BLOG

Bespoke Tailor Dittos.

【 SPENCE BRYSON 】

2020.03.10生地に付いて

 

 

春分の日も間近に控え、

そろそろ春の装いが恋しくなる時期でもありましょうか。

今年は暖冬のせいもあり、桜の開花が観測史上

最も早い開花になるであろうと予想されています。

 

さて、春夏には欠かせぬ素材(生地)を念頭におけば リネンを抜きには語れません。

今週は早々にリネンの御紹介をさせて頂きたいと思います。

 

 

 

 

sb1

 

SPENCE BRYSON

 

1891年創業 アイルランドの老舗ミルです。

リネンを語る上では欠かせぬメーカーであり、

アイルランド産 IRISH LINEN は不動の地位を築いております。

品質の高さは言うまでも無く、シャツ地やチーフ類(当店にも御座います)などの薄地から、

勿論スーチング、インテリアに至るまで 様々に最高級のリネンを供給しております。

 

 

 

 

sb2

 

昨今展開される沢山のシリーズの中で、古よりエレガントな紳士達がこよなく愛した

不朽の定番シリーズでもある “TROPICAL” というスーチングがあり、

これはウエイトが約370gあります。

 

上品で緩やかな表情を醸し出し、コシのある確りとした織りで知られるこのシリーズは

着皺の迫力もあり、丈夫な生地でもあります。

まだ洋服が新しい頃は このコシが強い為にゴワゴワと感じられるかも知れません。

 

しかし、リネンは着込めば着込む程に柔らかくなって味わいが増すばかりです。

独特の着皺も革靴に同じく、エイジングも楽しめる最高の生地です。

 

 

ただし、、、このTROPICALですが、夏は暑い!

ウエイトだけでみれば秋冬地レベルのウエイトであり、

放熱効果高きリネンと言えども 高温・多湿な日本の盛夏には厳しい事は否めません。

 

故に春と秋がメインでの着用となるでしょう。

 

スーツだけでは無く、上着やトラウザース、ウエストコートなどの

単品仕立てでも良いですし、スプリングコートに料理しても素敵ですね。

 

皺の入り方も堂々としてリネンらしく、このウエイトながらの魅力を享受する事が出来ます。

IRISH LINEN の代表的な顔である事は間違いありませんね。

 

 

 

 

sb3

 

当BLOGでも以前に御紹介させて頂きました S様の上着です。

お気に召して頂き、後日にはWCとTRを誂え足し 都合三つ揃えとされました。

色味も使いやすく、仕上げプレス仕立ての新品らしき綺麗なジャケット、

今ではS様の御着用により

随分と味わいを増した素晴らしい雰囲気を醸し出している事でしょう。

 

S様、今年もそろそろ御着用シーズンで御座います!

 

 

 

sb4

 

このシリーズは様々なマーチャントでも扱われておりますが、

同社のストックでもこれだけのカラーバリエーションを揃えております。

タバコブラウンも素敵ですね!

昔ながらのリネンに思いを馳せるのであれば、

是非こちらのシリーズをお試し頂ければと思います。

 

 

 

 

 

 

さて、先のシリーズ(TROPICAL)は 約370gです。

良さは分かっても もう少し涼しく、かつIRISH LINENらしさを味わいたい御方へ。

 

sb5

 

御座います!

W.Bill よりの仕入れでしたが、ヘリンボーン柄で淡くスモーキーな色味も魅力な

300gというシリーズがあります。

 

 

 

 

sb6

 

同じく当BLOGにて御紹介させて頂きました U様よりのご注文です。

エレガントに三つ揃いを着こみ、ポーズも正にモデル級で御座います!

リネンの魅力に溢れ、清涼感のあるスーツの御姿が本当にエレガントで素敵です。

 

このウエイトであれば まだ春夏用と言って良いでしょう。

スーツでのお仕立てであれば、盛夏はそれぞれ単品でのコーディネイトもご堪能頂けますね。

 

リネンらしい皺、、、同じ植物繊維であるコットンとも違う独自の雰囲気を奏でます。

 

 

 

 

sb7

 

このシリーズも 実は、いや、当然ながら SPENCE BRYSON が織元で御座います。

これだけの色バリエーションが揃いますので、

皆様であれば どの色をチョイスされるでしょうか。

因みに、U様セレクトのお色は右側:一番下のラベンダー色が同色となります。

 

 

 

sb8

 

先ず色が涼しげで良い!!

