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Bespoke Tailor Dittos.

【 A&W W.Bill ① 】 

2018.08.14生地に付いて

 

 

 

多くの方々は お盆休み中の事と思います。

 

帰省含めご家族で大切なお時間を過ごされている方々も多い事でしょう。

今年の夏は暑過ぎるので 遊ぶのも大変です。

 

当店におきましては、定休日以外は通常営業となりますので

お時間のあるお方におかれましては 是非お気軽にお越し頂けましたら幸いです。

 

 

 

 

既に暑さに疲れ、涼しき秋冬が待ち遠しくなっているのは

BLOGをご覧下さっている皆様も同じではないでしょうか。

 

今週は、高揚が止まらぬような ツィード を御紹介させて頂きます。

 

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ツィードは本来 カントリーサイドで着用される洋服です。

乗馬や各種スポーツ含め、活動的な洋服であるからこそ 生地もタフでなければ成りません。

 

こちらはゴルフウェアとしての御着用ですね。

 

昔の天井の大きなクラシック・フラットキャップ、やはりコレです!

http://dittos.seesaa.net/article/428951218.html

( ↑ FLAT CAP )

 

 

 

 

 

 

 

ツィードはハンティングやフィッシングなどにも着用されます。

狩猟用として身を守る為にも丈夫であり、体温も逃がす事なく暖かいうえ、

デザイン的な配色などもカモフラージュ出来るように作られています。

大地たるブラウン、草木のグリーンが主体であり、

自然から採取されるもので染色されたアースからでもある訳です。

そんなツィードは 花の色なども含めて多彩な色に染め上げられた糸を紡ぎ、

何とも言えぬ魅力的な色柄を生み出して参りました。

 

現代で言う迷彩服でもあるわけですね。

 

また、ツィードには様々な格子柄も見受けられます。

歴史を探れば 『 ESTAIT TWEED 』に辿りつくのですが、

紳士服は それだけ長い歴史のもとに今があるという事です。

 

 

何故 こんなにもツィードに高揚し、惹かれるのでしょうか、、、。

きっと、身体のどこかに眠る男性たる狩猟本能をくすぐるのかも知れませんね。

 

ツィードは野良着でもあり、ワークウェアでもあります。

タフな一着をデニムの様に着込み、育てる事より 掛替え無き味わいや着心地と共に

エイジングをじっくりと楽しむ事も出来る 頼りになるギヤでありつつも、パートナーなのです。

多少の雨など傘さえ不必要です!

 

 

 

 

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W.Bill

(William Bill)

 

1846年創業の老舗マーチャントであり、カントリー系の服地に特化した 素晴らしコレクションを展開している事で知られています。

 

同社の逸話を語る上で一番有名なのは、人類初のエベレスト登頂を成し遂げたヒラリー卿が W.Bill の服地を着用されていたとの事。

現代の登山ウェアを考えれば とんでもない歴史を感じますね。

 

 

 

今週は W.Billの素晴らしいコレクションの中より

厳選したTWEED:4種を御紹介致します。

 

 

 

SUPERFLEECE

 

12ozs  375g

100% All Wool

 

 

 

ガッチリと密な打ち込みでおられた チェビオットツィード。

このSUPERFLEECEの特徴として挙げられるのがウエイトです。

企画は375g とありますが、触った感じでは400gはありそうですね。

これはツィードとしては軽量級となります。

 

 

 

 

日本で街着を主体とするのであれば これで十分です!

P&H HARTWIST:560g も愛用していますが、個人的にはこれがMAXであり、

これ以上のヘビーウエイトも沢山ありますがオーバースペックだと思います。

SUPERFLEECEは、そういう意味でもタウンユースをも意識された企画でもありましょう。

 

 

こういったツィードは、やはりスーツで誂えておくべきであり、

基本はスーチングの生地となります。(勿論ODD用でも大いに結構です。)

 

スーツで仕立てておけば、着こなしの幅もかなり広がります!

