も変わらぬご指導、ご鞭撻を賜れましたら何よりの幸いで御座います。

どうも有難う御座いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
Bespoke Tailor Dittos.