経糸に色糸と 緯糸にアイボリーでの交織にしてあり、これが薄く淡いトーンを表現し

クラシックなヘリンボーン柄を浮き立たせています。

 

sb9

 

 

 

 

 

 

 

では、皆様へ IRISH LINEN の魅力をお伝えした所で

今週の目玉、マニアックなリネンを2種 御紹介させて頂きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

sb10

 

冒頭に紹介した TROPICAL のシリーズに酷似していますが違います!

何と ウエイトは約430gもあるのです、、、。

 

そして色がとにかく良い!!

独特で絶妙なカーキ色、TROPICALより更に地厚ですが

あえて織り密度はほんの若干緩く、通気性も少しだけ高い事でしょう。

 

織り密度は生地の風合いや柔らかさと密接な関係がありますので、

着込んだ頃のクタリ感を想像するだけで楽しみな生地と言えます。

 

 

 

sb11

 

仕立て上がりは 一体どんな迫力が出るのでしょうか。

どんなエイジングをしてくれるのでしょうか。

 

楽しみでしかありません!

しかし、涼しさを求めてはなりません。

 

 

 

sb12

 

こういう生地、私なら 敢えて一重仕立てにします。

少しでも軽く、涼しく、、、という要素もありますが、

ヘビーウエイトのIRISH LINENたる魅力を存分に発揮させる為でもあります。

 

例えばサファリジャケット(ブッシュジャケット)なんかは最高でしょう。

芯も裏地も付けず、水で丸洗い洗濯出来るようにしたいですね。

( リネンは水に濡れる事で更に強度を増す素材でもあります。)

 

度重なる洗濯によるヨレ感や クタリ感なども魅力的であり、

そもそも汗はかくでしょうから気持ち良く水洗いしたいですよね。

 

一重仕立て、

アンコンジャケットやサラッと羽織れるワークコート系含め

スプリングコートの様な調理も良いでしょう。

スポーツジャケットなら、ピンチバックにしたくなりますね!

こういう類はハンドステッチよりミシンステッチの方が様になりますし、

相性も良い訳です。

 

 

 

 

 

 

sb13

 

最後の御紹介です。

ラストは更にヘビーウエイトですよ。

 

これも色が本当に素敵です。

こちらは約490gとなります。

 

 

 

 

 

sb14

 

絶妙なウォールナット。

日本でいう『 胡桃色 』ですね。

 

乾いた感じで薄めの茶色、調理法は先のヘビーウエイトに全く同じです!

この子も、、、スゲー奴です(笑)。

 

個人的には作業用の Plus Fours にしても良さげです。

上はハリントンジャケット(スイングトップ)もお似合いですね。

 

 

 

 

sb16

 

色の対比として並べたヘビーウエイトの両雄です。

ですが本当に写真では色出しが難しく、是非実際に皆様の目で見てご確認下さい。

 

そして触って、握って、感じて下さい。

きっと皆様にも素敵なイマジネーションが浮かんでくるのではないでしょうか。

 

IRISH LINENの魅力を存分に味わうには

それなりのウエイトがあった方が より『らしさ』を味わえる事でしょう。

 

 

 

 

 

・・・・・私が生地を仕入れる際、

その生地の種により様々な判断がある訳ですが

やはり その生地と対峙した時に 魅力的であればある程に様々な調理法が思い浮かび

ワクワクしてくるものです。

コレでこんな形で、こんな仕様で、こんなスタイルで、こんな着こなししてみたい、、、。

生地が語りかけてくる様な気すら致します。

 

絶対に格好良い服になってくれるでしょう。

そしてツィードの様に長きに渡り相棒として付き合ってくれる事でしょう。

 

 

 

 

 

良い生地と巡り合い、良い仕立てのもと

長く付き合える相棒を探しに是非いらして下さいませ。

 

皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

 

 

今週もお付き合い頂きまして 誠に有難う御座いました。

 

 

 

 

 

 

 

 
Bespoke Tailor Dittos.