雪が降り積もる本当に寒き日、このウエイトで心配であれば インナーにニットベスト、

トラウザースにはコットンで洗う事も出来るハードなコーデュロイやモールスキンで挑みましょう。

 

三つ揃いを暖かなタートルネックのニットで着こなすのも乙です。

三つ揃いで暖かさに不安があれば、それこそオーバーコートが気持ち良く着用出来る事でしょう。

軽量級なりの選択幅が広がる訳です。

 

ヘビーウエイトなツィードであれば日本では正に真冬用ですが、

このシリーズなら秋口から直ぐにでも頼る事が出来ますね。

 

 

 

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更に利点があります。

こういったスポーティーなバックデザイン含め、ポケット等にもプリーツを畳む様なデザインを仕立てる場合、あまり地厚過ぎる生地では プリーツが畳まれる生地同士の重なりで どうしてもモコモコになってしまいます。

 

SUPERFLEECE、これくらいが一番作り易く、モコモコに成らず スマートな感じで表現出来ます!

 

軽量級だからこそのメリットは着こなしの幅が広がるだけでは無く、こういった部分にも恩恵があるのです。

 

 

 

 

 

 

・・・前置きが随分と長くなってしまいました(汗)!!

ツィードは語り始めると止まらなくなるので困ります、、、。

 

 

 

ではご覧くださいませ。

 

 

 

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写真では 色出しが難しいのですが、それもツィードの特徴と言えます!

ツイルの織り地に、赤系のウインドーペーン柄がとても映える 素晴らしい生地です。

なんて素敵なのでしょう、、、。

 

 

 

 

 

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生地方向は 写真のままであり、縦に綺麗な赤。

横には赤系と紺系の二重ストライプになって ウインドーペーン柄を織りなしています。

 

とにかく地の色もたまりません!

 

 

 

 

 

 

 

 

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ツィードらしく、複雑に色が絡み合い 何とも言えぬ色調です。

これ、「何色」って言い辛いですね。

 

 

 

 

 

 

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多くの方々は、洋服として仕立てられた上で生地をご覧になられます。

現物生地の置いてある TAILOR では、生地の段階で様々な個性や特徴を垣間見る事が出来る事は大いなるメリットです。

 

この写真は生地端でありコーナーの部分です。

上部に見えている解れた糸(ワザと解れさせています。)が経糸です。

右側にブラウンのケバケバが見えますね。 生地の両端であり、ミミと言います。

これが緯糸です。

 

経糸はグリーン系が主体ながら、様々な色糸を撚り交ぜた杢糸を使用しているのが見てとれます。

 

草木のグリーン、大地のブラウンを経糸・緯糸で交織にして この魅力的な色を出しており、

そこに杢糸たる絶妙な色糸の風味が重なり合うのです。

 

正にツィードカラーとも言えますね!

 

 

 

 

 

 

 

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右のグリーン系ツィードを着こなす紳士、なんて素敵なのでしょう。

グリーンはツィードに欠かせぬ色であり、魅力が濃い色味でもあります。

Bellows Pocket(ベロウズポケット:側面、底辺がマチ付き)がまたそそりますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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次です。

 

先の生地に少し似ていますが、現物で見ると全然違います!

もう少しグリーン味が強く、地がヘリンボーン柄になっています。

 

 

 

 

 

 

 

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クラシックなヘリンボーンにウインドーペーン柄を重ねています。

地の色味には、ヘリンボーン柄から垣間見える黄色糸の風味を感じられます。

 

緑×赤の配色はクリスマスカラーっぽくもありますが、凄く相性良く仲の良い鉄板配色でもあるのです。

横ストライプには赤系と黄系での二重ストライプになっていますね。

 

 

 

 

 

 

 

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これも写真では色出しが難しい!!

 

グリーンベースに もう少し黄色の糸が出るので、写真より黄緑っぽい印象です。

ツィードはそれだけ複雑で絶妙な色出しという事ですね。

 

 

 

 

 

 

 

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生地端 コーナーの写真ですが、失敗です!

緯糸がボケて見えませんね、、、。

 

緯糸は 結構濃く出たお茶(グリーンティー)の色、渋茶色に対し 経糸は複雑な杢糸が見えます。

写真だと分かり辛いですが、経糸に黄色み帯びた黄緑が生地のベースに上手く表現されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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次に参りましょう。

これも激シブな やや濃いグリーン系です。

 

 

 

 

 

 

 

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グリーンのベースは これもヘリンボーンです。

黄系と青系のウインドーペーン柄が引き立ちます。

(写真より格子の青線はもっと大人しい感じです。)

 

皆様、絵の具を使っていた頃を思い出してみて下さい。

格子の青と黄、これらを混ぜると緑になりますね!! 相性が良い訳です。

 

そこまで考えているのか分かりませんが、魅力的なデザインである事に変わりはありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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この写真も、、、現物の生地で青縞はもっと鈍くてベースに馴染んでいるのですが、写真ですとクッキリ浮き上がってしまいますね。

 

ウインドーペーン柄はもう少し大人しい感じです!

 

 

 

 

 

 

 

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この生地端は分かりやすいですね。

経糸が黒、かな!?  緯糸にカーキグリーンです。

 

経糸と緯糸のコントラストが強いですね! なので、よりヘリンボーン柄がクッキリと出ますし、生地色に締まりが加わります。

 

 

 

 

 

 

 

 

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左の紳士、ブラウンベースのヘリンボーンスーツ。

中に合わせているのはタッタソール柄でしょうか。

 

右の紳士が着用するヘリンボーンのツィードコートも激渋です。

やれたツィードコートを着込む洒落たジジイになりたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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最後です。ベーシックなブラウンのヘリンボーン柄、これも欠かせません。

こういったシンプルな生地であるからこそ、格子柄のシャツやタイ、タッターソール柄のインナーが映えるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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単純にブラウンと言っても、赤やオレンジ、グリーンも些細に感じられる綺麗なダークブラウンです。

ヘリンボーン柄も太過ぎず、細過ぎず、正に丁度良い塩梅ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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見て下さい!

深みがあって本当に綺麗ですね、、、、。ツィードは見ているだけで楽しくなってしまいます。

こういうシンプルな柄こそ スーツで仕立て、オッドに崩した時に汎用性が高く重宝出来るものです。

これも渋くて本当に格好良いです。

 

 

 

 

 

 

 

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髭の様に解いた糸、これが緯糸であり 本当に濃いチャコールグレー!?

経糸に多色使いのブラウンです。様々な色糸と混ぜて茶系の杢糸にしていますね。

 

 

 

 

 

 

 

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似た感じも多かった事と思いますが、こう並べると ぞれぞれの色味や個性が感じられる事と思います。

それにしても今週は生地の色を出すのに苦労しました。苦労しても上手く出ない自分の腕も悲しいですが、、、。

 

それだけツィードは本当に複雑で深みがあります。

是非、是非 現物の生地をお店でご覧になられてみて下さい。

 

拙い私の写真では この子達の魅力は半分しか伝える事が出来ません。

 

 

 

 

 

皆様なら、どんなデザインで、どんな仕様で仕立てますか?

考えただけでワクワクしてしまいます。

 

何年ぶりになるのか、、、私も新しいツィードの仲間をワードローブに加えるべく

今回はちゃっかり自分の分も購入してしまいました。服になるのはいつの事やらですが!

 

お値段も元値よりダウンしております。 事情がある訳です。

この御機会を是非お見逃し無きよう 皆様のお越しをお待ちしております。

 

 

今月の25日までは、HOUSE STYLE ORDER限定に置き キャンペーンも行っておりますので

今の内から是非仕込まれて下さい!

 

 

 

 

では、素敵な休暇をお楽しみ下さいませ。

今週も誠に有難う御座いました。

 

 

 

 

 

 
Bespoke Tailor Dittos.